はじめに
レコードやフィルムカメラがそうであるように、少し不便でも温かみのあるアナログな体験が、今、ふたたび価値を見出されています。Z世代を中心にカセットテープの人気が再燃し、ポータブルカセットプレーヤーが新たなカルチャーアイテムとして注目を集めているのをご存知でしょうか。
そんな中、Amazonやおしゃれな雑貨店で、ひときわ目を引くのが「TOMASHI」というブランドです。
レトロで可愛らしいデザインに心惹かれるものの、「…で、これ、どこの国の製品?」と、ふと手が止まってしまった経験はありませんか。ネットのレビューを読み比べても情報が錯綜していて、「安かろう悪かろうだったらどうしよう」と、購入の一歩を踏み出せないでいる方も多いかもしれません。
学生時代に夢中で聴いたあのテープ、大切な人からもらったミックステープ。そんなかけがえのない思い出を再生する機械だからこそ、素性が知れないメーカーの製品を選ぶのは少し怖いですよね。
この記事では、そんなあなたの不安を解消するために、謎多きブランド「TOMASHI」の正体を徹底的に深掘りします。一体どこの国の企業で、市場での評判はどうなのか。
そして、人気モデル「F-119」は、果たしてその価格に見合う価値があるのか。
限られたスペック情報の中から、その実力と使い勝手を読み解き、FiiOなどのライバル製品とも比較しながら、TOMASHIが本当に「買い」なのかを、どこよりも詳しく、そして正直に解説していきます。


TOMASHIとは
企業詳細
「TOMASHI」というブランドについて深掘りリサーチした結果、多くの情報が中国のECサイト「アリババ」や海外のオンラインマーケットプレイスに集中していることがわかりました。現時点では、日本の大手家電量販店の店頭で大々的に販売されているわけではなく、主にオンライン上で展開しているブランドと見られます。
企業の公式ウェブサイトや詳細な沿革といった、いわゆる「企業の顔」となる公式情報は非常に限定的です。これは、特定の工場が自社ブランドとして製造・販売しているというよりは、中国広東省などに拠点を置くOEM(相手先ブランドによる生産)メーカーが製造した製品を、複数の販売者が「TOMASHI」ブランドとして市場に流通させている可能性が高いことを示唆しています。
このような販売形態は、昨今の低価格帯のデジタルガジェットや家電製品では決して珍しいものではありません。設計と製造を専門の工場が担い、ブランドや販売戦略を別の会社が担当することで、コストを抑え、スピーディーに製品を市場に投入できるというメリットがあります。
したがって、TOMASHIを「どこの国の企業か」と問われれば、ブランドの企画や販売は様々な国の事業者が行っている可能性がありますが、製品そのもののルーツは中国の製造工場にあると考えるのが最も自然でしょう。購入する際は、販売者が日本の企業なのか、海外の事業者なのかをECサイト上で確認することが、アフターサービスなどを考える上で一つの判断材料になります。
★当ブログのオリジナル企業信頼度評価(5つ星評価)
- 企業透明度: ★★☆☆☆ (2/5)
公式サイトや詳細な企業情報がほとんど見当たらないため、企業の顔が見えにくいという点は否めません。どのような理念で製品づくりをしているのか、ユーザーが知る機会が少ないため、この評価としました。 - 品質管理: ★★★☆☆ (3/5)
海外のレビューサイトやECサイトの口コミを見ると、「再生品質は良好」という声がある一方で、録音機能など一部の品質にばらつきがある可能性が示唆されています。安定した再生能力を評価しつつも、今後の改善に期待を込めて星3つとします。 - 顧客サポート: ★★☆☆☆ (2/5)
ブランドとしての統一されたサポート窓口が明確ではなく、購入した販売者によって対応が異なる可能性が高いです。迅速な修理や交換を期待する場合は、少し不安が残るかもしれません。 - 市場での評判: ★★★☆☆ (3/5)
特にデザインのレトロさや手軽さが評価され、一定のファン層を獲得しているようです。高価なオーディオブランドとは異なる土俵で、独自のポジションを築いている点を評価しました。
総合評価: ★★★☆☆ (2.5/5)
企業の透明性やサポート体制には課題が残るものの、製品のコンセプトやコストパフォーマンスが市場のニーズと合致している点を考慮し、総合評価は星2.5としました。割り切って「カセットテープを手軽に楽しむ」という目的であれば、十分に選択肢となりうるブランドです。
商品紹介:TOMASHI ポータブルテープレコーダー F-119



商品スペック
- 通信・接続インターフェース: USB
