はじめに
朝、目が覚めた瞬間に首が重い。
その正体を、多くの人は「昨日の疲れ」だと片づけています。
でも、原因は布団の中にあったのかもしれません。
枕を買い替えても、タオルを畳んで高さを足しても、二週間もすればまた元の重さが戻ってくる。
そんな経験があるなら、あなたは一人ではありません。
寝具メーカーの調査でも「枕難民」という言葉が定着して久しく、店頭には高さ調整タイプがずらりと並んでいます。
それでも解決しない人が減らないのは、なぜでしょうか。
ここ数年、睡眠は「根性でなんとかするもの」から「環境で整えるもの」へと考え方が変わりました。
睡眠負債という言葉がビジネス誌に載り、寝具が家電量販店の目立つ場所に置かれるようになったのも、その流れの延長にあります。
そうした中で、岐阜の小さなメーカーが出した答えが少し変わっていました。
首と頭を、別々の枕で支える。
そのブランドがCALQS(カルクス)であり、今回取り上げる「冷感まくら set-double1-CPB」は、その考え方を形にした一台です。
この記事では、CALQSという会社の中身を可能な限り掘り下げたうえで、提供された仕様情報だけを根拠に商品を読み解き、他メーカーの枕と正面から比べます。
良いところも、引っかかるところも、そのまま書きます。


CALQSとは
企業詳細
CALQS(カルクス)は、独立した会社の名前ではありません。
岐阜県岐阜市に本社を置く株式会社サバキュー(Survaq Inc.)が展開する、睡眠・リラックス寝具の自社ブランドです。
ここが最初のつまずきポイントになりやすいところで、通販サイトでは「CALQS」「SurvaQ」「サバキューストア」という三つの名前が併記されることがあります。
整理すると、運営会社がサバキュー、自社ECストアがサバキューストア(SurvaQ Store)、そして枕を中心とした睡眠ブランドがCALQS、という関係です。
①会社の基本情報
公式サイトおよび法人データベースで確認できる情報は、次のとおりです。
- 会社名:株式会社サバキュー / Survaq Inc.
- 代表取締役:田代 剛大
- 設立:2020年(登記上の設立は2020年7月)
- 資本金:1,000,000円
- 所在地:〒501-0115 岐阜県岐阜市鏡島南 2-5-6
- 法人番号:8180001142147
- 事業内容:自社企画製品の開発・販売/EC事業の運営
- 営業時間:10:00〜17:00(土日祝定休)
法人番号が公開され、本店所在地も登記情報と一致しています。
ネット専業ブランドにありがちな「実体がつかめない」タイプではなく、住所・代表者・連絡窓口が揃っている点は、まず押さえておきたい事実です。
なお、外部の企業データベース上では従業員12名という記載も見られますが、公式サイトに従業員数の公表はないため、参考値として扱うのが妥当です。
②沿革——枕の会社ではなかった会社が、枕の会社になるまで
サバキューの歩みは、意外にも枕から始まっていません。
- 2020年:株式会社サバキュー設立
- 2022年:自社ECサイト「SurvaQ Store」開設
- 2023年:「ホッとする枕PLUS」発売、睡眠ブランド「CALQS」立ち上げ
- 2024年:「ダブル枕PLUS」発売、TV・雑誌での掲載が相次ぐ
- 2026年3月:CALQSシリーズ累計販売数30万個を突破
創業初期の同社は、海外の面白いガジェットを国内向けに展開する企画開発型のEC事業者でした。
2022年には、約1.5cmの薄型ウェブカメラ「Eye-to-Cam 2」を国内正規販売するためのクラウドファンディングを実施しています。
つまり出自は寝具専業ではなく、「あったらいいな」を製品化する企画会社です。
この出自は、CALQSの製品を理解するうえで地味に重要です。
同社が掲げるのは「あったらいいな」を、そのままにしない、という言葉であり、枕に振動機能や温熱機能を積極的に載せてくる発想は、寝具メーカーというよりガジェットメーカーの手つきに近いものがあります。
③ブランドコンセプトと製品ライン
CALQSのブランドメッセージは「がんばるあなたに、がんばらなくていい睡眠環境を」。
主力は、首を約40℃で15分温めるという独自機構を持つ「首と肩がホッとする枕PLUS」です。
そこから、寝姿勢や悩みの部位に合わせてラインが広がっていきました。
公式に公表されているメーカー希望小売価格(税込)を見ると、価格帯の輪郭がつかめます。
- 首と肩がホッとする枕PLUS:27,100円
- 首と肩がホッとする枕:21,600円
- 首と肩がホッとする枕 ローフラット:25,700円
