fuiigoってどんなブランド?企業背景を深掘りしながら没入感を追求した「ウェアラブルスピーカー fuiigo-1.1」の実力に迫る

このスピーカーはアナタの耳を満足させる事を最初から諦めている

はじめに

配信サービスで映画を再生して、いい場面が来た瞬間に音量を下げた経験はないでしょうか。

隣の部屋で家族が寝ている。

壁の薄い賃貸で、時刻は深夜0時を回っている。

爆発音も、低く唸るベースラインも、本当は全部浴びたいのに、指はリモコンのマイナスボタンへ伸びてしまう。

この「音量を下げる指」との戦いは、サブスク全盛の今、多くの人が毎晩繰り返している小さな敗北だと思います。

ヘッドホンを使えば解決する、と言われそうです。

ただ、ヘッドホンで再現される重低音は、あくまで鼓膜を震わせた「音」であって、ライブ会場でみぞおちを殴ってくるあの感触とは別物でした。

映画館の椅子が震える感覚、花火大会でお腹に響くあの圧、あれは耳ではなく体で受け取っています。

今回取り上げる fuiigo(フイーゴ) というブランドは、その差をごまかさずに、真正面から埋めにきました。

ベストのように「着る」スピーカー、ウェアラブルスピーカー fuiigo-1.1 です。

耳元で中高音を鳴らしながら、胸から腹にかけて低音の振動と揺れを直接伝える。

音を大きくするのではなく、体に届ける場所を変える、という発想の転換になります。

しかも、これを作ったのは大手メーカーの巨大な開発部門ではありません。

熊本県の、人口一万人ほどの町にある小さな研究所でした。

この記事では、そのブランドの正体を、公開情報を突き合わせながら掘り下げます。

そのうえで、fuiigo-1.1という製品が本当に「買い」なのか、褒めるところと、正直にひっかかるところの両方を書いていきます。

fuiigoとは

企業詳細

①「メーカー:fuiigo」という表記の裏にあるもの

Amazonの商品ページを開くと、メーカー欄には「fuiigo」とだけ書かれています。

これだけを見て「fuiigoという会社があるのだろう」と考えるのが自然な読み方だと思います。

ところが、公開情報を追いかけると、この製品には少なくとも三つの名前が絡んでいることが分かります。

開発元である「氷川音響研究所」、販売代理店として登場する「株式会社undermountain」、そして展示会に出展している「合同会社fuiigo」です。

順番に整理していきます。

②開発元は、熊本県八代郡氷川町の「氷川音響研究所」

fuiigoを生み出した組織は、氷川音響研究所です。

所在地は熊本県八代郡氷川町、代表者は簑田英徳氏で、音響機器の開発を行う事業者として公式にリリースを出しています。

創業時期についても本人の言葉が残っています。

簑田氏はMakuakeのプロジェクトページで、家電メーカーに入社から定年まで在籍しAV機器の開発業務を中心に担当してきたこと、あるときオリジナルの音響製品を市場に出したいという思いが生まれ、2022年に熊本県氷川町で氷川音響研究所を創業したこと、そしてfuiigoが記念すべき第1号製品であることを明かしています。

つまり、fuiigoは「新規参入ブランドの第一作」です。

長い製品ラインナップも、何十年分の型番の蓄積もありません。

これは弱点でもあり、後述するように強みでもあります。

③「fuiigo」という名前は、火起こしの道具から来ている

ブランド名の由来が、そのまま製品の構造を説明しているのが面白いところです。

揺れを生み出すのは蛇腹形状の専用パーツで、これが伸縮し、先端についた重りを動かすことで揺れが発生します。この蛇腹の動きが火起こしの道具である鞴(ふいご)を連想させたことから、「fuiigo(フイーゴ)」という名前がつけられました。

金属を熱するために風を送り込む、あの鞴です。

デジタルガジェットの名前としては、かなり土着的で、手仕事の匂いがします。

そして実際、開発の進め方も相当に手仕事寄りでした。

簑田氏はホームセンターでDIY用の商品を眺めながら、これをここに使ったらどうかとシミュレーションしては購入し、試作を何度も重ねて低音振動を生み出す仕組みを開発し、特許取得に至ったと語っています。

大企業の研究予算ではなく、ホームセンターの棚から始まった製品ということになります。

④特許第7434421号は、何を守っているのか

商品ページには「特許取得の三層振動(特許第7434421号)」と記載されています。

この番号は実在の公開情報とも一致しています。

氷川音響研究所は2024年3月のプレスリリースで、第一弾の商品としてスピーカー周辺構造に関する特許(第7434421号)技術を搭載したウェアラブルスピーカーを開発したと発表しています。

