火加減を手放したとき、台所に「時間」が戻ってきます
はじめに
揚げ物をした夜、鍋に残った油を前にため息をついたことはありませんか。
固めるテープを探し、油はねしたコンロを拭き、換気扇の音を聞きながら洗い物を片づける。
食べるのは10分なのに、後始末に30分かかる。
あの理不尽さに、心当たりのある人は多いはずです。
物価高が続く2026年、外食を控えて自炊を増やした家庭は少なくありません。
ところが、自炊を増やすほど「作る時間」と「片づける時間」が家計簿には載らないコストとして積み上がっていきます。
そこで注目したいのが、Epeios(エペイオス)の「IoT遠隔操作フライオーブンEPAO502」です。
ピザ窯を思わせる半円形のボディに、ノンフライヤーやトースターなど6つの役割を詰め込み、スマホからも操作できる一台です。
とはいえ、聞き慣れないブランドの家電に4万円前後を払うのは、正直なところ勇気がいります。
この記事では、ブランドの成り立ちから企業の実像、商品の長所と弱点、他メーカーとの比較まで、良いことも都合の悪いことも並べて整理しました。
読み終えるころには、この半円形の窯が自分の台所に必要かどうか、はっきり判断できるはずです。


Epeiosとは
企業詳細
運営会社は「株式会社EPEIOSJAPAN」
Epeiosブランドを運営しているのは、東京都中央区に本社を置く株式会社EPEIOSJAPANです。
国税庁の法人番号データベースでは法人番号7010001208601、本店所在地は東京都中央区東日本橋3丁目4番18号東日本橋EXビル6階として登録されています。
法人番号が確認できるという点は、ネット通販で見かける正体不明のブランドとの大きな違いです。
設立当初の社名は別の名前だった
興味深いのは社名の変遷です。
同社は2020年3月30日に「株式会社MPOWJAPAN」として新規登録され、同年6月に現在の東日本橋へ本店を移し、2021年12月22日に現在の「株式会社EPEIOSJAPAN」へ商号を変更しています。
「MPOW」という名前から、同名のオーディオ機器ブランドとの関係を連想する人もいるかもしれません。
ただし、両者の資本関係や経緯について、公開情報で裏付けられる資料は今回のリサーチでは見つかりませんでした。
推測で断定はせず、事実として「社名変更を経て現在のブランド名に落ち着いた会社」とだけ記しておきます。
代表者とブランドの考え方
2022年12月のプレスリリースでは、代表取締役社長として駒崎竹彦氏の名前が明記されています。
ブランドとしての自己紹介では、2020年に東京で生まれたライフスタイルソリューションブランドであり、製品の本質を見極めたシンプルで一歩進んだ製品を合理的な価格で届けたい、という方針が語られています。
日本を含むアジア各地を拠点に、現地の技術と生産力を土台としつつ、日本のものづくりの知見を活かす体制をとっていると説明しています。
つまり、企画やブランドづくりは東京、製造はアジアの生産拠点という、現在の家電業界でよく見られる分業型のメーカーと考えるのが自然です。
公式サイトには2024年11月付で駒崎氏へのインタビュー記事も掲載されており、経営者が顔を出してブランドの理念を語っている点は好材料です。
転機となった「FoElem(フォーエレム)」シリーズ
Epeiosの名前が家電ファンの間で知られるようになったきっかけは、2022年秋に発表されたFoElemシリーズです。
FoElemとは「FourElements(四元素)」を縮めた造語です。
2022年11月17日の発表会では、スマート加湿器「Heal(ヒアル)」、スマートノンフライオーブン「Chef(シェフ)」、スマートコーヒーメーカー「Mocca(モカ)」、スマートファン「Wind(ウィンド)」の4製品を順次発売すると公表されました。
デザインを担当したダミアン・オーシュリバン氏によれば、オーブンは火、コーヒーメーカーは土、加湿器は水、ファンは空気がテーマで、それぞれのディテールに四元素を取り入れているとのことです。
今回紹介するEPAO502は、その「火」を担う製品にあたります。
四つの製品をつなぐのが専用アプリ「EPEIOSLife(エペイオス・ライフ)」で、好みや暮らし方に合わせて使い方を調整できる仕組みとして位置づけられています。
デザイナーの経歴は本物か
商品説明には「世界的に著名なラグジュアリーブランドのデザイナー」という華やかな言葉が並びます。
こうした表現は誇張されがちなので、第三者メディアの記事で確認しました。
GetNaviwebの発表会レポートによると、ブノワ・ピエール・エメリー氏はエルメスのスカーフやテーブルウェアでアートディレクターを務める人物です。
