その水はボトルの口を出る瞬間まで「完成」していません
はじめに
冷蔵庫から出したばかりの、2Lのサントリー天然水。
キャップをひねるとき、中身がどこまできれいなのかを考えたことはあるでしょうか。
私は、一度もありませんでした。
その感覚を揺さぶったのが、2024年1月に発表された研究です。
市販のボトル入り飲料水1Lから、平均で約24万個ものプラスチック粒子が見つかったと報じられました。
数字を見た瞬間、手元のボトルが少しだけ別の物に見えたのを覚えています。
もっとも、体への影響はまだ研究の途中です。
怖がりすぎるのも、何もしないのも違う。
多くの人が探しているのは、その間にある「ちょうどいい対策」ではないでしょうか。
そんな中、2026年6月に日本で販売が始まったのが、REALWATERの「REALWATERペットボトル用フィルター口径28mmペットボトル対応」です。
いつものペットボトルの口にねじ込むだけで、飲む直前に水をろ過する仕組みです。
拍子抜けするほどシンプルです。
この記事では、ブランドの成り立ちから試験データの読み方、他メーカーとの違いまでを、良い面も気になる面も隠さずに整理します。
読み終えるころには、冒頭の一文の意味が腑に落ちるはずです。


REALWATERとは
企業詳細
ひとつの研究から生まれたブランド
REALWATERは、ペットボトル入り飲料水のマイクロプラスチック対策に特化したフィルターキャップを手がけるブランドです。
開発元は韓国のスタートアップ「RealwaterCo.(リアルウォーター社)」で、創業者はクォン・ヒョクジェ(KwonHyeokJae)氏です。
開発のきっかけとして海外の包装業界メディアが紹介しているのが、2018年のニューヨーク州立大学の研究です。
この研究では、9カ国から11ブランド・計259本のボトル入り飲料水が集められました。
その結果、90%を超えるサンプルから微小なプラスチック片が見つかったとされています。
この結果を受けて、WHO(世界保健機関)も飲料水中のプラスチック粒子のリスクについて検討を求めました。
「売られている水そのものを変えるのは難しい。それなら飲む瞬間に取り除けばいい」。
REALWATERの出発点は、この逆転の発想にあります。
3Dプリンターで試作を重ねた10か月
開発チームは、マイクロプラスチックの粒子サイズを調べるところから始めました。
市販のフィルターを調べ、それぞれの孔の大きさや仕組みを比べたうえでキャップの形に落とし込んだと伝えられています。
クォン氏は、製品化までに10か月以上かかったと語っています。
フィルターを支える枠の形や大きさを変えながら実験を繰り返し、試作品は3Dプリンターで何度も作り直したそうです。
会社のモットーは「Makewaterthatcanbedrunkwithrealpeaceofmind(本当に安心して飲める水をつくる)」です。
大企業の研究所ではなく、小さなチームの試行錯誤から生まれた製品だという点は、このブランドを理解するうえで押さえておきたいポイントです。
クラウドファンディングから量産へ
REALWATERのフィルターが最初に世に出たのは、2020年5月のことです。
舞台はWadiz(ワディズ:クラウドファンディングサイト)でした。
量産に向けた資金を集め、目標を達成したと報じられています。
2021年3月ごろには、海外の包装業界メディアが相次いでこの製品を取り上げました。
クォン氏はその中で、海外からの問い合わせが増えており、本格的な海外展開を準備していると話しています。
支援ページの見出しには「4万人が選んだ」という趣旨の数字が掲げられています。
ただし、この数字の集計方法までは確認できませんでした。
安全性を裏付ける第三者試験
ブランドは、早い段階から第三者機関の試験結果を前面に出してきました。
海外メディアの報道によれば、韓国化学融合試験研究院(KTR)の試験で有害物質不検出の認証を受けています。
さらに、韓国建設生活環境試験研究院の試験ではBPA(ビスフェノールA)が検出されず、BPAフリーの認証も取得したとされています。
日本向けの商品説明では、韓国分析科学研究所による粒子のろ過試験の報告書番号まで公開されています。
試験機関や番号まで明示する姿勢は、根拠を示そうとする意思の表れと受け取れます。
日本での販売を担う会社
日本での販売は、東京都港区に本社を置く株式会社I-ANSが運営する「東京グロサリークラブ」が担っています。
同社は2026年6月1日に日本国内での正式販売を始め、6月24日にプレスリリースを出しました。
プレスリリースに記載された会社概要は次の通りです。
所在地は東京都港区元赤坂、設立は2007年5月、資本金は900万円、代表者は朴庾賢氏です。
