はじめに
キーボードを買い替えるとき、多くの人が最後まで悩むのは打鍵感でも光り方でもなく、「配列」だと思います。
海外ブランドのメカニカルキーボードは格好いい。
でも商品ページを開くと、Enterキーが横長で、変換キーがどこにもない。
その瞬間に「うちの環境だと厳しいかもしれない」と、そっとタブを閉じた経験はないでしょうか。
私も何度かあります。
実は、この悩みには構造的な理由があります。メカニカルキーボードの盛り上がりは海外発のトレンドで、製品ラインナップの中心はUS配列にあります。日本語のJIS配列はキー数が多く、テンキーレスでも製造コストがかさむため、特に無線対応モデルとなると選択肢が一気に絞られてしまいます。
つまり「JIS配列のワイヤレス・テンキーレス」は、市場のなかで意図的に避けられてきた領域だったわけです。
そこへ真正面から製品を投入しているのが、EPOMAKER(エポメーカー)というブランドです。
今回取り上げる「ワイヤレスゲーミングキーボード TH87 JIS」は、テンキーを省いたコンパクトな筐体に、日本語入力専用キーをすべて残した一台になります。
10000mAhの大容量バッテリー、3種類の接続方式、ホットスワップ対応。
スペック表だけ眺めると、価格帯を見誤りそうな内容が並びます。
ただ、この記事で本当に確かめたいのはスペックではありません。
EPOMAKERという会社がどこに実体を持ち、何を作ってきたブランドなのか。
そして「ワイヤレスゲーミングキーボード TH87 JIS」が、他社の同型製品と並べたときに本当に勝てる部分はどこで、負ける部分はどこなのか?…丁寧に明かしていきます。


EPOMAKERとは
企業詳細
①ブランド名は「Epoch of Makers(作り手たちの時代)」の略
まずブランドの名前から確認します。
EPOMAKERは「Epoch of Makers(創造者の時代)」を縮めた造語で、メカニカルキーボード愛好家に向けて機能を詰め込んだキーボードを世界中に届けることを使命として掲げています。同社が挙げる4つの目標は、カスタマイズ性、創造性、生産性の向上、そして高い品質基準です。運営チームはゲーマー、ソフトウェアエンジニア、プロダクトデザイナー、そしてメカニカルキーボード愛好家で構成されており、自分たちが理想とするキーボードを世界と共有したいという動機から自社ブランドを立ち上げたと説明しています。
社名を先に決めて商品を後から考えた会社ではなく、「作りたいものがあったから会社にした」という順序です。
この出自は、後述するホットスワップやソフトウェア対応の手厚さに直結しています。
そしてブランドの起点は明確です。
2019年、EPOMAKERはクラウドファンディングプラットフォームで「GK68XS」というキーボードを発表してスタートしました。この製品の仕様は、社内の製品チームや調査対象グループではなく、実際にそのキーボードを打つことになる人々からのフィードバックによって決まったとされています。愛好家が非公開の共同購入で作っていたものを、誰でも手に入る形に置き換えたことが出発点だと同社は述べています。
ここが冒頭の伏線に対する答えの半分です。
安く出せる理由は、原価を削ったからではなく、製品企画にかかる調査コストと在庫リスクを、コミュニティと予約販売の仕組みに置き換えたところにあります。
要望を先に集め、集まった数だけ作る。
この順序が守られている限り、売れ残りを見込んだ上乗せ価格が不要になります。
②運営企業と拠点について
ここからは慎重に書きます。
複数の情報源が、EPOMAKERの運営企業を広東省深圳市に本社を置く「深圳市暢韻科技有限公司(Shenzhen Changyun Technology Co., Ltd.)」とし、2019年に設立された企業で、Amazonや楽天市場といった大手ECサイトでメカニカルキーボードを展開していると説明しています。深圳市はAppleやHuaweiといった大手も製造拠点を置くものづくりの集積地であり、EPOMAKERもこのエリアの技術ネットワークを活かして企画から製造、販売までを自社で完結させているという解説も見られます。
ただし、ここで一点だけ引っかかる部分があります。
別の解説記事では、運営企業名を「Shenzhen Changtai Keji Co., Ltd.」と表記し、深センに拠点を置く2019年設立の企業だと説明しています。
設立年と所在地は一致しているものの、法人名の表記だけが食い違っている状態です。
原語表記の読み替えミスなのか、関連会社が複数存在するのか、あるいは販売主体と製造主体が別法人なのか。
