はじめに:なぜ今、ATTACK SHARKがゲーミングデバイス界隈を騒がせているのか
「まるでゲーミングデバイス界の黒船だ」。
そんな囁きが、SNSやFPSプレイヤーの間で急速に広まっています。
数万円が当たり前とされるハイエンドマウス市場において、その常識を嘲笑うかのような「激安価格」と「最高峰スペック」を引っ提げて現れたのが「ATTACK SHARK」です。
これまで安価なデバイスといえば、「安かろう悪かろう」が定説でした。
センサーは旧世代、重量は重く、ビルドクオリティはお粗末。
しかし、このメーカーは違います。最新のPixArtセンサーを搭載し、有名メーカーのフラッグシップ機すら凌駕する数値を叩き出しながら、価格はランチ数回分程度。この矛盾した存在に、多くのゲーマーが困惑し、そして熱狂しています。
「本当に使えるのか?」「カタログスペックだけの見掛け倒しではないか?」
そんな疑念と期待が入り混じる中、最新作「R6」が登場しました。
本記事では、この謎多きメーカーの正体から、常識外れの最新モデルの実力まで、忖度なしで徹底的に解剖していきます。


ATTACK SHARKとは
企業詳細
ATTACK SHARK(アタックシャーク)は、中国の電子機器産業の中心地である広東省広州市・深セン市を拠点とする「Guangzhou Junxingcheng Electronic Technology Co., Ltd.(広州君星城電子科技有限公司)」等が展開するゲーミングデバイスブランドです。
この地域は、世界中のゲーミングデバイスの製造を請け負う工場が密集しており、ATTACK SHARKもそうしたOEM/ODM(他社ブランドの設計・製造)のノウハウを活かして自社ブランドを立ち上げた背景があります。彼らの戦略は非常に明確です。RazerやLogicoolといった大手メーカーの人気モデルに近い形状(クローン形状とも呼ばれます)を採用し、そこに最新のセンサーやチップを搭載しつつ、広告費や中間マージンを極限まで削ることで低価格を実現しています。
特に「X3」や「X6」といったモデルが、日本のAmazonやAliExpressで「コスパお化け」として爆発的なヒットを記録しました。単なるコピー品メーカーではなく、PixArt社などのセンサーメーカーと連携し、最新パーツをいち早く市場に投入するスピード感は、大手メーカーすら脅かすレベルに達しています。
★当ブログのオリジナル企業信頼度評価(5つ星評価)
- コストパフォーマンス:★★★★★ (5.0)
- 文句なしの満点。最新スペックをこの価格帯で提供できるのは、生産拠点直結のメーカーならではの強みです。
- 技術力・スペック:★★★★☆ (4.5)
- PAW3950センサーやNordicチップの採用など、ハードウェア選定は一流。ただし、ソフトウェアの完成度で大手より一歩劣ります。
- サポート・保証:★★☆☆☆ (2.5)
- 代理店経由でない場合、英語や中国語でのやり取りが必要になるケースも。日本の大手のような手厚いサポートは期待できません。
- 品質管理(QC):★★★☆☆ (3.0)
- 個体差が激しい傾向にあります。「当たり」を引けば最高ですが、初期不良や軋みへの警戒は必要です。
【総合評価:★★★☆☆ (3.5)】
サポートや品質のバラつきといったリスクを、圧倒的な価格と性能が補って余りあるブランドです。「多少のトラブルは自分で解決できる」というPC知識のあるユーザーにとっては、星5に近い価値を提供してくれるでしょう。
商品紹介:ゲーミングマウスR6モデル



商品スペック
- 色ホワイト
- 接続技術Bluetooth, Type-C, USB
- 特徴軽量
- ボタンの数6
- 【PixArt PAW3950MAXゲーミングセンサー】PixArtの最新センサーPAW3950を搭載し、750IPSの速度、50gの加速度、42,000のプログラム可能なDPI、8000hz/1msのポーリングレートを実現し、ペースの速い対戦ゲームにクラス最高の精度と正確さを提供します。光学式マウスセンサーとしては最高性能です。
- 【39gの超軽量デザイン】 R6ゲーミングマウスは、スピードと精度のために設計されています。繊細なエンジニアリングと革新的な液体窒素冷却射出成形プロセスにより、強度を維持しながら、より薄く、より軽いシェルを実現しました。RPG、MMO、FPS、MOBA、バトルロワイヤルや他のペースの速いゲームに最適です(注:重量は約±3gの誤差があるかもしれませんが、これは正常です)。
