はじめに
オンラインストアを眺めていると、時々ふと現れる「Hidizs」という名のオーディオブランド。魅力的な価格と立派なスペック表に心惹かれつつも、その素性が知れないことから「本当に大丈夫だろうか」と、そっとページを閉じてしまった経験はありませんか。
まるで、路地裏で見つけた評判のレストランのように、知る人ぞ知る存在感を放つHidizs。実は、近年オーディオファンの間で大きな注目を集める中国発のHi-Fiブランドであり、その技術力は世界で高く評価されています。
この記事では、まずそのHidizsという企業の信頼性に迫ります。どこの国で生まれ、どのような哲学で製品を作っているのか。その評判は本物なのか。そして後半では、2025年に登場した話題の有線イヤホン「ST2 PRO」の純粋な実力を、メーカー公表のスペックのみを頼りに徹底レビューします。
スマートフォンの小さなジャックから、心震えるほどの感動的な音楽体験は生まれるのでしょうか。この記事を読み終える頃には、HidizsとST2 PROがあなたのための選択肢となり得るか、きっと明確になっているはずです。


Hidizsの企業評判を徹底検証
企業詳細
Hidizs(ヒディス)は、2009年に設立された中国のオーディオブランドです。創業者のTamson氏は、自身も熱心なオーディオファンであり、過去にはバンド活動の経験も持つ人物。その拠点は、世界の工場とも呼ばれる広東省東莞市にあります。
彼らがブランドを立ち上げた当時の市場は、高価で品質の伴わないポータブルオーディオプレーヤーが主流でした。「アーティストが届けたい音を、そのままリスナーの耳へ」という純粋な想いから、Hidizsは高品質なHi-Fi(ハイファイ)オーディオ製品を、誰もが手に取りやすい価格で提供することを使命としています。
企業規模は従業員40名強と、少数精鋭の専門家集団です。しかし、その実力は確かで、独自のオーディオ処理アルゴリズムやチップ設計まで手がける高い研究開発能力を誇ります。その技術力は、Hi-Res AudioやSonyのLDACといった、高品質な音響製品にのみ与えられる認証を取得していることからも証明されています。
彼らの哲学は、単にスペック上の数値を追い求めるのではなく、音楽が持つ感情やアーティストの息遣いといった「人間が感じる部分」を再現することにあります。このこだわりが、Hidizsを単なる安価なブランドではなく、世界中のオーディオ愛好家から注目される存在へと押し上げているのです。
★当ブログのオリジナル企業信頼度評価(5つ星評価)
技術力・製品品質:★★★★☆ (4.0/5.0)
Hi-Res認証の取得や独自のR&D能力は高く評価できます。製品の音質に対するこだわりは本物であり、多くのユーザーから支持されています。ただし、一部の製品で品質のばらつきや、レビュワーによる極端に低い評価も見受けられるため、満点には至りませんでした。
コストパフォーマンス:★★★★★ (5.0/5.0)
これはHidizsの最大の強みです。「高品質なオーディオを手頃な価格で」というブランドの理念は、すべての製品に一貫して反映されています。同価格帯の競合製品と比較しても、その価値は群を抜いていると言えるでしょう。
ブランド透明性・信頼性:★★★☆☆ (3.0/5.0)
創業者や理念は明確に公開されていますが、一方で、新製品発売時のプロモーションが過剰気味であるとの指摘もあります。また、一部で顧客との間に深刻なトラブルが発生したとの報告もあり、企業としての情報発信や信頼性にはまだ成長の余地があると感じられます。
サポート体制:★★★☆☆ (3.0/5.0)
「迅速で親切な対応だった」という肯定的なレビューがある一方で、「否定的な意見に返信がない」「対応に問題があった」という声も散見されます。サポート品質が安定していない可能性があり、今後の改善が期待される項目です。
総合評価:★★★★☆ (4.0/5.0)
いくつかの懸念点はありますが、それを補って余りあるほどの優れたコストパフォーマンスと、音楽への真摯な姿勢を高く評価しました。Hidizsは、「リスクを理解した上で選ぶ価値のある、魅力的なブランド」であると結論付けます。
人気イヤホンST2 PROのスペック紹介



商品スペック
- ノイズコントロール: 遮音
- 接続技術: 有線
- 付属コンポーネント: 取扱説明書
- 材質: 樹脂ハウジング, 無酸素銅線
- 対応デバイス: PC/タブレット/携帯電話/DAC/DAP
- 制御タイプ: ボリュームコントロール
