PreSonusはどこの国のメーカー?評判のモニタースピーカーEris E3.5を徹底レビュー

はじめに:PreSonusの概要とEris E3.5の魅力

自宅のデスクが、プロのスタジオに変わる瞬間。そんな感動的な体験を、手頃な価格で実現できるとしたら、少しワクワクしませんか。動画配信やDTM(デスクトップミュージック)が当たり前になった今、多くの人が「音」のクオリティにこだわり始めています。しかし、一般的なPCスピーカーでは、制作者が意図した繊細な音のニュアンスはなかなか再現できません。そこで注目されるのが、音を色付けせず正確に描き出す「モニタースピーカー」です。

数ある製品の中でも、特にコストパフォーマンスの高さで評価を得ているのが「PreSonus」の「Eris E3.5」。

そのコンパクトな見た目からは想像もつかないクリアなサウンドで人気を博しています。

ですが、「PreSonusって、そもそもどこの国の会社?」という素朴な疑問を持つ方も多いはずです。

この記事では、そんなPreSonusという企業の正体に迫りつつ、評判のEris E3.5が持つ本当の実力を、公開されているスペック情報を基に徹底的に解き明かしていきます。

PreSonusの企業詳細:歴史、国籍、信頼性

企業詳細

PreSonusは、1995年にアメリカのルイジアナ州バトンルージュで設立された音響機器メーカーです。創設者であるジム・オドムとブライアン・スミスは、ルイジアナ州立大学で電気工学を学んだ後、当時の音楽制作における技術的な課題を解決するために会社を立ち上げました。当初はガレージから始まった小さな会社でしたが、現在ではプロのミュージシャンからDTM(デスクトップミュージック)初心者まで、幅広い層のクリエイターに向けた革新的なツールを開発・提供しています。​

PreSonusの製品ラインナップは多岐にわたります。代表的なものとしては、直感的な操作性で人気のDAWソフトウェア「Studio One」、高音質なオーディオインターフェース、デジタルミキサー「StudioLiveシリーズ」、そして今回ご紹介する「Erisシリーズ」のようなモニタースピーカーなどがあります。​

同社の大きな転機となったのが、2021年のエレキギターの王道ブランド、Fender(フェンダー)による買収です。これによりPreSonusはFender Musical Instruments Corporation (FMIC)の傘下に入り、両社の持つ音楽への情熱と技術革新へのコミットメントが融合しました。この強力なパートナーシップにより、ハードウェアとソフトウェアがシームレスに統合された音楽制作エコシステムの提供を目指しており、ブランドとしての信頼性と将来性をさらに高めています。​

PreSonusの哲学は、「プロフェッショナルな音質と機能を、誰もが手に入れやすい価格で実現すること」。まさにその哲学を体現した製品が、世界中のクリエイターから支持を集めている理由です。​

★当ブログのオリジナル企業信頼度評価(5つ星評価)

歴史と実績:★★★★☆ (4.0/5)
1995年の設立から約30年の歴史を持ち、音楽制作の現場で確固たる地位を築いています。さらに、業界の巨人であるFenderの傘下に入ったことで、ブランドとしての安定感と信頼性はより一層高まったと評価できます。​

技術力と革新性:★★★★☆ (4.0/5)
独自のDAWソフトウェア「Studio One」を開発するなど、ハードウェアとソフトウェアの両面で高い技術力を誇ります。一部のハイエンド製品の性能測定値については専門家から厳しい意見も見られますが、価格帯を考慮すれば、常にユーザーに新しい価値を提供しようとする革新的な姿勢は高く評価できます。​

コストパフォーマンス:★★★★★ (5.0/5)
「手頃な価格で高品質」という評価は、多くのユーザーレビューで共通して見られる点です。プロの現場でも通用するクオリティの製品を、個人でも手の届く価格で提供している点は最大の強みと言えるでしょう。​

ユーザーサポート:★★★☆☆ (3.0/5)
製品保証期間は2年間と標準的ですが、一部のユーザーからはサポート対応の遅さなどを指摘する声も散見されます。Fender傘下となったことで、今後のサポート体制の改善に期待が持たれます。

総合評価:★★★★☆ (4.0/5)
総合的に見て、PreSonusは非常に信頼性の高いメーカーです。特に、これから音楽制作や動画編集を始める方、限られた予算で質の高い音響環境を構築したい方にとっては、最適な選択肢の一つと言えるでしょう。