- 【3モード接続】 有線マウスとは異なり、R6ワイヤレスマウスは3つの接続モードを提供します。2.4Ghzモードを選択すれば、極めて高速なパフォーマンスを実現できる。 また、最大8000Hzのポーリングレートも使用できます;Bluetooth 5.2モードを選択可能。 携帯電話やタブレットなどに対応。 125Hzのリターンレートも利用可能;また、超柔軟な充電ケーブルでゲーム用の有線モードも選択でき、最大1000Hzのリターンレートが使用できる。 1.6メートルのType-Cも同梱されている。
- 【Nordic 52840チップと光学式マイクロスイッチを採用】 最高品質のNordic 52840チップを採用し、安定した高い伝送速度と低消費電力を提供し、より安全です。一方、光学式マイクロスイッチは、1億回までの耐用年数、遅延のない動作時間、より敏感で正確な操作性を備えており、長時間の使用でも最適な感触を維持できます。
- 【超長時間使用とスマートなオートスリープ】R6マウスは、1回の充電で1週間分のゲームができる250 mA大容量バッテリーを搭載しています。 インテリジェントなハイバネーション機能により、バッテリーを保護し、使用時間を延長します。 R6は、30秒間操作しないとハイバネーションモードになり、マウスを動かすと再びハイバネーションモードになるため、消費電力を大幅に削減します。 (注:バッテリー駆動時間は使用状況により異なります。)
良い口コミ
「39gという軽さは衝撃的で、長時間FPSをプレイしても手首の疲れが全く違います。まるで空気を持っているような感覚です」
「8000Hzのポーリングレートに対応しているため、エイムの追従性が抜群に良いです。高リフレッシュレートのモニターを使っているなら違いを体感できます」
「Nordicチップ搭載のおかげか、無線接続が非常に安定しています。以前使っていた中華マウスのような接続切れは今のところありません」
「光学式スイッチのクリック感が歯切れよく、連打もしやすいです。チャタリング(誤作動)の心配がないのが精神的に楽です」
「このスペックでこの価格は正直バグレベルです。3万円クラスのマウスと遜色ない性能を、お試し感覚で買えるのはありがたいです」
気になる口コミ
「個体差かもしれませんが、強く握り込むとシェルから少しギシギシという音がします。軽量化の代償として剛性はギリギリなのかもしれません」
「付属の専用ソフトが日本語に対応しておらず、設定項目も少し分かりにくいです。細かいDPI調整をするのに苦労しました」
「8000Hzモードで使い続けるとバッテリーの減りが早いです。250mAと容量が少なめなので、こまめな充電が必要になります」
「ソール(底面の滑る部分)の滑りが純正だとイマイチに感じました。ガチでやるならサードパーティ製のガラスソール等に張り替えた方がいいです」
「表面のコーティングが少し滑りやすく感じます。乾燥肌の人はグリップテープを貼らないとホールド感が安定しないかもしれません」
「ゲーミングマウスR6モデル」のポジティブな特色
- 業界最高峰の頭脳、PixArt PAW3950MAX搭載
現存する光学センサーの中でトップクラスの性能を誇るPAW3950を搭載しています。最大42,000DPIという数値は、もはや人間の知覚を超えた領域ですが、それはつまり「センサーがボトルネックになることは絶対にない」という絶対的な安心感を意味します。 - 常識を覆す39gの「フェザー級」ボディ
穴あき加工(ハニカム構造)なしで39gを実現している点が驚異的です。「液体窒素冷却射出成形」という特殊なプロセスにより、シェルの薄さと強度を両立。手の一部になったかのような操作感は、瞬時の反応が求められるFPSにおいて圧倒的なアドバンテージとなります。 - プロ仕様のNordic 52840チップによる安定性
安価なマウスがコストカットしがちな通信チップに、信頼性の高いNordic製を採用しています。これにより、遅延を感じさせないワイヤレス接続と、8000Hzという超高速ポーリングレートの安定動作を実現。電波干渉の多い環境でもパフォーマンスを落としません。 - 光学式スイッチでチャタリングを撲滅
物理的な接点を持たない光学式マイクロスイッチを採用することで、メカニカルスイッチの宿命である「チャタリング(意図しないダブルクリック)」を構造的に防いでいます。1億回という耐久性は、ハードなゲーマーが数年使い倒しても壊れないレベルです。 - 8000Hz対応の「3モード接続」が生む柔軟性
最新の8Kドングル(受信機)技術に対応し、一般的なマウスの8倍の情報量をPCに送信可能です。さらにBluetoothや有線接続にも対応しており、ゲーム以外の用途や外出先でも活躍する「万能選手」としての側面も持っています。
