この液タブの本当の実力は画面を消したときに現れます
はじめに
紙なら思いどおりに描けるのに、画面に向かうと線がツルッと滑って形が崩れる。
液タブを買ったものの、ケーブルの多さに疲れて押し入れにしまい込んだ。
そんな経験に、思わずうなずいた人もいるはずです。
私も最初の液タブでは、ペン先の滑りと机の上を這う配線に何度もため息をつきました。
SNSでイラストを発信するのが当たり前になり、同人誌即売会やオンライン販売で自作を届ける人も珍しくなくなりました。
道具を手に入れるハードルは下がったのに、選択肢が多すぎて決められない。
いまの悩みは、むしろそちらです。
今回取り上げるのは、2026年に創業15年を迎えたペンタブレット専業ブランドHUION(フイオン)の「液晶タブレット13.3型GS1333-Black-Stand-JP-AMZ」です。
描き心地を左右する筆圧の細かさ、作品の印象を決める色の正確さ、そして毎日の使いやすさを決めるつなぎやすさ。
この3つの視点から、企業の素顔と製品の実力を順番にひもといていきます。
冒頭の一文が何を指しているのかは、読み進めるうちに分かります。


HUIONとは
企業詳細
HUIONは、ペンタブレットと液晶ペンタブレットを主力とするデジタル描画機器のブランドです。
ブランド名の漢字表記は「絵王」で、2011年にHenryXu氏が立ち上げたとされ、運営会社はHuionTrend(フイオン・トレンド)です。この会社は以前HuionAnimation(フイオン・アニメーション)という名前でした。
2022年7月に運営会社の名称がHuionAnimationからHuionTrendへ変わっています。
一方で、企業紹介では3人の創業者が出会ったことが出発点だと語られており、創業者の人数については資料によって表現が分かれています。
ロゴにも意味が込められています。
3本のペンが王冠の形に組まれており、「絵の王」という名前にかけたデザインです。3本のペンは技術、創造性、誠実さ(Technology,Creativity,Sincerity)という企業の柱を表しています。
名前からして「描くこと」に全振りしている会社だと分かります。
歩みを振り返ると、最初から液タブメーカーだったわけではありません。
創業当初はEMR(電磁誘導方式)の技術を各業界向けに提供するOEM・ODM(他社ブランド製品の受託設計・製造)事業から始まりました。その後、HVプロセッサーチップを載せたペンタブレットK28、無線ペンタブレットW58などを経て、液タブのKamvas(カンバス)シリーズと板タブのInspiroy(インスパイロイ)シリーズを立ち上げています。
タッチセンサー付き無線ペンタブレットInspiroyG10Tは工業デザイン賞のRedStarAward(レッドスター賞)を受賞し、その後は液タブ画面へのフルラミネート加工の導入、上位シリーズKamvasProの投入へと進みました。
2014年には初のライトパッド(トレース台)も発売しています。
受託の技術屋から自社ブランドへ。
この順番が、いまの製品の「中身で勝負する」性格につながっていると感じます。
技術の内製化も、この会社を語るうえで外せないポイントです。
創業11年の節目に発表された資料では、デジタル手書きからデジタル描画へと領域を広げ、中核チップ、中核モジュール、完成品までを自社で手がける企業に成長したと説明されています。
経営戦略として「Technology+Innovation(技術+革新)」を掲げ続けている点も一貫しています。
今回の製品に付属するペンPW600Lについても、新しいPenTech4.0(ペンテック4.0)を採用し、HV200チップの搭載で筆圧感知とカーソル追従が大きく強化されたと説明されています。
事業の規模感はどうでしょうか。
国際見本市の出展者情報では、本社を深圳に置き、欧米やアジア太平洋の100以上の国と地域に販売網を持つと紹介されています。拠点の広さは約3万平方メートル、組立ラインは20本以上、従業員は約1,000人とされています。
自社の研究開発体制と複数の特許を持ち、iFDesignAward(iFデザイン賞)やGoldenPinDesignAward(ゴールデンピン・デザイン賞)などの受賞歴もあるとされ、製品は金融、教育、医療、公共機関などでも使われているとのことです。
ただし、これは企業側が出展時に示した自己紹介であり、公表時期も明記されていません。
数字は「その時点での目安」として受け止めるのが妥当です。