ここで冷静に読んでおきたいのは、特許の対象が「スピーカー周辺構造」だという点です。

音質そのものや、三層の周波数配分に特許が与えられているという意味ではありません。

低音とともに振動と揺れを生む筒状部と蛇腹の機構、その周辺構造が保護されている、と理解するのが妥当だと考えます。

「特許取得」という言葉は強い響きを持ちますが、何が保護対象なのかまで確認しておくと、過剰な期待も過小評価も避けられます。

⑤仕組みの中身

構造の説明は、開発元の発表がかなり具体的です。

fuiigoは4個のスピーカーを組み込み、左右の胸から腹にかけて密着する筒状の部分に低音用スピーカーを内蔵して、低音とともに振動と揺れを発生させます。左右の鎖骨付近には中高音を担当するLch・Rchスピーカーが上向きに配置され、低音の出口である丸い開口はLch・Rchスピーカーの直下に左右2個ずつ均等に置かれており、この配置によって音に包まれる感覚を実現しているとされています。

耳に近い位置で鳴らすことには、音質以外の狙いもあります。

スピーカーを耳に近い位置へ置くことで、周辺への音漏れを小さくできるという設計思想が示されています。

冒頭で触れた「深夜に音量を下げる指」の話に、ここで直接つながります。

⑥開発者の経歴、その書かれ方の違い

商品ページには「元シャープ音響エンジニア設計・日本製」「30年間AV機器開発に携わった簑田英徳が設計・監修」と明記されています。

ここは正直に書いておきます。

前述のとおり、Makuakeの本人挨拶では「家電メーカー」という表現にとどまり、社名は伏せられています。

公式ストアに掲載されている紹介文でも「S社」という書き方がされています。

矛盾ではありませんし、Amazonの記載が誤りだと断定する材料もありません。

ただ、開発元自身が公式サイトやクラウドファンディングで社名を明示していない一方、販売ページ側では具体的な社名が出ている、という温度差は存在します。

読者としては「元大手メーカーのAV機器エンジニアが手がけた」という事実の核の部分を受け取り、そこから先は各自で確認する、という距離感が適切だと思います。

なお、経歴の中身については本人の発言が残っています。

前の会社でテレビの音響部分の開発に携わっていたこと、そのうえで「人の声が自然に聴こえること」が大前提だと考えていることを、公式ブログで述べています。

低音デバイスの開発者が、まず声の自然さを語る。

このバランス感覚は、スペック表には出てこない部分ですが、製品の性格を推し量る材料にはなります。

⑦販売体制は、代理店を経由する形からスタートした

fuiigoは開発元が直接すべてを売るのではなく、代理店契約を経て市場に出ています。

株式会社undermountainは2024年6月時点で、氷川音響研究所の簑田氏と正規販売店として契約したことを自社サイトで告知しています。

そして一般販売の開始が同年秋でした。

株式会社undermountainは、氷川音響研究所のウェアラブルスピーカー「fuiigo」の一般販売を2024年9月27日よりECサイトで開始し、価格は税込70,000円とされました。

初号機の価格帯が7万円だった、という事実は、後の比較セクションで重要になります。

⑧「合同会社fuiigo」という名前の登場

ここが、現時点でもっとも整理しきれていない部分です。

CEATECの出展者情報には「合同会社 fuiigo」という会社名が記載され、URLはfuiigo.storeとされています。

海外メディアも、2025年9月に「Fuiigo LLC」がMakuakeで第2世代のFuiigo 1.1のキャンペーンを開始したと報じています。

一方で、同じ時期の国内リリースは氷川音響研究所名義で出ています。

法人化に伴う名義の整理なのか、並行して存在する別法人なのか、公開情報だけでは確定できません。

ここを推測で埋めるのは誠実ではないので、「開発の実体は熊本の氷川音響研究所であり、fuiigoという法人名義も存在するが、両者の正確な関係は公開情報から一意には確定できない」という書き方にとどめます。

購入判断に直結する話ではありませんが、修理やサポートの窓口がどこになるのかは、購入前に販売元へ確認しておく価値があります。

⑨実績と、第三者からの評価

新興ブランドを見るとき、実績の有無は信頼度を左右します。

まず、市場からの反応です。

fuiigoの初号機は2024年にMakuakeで公開され、目標額の271%を達成し、同年9月から一般販売が行われました。

第2弾についても具体的な数字が出ています。

氷川音響研究所は第2弾となる「fuiigo-1.1」をMakuakeで先行販売し、プロジェクト期間は10月29日まで、先行販売価格は49,800円、製品は2026年1月末までに発送予定とされました。