Eris E3.5の基本スペック紹介

商品スペック

  • スピーカータイプ: ツイーター, モニター
  • 特徴: 柔軟な接続性能
  • 商品の推奨用途: 音楽プレーヤー用
  • 対応デバイス: デスクトップ
  • サブウーファー直径: 3.5 インチ
  • ユニット数: 2.0 個
  • 付属コンポーネント: 電源ケーブル
  • 商品の寸法: 16.2奥行き x 14.1幅 x 21高さ cm
  • 商品の重量: 2.9 キログラム
  • インピーダンス: 10 キロオーム
  • 防水性あり: FALSE
  • 商品の個数: 1
  • スピーカーサイズ: 3.5 インチ
  • バッテリー要/不要: いいえ
  • ウーファーの直径: 3.5 インチ
  • 周波数応答曲線: 80Hz – 20kHz
  • サイズ: 3.5(有線)
  • 出力ワット数: 25 ワット
  • スピーカー最大出力: 60 Watts
  • 接続技術: AUX
  • 取り付けタイプ: テーブルトップマウント

良い口コミ

「この価格でこのクリアな音質は正直、驚きました。今まで使っていたPCスピーカーでは聞こえなかった楽器の細かい音やボーカルの息遣いまで感じられて、音楽を聴くのが何倍も楽しくなりました。」

「DTMを始めるために購入しました。サイズがコンパクトなので、6畳の自室のデスクに置いても全く圧迫感がありません。それでいて音は本格的。最初のモニタースピーカーとしてこれ以上ない選択だったと思います。」

「背面の入力端子が豊富で助かっています。オーディオインターフェースからの接続はもちろん、スマホをAUXで繋いで手軽に音楽を聴いたりと、柔軟に使えるのが良いですね。」

「低音は控えめですが、その分、中高域が非常にクリアでスッキリしています。ポッドキャストや動画のナレーション編集で声がとても聴き取りやすく、作業が捗ります。」

「デザインがシンプルで安っぽさがなく、どんな部屋にも馴染むと思います。この価格で、見た目も音も満足できる本格的なモニタースピーカーが手に入り、大変満足しています。」

気になる口コミ

「やはり3.5インチというサイズなので、重低音の迫力は物足りなく感じます。映画鑑賞やEDMのようなクラブミュージックをメインで聴くなら、サブウーファーの追加を検討した方が良いかもしれません。」

「個体差かもしれませんが、無音時に耳を近づけると『サー』というホワイトノイズが少し聞こえます。音楽を再生しているときは全く気になりませんが、神経質な方は少し気になるかもしれません。」

「ボリュームをかなり上げていくと、音が少し割れるような、解像度が下がるような印象を受けます。部屋全体を大音量で満たすような使い方にはあまり向いていないスピーカーです。」

「付属してくるスピーカー同士を繋ぐケーブルや、PCと繋ぐためのケーブルが少し頼りない印象を受けました。音質を最大限に活かすなら、ケーブル類は別途しっかりしたものを購入した方が良いと感じます。」

「電源スイッチが本体の背面にあるのが、地味に不便です。毎日使うものなので、いちいち手を後ろに回してON/OFFするのが少し面倒に感じてしまいます。前面にあれば完璧でした。」

「Eris E3.5」のポジティブな特色

Eris E3.5がなぜこれほどまでに多くのユーザーから支持されているのか、その魅力をスペックと口コミから深掘りします。

  • コンパクトな筐体に凝縮された、本格モニターサウンド
    最大の魅力は、横幅約14cm、高さ約21cmというコンパクトなサイズ感です。デスク上に置いても邪魔にならず、限られたスペースでも本格的なモニタリング環境を構築できます。3.5インチのウーファーとツイーターの組み合わせは、80Hzから20kHzという周波数特性を実現。これは、一般的なPCスピーカーとは一線を画す、音の解像度の高さを意味します。特にボーカルやギターなどの中音域がクリアに聞こえるため、音楽のミックスバランスを確認したり、動画編集で人の声を明瞭に聞き取りたいといった用途に最適です。​
  • あらゆる機器に対応する「柔軟な接続性能」
    スペックに「柔軟な接続性能」とある通り、Eris E3.5は入力端子が豊富です。プロの現場で使われるバランス接続(TRS)から、一般的なオーディオ機器で使われるアンバランス接続(RCA)、そしてスマートフォンや音楽プレーヤーを直接繋げるAUX入力まで備えています。これにより、DTM用のオーディオインターフェースからゲーム機、テレビまで、あらゆるデバイスを高音質で楽しむことが可能です。まさに「デスクトップ」での多様な用途に応える設計思想が光ります。
  • 価格を超えたクリアな音質と十分なパワー
    出力は25Wと、パーソナルな制作環境(ニアフィールドモニター)としては十分なパワーを持っています。大音量で部屋を揺らすような使い方には向きませんが、デスクに向かって音の細部を確認する作業では、その真価を発揮します。多くの良い口コミが証明しているように、価格からは想像できないほどのクリアさと分離の良さで、今まで聞こえなかった音を発見する喜びを与えてくれるでしょう。​