- チューナータイプ: カセット
- 電源のタイプ: バッテリー式
- サポートする無線周波数: 0-バンド
- ディスプレイ方式: MP3ジャック
- ハードウェアインタフェース: USB
- 互換デバイス: ヘッドホン
- ディスプレイの種類: 液晶
- 電池の数: 2 単3形 電池
- 品目寸法(L x W x H): 11.6 x 3.5 x 9 cm
- 商品の重量: 180 グラム
良い口コミ
「とにかくデザインがレトロで可愛い。部屋に置いているだけで気分が上がります。」
「単3電池2本で動くのが手軽で良い。散歩しながら昔のテープを聴いています。」
「操作がシンプルで分かりやすい。機械が苦手な私でもすぐに使えました。」
「価格を考えれば音質は十分。ノイズも少なく、クリアに聴こえます。」
「PCに繋いで音源を取り込めるのが便利。昔のデモテープをデジタル化できました。」
気になる口コミ
「録音機能の音質は正直おまけ程度。本格的な録音には向いていないかも。」
「本体がプラスチック製で少しチープに感じる。落としたら壊れそうで心配。」
「早送りや巻き戻しのボタンが小さくて少し操作しにくいです。」
「古いテープだと再生速度が不安定になることがあった。」
「説明書がシンプルすぎて、USBでの接続方法が少し分かりにくかった。」
「TOMASHI ポータブルテープレコーダー F-119」のポジティブな特色
この商品の最大の魅力は、何と言ってもそのノスタルジックなデザインと携帯性にあります。180グラムという軽さは、スマートフォンよりも軽量で、カバンに忍ばせて気軽に持ち運べます。散歩や通勤中に、あえてカセットテープで音楽を聴くという、少し贅沢な時間を演出してくれます。
また、単3電池2本で駆動するという手軽さも見逃せません。充電切れを心配することなく、コンビニなどで手軽に電源を確保できるのは、デジタル機器に慣れた現代において逆に新鮮な安心感があります。
機能面では、ただカセットを再生するだけでなく、USB端子を搭載している点が大きな特色です。これにより、カセットテープの音源をMP3としてデジタル化し、PCやスマートフォンに取り込むことが可能です。実家の押し入れに眠っている、昔のラジオ番組を録音したテープや、バンドのデモテープなど、貴重な音源を現代に蘇らせることができます。複雑な機材は必要なく、この一台でアナログとデジタルを繋ぐ架け橋となってくれるのです。
「TOMASHI ポータブルテープレコーダー F-119」のネガティブな特色
一方で、購入前に理解しておくべき点も存在します。多くの口コミで指摘されているのが、録音機能の品質です。内蔵マイクでの録音は、あくまで「メモ代わり」と割り切るのが賢明でしょう。クリアな音質でのライン録音などを期待している場合は、物足りなさを感じる可能性が高いです。この製品は「再生」をメインに楽しむためのものと捉えるべきです。
また、全体的にプラスチック素材で作られているため、ソニーのウォークマンといった往年の名機のような堅牢性や高級感を期待すると、少しがっかりするかもしれません。ボタンの操作感なども含め、価格相応の作りであることは念頭に置いておきましょう。
そして最も注意すべきは、サポート体制です。前述の通り、TOMASHIは明確な日本法人やサポート窓口を構えているわけではありません。万が一、初期不良や故障が発生した場合、購入したECサイトの販売者を通じての対応となり、国内メーカー製品のような迅速で手厚いサポートは期待しにくいのが実情です。購入する際は、販売者の評価をよく確認し、保証期間などの条件をしっかりと読んでおくことが重要です。


他メーカー(FiiO CP13)との比較
音質に対する本気度の違い
まず、ポータブルカセットプレーヤー市場で最も注目されているのが、中国の音響専門ブランドFiiOの「CP13」です。このモデルは2024年春の発売直後から完売が続いており、各種レビューでも「アナログテープ音源の深みが最も生かせる」と高評価を獲得しています。FiiO CP13の最大の特色は「超大型純銅製フライホイール」や「高電圧駆動モーター」など、レトロな部品の品質に徹底的にこだわることで、カセット固有のワウ・フラッター(音揺れ)を極限まで抑え、音質の安定性・再現力を向上させている点です。
一方、TOMASHI F-119は「昔ながらの音」を気軽に楽しむニーズには十分応えてくれますが、アナログ音源のニュアンスや情報量、低歪みなど本格的なリスニング環境にこだわるユーザーには物足りないとの意見も見受けられます。とくに音質に「暖かさ」「深み」を求める層―例えば、バンド録音のデモテープやジャズ、クラシックなど繊細なジャンルを再生する場合は、FiiO CP13が一歩リードする形です。
