焼肉グリルの本当の主役は焼肉ではありませんでした
はじめに
翌朝、カーテンに顔を近づけたら、まだ昨夜の焼肉のにおいが残っていた。
そんな経験がある方は、きっと少なくないはずです。
家で焼肉をするのは楽しい。
けれど、白く煙る部屋、テーブルに飛んだ油の点々、髪にしみついたにおいを思い出すと、ついホットプレートを出すのをためらってしまいます。
外食の値上がりが続くなか、「家で焼肉」は財布にやさしい選択肢のはずなのに、後片付けの面倒さがその気持ちにブレーキをかけてしまうのです。
そこで注目したいのが、大阪の専門商社が手がけるブランド「YAMAZEN」の「YAMAZEN煙の少ないホットプレートXGRILLTRIPLEYHP-TX130(B)」です。
煙を約65%、油ハネを約70%抑えるとうたう焼肉プレートに加え、たこ焼きプレートと平面プレートまで付いた3枚構成のモデルです。
大阪といえば、友人が集まれば「タコパ」が始まる土地柄。
その大阪に本社を置く会社が、なぜたこ焼きにここまでこだわったのか。
この記事では、YAMAZENという会社の素顔から、商品の実力、そして他メーカーとの比較までを、良い点も気になる点も包み隠さずお伝えします。


YAMAZENとは
企業詳細
YAMAZENは、株式会社山善が展開する家庭機器ブランドです。
扇風機やこたつ、電気毛布の売り場で、このロゴを見かけたことがある方も多いはずです。
ただ、山善の本業が「家電メーカー」ではないことは、意外と知られていません。
始まりは、一人の丁稚から
創業者の山本猛夫氏は1921年に福井県で生まれ、小学校を終えると大阪・立売堀の機械工具商へ奉公に出た人物とされています。
注文をいくら取っても給料が上がらないことに見切りをつけ、22歳で独立したといわれています。
会社としての出発点は、太平洋戦争後の1947年に設立された「山善工具製販株式会社」です。
発足時の従業員はわずか7名で、機械工具の卸販売からスタートしたと伝えられています。
この創業者には、もう一つの顔があります。
「モーやん」の愛称で呼ばれた山本猛夫氏の歩みは、小説「どてらい男」のモデルになりました。
作者は花登筺で、テレビドラマ化されて好評を博し、映画や舞台、漫画にも展開された作品です。
一企業の創業者が国民的ドラマの主人公のモデルになる例は、そう多くありません。
「生産財」と「消費財」の二本柱
山善は、工作機械や機械工具といったものづくりの現場で使う「生産財」と、暮らしに関わる「消費財」の2つの事業分野を持つ複合型の専門商社です。
同社はこの両輪で成長する構想を「ダブルウィング」と呼び、生産財に偏らず消費財も伸ばすことで、事業の安定性と成長性を高める考え方を示しています。
本店は、創業者が丁稚奉公をした街と同じ大阪です。
本店所在地は大阪市西区立売堀二丁目で、2026年時点の代表取締役社長は岸田貢司氏、東京本社は東京都港区港南に置かれています。
証券コード8051で東証プライム市場に上場している企業でもあります。
数字で見る現在の規模
2026年3月期の連結売上高は541,885百万円(前期比5.0%増)、営業利益は12,041百万円(同26.3%増)でした。
売上高は直近5年で最高の水準とされています。
事業別に見ると、生産財関連事業が349,218百万円、住建事業が87,403百万円、家庭機器事業が101,560百万円という構成です。
つまり、私たちが店頭で目にするYAMAZEN製品は、山善全体から見れば売上の2割弱にあたる事業から生まれています。
家庭機器事業の直近の動きも見ておきます。
前期の猛暑の影響でファン付ウェアや移動式エアコンの販売が好調だったことに加え、販路別ではECの伸長が増収に寄与したと説明されています。
ネット通販でYAMAZENの名前をよく見かけるのは、偶然ではないわけです。
「工場を持たない」という戦い方
ここが、YAMAZENを評価するうえで最も大切なポイントです。
山善の家庭機器は、自社で工場を持たず外部の協力工場と連携して開発・生産する「ファブレスメーカー」という仕組みで商品化されています。
販売データやSNS、口コミ情報をもとに消費者ニーズを捉えた商品を企画しているとされています。
