氷は待たされた瞬間にいちばん価値を失う
はじめに
グラスに残った最後のひとかけらが、カラン、と音を立てて消える。
その瞬間に「あ、氷が切れた」と気づくのが、家飲みのいちばん惜しい場面です。
冷凍庫の製氷皿をのぞくと、朝に作ったはずの氷は昨夜のうちに使い切られていました。
給水して、凍るまで待って、また使い切る。
この繰り返しに疲れて、卓上の製氷機という選択肢にたどり着く人がここ数年で増えています。
ハイボール人気に加えて、在宅時間の長期化とキャンプ・車中泊ブームが重なり、「氷は買うものではなく、自宅で作るもの」という感覚が広がってきました。
そこで名前が挙がりやすいのが、EUHOMYというブランドです。
製氷機を軸に、車載冷蔵庫や飲料用クーラーまで手がける海外発の家電ブランドで、日本のネット通販でも存在感を強めています。
この記事で取り上げる「EUHOMY 製氷機 家庭用 HZB-12/H」は、最速6分で9個という製氷スピードと、約6.2kgという軽さを前面に打ち出したモデルです。
ただし、速いことと便利なことは、必ずしも同じ意味ではありません。
この機種には、多くの人が見落としたまま買ってしまう、ひとつの前提があります。
その前提を最後に回収しますので、スペックの読み方まで含めて一緒に確認していきましょう。


EUHOMYとは
企業詳細
EUHOMY(ユーホーミー)は、ポータブル製氷機を主力とする家電ブランドです。
公式サイトの企業紹介ページには「Founded in 2020(2020年設立)」と明記されており、ブランドとしての歴史はまだ6年ほどということになります。
掲げているスローガンは「Chill Better(もっと心地よく冷やす)」。
ミッションとして「あらゆる一杯に、新鮮で清潔な、用途に合う氷を届ける」という趣旨の文言を掲げ、ビジョンには「現代の家庭の日常習慣において、最も愛されるフレッシュアイスブランドになる」という内容を置いています。
製氷機という単機能の家電に、ここまで「体験」寄りの言葉を重ねてくるブランドは多くありません。
これは、単なる調理家電メーカーではなく、ライフスタイル寄りのブランドとして自らを定義しようとしている姿勢の表れと読み取れます。
①製品ラインアップの広さ
公式サイトを確認すると、製氷機のカテゴリーが非常に細かく分かれています。
ナゲット型(噛める粒氷)、球形氷、角氷、三日月型氷、弾丸型氷、キューブ氷。
さらに業務用・ビルトイン型の製氷機まで用意されています。
製氷機以外では、車載冷蔵庫のRoverシリーズやAtlasシリーズ、飲料用冷蔵庫のFizzシリーズ、ワインセラーのStillシリーズやEdenシリーズが並びます。
加えて、製氷機専用のクリーナーや除石灰剤といった消耗品まで自社で展開しています。
本体を売って終わりにせず、メンテナンス用品まで面倒を見る構成になっている点は、地味ながら評価できる部分です。
②第三者からの評価と露出
公式サイトの実績欄には、CES Innovation Awards(CESイノベーションアワード)、TWICE Picks 2026、Reviewed Award CES 2026、The Kitchn CES BEST IN SHOW 2026といった受賞歴が並びます。
出展イベントとしては、CES 2026(ラスベガス、2026年1月6〜9日)、IFA 2025(ベルリン、2025年9月5〜9日)、WestEdge 2025(サンタモニカ、2025年11月20〜22日)、Summerfest 2025(ウィスコンシン、2025年7月3〜5日)などが記載されています。
大手見本市への継続的な出展は、ある程度の資金力と製品開発体制がなければ続きません。
メディア掲載としては、Gizmodo、USA Today、Popular Science、Popular Mechanics、Food & Wineといった媒体名が挙げられています。
ただし、これらはすべて自社サイト上での自己申告による掲載紹介です。
各記事の文脈や評価の温度感までは、公式サイトの引用だけでは判断できません。
③運営体制については、確認できる情報に濃淡がある
ここからは、忖度なしで書きます。
公式サイトのフッターに記載されているのは、サポート用メールアドレス、法人向け問い合わせ先、そして米国向けのフリーダイヤル(月〜金、東部時間9時〜18時)です。
つまり、一次情報として明確に確認できるサポート窓口は、米国市場向けのものになります。
ブランドの拠点についてはカリフォルニア州の地名がSNSアカウント上で示されており、米国法人が実在する可能性は高いと考えられます。