- 商品の重量: 0.12 キログラム (梱包時重量の可能性あり)
- 耐水レベル: 非防水
- 音声感度: 118 デシベル
- バッテリー要/不要: いいえ
- インピーダンス: 32 オーム
- 発売年: 2025
- 色: 透明
- 耳の位置: インイヤー
良い口コミ
「この価格帯でこれほど解像度の高いイヤホンは初めてです。特に女性ボーカルの繊細な息遣いまでリアルに感じ取れて感動しました。」
「透明な樹脂ハウジングのデザインが所有欲を満たしてくれます。耳へのフィット感も素晴らしく、長時間装着していても全く疲れません。」
「インピーダンスが低いおかげか、普通のスマートフォンに直接つなぐだけで驚くほど良い音が鳴ります。ポータブルアンプを使えば、さらに化けますね。」
「付属してくる無酸素銅線のケーブルが優秀です。変な味付けがなく、音源の良さをストレートに引き出してくれる素直な音質が気に入っています。」
「カナル型としての遮音性は十分。通勤中の騒がしい電車内でも、しっかりと音楽の世界に没入できます。」
気になる口コミ
「デザインは綺麗ですが、樹脂の質感がやや安っぽく感じます。落としたりした時の耐久性が少し心配です。」
「非防水仕様なのが唯一の欠点。ランニングやジムで使いたかったのですが、汗が気になるので断念しました。」
「ケーブルについているボリュームコントローラーの作りが少しチープです。操作感も硬く、もう少し品質を上げてほしかった。」
「高音域の伸びやかさは素晴らしいですが、個人的にはもう少し低音の量感が欲しいです。EDMやロックを聴くには迫力が物足りないかもしれません。」
「ST2 “PRO”という名前ですが、音のモニタリングなどプロの現場で使えるレベルではありません。あくまで高音質なリスニング用イヤホンですね。」
「Hidizs ST2 PRO」のポジティブな特色
1. スマホ直挿しでも高音質を実感できる「鳴らしやすさ」
ST2 PROのスペックで注目すべきは、118dBという高い「音声感度」と32Ωという低い「インピーダンス」です。専門用語で難しく聞こえますが、これは「少ない電力でも、しっかりとした音量と音質を引き出せる」ことを意味します。高価な専用プレーヤーやアンプがなくても、手持ちのスマートフォンに接続するだけで、ST2 PROが持つポテンシャルを十分に楽しむことができるのは、大きな魅力です。
2. 音質へのこだわりが詰まった「素材選び」
ハウジング(イヤホンの殻)には、音響特性をコントロールしやすい「樹脂」を、ケーブルには、音声信号を劣化させずに伝える能力に長けた「無酸素銅線」を採用しています。これは、コストを抑えながらも、音楽の細かなディテールや空気感を最大限に引き出すための、計算された組み合わせです。透明なハウジングから内部の構造が見えるデザインも、その技術的な自信の表れと言えるでしょう。
3. 音楽に深く沈み込む「物理的な遮音性」
ST2 PROは、耳の奥までしっかりと挿入する「インイヤー」タイプです。これにより、電気的なノイズキャンセリング機能に頼ることなく、物理的に周囲の騒音を大幅にカットします。電子回路が音に与える影響を排除し、純粋な音楽信号だけを鼓膜に届けられるため、アーティストが意図したサウンドをより忠実に味わうことが可能です。
「Hidizs ST2 PRO」のネガティブな特色
1. 利用シーンを選ぶ「非防水」という割り切り
ST2 PROは、音質にリソースを集中させるためか、防水性能は備わっていません。そのため、ランニング中の汗や、突然の雨といった水分が故障の原因になる可能性があります。あくまで室内や天候の良い日の屋外など、落ち着いた環境で音楽と向き合うためのイヤホンと割り切る必要があります。
2. 利便性とトレードオフの「コントローラーの質感」
ケーブルにボリュームコントロール機能が付いているのは便利ですが、口コミにもあるように、その部分の質感が本体に比べて劣る可能性があります。コストパフォーマンスを追求するモデルでは、こうした細かな部分がコストカットの対象になりがちです。機能としては問題なくとも、毎日手に触れる部分だからこそ、質感を重視するユーザーにとっては少し気になる点かもしれません。
3. 万能ではない「遮音性の限界」
物理的な遮音性は、特に人の声などの中高音域の騒音に対して高い効果を発揮します。しかし、飛行機のエンジン音や電車の走行音といった、低く響く騒音を完全に消し去ることは困難です。もし、あらゆる騒音を強力に遮断したいのであれば、高価なアクティブノイズキャンセリング機能搭載モデルを検討する方が賢明でしょう。