プライベートブランド商品は家庭機器事業の売上高の約6割を占めるという分析もあります。
この仕組みには長所と短所があります。
長所は、売れ筋の変化に素早く対応でき、価格を抑えやすいことです。
一方で、自社工場を持つメーカーに比べると、製造そのものの技術を社内に蓄積しにくいという見方もできます。
YAMAZEN製品が「手頃でよく考えられているけれど、最高級品ではない」と感じられやすいのは、このビジネスモデルと無関係ではありません。
XGRILLシリーズの歩み
今回の商品が属するXGRILLシリーズは、YAMAZENのなかでも息の長いヒット企画です。
シリーズの初代「YGMA-X100」は2020年7月に発売され、自社ホットプレートとの比較で煙を約70%カットするとされていました。
続く「XGRILL+PLUS」では網のすき間を8ミリから5ミリに狭めるなどの改良で、煙の低減率が約80%に向上したと紹介されています。
吸煙ファンを備えた上位モデル「XGRILLPREMIUM」も登場しています。
シリーズの累計販売台数は2024年9月末時点で約50万台を突破し、同年10月にはカセットボンベ式の第7弾まで展開が広がりました。
そのなかで今回の商品は、シリーズ第5弾として、焼肉に加えて調理の幅を広げるために3枚のプレートを付属させたモデルです。
発売時の店頭予想価格は11,000円とされていました。
焼肉専用機として磨いてきた技術を、「毎日使える一台」へ広げた位置づけと言えます。
これからの山善
山善は2025年4月から中期経営計画「PROACTIVEYAMAZEN2027」(プロアクティブ=先を見越して動く)をスタートさせ、海外の生産財事業の強化を重点施策としています。
2026年3月には、インドネシアの工業用品卸売事業者の全株式を取得し、完全子会社化することで最終合意したと発表しました。
家庭機器のブランドとしてだけでなく、ものづくりを支える商社として今も事業を広げている企業です。
★当ブログのオリジナル企業信頼度評価(5つ星評価)
運営体制の明確さ ★★★★★(5.0)
本店所在地や代表者名、事業内容が法定開示書類で明らかにされています。
問い合わせ先が見えない海外通販ブランドとは、安心感の土台が違います。
市場での評価実績 ★★★★☆(4.5)
XGRILLシリーズだけで累計約50万台を販売した実績があります。
1947年の設立から続く長い取引の歴史も、信頼の裏付けになっています。
商品開発の専門性 ★★★☆(3.5)
ファブレス型のため、製造技術を自社で抱えるメーカーと同列には評価しにくい面があります。
それでも、試験機関の数値を示しながら改良を重ねる姿勢は評価できます。
社会的・文化的な取り組み ★★★★(4.0)
創業者の歩みが小説やドラマになり、1975年から続く展示即売会「どてらい市」も社業の一部として受け継がれています。
企業の物語を大切にしている点に好感が持てます。
財務情報の開示度 ★★★★★(5.0)
上場企業として有価証券報告書や決算短信を定期的に公開しています。
事業ごとの売上まで確認できる透明性は、家電ブランドとしては高い水準です。
総合評価 ★★★★☆(4.4)
「工場を持たない商社のブランド」という点を理解したうえで選べば、信頼して付き合える企業です。
とくに情報開示の手厚さは、知名度の低い家電ブランドとは一線を画しています。
商品紹介「YAMAZEN煙の少ないホットプレートXGRILLTRIPLEYHP-TX130(B)」



商品詳細
- スタイル:,トリプルプレート[焼肉/たこ焼き/平面]
- 特徴:取り外し可能なサーフェス
- 材質:金属
- 付属コンポーネント:焼肉プレート、たこ焼きプレート、平面プレート、フタ、取扱説明書
- 本体サイズ:幅44×奥行27×高さ16.5cm(平面プレート/フタ有り)
- 本体重量:3.2kg(平面プレート/フタ有り)
- 電源:AC100V(50/60Hz)
- 消費電力:1300W
- 温度設定:約80度(保温)~230度
- 電源コード:約2.2m
- 焼肉プレート:独自の“Xカット構造”で油を効率的に下へ落とす