日本との関わりも見ておきます。
日本市場への本格進出は2019年とされています。
同じ年、量販店のツクモは特集記事で、それまでワコムの一強とも言われた市場で、HUIONはワコムに並ぶ存在と評判になっていると紹介していました。
2026年7月にはプレスリリース配信サービスで、Amazonのセールに合わせた価格情報を発表しています。
その中で、16,384レベルの筆圧検知を備えた13.3インチ液タブKamvas13(Gen3)のスタンド付きが33,500円(税込)、スタンドなしが31,000円(税込)で案内されていました。
同じ資料の企業紹介では、設立以来KamvasやInspiroyなどのシリーズを設計・製造し、高品質と手頃な価格の両立、独自の電磁共鳴技術を強みとして、企業や教育分野にも展開していると説明しています。
ここで気になるのが、今回の「液晶タブレット13.3型GS1333-Black-Stand-JP-AMZ」の位置づけです。
型番のGS1333は、海外ではKamvas13(Gen3)として販売されている製品と同じ型番です。前モデルKamvas13から、画面の色の正確さ、ペン技術、接続の安定性を強化した第3世代とされています。
表面素材も、前モデルの反射防止フィルムから、より耐久性の高いCanvasGlass2.0(第2世代キャンバスガラス)に変更されています。
つまり、人気モデルの弱点を一つずつ潰してきた「三代目」と考えると分かりやすいはずです。
最後に、リサーチで分かったことと分からなかったことを正直に整理します。
分かったのは、設立年、運営会社名とその変更履歴、本社所在地、製品シリーズの変遷、そして技術を内製化してきた方針です。
分からなかったのは、売上や利益といった財務情報、日本国内の窓口となる法人の詳細、従業員数の最新値です。
上場の有無も含め、財務面は外から確認できる材料が乏しい状態でした。
★当ブログのオリジナル企業信頼度評価(5つ星評価)
運営体制の明確さ ★★★★(4.0)
設立年、運営会社名、本社所在地、社名変更の時期まで複数の資料で確認できました。
日本国内の窓口法人の詳細が見えにくい点だけ、少し割り引いています。
市場での評価実績 ★★★★(4.0)
日本進出から数年で、量販店の特集で大手と並べて語られる存在になりました。
100以上の国と地域で販売しているという実績も、ブランドの浸透を裏づけています。
商品開発の専門性 ★★★★★(5.0)
受託開発から始まり、チップから完成品までを自社で手がける体制を築いてきました。
ペン技術を世代ごとに更新し続けている点は、専業メーカーならではの強みです。
社会的・文化的な取り組み ★★★(3.0)
教育分野への展開やデザイン賞の受賞、コラボモデルの発売など、創作文化に寄り添う活動が見られます。
ただ、日本国内での具体的な社会貢献活動までは確認できませんでした。
財務情報の開示度 ★★(2.0)
売上や利益などの財務数値は、確認できる範囲では公開されていませんでした。
規模感は出展者情報の数字に頼るしかなく、ここは今後の情報開示に期待したいところです。
総合評価 ★★★☆(3.6)
技術の積み上げと製品の更新ペースには、専業メーカーらしい誠実さがあります。
財務の見えにくさを差し引いても、液タブを任せる相手として十分に検討できる企業です。
商品紹介「液晶タブレット13.3型GS1333-Black-Stand-JP-AMZ」



商品詳細
- 接続技術:HDMI、USB
- 筆圧感度:16384レベル
- 対応OS:Windows10以降/macOS10.12以降/Android6.0(USB3.1、DP1.2)/Linux(Ubuntu20.04LTS)
- 特徴:両利き用デザイン
- 本体サイズ:361.21×202.77×11.7mm
- 読取範囲:293.8×165.2mm
- 画面サイズ:13.3型
- 質量:865g
- 解像度:1920×1080(16:9)FHD
- 色域:sRGBカバー率99%、AdobeRGBカバー率90%、Rec.709カバー率99%(切り替えに対応)
- 色差:DeltaE<1.5
- カラーキャリブレーション:出荷時に実施
- 付属ペン:PW600L(標準)、Pentech4.0テクノロジー採用
- ペンのカスタムショートカットキー:3つ
- ペンのON荷重:2g
- 本体の操作部:ダブルダイヤル、ショートカットキー5個(機能のカスタマイズ可能)
- 画面表面:第2世代アンチグレアガラス(保護フィルムの追加は不要との表記)