この第2弾は、初号機で好評だった音質と振動・揺れ感をさらに向上させ、要望のあった装着性を改善したモデルと説明されています。

つまり、fuiigo-1.1は「初号機のユーザーからのフィードバックを受けて作り直された2世代目」です。

一発勝負のクラウドファンディング製品ではなく、改良のサイクルが一周している。

これは新興ブランドとしては重い加点材料だと考えます。

第三者評価の面でも、名前が残っています。

オーディオ・ビジュアル評論家の麻倉怜士氏のコメントがECサイト内に掲載されていることが、販売開始時のプレスリリースで案内されています。

さらに、法人向けの採用実績も公表されています。

公式ブログでは、株式会社ピー・ビーシステムズが提供する360°VR超体験シアターMetaWalkersにfuiigoが採用されたことが報告されています。

個人相手のガジェットが、業務用のVRシアターに組み込まれた。

これは「面白い試作品」から「使える機材」へ評価が移った証拠と読めます。

⑩あえて有線を選んだ、という設計判断

最後に、この会社の性格がもっとも出ている部分に触れます。

開発元は、音質と臨場感と着心地に重きを置いた結果、Bluetooth機能を搭載したオーディオアンプと有線で接続する方式を選択し、室内での使用を前提としていると明言しています。

市場のワイヤレス化が進むなかで、あえて有線方式にこだわることで制約を取り払い、迫力あるサウンドを可能にした、という説明もされています。

流行に逆らう判断を、理由つきで公言している。

この一点だけでも、マーケティング先行のブランドではないことが伝わってきます。

⑪それでも、分からないままのこと

公平を期すために、確認できなかった項目も並べておきます。

資本金、従業員数、年間の生産台数、外注先を含めた具体的な生産体制、故障時の修理フローと修理費用の目安。

これらは公開情報からは把握できませんでした。

大手メーカーであれば当然開示されている情報が、ここにはありません。

7万円前後の買い物をする相手として、この情報の薄さをどう評価するかは、読む人の価値観次第だと思います。

★当ブログのオリジナル企業信頼度評価(5つ星評価)

技術的な裏付け:★★★★(4.0)

特許番号が明記され、その番号が公的なリリースでも一貫して使われている点は高評価です。

「特許取得済み」とだけ書いて番号を出さない製品が多いなか、検証可能な形で提示している姿勢を評価しました。

満点にしなかったのは、特許の対象が構造に限られ、音質性能そのものを保証するものではないためです。

開発者の実績と専門性:★★★★(4.0)

大手家電メーカーでAV機器開発に長年携わった人物が、退職後に自ら設計している。

開発の経緯も本人の言葉で公開されており、匿名性の高いノーブランド品とは明確に一線を画します。

ただし、前述のとおり在籍企業名の書かれ方に媒体間の差があるため、0.5ぶんの減点としました。

情報開示の透明性:★★★(3.0)

構造や設計思想については、むしろ過剰なほど丁寧に説明しています。

一方で、企業としての基本情報、法人名義の関係、サポート体制の詳細は把握しづらい状態です。

技術は開示されているが、会社は開示されていない、という偏りがあります。

継続性と実績:★★★★(4.0)

初号機のクラウドファンディングで目標の271%を達成し、一般販売に移行し、翌年には改良版を出している。

この「一周した」実績は、消えていくクラウドファンディング製品との決定的な違いです。

法人向けVRシアターへの採用も、継続性を裏付ける材料になります。

第三者からの評価:★★★★(4.0)

オーディオ評論家のコメント掲載、AV専門メディアでの製品紹介、展示会への出展と、外部の目に晒される場に自ら出ています。

閉じた販売チャネルの中だけで完結していない点は安心材料です。

サポート・アフター体制:★★(2.0)

保証は12ヶ月と記載がありますが、故障時の窓口、修理費用、部品供給の見通しは公開情報から読み取れませんでした。

装着して使う以上、ケーブルや接合部の経年劣化は必ず起きます。

ここが最大の不安要素であり、正直に低めをつけました。

総合評価:★★★☆(3.5 / 5.0)