- 煙のカット率:約65%(日本ラボテック株式会社発煙性試験試験番号JH240390068-1発行日2024年3月25日、当社ホットプレートとの比較)
- 油ハネのカット率:約70%(日本ラボテック株式会社発煙性試験試験番号JH240390075発行日2024年3月27日、当社ホットプレートとの比較)
- たこ焼きプレート:焼き穴サイズ直径43mm・深さ25.5mm
- たこ焼きプレートの加熱:全てのたこ焼き穴の真下にヒーターを配置
- たこ焼きプレートの機能:ひっくり返しやすくするための串ガイド付き
- 平面プレートの用途:付属のフタを活用し、お好み焼きや餃子などの調理が可能
- フタ:自立可能、取っ手部分が取り外し可能
- 収納:取っ手を重ねたプレートとフタの間に入れて収納可能
- 保証期間:お買い上げ日より1年間(一般家庭用以外(業務用など)に使用された場合の故障及び損傷などは保証対象外)
良い口コミ
「換気扇を回しておけば、前のホットプレートより部屋の白っぽさがかなり減りました」
「たこ焼きの穴が大きいので、具をたっぷり入れても生地があふれにくいところが気に入っています」
「串ガイドのおかげで、子どもでもたこ焼きをくるっと返せるようになりました」
「平面プレートとフタで餃子を焼いたら、焼肉以外でも出番が増えました」
「フタの取っ手を外してプレートの間にしまえるので、どこにいったか探さずに済みます」
気になる口コミ
「煙はかなり減りましたが、ゼロではないので換気扇は必須でした」
「たこ焼きが大きい分、中まで火が通るのに少し時間がかかる気がします」
「最高温度が230度なので、もう少し強火で一気に焼きたいときには物足りなさを感じます」
「家族4人で焼肉をすると、焼き面が少し手狭に感じることがあります」
「3枚のプレートとフタを全部しまうと、収納場所はそれなりに必要です」
「YAMAZEN煙の少ないホットプレートXGRILLTRIPLEYHP-TX130(B)」のポジティブな特色
この商品の一番の価値は、「棚の奥で眠らないホットプレート」であることです。
焼肉専用グリルは、年に数回しか出番がないまま、ほこりをかぶりがちです。
3枚のプレートがあれば、週末は焼肉、雨の日はたこ焼き、平日の夜は餃子と、使い道がぐっと広がります。
焼肉プレートは、プレート裏の“Xカット構造”で油を下へ落とす仕組みです。
煙が出る主な原因は、プレートに残った油が高温で焦げることにあります。
油をためずに逃がす構造なので、煙は約65%、油ハネは約70%カットとされています。
テーブルの拭き掃除や、翌日のカーテンのにおいが気になっていた方には、大きな違いになります。
たこ焼きプレートも、ただのおまけではありません。
焼き穴は直径43mm、深さ25.5mmと大ぶりです。
すべての穴の真下にヒーターがあるため、端の穴だけ焼けないといった焼きムラが起きにくい設計です。
串ガイドがあるので、たこ焼き初心者の家族でも返しやすく、テーブルを囲んで盛り上がる時間が生まれます。
平面プレートとフタの組み合わせも便利です。
お好み焼きや餃子は、フタで蒸し焼きにすると中までふっくら仕上がります。
フタは自立するので、調理中の置き場所に困りません。
収納の工夫も見逃せません。
取っ手を外して重ねたプレートとフタの間に入れておけば、小さな部品をなくす心配がありません。
本体重量は平面プレートとフタを付けた状態で3.2kgなので、出し入れも負担になりにくい重さです。
電源コードは約2.2mあり、ダイニングテーブルの中央まで届きやすい長さです。
コンセントがテーブルから少し離れている家庭でも、置き場所を選びやすくなります。
「YAMAZEN煙の少ないホットプレートXGRILLTRIPLEYHP-TX130(B)」のネガティブな特色
まず、煙のカット率の読み方には注意が必要です。
「約65%カット」は、同社のホットプレートと比べた数値です。
他社製品と比べた数値ではないため、カット率の数字だけで他メーカーより優れていると判断するのは早計です。
次に、温度の上限です。
温度設定は最高で約230度です。
後ほど比較で触れるように、250度まで設定できる他社製品もあるため、強い火力で肉の表面を一気に焼きたい方には物足りなく感じる可能性があります。
吸煙ファンは付いていません。