- 画面構造:フルラミネート加工
- 動作モード:液タブモードと板タブモードの切り替えに対応
- USBType-Cケーブル1本で接続する場合の条件:パソコンやタブレット端末が画面出力と15WのPowerDelivery(USB給電規格)に対応していること
- 主な用途:アニメーション、マンガ、イラスト、ゲーム、デザイン、3D、写真加工・編集、オンライン授業、オンライン会議、テレワーク
- サポート窓口:公式サイト、Amazonメッセージ、メール、電話
良い口コミ
「ペンを軽く置いただけで線が出るので、下書きの薄い線がやっと思いどおりに描けるようになりました」
「画面がガラスなのにツルツルしすぎず、紙に近い引っかかりがあって手が疲れにくいです」
「出荷時に色を調整済みと書いてあったので、グッズ用のデータを作るときの安心感が違います」
「左手でダイヤルを回すだけでズームとブラシサイズが変えられて、キーボードに手を伸ばす回数が減りました」
「865gなので、リビングと自室の行き来くらいなら気軽に持ち運べます」
気になる口コミ
「手持ちのノートPCがUSB-Cの映像出力に対応しておらず、ケーブル1本では映りませんでした」
「板タブモードへの切り替えで、ケーブルの抜き差しが必要なのが少し面倒です」
「ショートカットキーが5個なので、たくさんの機能を割り当てたい人には物足りないかもしれません」
「Androidでも使えると聞いて試そうとしたら、端末側の条件が細かくて確認に手間取りました」
「13.3型なので、大きなキャンバスで全体を見ながら描くにはズーム操作が増えます」
「液晶タブレット13.3型GS1333-Black-Stand-JP-AMZ」のポジティブな特色
最大の魅力は、ペン先が紙に触れた瞬間のような「描き出しの軽さ」です。
ON荷重2gとは、ペンが反応しはじめる最小の力のことです。
1円玉2枚分ほどの重さで線が出るため、髪の毛の毛先や、消えそうなほど薄い下書き線を拾いやすくなります。
16384レベルの筆圧検知と合わせて、力加減の差がそのまま線の太さや濃さに表れます。
色の信頼性も見逃せません。
DeltaE<1.5とは、表示される色と本来の色のズレを示す数値です。
1.5を下回ると、人の目ではほぼ違いが分からない水準とされています。
出荷時に1台ずつ色を調整しているため、届いたその日から色合わせに悩まずに済みます。
SNS用のイラストはsRGB、印刷物を意識した作業はAdobeRGBというように、用途に応じて色域を切り替えられるのも実用的です。
画面の表面にも工夫があります。
第2世代アンチグレアガラスは、照明の映り込みを抑えつつ、紙のような摩擦を生み出します。
フィルムではなくガラス自体に加工しているため、保護フィルムを買い足す必要がないと案内されています。
フルラミネート加工によってペン先とカーソルのズレも小さくなり、狙った位置に線を置く感覚がつかみやすくなります。
作業効率を上げる仕掛けも充実しています。
ダブルダイヤルはキャンバスの拡大縮小やブラシサイズの変更をくるくると回すだけでこなせます。
ショートカットキー5個とペンのボタン3つを合わせれば、よく使う操作の大半を手元で完結できます。
両利き用デザインなので、左利きの人も配置に悩まずに済みます。
そして冒頭の一文の答えが、板タブモードです。
液タブの電源を切ると画面は黒いままになり、ペンタブレットとして使えるようになります。
つまり、1台で液タブと板タブの二役をこなせるということです。
目の疲れを感じた日は画面を消して、外部モニターを見ながら板タブとして描く。
姿勢を変えたい日は液タブに戻して、画面に直接描き込む。
その日の体調や作業内容に合わせて道具を「着替えられる」のは、ほかではなかなか味わえない強みです。
画面を消したときに本当の実力が現れるとは、このことです。
「液晶タブレット13.3型GS1333-Black-Stand-JP-AMZ」のネガティブな特色
最初に確認したいのは接続条件です。
USBType-Cケーブル1本でつなぐには、パソコンやタブレット端末が画面出力と15WのPowerDeliveryに対応している必要があります。
USB-Cの差し込み口があっても、映像を出せない機種は少なくありません。
対応していない場合はHDMIとUSBを使う3in1ケーブルでの接続になり、配線はどうしても増えます。
Androidでの利用にも前提があります。