「技術と誠実さは4点、企業体力とサポートは2点」という、極端に凸凹した会社です。

平均すれば3.5という数字になりますが、この平均値はあまり実態を表していません。

作り手を信頼できるか、そして万一のときに自分で販売元へ連絡を取る手間を許容できるか。

その二点で判断するのが、このブランドとの正しい向き合い方だと考えます。

商品紹介「ウェアラブルスピーカー fuiigo-1.1」

商品詳細

  • 色:オフホワイト
  • 材質:アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、マグネット
  • 商品寸法(長さ×幅×高さ):57 × 20 × 14 cm
  • 商品の重量:1.1キログラム
  • 特許取得の三層振動で「体で聴く」(特許第7434421号):低音60〜300Hz・振動40〜120Hz・揺れ20〜40Hzの三層構造
  • 耳ではなく肩・胸・体幹で重低音を体感する新しい音響デバイス
  • 専用2.1chアンプ・ケーブルすべて同梱、追加購入は不要
  • Bluetooth 5.0でスマートフォンやPCとワイヤレス接続、届いたその日から体感できる
  • 元シャープ音響エンジニア設計・日本製、30年間AV機器開発に携わった簑田英徳が設計・監修、国内生産
  • オーディオ・ビジュアル評論家 麻倉怜士氏推薦
  • 用途は映画・音楽・ゲーム・VR・在宅ワーク
  • 深夜でも家族に気兼ねなく重低音を楽しめる
  • スピーカー構成:中高音×2+低音×2
  • 振動ユニット:×2
  • 接続:Bluetooth 5.0・RCA端子
  • 同梱物:本体、専用アンプ、Bluetoothアンテナ、バナナプラグ付きケーブル、ACアダプター、取扱説明書、保証書