油を落とす構造で煙を減らす仕組みなので、煙もにおいもゼロにはなりません。
換気扇との併用は前提と考えたほうが安心です。
焼き面の広さにも限りがあります。
本体サイズは幅44×奥行27cmで、大人数での焼肉パーティーには向き不向きが分かれます。
3〜4人より多い集まりが多い家庭は、もう一回り大きい機種と比べてから決めることをおすすめします。
プレート表面のコーティングの種類や、プレートの洗い方の詳細は、提供されている仕様からは確認できません。
購入前や使い始めに、取扱説明書で手入れの方法を確認しておくと安心です。
保証期間は1年間です。
業務用などの一般家庭用以外での使用は保証の対象外となるため、店舗やイベントでの使用を考えている方は注意が必要です。


他メーカーの商品との比較
比較の前提
比較対象には、同じく焼肉・たこ焼き・平面の3枚プレートを備えた、アイリスオーヤマ「網焼き風ホットプレート3枚プレートIHA-A30-B」と象印「ホットプレートやきやきEA-HA30」を選びました。
いずれも消費電力は1300Wで、条件をそろえて比べやすい組み合わせです。
アイリスオーヤマIHA-A30-Bとの比較
アイリスオーヤマの製品は、穴あきの焼肉プレートで油を水受皿に落とし、煙を出にくくする仕組みです。
設定温度は保温から250℃まで、コードの長さは1.8m、保証期間は1年間です。
たこ焼きプレートは直径約43mmの大きめサイズで、プレートや本体ガードを丸洗いできる点も特長です。
最高温度では、アイリスオーヤマが20度上回ります。
たこ焼きの穴の直径はほぼ同じで、大玉が焼ける点は互角です。
一方で、アイリスオーヤマは付属品込みで約6.5kg、使用時サイズは幅484×奥行341mmとされています。
条件が完全に同じ比較ではないものの、YAMAZENは平面プレートとフタ付きで3.2kgと軽く、コードも約2.2mと長めです。
軽さと取り回しを重視するならYAMAZEN、火力と焼き面の広さを重視するならアイリスオーヤマが有力です。
象印やきやきEA-HA30との比較
象印の製品は深型の穴あき焼肉プレートを採用し、煙は半分、油の飛び散りは約90%カットとしています(メーカー調べ)。
プレートに6度の傾斜をつけて油を流れやすくしているのも特長です。
温度調節は保温(80℃)から250℃まで、電源コードは2.5mです。
たこ焼きプレートは直径43mmの穴が30個あり、深型平面プレートを含む3枚構成です。
注意したいのは、煙のカット率の比較基準が違うことです。
YAMAZENは自社ホットプレートとの比較、象印はメーカー調べという表記のため、「65%」と「半分」を単純に並べて優劣は決められません。
油の飛び散りの抑制や、煮込み料理にも使える深型平面プレート、最高温度の高さでは象印に分があります。
ただし、価格比較サイトでの最安価格は1万5千円台とされており、価格は時期によって変わるものの、YAMAZENの方が手に取りやすい価格帯で選べる傾向にあります。
比較からわかること
火力と多機能さでは、他の2機種に一歩譲る場面があります。
それでも、軽さ、コードの長さ、取っ手の収納の工夫、そして価格のバランスでは、YAMAZENに十分な魅力があります。
「本格派の一台」よりも「気軽に何度も出せる一台」を求める方にこそ合う商品です。
まとめ
冒頭で、焼肉グリルの本当の主役は焼肉ではないとお伝えしました。
その答えは、たこ焼きと平面プレートにあります。
「YAMAZEN煙の少ないホットプレートXGRILLTRIPLEYHP-TX130(B)」は、煙と油ハネを抑えた焼肉プレートで「家焼肉のハードル」を下げ、残りの2枚で「出番の多さ」を手に入れた商品です。
年に数回の特別な道具ではなく、週に一度は食卓に並ぶ相棒になれる。
そこに、どてらい男の時代から暮らしに寄り添ってきたYAMAZENらしさが表れています。
もちろん、火力や焼き面の広さでは上を行く他社製品もあります。
だからこそ、自分の家の人数と使い方に合うかどうかが大切です。
まずは今夜、手持ちのホットプレートが最近いつ使われたかを思い出してみてください。
しばらく出番がないなら、それが買い替えを考えるサインです。