ダミアン・オーシュリバン氏は、ロンドンの王立芸術カレッジでブノワ氏とともに学び、フィリップスで工業デザインに携わった後、ルイ・ヴィトンやエルメスなどのデザインにも関わってきたと紹介されています。
協業はEpeios側からブノワ氏へ打診し、ブノワ氏が工業デザインに詳しいダミアン氏に声をかけたことで共同体制になったと伝えられています。
デザイナーの起用については、宣伝文句だけでなく、実際に発表会へ登壇した事実まで確認できました。
「TVや雑誌に多数出演」はどこまで本当か
商品説明にある「TVや雑誌に多数出演」という一文も検証しました。
テレビ出演の具体的な番組名までは、今回のリサーチで特定できていません。
一方で、発表会の様子はBCN+R、PHILEWEBのGadgetGate、@DIME、GetNaviwebといった家電・ガジェット系のウェブメディアで記事化されています。
少なくとも「メディアに取り上げられた」という部分は事実と言えます。
ただし、ASCIIなどに掲載された記事の一部はPRTIMES経由の企業発表そのものなので、すべてが第三者の評価というわけではない点は頭に入れておきたいところです。
他社とのコラボや事業の広がり
Chefの発売時には、110年以上の歴史をもつ金属洋食器メーカーの燕物産株式会社とのコラボキャンペーンも実施されました。
老舗メーカーが組む相手として選んだという事実は、信頼性を考えるうえで一つの手がかりになります。
さらに2026年5月には、クラウドソーシングサービスのランサーズ上で、同社がヘアアイロンの商品ページに専門家の監修コメントを掲載するための協力者を募集していたことが確認できます。
調理家電から美容家電へと、取り扱いの幅を広げている様子がうかがえます。
裏を返せば、商品ページの「専門家の声」は企業が依頼して集めたものである可能性があり、読む側としては割り引いて受け止める姿勢が必要です。
見えにくい部分も正直に
同じランサーズの企業情報では、代表者・資本金・年商がいずれも非公開と表示されています。
上場企業ではないため、財務状況を外部から確かめる手段はほとんどありません。
法人としての実体や経営者の顔は見える一方で、会社の体力までは見えない。
これが、リサーチで浮かび上がったEPEIOSJAPANの等身大の姿です。
★当ブログのオリジナル企業信頼度評価(5つ星評価)
運営体制の明確さ ★★★★(4.0)
法人番号、本店所在地、代表者名がいずれも公開情報で確認できます。
社名変更の経緯がやや分かりにくい点だけ、わずかに減点しました。
市場での評価実績 ★★★(3.0)
発売から数年が経ち、家電レンタルサービスでも取り扱われるなど一定の流通実績があります。
一方で、レンタルサービスのレビュー件数は6件で商品評価の平均は3.7にとどまっており、評価を判断する材料はまだ多くありません。
商品開発の専門性 ★★★★(4.0)
著名デザイナーの起用、上下ヒーターとスチームの組み合わせ、アプリ連携と、企画力の高さは明らかです。
製造をアジアの生産拠点に頼る構造のため、技術そのものがどこまで自社のものかは確認できませんでした。
社会的・文化的な取り組み ★★★(3.0)
老舗洋食器メーカーとのコラボなど、食文化と結びつけた取り組みは評価できます。
環境配慮や地域貢献といった活動については、目立った情報は見つかりませんでした。
財務情報の開示度 ★★(2.0)
資本金や年商は非公開で、外部から経営の安定性を確かめる手段はほぼありません。
アプリ連携家電は長期のサポートが前提になるだけに、ここは今後の情報公開に期待したい部分です。
総合評価 ★★★☆(3.2)
企業としての実体と経営者の顔ははっきり見えます。
デザインと企画への本気度も、第三者メディアの記事から確認できました。
財務の透明性という一点を除けば、新興ブランドとしては安心材料の多い会社と言えます。
商品紹介「IoT遠隔操作フライオーブンEPAO502」



商品詳細
- 色:ブラック
- 商品の寸法:35.5奥行き×35幅×38高さcm
- 容量:14L
- ワット数:1350W
- デザイン:ピザ窯をイメージした半円形フォルム
- デザイナー:ブノワ・ピエール・エメリー氏、ダミアン・オーシュリバン氏ほか
- シリーズ:EPEIOSフォーエレムプロジェクト第二弾
- 調理パターン:ノンフライヤー/トースター/オーブン/発酵/解凍/フードドライヤーの1台6役
- 加熱方式:上下加熱式ヒーター+スチーム(過熱水蒸気)
- ノンフライ調理:高温の熱風を循環させ、食材の油と水分を利用して揚げ物に仕上げる
- カロリーカット:最大44.04%カット(同じ料理を油で揚げた場合との比較、自社調べ)
- 同時調理:最大3段層