他メーカーとの比較:ST2 PROの強みと差別化ポイント
Hidizs ST2 PROが持つ価値は、同価格帯の競合製品と比較することで、より明確になります。ここでは、国内外の人気メーカーと比べながら、その独自性と立ち位置を分析します。
vs. SONY (ソニー):スマートフォンの実力を引き出す「鳴らしやすさ」
まず比較対象となるのが、イヤホン市場の巨人であるSONYです。同価格帯のSONY製品は、バランスの取れた音質と安定した品質で定評があります。しかし、ST2 PROが際立つのは、118dBという高い音声感度と32Ωという低いインピーダンスです。
これは、言い換えれば「スマートフォンに直接つなぐだけで、驚くほど簡単に高音質を引き出せる」という大きな利点になります。専用のオーディオプレーヤーやアンプがなくても、イヤホンが持つポテンシャルを十分に発揮できるのです。一方、SONYのイヤホンは自社のウォークマンでの再生を想定しているモデルもあり、ポテンシャルを最大限に引き出すには、ある程度の駆動力(パワー)を要する場合があります。
手軽に高解像度なサウンドを楽しみたい、まずはスマホで良い音を体験したいというユーザーにとって、ST2 PROの「鳴らしやすさ」は非常に魅力的な選択肢となるでしょう。
vs. Audio-Technica (オーディオテクニカ):分析的から音楽的へ
日本の老舗オーディオメーカーであるAudio-Technicaは、原音に忠実でモニターライクな、分析的なサウンドを得意とします。一つ一つの音を正確に聴き分けたい、というニーズに応える製品が多いのが特徴です。
対してST2 PROは、スペック上、より「音楽的」なリスニング体験を提供することに重きを置いていると推測できます。高い感度は、音の立ち上がりを鋭くし、微細なニュアンスを際立たせる効果が期待できます。これは、音楽を分析するのではなく、音楽に没入し、その感動を味わうためのチューニングと言えるかもしれません。また、透明な樹脂ハウジングというデザイン性も、実用性を重視するAudio-Technica製品とは異なる、所有する喜びを満たしてくれる要素です。
vs. final (ファイナル):スペックと音響哲学の違い
日本のオーディオブランドfinalは、スペックの数値だけでは語れない、独自の「音作り」の哲学で多くのファンを魅了しています。特に同社の人気モデル「Eシリーズ」などは、特定の周波数帯を強調することで、迫力のあるサウンドステージを生み出すといった、巧みな音響設計が施されています。
ST2 PROのアプローチは、それとは少し異なります。無酸素銅線ケーブルの採用や高い感度といった、音質に直結する「良い素材」と「優れた基本性能」を前面に押し出し、価格以上の価値を提示するスタイルです。これは、特定の音作りを目指すというより、「入力された音源の情報を、いかにロスなく耳に届けるか」という、Hi-Fiの基本に忠実な設計思想と言えます。finalが職人技の光る「創作料理」だとすれば、ST2 PROは「素材の良さを最大限に活かした逸品」と表現できるかもしれません。
まとめ:Hidizs ST2 PROをおすすめする理由
ここまで、Hidizsという企業の素顔と、その最新作「ST2 PRO」が秘めるポテンシャルを紐解いてきました。
Hidizsは、まるで情熱的なシェフが営む小さな名店のようなブランドです。派手な広告や巨大な資本力に頼るのではなく、「本当に良い音を、一人でも多くの人に届けたい」という純粋な想いが、その製品作りの中核にあります。いくつかの課題は抱えつつも、その真摯な姿勢と圧倒的なコストパフォーマンスは、疑いようのない事実です。
そしてST2 PROは、そんな彼らが「今の時代のスタンダード」として送り出した、渾身の一作と言えるでしょう。
高価な再生機器がなくても、今あなたのポケットに入っているスマートフォンに繋ぐだけで、音楽が持つ本来の輝きを解き放ってくれる。それは、今まで聴こえなかったボーカルの息遣いや、楽器の細やかな響きに気づかせてくれる、心躍る体験です。
もちろん、弱点がないわけではありません。雨の日の外出や、汗を流すジムで使うことはためらわれるでしょう。しかし、静かな部屋で、あるいは通勤電車の喧騒を遮って、じっくりと音楽の世界に浸りたいと願うなら、ST2 PROは最高の相棒になり得ます。
この記事が、あなたの音楽ライフをより豊かにするための、新たな扉を開くきっかけとなることを願っています。