対応OSにはAndroid6.0と並んで、USB3.1やDP1.2といった条件が記されています。
スマホやタブレットなら何でもつながるわけではないため、手持ちの端末の仕様を事前に調べる手間がかかります。
Linuxについても、明記されているのはUbuntu20.04LTSのみです。
板タブモードは便利な反面、切り替え手順に少しクセがあります。
3in1ケーブルの場合はHDMIケーブルを外し、電源が入っている状態からの切り替えではUSB-Cケーブルを一度抜き差しする必要があります。
ボタン一つで切り替えられる仕組みを想像していると、肩すかしを感じるかもしれません。
ショートカットキーは5個です。
ダイヤルとペンのボタンで補えるとはいえ、多くの機能を割り当てたい人には物足りない可能性があります。
商品名にはStandとありますが、提供されている商品情報にはスタンドの角度や仕様の記載がありません。
タッチ操作についても記載はなく、指での拡大縮小を期待する人は購入前に確認しておくと安心です。
また、商品説明の日本語には読み取りにくい箇所もあり、細かな仕様を正確に理解するには公式サイトなどで補う必要があります。


他メーカーの商品との比較
比較する2製品
同じ13.3型クラスから、ワコムの「WacomOne液晶ペンタブレット13touch」と、XPPen(エックスピーペン)の「Artist13.3ProV2」を選びました。
価格はいずれも時期や販売店で変動するため、目安として捉えてください。
描き心地と筆圧
WacomOne13touchは、筆圧レベルが4096で、量販店では69,080円(税込)で販売されている例があります。
数値だけ見ると、16384レベルのGS1333が細かさで上回ります。
Artist13.3ProV2は筆圧16384レベルで、ペンが反応しはじめる力は3gとされています。
筆圧の段階数は互角で、描き出しの軽さは2gのGS1333がわずかに有利です。
色と画面
Artist13.3ProV2はsRGB99%、AdobeRGB89%とGS1333に近い色域です。
ただし、表面は反射防止フィルムで紙のような質感を出す仕組みです。
GS1333はガラスそのものに加工しているため、フィルムの劣化や貼り替えの心配が少ない点で一歩リードします。
WacomOne13touchはsRGB100%をうたい、10本指のマルチタッチに対応しています。
指で拡大や回転をしたい人には、この点が大きな差になります。
操作性と携帯性
Artist13.3ProV2は赤いダイヤルと8個のショートカットキーを備えています。
キーの数ではGS1333の5個を上回り、ショートカットを多用する人には魅力です。
一方、重さはスタンドなしで1.139kgです。
WacomOne13touchも900gのため、865gのGS1333が3製品の中でもっとも軽量です。
価格とサポート
GS1333は、セール時に3万円台前半で案内されたことがあり、価格面では有利です。
一方ワコムは、東京・西新宿に本社を置き、電話窓口や資料請求の受付時間を公開しています。
購入者向けの限定コンテンツなど、使いはじめから上達までを支える仕組みも用意されています。
初めての1台で手厚いサポートを重視するなら、この安心感は価格差以上の価値になり得ます。
比較から見えた結論
筆圧の細かさ、色の正確さ、軽さ、価格のバランスでは、GS1333が頭一つ抜けています。
タッチ操作と国内サポートを重視するならWacomOne13touch、ショートカットの数を重視するならArtist13.3ProV2が候補になります。
描くこと自体の質にお金をかけたい人ほど、GS1333が合っています。
まとめ
道具選びは、相棒選びに似ています。
スペック表の数字より、毎日机に向かう気持ちを軽くしてくれるかどうかが大切です。
HUIONの「液晶タブレット13.3型GS1333-Black-Stand-JP-AMZ」は、軽い筆圧で線が出る描き心地と、届いた日から信頼できる色を両立しています。
さらに、画面を消せば板タブにもなる。
この柔軟さは、疲れた日も描き続けたい人の背中をそっと押してくれます。
SNSやイベントで作品を届ける機会が増えたいまだからこそ、手になじむ1台の価値は大きいと感じます。
接続条件だけは購入前に必ず確かめてください。
今日できる小さな一歩として、使っているパソコンの仕様書を開き、USB-Cの差し込み口が映像出力に対応しているかを確認してみてください。
その数分が、後悔しない液タブ選びにつながります。