- 操作:プリセットボタン(おまかせボタン)搭載
- アプリ連携:EPEIOSLife専属アプリで状態確認、時間・温度・ロティサリーなどの調整が可能
- レシピ:EPEIOS公式ホームページのオリジナルレシピが見放題、アプリにオリジナルレシピを記録してワンタッチ調理が可能
- 窓:ガラス窓付きで調理具合を確認できる
- お手入れ:自動洗浄機能(高温スチームで庫内の汚れを浮かせる)、給水経路の洗浄機能
- 付属品:ノンフライオーブン×1、油・くず受け皿×1、ロティサリートング×1、ロティサリーフォーク×1、ワイヤーラック×1、メッシュバスケット×1、回転バスケット×1、取扱説明書×1、レシピ×1
良い口コミ
「冷凍の唐揚げを入れてボタンを押すだけで、揚げたてに近い食感になりました。油の処理がいらないので、平日の夜でも気軽に揚げ物ができます。」
「黒い半円形の見た目がとにかくおしゃれで、キッチンに出しっぱなしでも生活感が出ません。来客に『これ何?』と聞かれるのがちょっと嬉しいです。」
「上下から焼けるので、トーストの裏面が白いまま、ということがありません。外はカリッと、中はもっちり焼けます。」
「3段で同時に焼けるので、メインと付け合わせを一度に作れます。その間に味噌汁を作れるので、夕食の準備がかなり楽になりました。」
「ガラス窓から焼き色が見えるので、何度も扉を開けずに済みます。焦がしてしまう失敗が減りました。」
気になる口コミ
「思っていたより重く、一度置いたら気軽には動かせません。設置場所は最初にしっかり決めておくべきでした。」
「アプリの初期設定に少し手間取りました。機械が苦手な家族は結局本体のボタンしか使っていません。」
「バスケット型のノンフライヤーと比べると、本体価格が高めに感じます。」
「上が丸い形なので、天板の上に物を置けません。限られたキッチンでは意外と困ります。」
「スチーム用の水を毎回気にする必要があり、思っていたより『ほったらかし』ではない日もあります。」
「IoT遠隔操作フライオーブンEPAO502」のポジティブな特色
この製品のいちばんの価値は、「ノンフライヤー」と「オーブントースター」を1台にまとめたことにあります。
バスケット型のノンフライヤーは揚げ物は得意でも、トーストやグラタンは苦手です。
オーブントースターはその逆です。
EPAO502なら、朝はトースト、夜は唐揚げと、置き場所一つで両方をこなせます。
キッチンの限られた天板に家電を2台並べている人ほど、このありがたみは大きいはずです。
次に、上下ヒーターとスチームの組み合わせです。
専門的に聞こえますが、仕組みはシンプルです。
上下から同時に熱を当てるので、食材を途中でひっくり返す手間が減ります。
そこにスチームが加わることで、表面が乾きすぎるのを防ぎ、肉や魚がパサつきにくくなります。
乾いた熱風だけで焼くと、どうしても「揚げ物風の焼き物」になりがちです。
スチームは、その物足りなさを埋める役割を果たします。
14Lの庫内と最大3段の同時調理も見逃せません。
たとえば、上段で鶏もも肉、中段でじゃがいも、下段でパプリカを同時に焼けば、ワンプレートの夕食が一度で完成します。
付属の回転バスケットとロティサリーフォークを使えば、クリスマスのローストチキン作りにも挑戦できます。
アプリ連携は、使い方次第で頼れる相棒になります。
自分好みの温度と時間をアプリに記録しておけば、次からはワンタッチで同じ仕上がりを再現できます。
「前回うまく焼けた設定、何だったっけ」と悩む時間がなくなるのは、地味ながら確かな進化です。
お手入れの手軽さも大きな魅力です。
自動洗浄機能は、高温スチームで庫内の汚れを浮かせ、あとは柔らかい布で拭き取るだけで済みます。
給水経路の洗浄機能まで備えているので、スチーム家電で気になりがちな水垢やカビへの対策も考えられています。
最後にデザインです。
調理家電は性能で選ぶものという常識に対し、EPAO502は「出しっぱなしにしたくなる見た目」という答えを出しました。
片づける必要がない家電は、それだけで使う回数が増えます。
使う回数が増えれば、自炊の習慣そのものが長続きします。
見た目へのこだわりは、実は使い勝手の一部でもあるのです。
「IoT遠隔操作フライオーブンEPAO502」のネガティブな特色
まず、サイズと重さです。
本体は幅35cm、奥行き35.5cm、高さ38cmで、一般的なオーブントースターより一回り大きく感じます。
メーカーの発表資料によると本体重量は10.8kgあり、掃除のたびに動かすような使い方には向きません。
半円形の天面には物を置けないため、トースターの上を棚代わりにしていた人は収納の見直しが必要です。
次に価格です。
発売時の市場想定価格は税込39,800円でした。