現時点の公開情報だけでは判断がつかないため、当ブログでは「深圳市に拠点を置く2019年設立の企業が運営するブランドである」という点までを事実として扱い、正式な法人名の断定は保留します。
このあたりを曖昧にしたまま「安心の企業です」と書いてしまう記事も見かけますが、確認できていないことは確認できていないと書くべきだと考えています。
③販売チャネルは複数あり、日本語窓口も存在する
実体を測るうえで、販売経路の広さは有力な材料になります。
EPOMAKERは公式オンラインストアに加え、日本語版の公式サイト(epomaker.jp)を持っています。
日本語サイトではMac、Windows、Linux、iOS、Androidに対応するワイヤレス/有線キーボードとアクセサリを扱い、キーボードおよびDIYキットに対する保証ポリシーを掲示したうえで、製品選びや注文トラブルについてのサポート窓口とコミュニティへの参加を案内しています。
さらに公式オンラインショップ、Amazon公式ストア、楽天市場、Yahoo!ショッピングという複数の販路を持ち、人気カラーや限定モデルは在庫が切れることもあると案内されています。
楽天市場には会社概要ページが用意され、そこにブランドの理念が日本語で掲載されています。
問い合わせ先が存在し、保証ポリシーが文章として公開されている。
これは、名前だけ登録して短期間で消えていくタイプのECブランドとは明確に違う挙動です。
④製品ラインの一貫性
EPOMAKERは扇風機も作れば充電器も作る、という総合型のブランドではありません。
コンパクトな65%配列やレトロなデザインのモデルなど、性能だけでなく見た目を重視する層からも注目を集めるメカニカルキーボードを軸に展開しています。
キーボードとその周辺(スイッチ、キーキャップ、DIYキット)に領域を絞り込んでいる点は、専門性の裏付けになります。
冒頭の伏線の残り半分は、ここです。
JIS配列という手間のかかる領域にわざわざ製品を出しているのは、キーボード専業だから採算が合うからです。
総合家電メーカーが日本語配列のニッチ市場に本気で人員を割くのは難しい。
一方、キーボードしか作らない会社にとっては、JIS配列は無視できない市場になります。
「日本語を打つ人のために作られたわけではない」ブランドが、結果的に日本語を打つ人のための一台を出す。
その筋道には、きちんとした経済的な理由があるわけです。
⑤評価する際に留意すべき点
好意的な材料ばかり並べても意味がないため、弱い部分も挙げます。
第一に、財務情報が公開されていません。
売上規模、従業員数、資本構成といった数字は確認できず、企業体力の評価は推測に頼らざるを得ない状態です。
第二に、日本国内に法人拠点があるという情報は見つかりませんでした。
サポートは越境での対応が基本となり、初期不良時のやり取りに手間や時間がかかる可能性は残ります。
第三に、ECサイトのレビュー評価をそのまま信じるのは危険だという指摘もあります。
サクラチェッカーのような判定ツールを参考程度に用いつつ、公式サイト、公式ストア、SNSのフォロワー数、問い合わせページの有無といった複数の材料から総合的に判断すべきだという見方が示されており、EPOMAKERについてはそれらの要素が一通り揃っているという評価がされています。
ツール一つで白黒をつけるのではなく、複数の材料を突き合わせる。
この姿勢は、無名ブランドを検討するときに広く応用できる考え方だと思います。
★当ブログのオリジナル企業信頼度評価(5つ星評価)
運営体制の明確さ ★★★(3.0)
設立年と拠点の所在地は複数の情報源で一致しており、公式サイトと保証ポリシー、問い合わせ窓口も確認できます。
一方で正式な法人名の表記に情報源間のばらつきがあり、この一点が減点材料になりました。
市場での評価実績 ★★★★☆(4.2)
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピング、公式ストアという複数の販路で継続的に商品が流通し、日本語のレビュー記事や比較記事にも定期的に名前が挙がる状態が続いています。
短期間で消えるブランドでは到達しにくい露出量です。
商品開発の専門性 ★★★★☆(4.8)
創業のきっかけがクラウドファンディングでの一台であり、その仕様がユーザーの声から決まったという経緯は、開発姿勢を測るうえで強い材料になります。
キーボードとその周辺機器に領域を絞っている点も、専門性の高さを裏付けています。
社会的・文化的な取り組み ★★★☆(3.5)
コミュニティを軸に据える方針を明言し、フィードバックを製品仕様に反映させる仕組みを持っています。