「Eris E3.5」のネガティブな特色

一方で、価格やサイズからくる物理的な限界も存在します。購入後に「思っていたのと違った」とならないよう、弱点もしっかりと把握しておきましょう。

  • 迫力ある重低音の限界
    スペック上の周波数応答は80Hzからとなっており、これは物理的な限界を示しています。人間の可聴域の下限である20Hzに近い、地を這うような重低音(サブベース)を正確に再生することは困難です。そのため、重低音が重要なヒップホップやEDM、あるいは映画のアクションシーンの迫力を最大限に味わいたい場合は、物足りなさを感じる可能性があります。これは本製品の欠点というより、3.5インチという小口径ウーファーの特性と理解すべき点です。
  • 大音量再生時の解像度の低下
    気になる口コミにもあるように、ボリュームを上げすぎると音が歪んだり、不明瞭になったりする傾向があります。Eris E3.5は、あくまで制作者が耳元で音を確認するための「モニタースピーカー」です。パーティーで大音量の音楽を流すような「リスニングスピーカー」とは用途が異なります。自身の耳を守る意味でも、適切な音量で作業することが推奨されます。
  • 細かな使い勝手の部分
    電源スイッチが背面にある点は、多くのユーザーが指摘する小さなストレスポイントです。また、付属ケーブルの品質に物足りなさを感じるという声もあります。これらは音質に致命的な影響を与えるわけではありませんが、日々の使い勝手に関わる部分です。電源連動タップを利用したり、将来的にケーブルをアップグレードしたりと、少しの工夫で快適性は向上するでしょう。

他メーカー比較:Eris E3.5 vs. KRK Rokit 5 / Yamaha HS5

サイズと低音域の表現力

まず最も大きな違いは、スピーカーのサイズ、特にウーファーの口径です。Eris E3.5が3.5インチであるのに対し、KRK Rokit 5 G4(以下、Rokit 5)は5インチのウーファーを搭載しています。この差は、低音域の再生能力に直接的に現れます。​

  • Eris E3.5: 3.5インチという小口径のため、80Hz以下の重低音をパワフルに鳴らすことは得意ではありません。その代わり、中高域が非常にクリアで、ボーカルや楽器の輪郭が掴みやすいという利点があります。コンパクトなサイズなので、スペースが限られたデスク上での使用に最適です。​
  • Rokit 5: 5インチのウーファーと、前面に配置されたバスレフポートにより、Eris E3.5よりも豊かで迫力のある低音を再生します。EDMやヒップホップなど、低音が楽曲の要となるジャンルを制作・鑑賞する際には、この「低音の存在感」が大きな魅力となるでしょう。ただし、この低音はやや強調されている(ブーストされている)と感じるユーザーもおり、完全にフラットな音質とは言えないかもしれません。​

音質の方向性:「フラット」か「リスニング寄り」か

音質のキャラクターにも明確な違いがあります。

  • Eris E3.5: 全体的にクセが少なく、スッキリとした「ニュートラル」なサウンドが特徴です。音を過度に飾り付けないため、ミックス作業において音の粗を見つけやすいというモニタースピーカー本来の役割を果たしてくれます。音の立ち上がりが速く、解像度の高さを感じられますが、人によっては少しドライで面白みに欠けると感じるかもしれません。​
  • Rokit 5: KRKのスピーカーは伝統的に、やや「リスニング寄り」の楽しいサウンドと評されることがあります。低音が強調され、高音域もキラキラしているため、音楽を聴いていて気分が盛り上がりやすいサウンドです。一方で、この味付けがミックスの判断を誤らせる可能性も指摘されています。しかし、最新のG4(Generation 4)モデルでは、背面のDSP(デジタル信号処理)によるイコライザー機能が搭載されており、部屋の音響特性に合わせて25通りものサウンド調整が可能です。これにより、以前のモデルよりフラットな特性に近づけることもできます。​

機能性と価格

Rokit 5は、Eris E3.5にはない高度な機能を備えています。背面の液晶画面で視覚的にEQ設定を確認できるDSP機能は、より精密な音響補正を可能にします。また、入力端子にはXLRとTRSのコンボジャックを採用しており、プロ仕様の機材との接続性に優れています。
当然ながら、これらの機能差は価格に反映されます。Rokit 5はEris E3.5に比べて高価であり、本格的な制作環境を目指すユーザー向けのモデルと言えます。