バッテリー・携帯性と実用性
FiiO CP13は「13時間の長時間再生」という圧倒的なバッテリー性能が売りです。しかもUSB-C充電に対応し、現代のスマートフォンやノートPCと充電環境を共用できるため、長期の外出や旅行先でも安心して利用できます。さらに、1800mAhのリチウムイオン電池、デュアルモード電源(USB給電+バッテリー駆動)など、使い勝手とデザインを両立した設計がユーザー評価を高めています。
対してTOMASHI F-119は「単三電池2本」で駆動する、よりシンプルな仕様です。電池式は予備を鞄に入れておくだけで済む手軽さがあり、コンビニで調達可能という利点はアウトドアや災害時の非常用端末としても役立ちます。ただ、「バッテリー持ちの長さ」「充電の汎用性」「待機時間」などはFiiO CP13に軍配が上がります。
操作性・デザインの個性
FiiO CP13の筐体は「オールアルミ合金製&ダブルカラーケース」となっており、本体の剛性や高級感でも一般的なプラスチック製カセットプレーヤーとは一線を画しています。ボリュームノブの作りや筐体サイズのこだわりなど、「レトロを現代風にアレンジしたデザイン性」がコアユーザーの所有欲を満たします。特に、完全アナログ回路や「JRC5532」オペアンプ搭載によるアナログサウンド重視設計は、録音・再生どちらも本気で楽しむユーザーに最適です。
TOMASHI F-119は一方で「レトロで可愛い」「部屋に置くだけで気分が上がる」といった見た目の評価が強く、一般の音楽ファン、エントリー層、ファッションアイテム的用途にぴったり。価格が安価な分、筐体素材はプラスチック中心となり、操作ボタンなども「押しにくい・小さい」といった小さな不満が出やすいですが、9800円前後(相場は変動)という買いやすい価格設定は魅力です。
録音・デジタル化機能
FiiO CP13は純粋なアナログ再生が主眼で、カセット再生専用機能の完成度が非常に高い一方、最新モデルでもデジタル化やUSB接続は多機能化せず、あくまで「聴くこと」に最適化しています。音質重視層には抜群の選択です。
一方、TOMASHI F-119はMP3ジャック・USB接続対応が明記されており、カセット音源をPCへデジタル録音する「実用的な変換機能」が強み。「昔のラジオ番組やオリジナルテープを手軽にデジタル化したい」層には、FiiO製品よりも実用性が高いという評価も見受けられます。「録音音質はおまけ程度」との口コミが多いですが、音源保全や手軽なサンプリングには十分使えます。
コストパフォーマンスと購入層
FiiO CP13は2万円台(公式価格19,800円~22,000円程度)とポータブルカセットプレーヤーの中では高水準ですが、「こだわりのアナログサウンド」「筐体デザイン」「ブランド信頼性」に投資する価値を感じるなら迷わずおすすめです。販売数が少なくプレミア化しがちですが、「音にお金を払いたい」人向けと言えます。
TOMASHI F-119は1万円以下で手に入る気軽さ、手軽な使い勝手、デジタル化&プレーヤー2役という多機能性、オンライン流通の豊富さなど、エントリー層・カセット音源の整理目的など広いユーザー層に向きます。ブランドサポート・保証の確実性ではやや見劣りする面もありますが、初めてカセット再生を試したい方やとりあえず「今あるテープを聞いてみたい」ライトユーザーなら十分満足できます。
総括
両商品とも現代の「カセットルネサンス」を体感するうえで優秀な選択肢ですが、求める体験によって最適解は異なります。「アナログ音質の粋」を追求するコアオーディオ層はFiiO CP13を推奨。一方、実用性・安価さ・デジタル化・手軽さを求めるならTOMASHI F-119が有力です。カセットカルチャー全体が盛り上がる中、用途や生活スタイルで理想の一台を選べる時代がついに到来したと言えるでしょう。
まとめ
本記事では、謎の多いブランド「TOMASHI」の企業実態と、人気モデル「F-119」について徹底解説しました。
TOMASHIは中国のOEMメーカーが製造を担うブランドであり、企業の透明性には課題が残るものの、手頃な価格とレトロなデザインで独自の地位を築いています。
F-119は、音質にこだわるコアなファンには物足りないかもしれませんが、USBでのデジタル化機能や携帯性の高さなど、ライトユーザーにとっては十分な魅力を持っています。
FiiOなどの高級機と比較すると、作りやサポート面で見劣りする点はありますが、「カセットテープを手軽に楽しむ」という目的であれば、コストパフォーマンスに優れた選択肢と言えるでしょう。