一方で、商標の権利者や製造委託先については、事業者向けの情報まとめサイト経由でしか名前が出てきませんでした。
そうした媒体は一次資料へのリンクを断片的にしか示さないため、当ブログとしては「そういう記載が存在する」以上の断定はしません。
なお、そこで示されている商標出願の時期は2018年3月で、公式サイトの「2020年設立」という記述とは約2年のズレがあります。
ブランド名の商標を先に押さえてから、ブランドとしての正式ローンチを2020年に設定した、という流れであれば矛盾はしません。
ただし、その説明は公式のどこにも書かれておらず、あくまで推測の域を出ません。
④公表数値の読み方
公式サイトには「1M+ Active Users(アクティブユーザー100万人超)」「50M+ Global Buyers(グローバル購入者5000万人超)」「25+ Countries(25か国以上)」といった数字が掲げられています。
グローバル購入者が5000万人でアクティブユーザーが100万人という比率は、家電ブランドとしては解釈が難しい並びです。
購入者数の定義が「自社商品の購入者」ではなく「掲載プラットフォームの利用者規模」などを指している可能性もあります。
定義の説明がないため、この数字は参考値として受け取るのが妥当だと考えます。
⑤日本市場での立ち位置
日本ではAmazonを中心に流通しており、販売元として「Euhomy-JP」の表示が確認できます。
製品面では、日本語対応の操作パネルと日本語取扱説明書が用意され、1年間の品質保証が案内されています。
海外ブランドにありがちな「説明書が機械翻訳のまま」という状態を避けている点は、実用上のプラス要素です。
一方で、日本語の公式ブランドサイトや、日本国内の消費者向け電話サポート窓口は確認できませんでした。
購入後に不具合が起きたとき、どこに連絡すればよいかが直感的に分かりにくい構造になっています。
この点は、購入前に販売ページの「販売元」と「保証条件」を自分の目で確かめておくべき理由になります。
★当ブログのオリジナル企業信頼度評価(5つ星評価)
運営体制の明確さ ★★★(3.0)
公式サイト、SNSアカウント、サポート窓口が整っており、連絡手段が確保されている点は評価できます。
ただし日本市場向けの独立した窓口が見当たらず、法人情報の開示も控えめです。
市場での評価実績 ★★★★(4.0)
CESやIFAといった国際的な見本市への継続出展と、複数の海外メディアでの紹介実績は、新興ブランドとしては十分な露出量です。
一方で、掲載情報の大半が自社発表ベースであるため、満点には届きません。
商品開発の専門性 ★★★★(4.0)
弾丸型、ナゲット型、球形、角氷、三日月型と、氷の形状ごとに機種を細かく作り分けている点は、明確な技術投資の証拠と言えます。
製氷機専用クリーナーまで自社で用意している姿勢も、単発の商品売り切り型とは一線を画します。
社会的・文化的な取り組み ★★★(3.0)
公式ブログで氷を使ったドリンクレシピを発信し、ファン向けコミュニティを運営するなど、製品の周辺文化を育てる動きが見られます。
環境配慮や社会貢献に関する具体的な方針の公表は確認できませんでした。
財務情報の開示度 ★★(2.0)
非上場ブランドであるため、売上や資本構成といった数値は公開されていません。
公表されている規模の数字も定義が不明瞭で、外部から検証する手段がないのが実情です。
総合評価 ★★★☆(3.2)
製品開発力と市場での露出という点では、設立6年のブランドとして健闘していると判断します。
裏を返せば、企業としての透明性はこれから積み上げていく段階であり、購入時は保証条件と販売元の確認を自分で済ませておくのが賢明です。
商品紹介「EUHOMY 製氷機 家庭用 HZB-12/H」



商品詳細
- 商品の寸法:29.4奥行き × 29幅 × 22.2高さ cm
- 容量:12リットル
- ワット数:120W
- 本体重量:約6.2kg
- 製氷スピード:最速6分で9個
- 24時間あたりの製氷数:最大2160個
- 氷の形状:弾丸型(柔らかくカリカリした食感)
- 氷の特性:表面積が広く溶けやすいため、飲み物を素早く冷やすことが可能
- 持ち運び:持ち手を追加し、手軽に持ち運べる設計
- 操作パネル:日本語対応
- 操作手順:タンクに水を入れる/電源ボタンを押す
- 水タンク容量:1.2L
- 付属構成:氷バスケット
- 可視窓:透明窓で氷の状態をいつでも確認できる
- 洗浄機能:ワンタッチ自動洗浄(ボタンを押すだけで30分間の機械内部洗浄)
- 排水機能:排水栓を引くだけで水が排出される簡単排水