ただし環境配慮や社会貢献に関する具体的な活動報告は確認できませんでした。
日本市場への対応度 ★★★★(4.0)
日本語の公式サイトを用意し、JIS配列モデルを継続的に投入している点は明確な加点材料です。
国内法人の不在によるサポート面の不安が残るため、満点には届きませんでした。
財務情報の開示度 ★★(2.0)
非上場企業のため、売上や資本に関する情報は公開されていません。
企業としての体力を数字で確認する手段がない点は、正直に減点すべきところだと判断しました。
総合評価 ★★★☆(3.6)
「実体のある専門メーカーであることは確認できるが、財務面と国内サポート面は見えない」というのが率直な結論になります。
数万円の投資を伴う買い物として見れば、過度に警戒する必要はない水準です。
商品紹介「ワイヤレスゲーミングキーボード TH87 JIS」



商品詳細
・対応デバイス:ゲーム機、タブレット、ノートパソコン、パソコン
・接続技術:2.4GHz無線、BT5.0、USB有線
・キーボードの説明:ゲーム
・製品の推奨用途:ゲーミング、パーソナル、ビジネス、普段使い
・特徴:10000mAhバッテリー、TKL日本語配列、ホットスワップ可能、技適認証取得
・色:Blue&White(青と白)
・サポートするキーボードのバックライトカラー:RGB
・付属コンポーネント:USBケーブル、キーキャッププーラー、ユーザーマニュアル
・スイッチタイプ:リニア
・キーレイアウト:TKL(91キー)コンパクトレイアウト、テンキーレス
・日本語専用キー:「かな」「変換」「無変換」などの高頻度専用キーを完全搭載
・選択できるスイッチ:Sea salt(シーソルト)静音スイッチ、Creamy Jade(クリーミージェイド)スイッチの2種類
・キーキャップ:デュアルショットPBTチェリーキーキャップ
・バッテリー駆動時間:バックライト全点灯で連続45時間、バックライトオフで最大200時間
・ポーリングレート:有線モード・2.4GHz無線モードともに1000Hz
・応答速度:有線モード2ms、2.4GHz無線モード5ms
・スイッチ規格:工場出荷時に潤滑済み、主流の5ピンメカニカルスイッチに対応
・基板:ホットスワップ対応PCB設計
・ソフトウェア:Chromeベースのキーボードドライバーソフトウェア(オンライン/オフライン操作対応)
・カスタマイズ機能:マクロコマンド設定、キーの再マッピング
・その他機能:ゴーストキー防止技術、全キー独立RGBバックライト(彩度・輝度・点滅速度の調整可能)、ワンタッチ切り替えとショートカットキー操作
良い口コミ
「変換キーと無変換キーがちゃんとある。それだけで海外製キーボードへの苦手意識が消えました」
「テンキーを外したら、マウスを振る幅が明らかに広くなりました。肩が楽です」
「バックライトを切って使っていますが、一ヶ月近く充電していません。ケーブルを探す習慣がなくなりました」
「静音スイッチを選んだので、リモート会議中に打っても相手に気づかれません」
「軸を交換できると知って、初めてキーボードを分解しました。工具が最初から入っているのが親切です」
気になる口コミ
「カラーが青と白の一色展開のみなので、デスクの色味と合わせにくい人はいると思います」
「設定ソフトがブラウザベースなので、慣れた専用アプリのつもりで開くと戸惑います」
「Bluetooth接続だと遅延が気になる場面がありました。ゲームでは結局2.4GHzに戻しています」
「バッテリーが大きい分、本体もそれなりに重いです。持ち運び前提だと考え直す必要があります」
「商品ページの記載が細かい部分で揃っていない箇所があり、購入前に少し不安になりました」
「ワイヤレスゲーミングキーボード TH87 JIS」のポジティブな特色
日本語入力の作法を崩さないTKL日本語配列
このキーボードの核心は、テンキーを省きながら日本語専用キーを一切削らなかった点にあります。
TKL(91キー)のコンパクトレイアウトはコア機能キーを完全に保持したまま、マウスの可動域を確保する設計です。
数字入力を右手のテンキーに頼っていない人にとって、テンキーは「机を占領するだけの装飾」になりがちです。
それを外すだけで、マウスを大きく振ったときに肘が体から離れず、長時間の作業でも腕の負担が減ります。
そして「かな」「変換」「無変換」が定位置にある。
海外配列で日本語を打つときの、指が空を切るあの一瞬の間。
あれが発生しないだけで、文章を書く仕事の疲れ方は変わります。
用途に合わせて選べる2種類のスイッチ
打鍵感を最初から二択で用意している点も見逃せません。
Sea salt静音スイッチは、キー音がほぼ無音のレベルまで抑えられた設計です。