販売チャネルは、東京グロサリークラブの公式オンラインショップとAmazonの公式ストアです。
同じリリースでは、対応ボトルの例としてサントリー天然水、エビアン、FUJISUISUIが挙げられています。
フィルターの孔のサイズは5µm(マイクロメートル)、材質はポリプロピレン(BPAフリー)、セットは2本入りと5本入りです。
国内特許第7401139号と米国特許US12,291,463B2を取得していることも記載されています。
リサーチで分かったこと・分からなかったこと
確認できたのは、創業者の名前、開発の経緯、クラウドファンディングでのデビュー時期、第三者試験の内容、そして日本の販売会社の概要です。
小さなスタートアップとしては、表に出ている情報が多い部類に入ります。
一方で、開発元の設立年や資本金、所在地といった会社としての基本情報は見つけられませんでした。
プレスリリースには「フィルター専門チームが15年以上の研究を経て完成」とあります。
しかし、創業者自身は開発期間を「10か月以上」と語っています。
商品説明にある「15年以上フィルターを研究・製造してきた工場で生産」という記述を踏まえると、生産を担う工場の経歴とブランドの開発期間が、宣伝文の中で混ざって伝わっている可能性があります。
また、「AP通信をはじめ6カ国・計98のメディアで報道された」という記述は、今回の調査では原文の記事まで確認できませんでした。
もうひとつ、日本の宣伝文では「毎週5g、クレジットカード1枚分のマイクロプラスチックを摂取している」というWWF(世界自然保護基金)の報告が引用されています。
これは2019年に過去の研究を集めて試算した推計値です。
その前提については専門家の間でも見方が分かれているため、確定した事実として受け取るのは避けたほうが安全です。
★当ブログのオリジナル企業信頼度評価(5つ星評価)
運営体制の明確さ ★★★☆(3.5)
創業者の名前と開発の経緯がはっきりしており、日本の販売会社も所在地や代表者を公開しています。
一方で、開発元そのものの会社情報が見えにくい点は減点としました。
市場での評価実績 ★★★☆(3.5)
クラウドファンディングでの資金調達と、海外の包装業界メディアでの複数の報道は確認できました。
ただ、日本での販売は2026年6月に始まったばかりで、国内での実績はこれから積み上がる段階です。
商品開発の専門性 ★★★★(4.0)
粒子のサイズや既存フィルターの仕組みを調べてから設計した経緯が、創業者の言葉で具体的に語られています。
試験報告書の番号や特許番号まで示している点も評価しました。
社会的・文化的な取り組み ★★★(3.0)
ペットボトル飲料水のマイクロプラスチックという社会課題に正面から取り組む姿勢は、ブランドの存在意義そのものです。
ただし、啓発活動や環境面での取り組みについての情報は、今回確認できた範囲では限られていました。
財務情報の開示度 ★★(2.0)
日本の販売会社は資本金と設立年を公開しています。
開発元の財務情報は確認できなかったため、この項目は控えめな評価です。
総合評価 ★★★☆(3.2)
小さなチームが課題意識から作り上げた、誠実さの感じられるブランドです。
根拠を示そうとする姿勢は好印象な一方、宣伝文に出てくる数字は自分で確かめながら読みたいところです。
商品紹介「REALWATERペットボトル用フィルター口径28mmペットボトル対応」



商品詳細
- 特徴:マイクロプラスチック対策、5µm(マイクロメートル)微粒子ろ過
- 商品の寸法:35長さx35幅x45高さmm
- 付属コンポーネント:フィルター
- 精製方法:ろ過
- メーカー:REALWATER
- フィルターライフサイクル:2月
- 商品の個数:1
- 対応ボトル:口径28mm(PCO28規格:ペットボトルの口の規格)のペットボトル、サントリー天然水にそのまま装着可能
- 使い分け:外出先では500ml、自宅では2Lボトルに付け替えて使用可能
- 非対応ボトル:自動販売機専用ボトル、口径の異なるボトル(購入前にキャップの口径確認が必要)
- 飲み方:ボトルを軽く押すだけで水が出るしくみ、飲み口に口を直接つけない衛生設計
- 水量:押した分だけ出るため自然にコントロール可能、カバンの中でもこぼれにくい構造
- 想定する粒子サイズ:ミネラルウォーターから検出されるマイクロプラスチックはおよそ59〜139µmとされる
- 第三者試験:53〜63µmのポリエチレン粒子300個を用いた条件下で、ろ過後の試料から当該粒子が検出されず(韓国分析科学研究所調べ/試験報告書番号21KA0001-01/45µm以上を対象)