ノンフライヤー単体なら1万円前後から選べる時代に、この価格差をどう考えるかは大きな分かれ目です。
デザインと多機能性に価値を感じない人には、割高に映るはずです。
アプリ連携にも注意点があります。
外出先から操作できるのは便利ですが、食材を庫内に入れたまま長時間置いておく使い方は、季節によっては衛生面の心配があります。
また、アプリ連携家電はメーカーがアプリを更新し続けることが前提です。
財務情報が非公開の新興ブランドである以上、数年後のサポート体制まで保証されているわけではありません。
アプリがなくても本体のボタンで調理できるとはいえ、この点は購入前に理解しておきたいところです。
消費電力が1350Wと大きい点も見落とせません。
電子レンジやドライヤーと同時に使うと、ブレーカーが落ちる可能性があります。
キッチンのコンセントの回路を一度確認しておくと安心です。
カロリーカットの数値にも冷静な目が必要です。
最大44.04%という数字は自社調べであり、すべての料理で同じ効果が出るわけではありません。
あくまで「油で揚げるより軽く仕上がる」という目安として受け止めるのが現実的です。


他メーカーの商品との比較
比較の前提
比較相手には、スチーム機能を持つ人気モデルと、アプリ連携に対応したモデルを1台ずつ選びました。
EPAO502の強みと弱みが、それぞれの軸ではっきり見えるはずです。
アイリスオーヤマ「過熱水蒸気エアフライヤーFV-M30A-C」との比較
アイリスオーヤマのFV-M30A-Cは2025年12月22日に発売されたスチーム搭載のエアフライヤーで、公式通販価格は1万9800円です。
定格消費電力は1200W、温度調節は75℃から200℃、本体サイズは幅236×奥行295×高さ270mmです。
雑誌『家電批評』のノンフライヤー検証ではベストバイに選ばれ、スチーム調理の仕上がりが高く評価されています。
優れている点は、価格の手頃さとコンパクトさです。
価格.comでの最安価格は8,100円台まで下がっており、EPAO502の数分の一の予算で「スチーム+熱風」を体験できます。
重さも約3kgと軽く、収納や移動も苦になりません。
劣る点は、守備範囲の狭さです。
モードはノンフライ、サクサク、スチーム、おこのみの4種類で、トーストやロティサリー、3段同時調理には対応していません。
アプリ連携や自動洗浄機能もありません。
「揚げ物をヘルシーにしたい」だけならFV-M30A-Cで十分です。
「トースターも兼ねたい」「一度に何品も焼きたい」ならEPAO502に軍配が上がります。
COSORI「Lite3.8リットルSMARTノンフライヤー」との比較
VeSyncのCOSORILite3.8リットルSMARTノンフライヤーはアプリ連携に対応したモデルで、発売時の価格は16,980円でした。
75℃から230℃の熱風を高速で循環させる方式で、約5分で205℃まで予熱できるとされています。
運営元のVeSyncは2011年創立で、2020年12月に香港で上場しています。
優れている点は、最高温度とブランドの体力です。
EPAO502の最高温度は220℃なので、高温での仕上げはCOSORIがわずかに上回ります。
上場企業として財務情報を開示しているため、アプリのサポートが続くかという不安はEpeiosより小さいと言えます。
劣る点は、スチーム機能がなく、バスケット型ゆえにトーストやオーブン料理に向かないことです。
アプリで操作できる手軽さは共通していても、調理の幅と庫内の広さではEPAO502が明らかに上です。
比較から見える結論
価格と軽さを最優先するならアイリスオーヤマ、アプリ連携とブランドの安心感を重視するならCOSORIが合理的な選択です。
EPAO502は、オーブントースターとノンフライヤーを1台にまとめたい人、そして見た目にもこだわりたい人にとって、他に代わりが見つかりにくい一台です。
まとめ
冒頭で「火加減を手放したとき、台所に時間が戻ってくる」と書いた理由が、ここまで読んで見えてきたはずです。
Epeiosの「IoT遠隔操作フライオーブンEPAO502」は、四元素のうち「火」をテーマに生まれた製品です。
ただ、その本当の役目は火を操ることではなく、火の番から私たちを解放することにあります。
価格は安くありません。
重く、天板に物も置けません。
それでも、トースターとノンフライヤーを1台にまとめ、油の後始末から抜け出せる価値は小さくないと感じます。
今日できる小さな一歩として、まずはキッチンの空きスペースを、幅35cm・奥行き36cmの目安で測ってみてください。
その場所が空いていたなら、この半円形の窯は、あなたの夕食の景色を変える候補になります。