オフィス、カフェ、会議といった静けさが求められる場所でも、周囲に気を遣わずに打てます。
一方のCreamy Jadeスイッチは、押すたびに澄んだコトコトとした打鍵音が返ってくるタイプです。
メカニカルキーボードならではの楽しさを味わいたいなら、こちらになります。
さらに、キーキャップにはデュアルショットPBTチェリーキーキャップを採用しています。
長時間打っても指が滑りにくく、Thocky(トッキー=低く詰まった打鍵音)と表現される音と組み合わさることで、指先の感触から音の心地よさまでが一続きの体験になります。
充電を意識しなくてよくなる10000mAhバッテリー
ワイヤレス機器で最も面倒なのは、性能ではなく充電です。
このモデルは10000mAhの大容量バッテリーを積み、バックライト全点灯でも連続45時間、バックライトを消せば最大200時間の駆動を実現しています。
200時間は、一日3時間使うとして約2ヶ月分に相当する計算です。
「そろそろ充電しないと」という小さな緊張感から解放される。
これは数字以上に日常の質を変える部分だと思います。
3つの接続方式を、場面ごとに使い分けられる
超高速の2.4GHz無線、手軽なBluetooth、そして安定した有線。
この3方式を同時にサポートし、ワンタッチ切り替えとショートカットキー操作で行き来できます。
反応速度が要るゲームは2.4GHz、タブレットへの入力はBluetooth、絶対に落ちてほしくない場面は有線。
一台で三役をこなせるため、机の上にキーボードを二台置く必要がなくなります。
ホットスワップとソフトウェアによる作り込み
工場出荷時に潤滑済みのスイッチが入っているため、箱を開けた直後から滑らかな打鍵感が得られます。
そのうえでホットスワップ対応PCBを採用しており、主流の5ピンメカニカルスイッチであれば、はんだ付けなしで軸を交換できます。
Chromeベースのドライバーソフトウェアはオンライン/オフラインの両方で操作でき、複雑な操作手順をマクロとして登録したり、使用頻度の低いキーを常用ショートカットに割り当てたりできます。
キーボードを「買って終わり」ではなく「育てる道具」として扱える設計になっています。
競技用途に応える応答速度と視認性
有線と2.4GHz無線の両方で1000Hzのポーリングレートに対応し、応答速度は有線で2ms、2.4GHz無線でも5msです。
ゴーストキー防止技術により、複数キーの同時押しでも入力の取りこぼしが起きにくくなっています。
全キー独立のRGBバックライトは彩度、輝度、点滅速度を調整でき、重要なキーだけ色を変えて視認性を上げるといった使い方もできます。
「ワイヤレスゲーミングキーボード TH87 JIS」のネガティブな特色
良い部分だけを並べるつもりはないため、購入前に把握しておくべき点を挙げます。
カラーバリエーションが実質一択
提供されている情報では、カラーはBlue&White(青と白)のみです。
黒で統一したデスクや、木目調の環境に置くと浮く可能性があります。
配色が気に入らない場合、キーキャップを別途購入して差し替える前提になります。
商品情報に整合しない記載がある
型番は「TH87」ですが、レイアウトの説明は「TKL(91キー)」と記載されています。
一般的にTKLは87キー前後を指すため、この数字の食い違いは購入前に販売ページで確認しておきたい部分です。
またスイッチタイプの欄は「リニア」の一種類のみですが、本文ではSea salt静音とCreamy Jadeの2種類から選べると説明されています。
Creamy Jade側がリニアに該当するのかどうかは、提供された情報からは判断できません。
このあたりは、選択肢を確定させてから注文するのが安全です。
Bluetooth接続は競技用途に向かない
応答速度が明記されているのは有線(2ms)と2.4GHz無線(5ms)のみです。
Bluetooth接続時の数値は示されておらず、規格の性質上、2.4GHz接続より遅延が大きくなるのが通例です。
Bluetoothはあくまでタブレットやサブ機との連携用と考えるべきになります。
大容量バッテリーは重量とのトレードオフ
10000mAhという容量は、そのまま本体重量に跳ね返ります。
据え置きで使うなら安定感として歓迎できますが、鞄に入れて持ち歩く用途では負担になります。
具体的な重量は提供情報に記載がないため、携帯前提の方は販売ページでの確認が必須です。
設定ソフトの形式に好みが分かれる
ドライバーソフトウェアはChromeベースで、オンライン/オフラインの両方に対応しています。