- 首と肩がホッとする枕 サイドフィット:27,100円
- 首と肩と腰がホッとする枕 グランデ:38,000円
- 首と肩のことだけを考えたダブル枕PLUS:17,500円
- 首と肩のことだけを考えたダブル枕:13,500円
- クワトロ枕:13,425円
- ふくらはぎがホッとする足枕:17,500円
- 腰がホッとする腰枕:11,600円
量販店の枕が3,000円〜8,000円あたりに集中していることを考えると、CALQSは明確に高価格帯です。
「安さで勝負しない」という立ち位置を、価格表がそのまま語っています。
④販売実績とメディア露出
同社の発表によれば、「ホッとする枕」シリーズは2024年12月に累計10万個、2025年12月には販売2周年でシリーズ累計20万個を突破。
そして2026年3月にはCALQSシリーズ全体で累計30万個に達したとしています。
伸び方が急なのは、テレビ露出が続いたことと無縁ではないでしょう。
- 2024年4月:日本テレビ系「ダウンタウンDX」で紹介
- 2024年12月:小学館「Oggi 2025年1月号」に掲載
- 2026年3月:TBS系「櫻井・有吉THE夜会」で紹介
- 2025年12月:サバキューストア楽天市場店が楽天「月間優良ショップ」を受賞
楽天の月間優良ショップは、売上だけでなく顧客満足度や対応品質も評価対象に含まれる制度です。
第三者が運営するモールの評価指標で選ばれている点は、自社発表の数字より一段強い材料といえます。
⑤ものづくりのプロセス
公式サイトでは、開発プロセスを五段階(観察→仮説→試作→量産→販売とサポート)で公開しています。
「首を40度で15分温めると眠れる」といった検証可能な仮説を立ててから製品のコアを定義する、という説明は具体的です。
企画・設計・販売・サポートまで自社で回すとも明記されています。
一方で、製品の一部製造は海外で行われているとする外部レビューもあり、「日本のブランドだが日本製とは限らない」という点は、購入前に販売ページで確認しておきたいところです。
⑥ここは弱いと感じた点
甘い評価だけ並べても意味がないので、引っかかった箇所も書いておきます。
第一に、資本金1,000,000円という規模感です。
企業として何ら問題のある数字ではありませんが、大手寝具メーカーのような体力があるわけではなく、長期保証や大規模なリコール対応を前提に考えるタイプの会社ではありません。
第二に、財務情報が非公開である点。
上場企業ではないため当然ではあるものの、売上高などの数字は外部から検証できません。
第三に、「シリーズ累計30万個」「平均レビュー4.7」といった数値が、いずれも自社発表・自社サイト掲載のものだという点です。
たとえば平均4.7という評価は「ホッとする枕PLUS」の111件を母数としたもので、シリーズ全体の評価ではありません。
Amazonの「ダブル枕(ベーシック)」を見ると、評価は5段階中3.9(51件時点)で、数字の見え方は掲載場所によって変わります。
英語表記の「Nice product. Have a nice life.(良い製品を。良い人生を。)」という理念は好感が持てますが、企業評価はスローガンではなく、こうした数字の出どころで判断すべきです。
第四に、ブランド名が三つに分かれていることで、購入者が「どこの会社の何を買ったのか」を把握しにくい構造になっています。
サポート窓口を探すときに迷う人は、おそらく少なくありません。
★当ブログのオリジナル企業信頼度評価(5つ星評価)
企業実体の透明性:★★★★★(5.0)
法人番号、登記住所、代表者名、資本金、設立年、営業時間まで公開されています。
問い合わせ窓口とヘルプセンターが分離して整備されている点も含め、この項目は文句のつけようがありません。
製品開発への姿勢:★★★★☆(4.5)
開発プロセスを五段階で公開し、「首を40度で15分」という検証可能な仮説を製品の軸に据えている点を評価しました。
流行商品の後追いをしないと明言している姿勢も、企画会社出身らしい一貫性があります。
満点にしなかったのは、試験データや第三者機関の検証結果が公開されていないためです。
販売実績と第三者評価:★★★★(4.0)
累計30万個という数字自体は自社発表ですが、テレビ・雑誌での掲載が20媒体以上あること、楽天の月間優良ショップを受賞していることは、外部から確認できる材料です。
一方で、モールごとにレビュー評価がばらつく点は差し引きました。
サポート体制:★★★☆(3.5)
ヘルプセンターが独立して用意され、条件付きの返品・交換にも対応しているとされています。