まとめると、Eris E3.5は「省スペースで、手頃な価格でフラットな音質を手に入れたい入門者」に最適です。一方、Rokit 5は「低音の迫力を重視し、より詳細な音響調整機能を使って本格的な制作をしたいユーザー」向けの選択肢となります。

PreSonus Eris E3.5 vs. Yamaha HS5:業界標準との比較

揺るぎない「基準」としてのYamaha HS5

次に比較するのは、白いウーファーコーンが象徴的なYamaha HS5です。HSシリーズは、1970年代に登場した伝説的なモニタースピーカー「NS-10M」の思想を受け継ぐモデルとして、世界中のプロスタジオで「業界標準」の一つとして採用されています。

  • Eris E3.5: これまで見てきたように、コストパフォーマンスとコンパクトさに優れたモデルです。音楽制作の「入り口」として、多くのユーザーに正確なモニタリング環境を提供します。
  • Yamaha HS5: プロの現場で「リファレンスモニター(基準となるスピーカー)」として使われることを想定して設計されています。その音質は極めてフラットで、音の解像度が非常に高いのが特徴です。楽曲の欠点やミックスの粗をシビアに描き出すため、「良い音で鳴らす」というよりは「音を分析する」ためのツールと言えるでしょう。​

音質とキャラクターの比較

HS5もRokit 5と同様に5インチのウーファーを搭載しており、Eris E3.5よりも低域の再生能力に優れています。しかし、その低音の出方はRokit 5とは対照的です。

  • Eris E3.5: コンパクトながらバランスの取れたサウンド。低音は控えめですが、中高域の明瞭さが際立ちます。
  • Yamaha HS5: 全帯域にわたって非常にタイトで、解像度の高いサウンドです。特に中音域の再現性に定評があり、ボーカルや楽器の前後関係、定位が非常によく分かります。低音は量感よりも輪郭やスピード感を重視した鳴り方で、ブーミーにならず引き締まっています。このシビアなサウンドは、ミックス作業には最適ですが、純粋な音楽鑑賞では少し「つまらない」「冷たい」と感じるかもしれません。

用途とターゲットユーザー

この2機種の比較は、まさに「入門機」と「プロ標準機」の比較と言えます。

  • Eris E3.5: DTMや動画編集を始めたばかりの方、PCオーディオを高音質化したい方、限られた予算とスペースで最大限の効果を得たい方に最適です。まずはEris E3.5でモニター環境の基礎を築き、将来的にステップアップを考えるという道筋が見えます。
  • Yamaha HS5: 本気で音楽制作に取り組み、自分のミックスをプロのレベルに引き上げたいと考えている方に適しています。HS5で良いバランスに聴こえるミックスは、他の多くの再生環境でも破綻なく鳴る可能性が高いとされています。まさに、エンジニアを目指す人のための「教科書」のようなスピーカーです。

結論として、PreSonus Eris E3.5は、その手頃な価格とコンパクトさにもかかわらず、上位機種と比較しても遜色のない「モニターとしての基本性能」をしっかりと備えた、驚くほどコストパフォーマンスに優れた製品です。KRKのような低音の迫力や、Yamahaのようなプロの基準となる厳格さはありませんが、「正確な音を手軽に」というニーズに対して、これ以上ないほどの答えを提示してくれるスピーカーと言えるでしょう。

まとめ:おすすめポイント

音楽制作や動画編集の世界は、まるで広大な海原のようです。どの船を選び、どう進むべきか、最初のうちは誰もが戸惑うもの。高価な機材という大きな船にいきなり乗るのも一つの手ですが、まずは信頼できる小さな船で航海の基本を学ぶことが、何より大切なのかもしれません。

今回ご紹介したPreSonusの「Eris E3.5」は、まさにそんな「最初の船」にぴったりの一台です。プロの現場で信頼されるFender傘下のブランドが作った、という安心感。デスクに置いても邪魔にならないコンパクトさ。そして何より、今まで聴いていた音楽や自分の作った音の中に、こんなにも沢山の情報が詰まっていたのかと驚かされる、クリアなサウンド。

もちろん、KRKのような心を揺さぶる重低音や、YAMAHA HS5のようなプロの厳しさはありません。しかし、Eris E3.5が描き出す素直で色付けのない音は、あなたが「良い音とは何か」を知るための、最高の羅針盤となってくれるはずです。

このスピーカーを手に入れることは、単に機材を買うということではありません。それは、音と真摯に向き合うための「パスポート」を手に入れること。あなたのクリエイティブな挑戦が、この小さなスピーカーから始まることを心から願っています。

タイトルとURLをコピーしました