インストール不要で使える利点はあるものの、QMK/VIAといった業界標準のオープンな設定環境に慣れている人には、独自環境として映る可能性があります。


他メーカーの商品との比較
同じ「日本語配列」「テンキーレス」という条件で、実在する競合機と並べて評価します。
Keychron C3 Pro(JIS)との比較
コストパフォーマンスで最も直接の競合になるのがKeychronです。
Keychron C3 ProはJISレイアウトのコンパクトテンキーレスで、ホットスワップ対応、ガスケットマウント、ダブルショットPBTキーキャップを備えながら1万円以下で購入できるモデルとして紹介されています。JISテンキーレスとして「まず、ちょうどいいサイズ感から始めたい人」向けの入門機という位置づけです。
ただし決定的な差があります。
C3 Proは有線接続専用です。
つまり「JIS配列でホットスワップ、しかもワイヤレス」という条件を出した瞬間、この価格帯での競合は一気に減ります。
打鍵感の完成度ではガスケットマウントを採用するKeychronに分がありますが、接続の自由度とバッテリー容量では「ワイヤレスゲーミングキーボード TH87 JIS」が明確に上回ります。
Logicool G PRO X TKL LIGHTSPEEDとの比較
上位帯の本命はこちらです。
LIGHTSPEED、Bluetooth、有線の3接続に対応し、バッテリーは最大50時間、ダブルショットPBTキーキャップとアルミトッププレート、キャリングケースを備えた構成で、実勢価格は2万円台前半という水準です。レポートレート1msのワイヤレス接続、7000万回の打鍵に耐えるGXメカニカルスイッチを採用しています。国内正規品として2年間の無償保証が付く点も強みです。
ここは正直に書きます。
筐体の質感、国内サポート、ブランドの安心感では、Logicoolに軍配が上がります。
一方で明確に負けている部分もあります。
バッテリーは最大50時間に対し、TH87 JISはバックライトオフで最大200時間。
そしてLogicool側はホットスワップに対応しておらず、スイッチを交換して打鍵感を作り替える楽しみはありません。
ユーザーからは「この完成度で磁気式や光学式スイッチを採用していれば完璧だった」という声も出ています。
価格差を考えれば、「完成された道具が欲しいならLogicool、いじれる道具が欲しいならEPOMAKER」という住み分けになります。
NuPhy Node100 JISとの比較
薄さとデスクへの馴染みやすさで評価されているのがNuPhyです。
Node100 JISはロープロファイルとノーマルプロファイルの2タイプから選べ、薄型モデルはデスクにすっきり収まると評価されています。
見た目の洗練度ではNuPhyが優位です。
ただし薄型化はバッテリー容量と直接ぶつかります。
10000mAhという数字を薄型筐体に収めるのは物理的に困難であり、この点でTH87 JISの厚みは弱点ではなく設計上の選択と見るべきです。
結論として、どこに立っているか
3機種と並べると、「ワイヤレスゲーミングキーボード TH87 JIS」の立ち位置が見えてきます。
質感と保証を求めるならLogicool、打鍵感の純度ならKeychron、デザイン性ならNuPhy。
そのどれか一つで一位を取る製品ではありません。
代わりに、「JIS配列・ワイヤレス・ホットスワップ・超大容量バッテリー」という4条件を同時に満たす数少ない一台という、他が空けていた席に座っています。
弱点は、国内サポート体制と商品情報の詰めの甘さ。
強みは、価格に対して条件の網羅性が異常に高いこと。
この二つを天秤にかけられる人にとっては、有力な選択肢になります。
まとめ
キーボードは、一日に何千回も指が触れる道具です。
それなのに、多くの人が「配列が合わない」という違和感を我慢したまま使い続けています。
EPOMAKERは深圳を拠点に2019年に生まれた、キーボード専業のブランドでした。
作りたいものがある人たちが集まって始めた会社だからこそ、手間のかかるJIS配列に手を出せた。
冒頭で「日本語を打つ人のために作られたわけではない」と書いた理由は、ここにあります。
「ワイヤレスゲーミングキーボード TH87 JIS」は、万能な優等生ではありません。
色は選べず、商品情報にも整合しない箇所が残ります。
それでも、変換キーが定位置にあって、200時間充電要らずで、軸まで交換できる一台が、この価格帯に他にどれだけあるでしょうか。
今日できる小さな一歩を一つ。
自分のキーボードを見て、この一週間でテンキーを何回使ったか思い出してみてください。
ほとんど使っていなかったなら、机はもっと広くなります。