- 静音性:改良型静音ファン搭載、45dB未満の低騒音設計
- 消費電力:約平均120W
- 電気代の目安:1時間約2.64円/月額約160円(1日2時間使用時)
- 水の再利用:溶けた水を再利用して新しい氷を作る
良い口コミ
「水を入れてボタンを押すだけ。説明書をほとんど読まずに動かせました」
「氷ができるまでが本当に速くて、来客の準備中でも余裕で間に合います」
「6kg台なのでキッチンから食卓へ持っていくのも苦になりません」
「透明窓から中が見えるので、あとどれくらいで出てくるかが分かって気が楽です」
「自動洗浄をボタンひとつで回せるおかげで、掃除を後回しにしなくなりました」
気になる口コミ
「氷が細かく、グラスに入れてしばらくすると思ったより早く小さくなります」
「水タンクが1.2Lなので、大人数だと給水のために何度も席を立つことになりました」
「静かとは言え無音ではなく、深夜のワンルームだと動作音が耳につきます」
「作った氷を入れっぱなしにすると溶けてしまうので、こまめに移す手間が発生します」
「弾丸型の氷はロックグラスには合わず、ウイスキー用には別の氷を用意しています」
「EUHOMY 製氷機 家庭用 HZB-12/H」のポジティブな特色
この機種の価値は、「速さ」という一語ではなく「待たない設計思想」として捉えると理解しやすくなります。
最速6分で9個という数字は、電源を入れてから最初の1杯が成立するまでの時間が、お湯を沸かすのとほぼ変わらないことを意味します。
冷凍庫の製氷皿が3時間から4時間を必要とすることを考えれば、体感的な差は「速い」ではなく「別の家電」と言えるレベルです。
24時間で最大2160個という上限値も、9個を6分ごとに作り続けた場合の理論値として計算が合っており、数字の整合性という点では素直に評価できます。
次に効いてくるのが、約6.2kgという軽さです。
家庭用の卓上製氷機は8kgから13kg前後の機種が珍しくないため、6kg台は明確に軽量な部類に入ります。
しかも持ち手が付いているため、「普段はキッチンの隅、使う日だけダイニングのテーブル脇」という運用が現実的にできます。
置き場所を固定しなくてよい家電は、暮らしの中で邪魔になりにくく、結果として使用頻度が落ちにくくなります。
弾丸型の氷という選択にも、狙いがあります。
この形状は中央が空洞になっており、同じ体積の角氷より表面積が大きくなります。
表面積が大きいほど飲み物と触れる面が増えるため、注いだ直後に温度が一気に下がります。
麦茶、アイスコーヒー、炭酸飲料、そして氷を噛む習慣がある人にとっては、この「すぐ冷える・噛みやすい」という性質がそのまま利点になります。
衛生面の設計も、見落とされがちな美点です。
ボタンひとつで30分間の内部洗浄が回るということは、「分解して洗う気力が湧かない日」でも清潔さを維持できるということです。
製氷機は内部に水が滞留する家電であり、掃除のハードルが高い機種ほど放置され、ぬめりや臭いの原因になります。
排水栓を引くだけで水が抜ける構造も同じ発想で、長期間使わない前にタンクを空にする作業が数十秒で終わります。
運用コストの低さも触れておく価値があります。
平均120Wという消費電力は、電子レンジやドライヤーと比べれば桁違いに小さく、電気代を理由に使用をためらう必要はほぼありません。
そして溶けた水を再び製氷に回す仕組みにより、氷を作り続けても水の消費が際限なく増えていかない構造になっています。
総じて、「毎日たくさんの氷を、気負わず作って気負わず片付ける」という一点に最適化された機種だと言えます。
「EUHOMY 製氷機 家庭用 HZB-12/H」のネガティブな特色
良い面を挙げたので、不都合な点も同じ密度で書きます。
まず、弾丸型の氷が「溶けやすい」ことは、商品説明でも明記されている性質です。
すぐ冷える利点の裏返しとして、グラスの中で長持ちしません。
ウイスキーのロックや焼酎の水割りのように、時間をかけて一杯を楽しむ飲み方とは、正面から相性が悪い形状です。
透明氷を求めている人が、この機種を選ぶ理由はありません。
次に、水タンクが1.2Lという点です。
コンパクトさの代償として、給水サイクルは短くなります。
BBQや子ども会のような大人数の場面では、「作れる総量」よりも「何回水を足しに行くか」がストレスの正体になります。
給水しやすい場所に置けるかどうかで、満足度がはっきり分かれるはずです。
静音性についても、期待値の調整が必要です。
45dB未満という数値は、図書館の館内と同程度の環境音に相当します。
日中のリビングであれば確かに気になりにくい水準ですが、深夜の静まり返った部屋では、コンプレッサーの作動音と氷が落ちる音が目立ちます。