- 素材の安全性:第三者試験機関の試験でBPA(ビスフェノールA)・蛍光剤・有害物質が検出されなかった素材を使用
- フィルター素材:NSF(米国の公衆衛生・安全規格の認証機関)規格に適合する原料を採用
- 生産体制:ISO9001(品質管理の国際規格)/ISO14001(環境管理の国際規格)認証のもと、15年以上フィルターを研究・製造してきた工場で生産
- 交換目安:1日2Lの使用で約2ヶ月
- 5個入りの場合:約10ヶ月分、1Lあたり約7円、1日あたり約14円、2個入りより1個あたり20%お得
良い口コミ
「キャップを外してねじ込むだけなので、説明書を読む前に使えました。いつもの天然水がそのまま浄水ボトルになる感覚が新鮮です。」
「口をつけずに飲めるので、職場で飲みかけのボトルを机に置いておくときも気になりません。」
「押した分しか出ないので、移動中に揺れてもこぼれませんでした。カバンの中が水浸しになる心配が減ったのはうれしいです。」
「500mlと2Lで付け替えられるので、通勤用と家用で別々に買う必要がありませんでした。」
「試験報告書の番号まで書いてあるので、何となくの安心ではなく、根拠を見てから選べたのが良かったです。」
気になる口コミ
「勢いよくゴクゴク飲みたいときは、押して出す仕組みがもどかしく感じます。」
「よく買う自販機のボトルに付けられませんでした。口径をちゃんと確認してから買えばよかったです。」
「5µmと書いてあるのに、試験は45µm以上が対象なんですね、と読み返して少し混乱しました。」
「2ヶ月で交換と分かっていても、いつ付け始めたかを忘れてしまいます。」
「フィルター自体もプラスチックなので、その点が気になる人もいると思います。」
「REALWATERペットボトル用フィルター口径28mmペットボトル対応」のポジティブな特色
最大の魅力は、今の習慣を何ひとつ変えずに始められることです。
浄水ポットを置くスペースもいらなければ、新しい水筒を買う必要もありません。
いつものサントリー天然水を買って、キャップを外し、フィルターをねじ込み、元のキャップを上から閉めるだけです。
対策を始めるハードルとしては、これ以上低くしようがないほどです。
次に、口をつけずに飲める構造です。
飲みかけのボトルをカバンに入れたまま帰りの電車に乗り、取り出したら飲み口の周りが何となくベタついていた。
そんな経験がある人は少なくないはずです。
このフィルターはボトルを軽く押すと水が出る仕組みなので、飲み口に唇が触れません。
マイクロプラスチック対策の商品でありながら、日々の衛生面の小さなストレスまで一緒に減らしてくれる点は、実はもうひとつの主役といえます。
押した分だけ出るという設計も、地味に効いてきます。
ボトルが倒れても一気に流れ出しにくいので、書類やノートパソコンと一緒にカバンへ入れる人には心強い仕様です。
試験データの具体性も評価できます。
ミネラルウォーターから検出されるマイクロプラスチックがおよそ59〜139µmとされる中で、53〜63µmのポリエチレン粒子300個を使った試験を行っています。
その結果、ろ過後の試料から粒子が検出されなかったという内容です。
試験機関名と報告書番号まで明記されているので、気になる人は自分で根拠をたどることができます。
コスト面も現実的です。
提供情報によると、5個入りで約10ヶ月分、1Lあたり約7円、1日あたり約14円です。
毎日飲むものに上乗せする金額としては、缶コーヒー1本よりずっと小さな負担に収まります。
素材についても、BPA・蛍光剤・有害物質が検出されなかった素材を使い、フィルターにはNSF規格に適合する原料を採用しています。
口に入る水が最後に通る部品だからこそ、ここが曖昧でないことは安心材料になります。
「REALWATERペットボトル用フィルター口径28mmペットボトル対応」のネガティブな特色
まず押さえておきたいのが、「5µm」という表記と試験条件の違いです。
商品名や宣伝文では5µmのフィルターであることが強調されています。
ところが、提供されている第三者試験は「53〜63µmの粒子」を使い、「45µm以上」を対象にしたものです。
つまり、5µm前後の粒子をどれだけ取り除けるかを直接示すデータは、提供情報の中には見当たりません。
45µm以上の粒子に対する結果としては心強い一方、5µmまで同じ性能だと読み替えるのは避けたほうが正確です。
さらに小さな粒子の問題もあります。
冒頭で触れた2024年の研究で見つかった粒子の多くは、1µmよりも小さいナノサイズのものだったと報じられています。
孔の大きさが5µmのフィルターでは、こうした極小の粒子まで取り除けるとは考えにくいのが実情です。