良い口コミ

「深夜に映画を観るときの罪悪感が消えました。音量を上げなくても、爆発音がちゃんとお腹に来ます」

「ヘッドホンで感じていた頭の中に音が詰まる感覚がなく、長時間つけていても疲れません」

「見た目のごつさから相当重いと覚悟していましたが、実際に着ると肩に分散されるので想像より軽く感じます」

「アンプもケーブルも全部入っていたので、箱を開けてから音を出すまで15分もかかりませんでした」

「VRゲームで足音や着弾が体に届くようになって、画面の中の距離感が変わりました」

気になる口コミ

「Bluetooth対応と書いてあったので完全ワイヤレスだと思い込んでいました。本体とアンプの間はケーブルでつながっています」

「1kgちょっとでも、2時間を超えるとさすがに肩に存在を感じます」

「収納場所に困ります。畳んで引き出しに、というサイズではありません」

「価格が価格なので、店頭で試してから決めたかったです。近所に試せる場所がありませんでした」

「アンプとACアダプターが増えるぶん、テレビ周りの配線がさらに複雑になりました」

「ウェアラブルスピーカー fuiigo-1.1」のポジティブな特色

1. 「音量」ではなく「伝達経路」で迫力を作っている

この製品の核心は、そこに尽きます。

一般的なスピーカーで重低音を体に感じさせようとすると、部屋全体の空気を振動させるだけの音圧が必要になります。

その音圧は、当然ながら壁を越えて隣室にも届きます。

fuiigo-1.1は、低音を空気ではなく、密着した筒状のユニットから直接体に伝えます。

低音60〜300Hz、振動40〜120Hz、揺れ20〜40Hzという三層構造は、この「直接伝達」を役割分担させた設計です。

結果として、音量を上げずに体感だけを増やせる。

冒頭の「音量を下げる指」の問題に対する、もっとも直接的な回答になっています。

2. 耳を塞がないことの価値が、思ったより大きい

中高音のスピーカーは鎖骨付近に上向きに配置されています。

耳を密閉しないので、圧迫感がありません。

インターホンが鳴れば聞こえるし、家族の声も届きます。

在宅ワークでの使用が用途に挙がっているのは、この開放性があるからです。

ヘッドホンを外す、つけ直す、というあの小さなストレスから解放されるのは、実際に使うと効いてくる部分だと思います。

3. 買い足しが一切いらない「完結パッケージ」

ここは地味ですが、かなり重要です。

同梱物は、本体、専用アンプ、Bluetoothアンテナ、バナナプラグ付きケーブル、ACアダプター、取扱説明書、保証書。

つまり、電源とスマートフォンさえあれば、その日のうちに完成します。

体感型オーディオの世界は、アンプ選びやケーブル選びで沼にはまりやすい領域です。

そこを「専用設計で固定して出荷する」と決めたのは、初めて買う人にとって明確な親切さになります。

4. 素材と構造から、実用面での配慮が読み取れる

ABS樹脂とPVCという組み合わせは、高級感を演出する素材ではありません。

ただ、軽さと成形の自由度、そして体に当たる部分の柔軟性を考えると、合理的な選択です。

3mのコードを含めて約1,080gという数字も、装着型としては現実的な範囲に収まっています。

見栄えより、着られるかどうかを優先した設計だと受け取れます。

5. 「日本製・国内生産」が、単なる肩書きで終わっていない

国内生産の表記は、それだけならよくある文言です。

しかしfuiigoの場合、開発拠点が熊本県氷川町で、設計者本人が試作を重ねてきた経緯まで公開されています。

作った人の顔と場所が分かる製品は、故障や不具合が起きたときの「話が通じる感」が違います。

7万円前後の買い物において、これは価格には表れない安心材料になります。

「ウェアラブルスピーカー fuiigo-1.1」のネガティブな特色

1. 「Bluetooth 5.0」という表記は、誤解を招きやすい

ここは、最初に強く指摘しておきます。

商品情報には「Bluetooth 5.0でスマホやPCとワイヤレス接続」とあります。

これは事実です。

ただし、ワイヤレスなのは「再生機器から専用アンプまで」の区間です。

開発元自身が、音質と臨場感と着心地を優先した結果、Bluetooth搭載アンプと有線で接続する方式を選択したと説明しています。

同梱物にバナナプラグ付きケーブルがあり、接続方式にRCA端子が併記されているのも、そのためです。

重量表記が「3mコード含む」となっている理由も同じです。

首から下げて自由に歩き回るタイプの製品ではありません。

この点を理解せずに購入すると、開封直後にがっかりする可能性が高いと思います。

2. サイズが、生活空間を圧迫する

商品寸法は57 × 20 × 14 cm、本体はh570 × w200 × d140 mmです。

縦57cmは、A2サイズの紙より縦に長い、と考えると想像しやすいと思います。

これを使わないときにどこへ置くのか。

壁掛けにするのか、専用の場所を作るのか。

小型のガジェットのように、引き出しにしまって存在を忘れる、という運用はできません。

購入前に、置き場所を先に決めておくことを強く勧めます。

3. 約1,080gという重量の受け取り方は、人によって割れる

肩と体幹で分散されるため、数字ほど重くは感じにくい設計です。

ただ、映画1本ぶんの2時間を超えると、体格や姿勢によっては負担を感じる人もいるはずです。

特に、猫背気味の姿勢でデスクに向かう在宅ワーク用途では、肩への影響を無視できません。

長時間の連続使用を前提にしている人は、こまめに外す運用を想定しておいたほうが無難です。

4. 試聴のハードルが高い

家電量販店の店頭に並ぶ製品ではありません。

そして、これは「装着して初めて価値が分かる」タイプの製品です。

音の善し悪しではなく、体に振動が伝わる感覚が自分に合うかどうか、という問題だからです。

振動が心地よいと感じる人もいれば、じっとしていられないと感じる人もいます。

この適性は、スペック表からは絶対に読み取れません。

展示会や体験イベントの情報が出たら、可能な限り足を運ぶ価値があります。

5. 保証12ヶ月と、サポート情報の乏しさ

保証期間は12ヶ月です。

大手メーカーの標準と同等ではありますが、この製品は「着て、動かす」機械です。

ケーブルの根元、蛇腹部分、接合部といった可動箇所には、据え置きスピーカーにはない負荷がかかり続けます。

2年後、3年後に不具合が出たときの修理費用や部品供給の見通しは、公開情報からは確認できませんでした。

長く使うつもりなら、購入前に販売元へ修理体制を問い合わせておくのが賢明だと思います。

6. 単体では完結せず、機器が一つ増える

専用アンプとACアダプターが必要です。

テレビ周りの配線が、確実に一本増えます。

配線をすっきりさせたい人にとっては、無視できないマイナスになります。

他メーカーの商品との比較

【比較の前提を揃える】

fuiigo-1.1は、明確な競合が存在しにくい製品です。

比較するなら、目的が近い二つのジャンルを並べるのが公平だと考えます。

一つは「耳を塞がずに音を届ける」ネックスピーカー、もう一つは「体に振動を伝える」ハプティックベストです。

ネックスピーカーとの比較:手軽さでは完敗、低音では圧勝

代表格はソニーのBRAVIA Theatre U(HT-AN7)です。

2024年6月14日発売で、非対称形のX-Balanced Speaker Unitを搭載し、従来機より約50gの軽量化を実現、最長12時間再生のバッテリーを備えています。