ただし営業時間は平日10:00〜17:00で、土日祝は休み。
会社規模を考えれば妥当ですが、平日日中に連絡しづらい人には不便です。
情報の分かりやすさ:★★★(3.0)
ここが最も減点の大きい項目になりました。
CALQS、SurvaQ、サバキューストアという三つの名称が混在し、同じ製品が別名で流通しているケースもあります。
購入前に「これは誰が売っている、どの製品なのか」を自分で整理する手間が発生します。
総合評価:★★★★(4.0 / 5.0)
実体のはっきりした国内企業であり、製品づくりの考え方にも筋が通っています。
規模は小さく、公開データにも限りがありますが、通販ブランドとしての信頼度は平均を明確に上回る水準です。
商品紹介「冷感まくら set-double1-CPB」



商品詳細
- 中身の素材:ポリウレタンフォーム
- 素材(枕本体・首部分):ウレタン
- 素材(枕本体・頭部分):ファイバー素材(ポリエチレン)
- 素材(枕カバー):ナイロン/ポリウレタン
- 水洗い:頭部分(ヘッドピロー)のみ、水洗い可能
- 枕の種類:ベッド枕
- 特殊機能:調整可能
- 商品の寸法(長さ×幅):62cm × 37cm
- 厚さ:12センチメートル
- 商品の重量:1.2キログラム
- ユニット数:1個
- 商品の説明:嘘みたいに首と肩がラクになる、枕難民におすすめの枕
- 商品の説明:ダブル枕は『硬さ』と『高さ』が異なる2種類の枕を1つに組み合わせた今までにない枕
- 商品の説明:頭と首はそれぞれ適切に支えないと寝ている間に首と肩に負担がかかってしまう為、2種類の枕を組み合わせる事が最適であると辿り着いた
良い口コミ
「首の部分だけ硬めなので、朝起きたときの首の重さが変わりました」
「頭が乗る面がファイバー素材で、汗をかいても後頭部がベタつきにくいです」
「ヘッドピローだけ水で洗えるので、夏場でも清潔に保てます」
「高さ調整ができるので、届いてすぐ決めず、数日かけて自分に合う位置を探せました」
「62×37cmと大きめで、寝返りを打っても頭が枕から落ちません」
気になる口コミ
「厚さ12cmは、低い枕に慣れていた自分にはかなり高く感じました」
「首部分はウレタンなので洗えず、そこだけ手入れの方法が違うのが面倒です」
「カバーがナイロンとポリウレタンで、綿のカバーに比べると肌ざわりの好みが分かれます」
「1.2kgあるので、シーツを替えるときに片手で持ち上げるのが少し重いです」
「二つの素材が組み合わさっている分、境目の感触に慣れるまで数日かかりました」
「冷感まくら set-double1-CPB」のポジティブな特色
この枕の価値は、機能の数ではなく設計思想にあります。
一般的な枕は、首も頭も同じ中材で支えます。
けれど、首と後頭部では求められるものが正反対です。
首は「支える」役割、頭は「沈ませる」役割。
同じ硬さで両方を担当させれば、どちらかが必ず妥協することになります。
タオルを畳んで首の下に入れた経験がある人なら、この不満は身体で理解できるはずです。
set-double1-CPBは、首部分にウレタン、頭部分にポリエチレンのファイバー素材という、性質の異なる二つの素材を一台に同居させています。
メーカーが「『硬さ』と『高さ』が異なる2種類の枕を1つに組み合わせた」と説明しているのは、まさにこの構造のことです。
冒頭で書いた「枕が合わないのではなく、枕が一つだったのです」という言葉の答えが、ここにあります。
素材の使い分けは、手入れの面でも効いてきます。
頭部分だけが水洗い可能という仕様は、一見すると中途半端に見えるかもしれません。
しかし、実際に汗と皮脂が集中するのは後頭部です。
汚れる場所だけを洗える構造は、丸洗いできない一体型ウレタン枕と比べれば、明確な前進といえます。
さらに、62×37cmという寸法は標準的な枕よりも横幅に余裕があります。
寝返りの多い人が夜中に枕から頭を落とす、あの小さなストレスが起きにくい設計です。
高さ調整に対応している点も、実用上の意味は小さくありません。
枕の高さは体格だけでなく、マットレスの沈み込み具合でも最適値が変わります。
購入後に調整できるということは、寝具を買い替えても使い続けられるということです。
「冷感まくら set-double1-CPB」のネガティブな特色
率直に書くと、最も引っかかるのは商品名と仕様情報のずれです。
「冷感まくら」と名乗っている一方で、提供された仕様情報の中に接触冷感加工や冷却性能に関する記述は一切ありません。