寝室での常時稼働を前提にするのは、やめておいたほうが無難です。
電気代の記載についても、前提条件を確認しておくべきです。
「1時間約2.64円」という数字は、逆算すると1kWhあたり約22円で計算されていることになります。
しかし2026年時点で広く使われている電気代の目安単価は1kWhあたり31円で、地域や世帯によっては26円から41円程度の幅があります。
31円で計算し直すと、1時間あたり約3.7円、1日2時間の使用で月額はおよそ220円前後になります。
金額そのものは十分に小さいものの、公表値をそのまま鵜呑みにすると印象がずれる点には注意が必要です。
もうひとつ、公表スペックの整合しない箇所があります。
仕様欄の「容量:12リットル」という記載と、説明文中の「1.2Lの大容量水タンク」という記載は、そのままでは噛み合いません。
12という数字が1日あたりの製氷量を指しているのか、別の項目の転記なのかは、提供されている情報だけでは判断できません。
購入前に販売ページの仕様欄を自分の目で確認することを、強くおすすめします。
そして最大の注意点が、冒頭で触れた「前提」です。
この機種の説明には保冷機能の記載がなく、代わりに「溶けた水を再利用して新しい氷を作る」と書かれています。
つまり本体は氷の貯蔵庫ではなく、作った氷は放置すれば溶けて水に戻る設計です。
作ったらすぐ使う、あるいはすぐ冷凍庫やクーラーボックスへ移す。
この運用ができる人にとっては最高の道具ですが、「作り置きしておきたい」人にとっては期待外れになります。


他メーカーの商品との比較
【比較の前に、判断軸を決める】
製氷機の比較は、スペック表を横に並べても答えが出ません。
「氷を何に使うか」を先に決めると、候補は一気に絞れます。
ここでは製氷速度、氷の形状、タンク容量、静音性、重量の5つを軸にします。
低価格・同型タイプ:VERSOS「高速製氷機II VS-ICE02」との比較
国内で長く売れている定番機です。
約6〜13分で9個の製氷、タンク容量約2.2L、製氷能力は1日あたり約12kg、消費電力110W、本体重量約8.8kgという構成になっています。
タンク容量はEUHOMY機の1.2Lに対して約1.8倍あり、大人数の場面では給水回数で明確に有利です。
一方、本体重量は8.8kgと2.6kg重く、自動洗浄機能の記載もありません。
持ち運びやすさと手入れの手軽さを取るならHZB-12/H、据え置きで水を足す手間を減らすならVS-ICE02という住み分けになります。
上位・透明氷タイプ:PowerArQ「Ice Cube Maker」との比較
国内アウトドアブランドの製氷機で、価格は27,500円(税込)です。
最短約10分で透明な角氷を作り、1日最大約15kg、タンクは拡張分込みで2.0L、13段階の氷厚調整と1〜24時間の予約タイマー、約20分の自動洗浄を備えます。
運転音は45dB以下、消費電力は約180Wで、ポータブル電源での運用も想定されています。
透明氷は白濁氷より溶け切るまでの時間が30分以上長いとされており、ウイスキーや味を薄めたくない飲み物には明確に有利です。
ただし価格帯は2倍以上、重量も7.5kgと重くなります。
「速さと軽さ」に振ったHZB-12/Hと、「氷の質と拡張性」に振ったこちらは、そもそも競合というより別用途の製品です。
同ブランド内での比較も忘れない
EUHOMY自身が、8分で16個・42dBの静音性・2Lタンク・タイマー機能を備えた四角い透明氷モデルを展開しています。
氷の質を求めるなら、他社に移る前に同じブランドの上位機を見るほうが合理的です。
冷蔵庫の自動製氷との比較
すでに自動製氷付きの冷蔵庫を使っている場合、追加投資が本当に必要かは冷静に考えるべきです。
答えは使用量で決まります。
1日に製氷皿1回分で足りるなら不要、朝と夜で使い切って追いつかないなら導入価値があります。
まとめ
氷が切れた瞬間の、あの小さながっかり。
あれを完全に消してくれるのが、EUHOMY 製氷機 家庭用 HZB-12/Hという道具です。
最速6分、9個。
約6.2kgで持ち運べて、掃除はボタンひとつ。
この身軽さは、ちょっと感動すら覚えます。
ただし忘れてはいけないのが、この機種は氷を貯めておくための箱ではない、という一点です。
作ったらすぐ使う。
その前提さえ受け入れられるなら、後悔はしないはずです。
今日からできる小さな一歩として、まずは冷凍庫の製氷皿を1日に何回空にしているか、指折り数えてみてください。
2回を超える日が週に何度もあるなら、あなたの暮らしはもう、この一台を必要としています。