価格.comの掲載では最安価格が3万円台前半となっています。

正直に書きます。

手軽さ、軽さ、バッテリー駆動による自由度、そして価格。

この四点で、fuiigo-1.1はネックスピーカーに勝てません。

首に乗せるだけで完結し、コードレスで、購入もサポートも大手の枠組みで守られている製品と、有線接続で1kg超のベストを比べれば、日常的な使い勝手の差は明白です。

ただし、決定的に違うのが低音の扱いです。

ネックスピーカーの低音不足という課題意識から、fuiigoは生まれています。

首元の小型ユニットで、20〜40Hz帯の「揺れ」を体に届けるのは物理的に困難です。

「セリフを聞き取りやすくしたい」ならネックスピーカーが正解です。

「爆発と地響きを体で受けたい」なら、fuiigo-1.1以外の選択肢が見当たりません。

ハプティックベストとの比較:思想がそもそも違う

WoojerのVestシリーズやSUBPACのM2Xといった製品は、体に振動を伝えるという点でfuiigoと近い位置にあります。

Woojerのベスト型は振動用のトランスデューサーを複数搭載し、全身の広い範囲で音を体感させる設計で、ゲーム機側の対応が不要という利点があります。

ただし、決定的な違いが一つあります。

これらの製品は基本的に「振動デバイス」であり、音そのものはヘッドホンやイヤホンで別に聴くことが前提です。

対してfuiigo-1.1は、中高音スピーカー2基を鎖骨付近に搭載し、音と振動を一つの機器で完結させます。

耳を塞がずに済むのは、この構成だからです。

つまり、Woojerは「ヘッドホンの相棒」、fuiigoは「ヘッドホンの代替」という立ち位置になります。

一方で不利な点もあります。

海外製ハプティックベストの多くはバッテリー駆動でワイヤレス、ゲーム用途向けの調整機能やソフトウェア連携が充実しています。

fuiigo-1.1は室内据え置き前提で、調整の自由度は専用アンプの範囲に限られます。

また、これらの海外製品の日本国内価格は販売経路や為替で変動するため、具体的な金額の断定は避けます。

購入時点での正規取扱店の表示を必ず確認してください。

ホームシアターとの比較:出せる音圧より、出せる時間

サウンドバーやサブウーファーを導入すれば、体に響く低音は当然得られます。

音の質も、専用機のほうが上でしょう。

しかし、その低音を鳴らせる時間帯は限られます。

集合住宅の夜10時以降、その選択肢は実質的に消えます。

fuiigo-1.1が競っているのは、最大音圧ではなく「使える時間の長さ」です。

深夜に本気の音を出せるかどうか。

この一点において、据え置きシステムは構造的に勝てません。

結論:埋めている隙間は、確かに存在する

fuiigo-1.1は、あらゆる面で優れた万能機ではありません。

手軽さでネックスピーカーに負け、ゲーム連携で海外製ベストに負け、純粋な音質でホームシアターに負けます。

それでも、「耳を塞がず」「音量を上げず」「音と振動を一台で」という三条件を同時に満たす製品は、調べた範囲では他に見当たりませんでした。

隙間産業という言葉は、この製品にとって褒め言葉になります。

まとめ

このスピーカーは、耳を満足させることを最初から諦めています。

その代わりに、肩と胸と腹を選びました。

冒頭で書いた「深夜に音量を下げる指」への答えが、fuiigo-1.1の設計思想そのものです。

熊本の小さな町で、定年後のエンジニアがホームセンターの棚を眺めながら試作を重ねた製品が、VRシアターの機材として採用されるところまで来ました。

大手にはない、いびつで正直なものづくりだと思います。

もちろん、欠点は多いです。

1kgを着る覚悟がいるし、ケーブルは増えるし、置き場所も食います。

Bluetooth対応という言葉を鵜呑みにすると、確実に面食らいます。

それでも、家で音楽や映画に浸る時間が削られ続けている今、あえて「着て、腰を据えて聴く」という不便を提案してきたことに、私は好感を持ちました。

今日からできる一歩を一つだけ。

次に映画を観るとき、音量を下げた瞬間を意識してみてください。

その回数こそが、あなたにこの製品が必要かどうかを測る、いちばん正確な物差しになります。

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