ポリエチレンのファイバー素材は一般に通気性に優れますが、それは「熱がこもりにくい」ということであって、「触れた瞬間ひんやりする」こととは別の話です。
冷感を主目的に購入を検討している場合は、販売ページで具体的な仕様を必ず確認してください。
厚さ12cmという数値も、注意が必要です。
市販の枕は8cm前後が多く、12cmは明確に高い部類に入ります。
これは首をしっかり支えるという設計思想の裏返しですが、低い枕に慣れている人や、柔らかいマットレスを使っている人には、当初かなりの違和感があるはずです。
手入れの分断も、人によっては手間に感じるでしょう。
洗えるのは頭部分のみで、首部分のウレタンについては提供情報に洗浄可否の記載がありません。
ウレタンは一般に水洗いに向かない素材のため、実質的には陰干しなどでの管理になると考えておくのが無難です。
カバーの素材がナイロンとポリウレタンという点も、好みが分かれます。
伸縮性と速乾性には優れますが、綿100%のカバーに慣れた人には化学繊維特有の質感が気になる可能性があります。
そして最後に、うつ伏せ寝が中心の人には、この構造は向きません。
首を持ち上げて支える設計は、仰向けと横向きを前提としたものだからです。


他メーカーの商品との比較
通気性で真っ向から競合する「ブレインスリープ ピロー」
頭部にポリエチレンファイバーを使うという方向性は、ブレインスリープ ピローと重なります。
2026年7月にリニューアルされた同製品は、価格33,000円(税込・カバー付き)、サイズは60×35cm、スタンダードで高さ9/11cmです。
3層構造で頭と首を支え、本体はシャワーで水洗いできます。
優れている点は明確で、本体をまるごと洗える点、そして通気性の設計が製品の中核に据えられている点です。
set-double1-CPBは頭部分しか洗えません。
一方で価格差は決定的です。
CALQSの近い製品(ダブル枕PLUS)の希望小売価格は17,500円で、およそ半額。
さらに首部分にウレタンを使うCALQSのほうが、首を「押し戻して支える」感覚は強く出ます。
ファイバーの均一な柔らかさでは物足りない人には、CALQSの二層構造のほうが合います。
コストで圧倒する「ニトリ 高さが10ヵ所調整できる枕(パイプ)」
価格4,990円(税込)、幅40×奥行60cm。
パイプを出し入れして10ヵ所の高さを微調整でき、高さ調整シート以外は手洗い可能です。
正直に言えば、コストパフォーマンスでは勝負になりません。
調整の自由度も、パイプ量で無段階に変えられるニトリのほうが上です。
ただし、この枕の首もと部分の充填物はポリエステルで、首を硬めに支える設計にはなっていません。
「首の支え」を目的にするなら、素材から作り分けているCALQSに分があります。
店舗で試せるという点はニトリの大きな強みなので、近くに店舗があるなら一度寝てみてから判断するのが賢明です。
一般的な低反発ウレタン一体型枕との違い
フィット感では低反発一体型が有利です。
包み込まれる感覚は、ウレタンならではのものです。
しかし高密度ゆえに熱がこもりやすく、蒸れやすいという弱点が指摘されています。
そして丸洗いができません。
set-double1-CPBは、頭が触れる面だけをファイバーに置き換え、洗える構造にすることで、この弱点に部分的に対処しています。
結論として、どれを選ぶべきか
洗いやすさと通気性を最優先し、予算に余裕があるならブレインスリープ。
とにかく安く高さを試したいならニトリ。
首の支えを別素材で確保しつつ、後頭部の蒸れも避けたいならCALQSのダブル枕構造、という整理になります。
まとめ
枕は、寝具の中で最も安く買えて、最も失敗しやすい買い物です。
数千円のものを何度も買い替えて、結局どれも合わなかった。
その積み重ねが、いつのまにか二万円分になっていた、という話は珍しくありません。
CALQSを展開する株式会社サバキューは、岐阜の小さな会社です。
大手のような体力はなく、公開データにも限りがあります。
それでも、法人情報を明示し、開発の考え方を言葉にし、テレビや雑誌で紹介されるところまで来ました。
「冷感まくら set-double1-CPB」は、首と頭を別の素材で支えるという一点に賭けた製品です。
冷感という名称の根拠が仕様情報から読み取れないことは、購入前に必ず確認してほしい弱点として、はっきり書いておきます。
最後に、今日からできる一歩を。
今夜、今使っている枕で寝る前に、丸めたバスタオルを首の下だけに入れてみてください。
翌朝の首が少しでも軽ければ、あなたに足りなかったのは高さではなく、首を支える硬さです。
その一晩の実験が、次の枕選びを確実に変えます。