「ゲーミングマウスR6モデル」のネガティブな特色
最大の懸念点は「バッテリー容量と駆動時間のバランス」です。39gという軽さを実現するために、バッテリー容量を250mAまで削っています。これは一般的なゲーミングマウスの半分程度の容量です。特に売りの一つである8000Hzポーリングレートは消費電力が激しいため、「最高性能で遊ぶなら頻繁な充電が必須」というジレンマを抱えています。また、軽量化を極限まで追求した「液体窒素冷却射出成形」のシェルは、非常に薄く作られているため、体重をかけてマウスを押し込むような持ち方をするプレイヤーにとっては、剛性面で若干の頼りなさを感じる可能性があります。


他メーカーの商品との比較
王者Razer Viper Mini SEとの比較:価格差1/4の衝撃
まず比較対象として挙がるのは、小型軽量マウスの最高峰、Razer Viper Mini Signature Edition (VMSE) です。VMSEはマグネシウム合金の筐体を採用し、約49gという軽量さを誇りますが、価格は約4万円超えと非常に高価です。
一方、ATTACK SHARK R6は、VMSEに非常によく似た形状(クローン形状)を持ちながら、重量はさらに軽い39gを実現しています。素材こそプラスチック(特殊成形)ですが、中身のセンサーはRazer独占だったPAW3950(の公開版)を搭載しており、心臓部の性能は互角と言えます。質感や所有欲という点ではマグネシウムのVMSEに軍配が上がりますが、「純粋にゲームで勝つためのスペック」と「軽さ」だけを天秤にかければ、価格が1/4以下であるR6のコストパフォーマンスは異常と言わざるを得ません。
ライバルNinjutso Sora V2との比較:39g軽量戦争の行方
プラスチック筐体で穴のない(ソリッドシェル)軽量マウスとして、直接のライバルとなるのがNinjutso Sora V2です。こちらも重量は約39gと同等。Sora V2はビルドクオリティの高さと、独自の「スナッピーな操作感」で高い評価を得ています。
両者の決定的な違いは「付属品と初期性能」にあります。Sora V2で8000Hzポーリングレートを使用するには、別売りのドングルを購入する必要がありますが、ATTACK SHARK R6は8000Hz対応のスペックを初期状態で謳っています(※商品仕様に基づく)。また、R6はBluetooth接続にも対応しており、接続の汎用性ではR6が一歩リードしています。ただし、製品の質感や細部の作り込み(バリのなさやコーティングの質)においては、先行するNinjutsoに一日の長があるでしょう。
定番Logicool G PRO X SUPERLIGHT 2との比較:軽さは正義か
多くのプロゲーマーが愛用する世界標準機、Logicool G PRO X SUPERLIGHT 2。重量は約60gです。かつては60gでも「超軽量」と呼ばれましたが、R6の39gと比較すると、その差は歴然です。
20g以上の重量差は、ローセンシ(低い感度)で腕を大きく振るプレイヤーにとって、疲労度の蓄積に大きな違いを生みます。R6を使った後にG PRO Xを持つと、「重い」と感じてしまうほどです。しかし、Logicoolの強みは圧倒的な「バッテリー持ち」と「信頼性」です。G PRO Xは数週間充電しなくても持ちますが、R6(特に8K使用時)はそうはいきません。
「充電の手間を惜しんででも、一瞬のエイム速度と軽さを求める」ならR6。「道具としての絶対的な安定感とメンテナンスフリーさを求める」ならLogicool。この二つは、ゲーマーとしてのスタンスを問う比較となります。
まとめ:R6はゲーミングマウスの「価格破壊」となり得るか
ATTACK SHARK R6は、単なる「安物買いの銭失い」とは一線を画す製品です。PAW3950MAXセンサー、Nordicチップ、そして39gという驚異的な軽さ。これらは本来、ハイエンドモデルだけに許された特権でした。もちろん、ビルドクオリティやソフトウェアの使い勝手において、老舗メーカーに及ばない部分は確かに存在します。しかし、それらの欠点を飲み込めるほどの圧倒的な価格メリットと、実戦で通用する尖った性能がこのマウスにはあります。
もしあなたが、「ブランド名よりも実利を取りたい」「最新スペックを試したいが、数万円も出せない」と考えているなら、R6は間違いなく試す価値のある選択肢となるでしょう。この「小さな黒船」が、あなたのデスク環境とキルレートを劇的に変えてくれるかもしれません。