「マイクロプラスチックをすべて除去できる」と受け取るのではなく、「比較的大きな粒子を減らす道具」として期待値を合わせておくことをおすすめします。
使えるボトルが限られる点にも注意が必要です。
口径28mm(PCO28規格)のペットボトル専用で、自動販売機専用ボトルや口径の異なるボトルには付けられません。
コンビニで手に取ったボトルがたまたま非対応だった、ということは十分に起こり得ます。
飲み方の好みも分かれそうです。
押して出す構造は衛生的でこぼれにくい反面、運動後に一気に飲みたい場面ではもどかしく感じるかもしれません。
ボトルの硬さは銘柄によって違うため、押しやすさにも差が出る可能性があります。
交換の管理も、使う人に任されています。
交換目安は1日2Lの使用で約2ヶ月ですが、使用量が日によって違えば時期もずれます。
本体に交換時期を知らせる仕組みについての記載はありません。
最後に、表記の食い違いがあります。
商品詳細では「商品の個数:1」となっている一方、説明文では「5個入り・約10ヶ月分」とうたっています。
購入するときは、販売ページで実際の入り数を必ず確認してください。


他メーカーの商品との比較
比較の前提
同じ「ペットボトルに付けるフィルター」でも、狙いは大きく二つに分かれます。
市販のミネラルウォーターを飲む直前にろ過するタイプと、川の水や水道水を飲める水に変えるアウトドア向けのタイプです。
REALWATERは前者に当たります。
HydraPak「28mmInLineFilter(28mmインラインフィルター)」
口径28mmのボトルにねじ込めるアウトドア向けのフィルターです。
0.2µm未満の中空糸膜(細い管状の膜で水をこす方式)を使い、3µm以上のマイクロプラスチックを99.999%除去するとうたっています。
寿命は約1,500Lで、細菌や寄生虫の除去にも対応します。
ろ過の細かさと除去性能の根拠は、REALWATERを明らかに上回ります。
一方で、長さが129mmあり、35×35×45mmのREALWATERと比べると大きく、毎日のカバンに入れるには存在感があります。
価格は海外の販売店で40ドル前後で、国内では手に入りにくい点も考えておく必要があります。
モンベル「ウォーターフィルター」
0.1µmの中空糸膜で、細菌や寄生虫を99.9999%除去するとされる携帯浄水器です。
口径42mmと28mmの両方に対応し、重さは約50gです。
2025年の紹介記事では本体6,600円、交換カートリッジ5,500円で、交換目安は2,500Lとされていました。
この数字で計算すると、カートリッジ代は1Lあたり約2.2円となり、REALWATERの約7円より安く済みます。
ただし、もともと災害時やアウトドアで「飲めない水を飲める水にする」ための道具です。
口をつけずに押して飲むといった、日常の飲みやすさを意識した設計ではありません。
BRITA(ブリタ)フィルター付きボトル
ボトルとフィルターが一体になったタイプで、水道水を入れて持ち歩く使い方が前提です。
フィルター1枚で500mlペットボトル300本分の水をろ過できるとされています。
ペットボトルそのものを買わずに済むという点では、ゴミを減らす効果が一番大きい選択肢です。
反対に、専用ボトルを持ち歩く必要があり、「いつもの天然水にそのまま付ける」という手軽さはREALWATERにかないません。
結論:用途で選ぶ
ろ過の細かさと根拠を最優先するなら、HydraPakやモンベルの中空糸膜タイプが上です。
防災用品も兼ねたい人には、モンベルが現実的な選択肢になります。
ペットボトルを減らしたい人にはBRITAが向いています。
REALWATERが勝っているのは、小ささと、今の飲み方を変えずに始められる手軽さです。
いつものミネラルウォーターに一手間を足したい人に、ちょうどいい落としどころを用意した製品といえます。
まとめ
冒頭で、水はボトルの口を出る瞬間まで「完成」していないと書きました。
その意味は、REALWATERの発想そのものにあります。
工場で詰められた水を、最後に自分の手元でもう一度こしてから飲む。
「REALWATERペットボトル用フィルター口径28mmペットボトル対応」は、その最後の数センチを引き受ける小さな部品です。
もちろん、万能ではありません。
試験は45µm以上が対象で、もっと小さな粒子まで取り除けるわけではありません。
それでも、何もしないよりは一歩前に出られる。
キャップを外し、ねじ込み、閉める。
それだけで、いつもの水との付き合い方が少し変わります。
今日ペットボトルを買うときは、まずキャップの口径を指でそっと確かめてみてください。
小さな習慣の見直しは、そこから始まります。




