片側たった4グラム。 その小さな筐体に詰まっているのは日本のオーディオ職人たちが20年近く磨き続けてきた執念です。
はじめに
耳に挿したことを忘れてしまうほど軽いイヤホンが、本当にノイズキャンセリングまで搭載しているのか。
そう疑いたくなる方も多いはずです。
通勤電車でアナウンスを聞き逃したくない朝、ベッドに横になって音楽に身を委ねたい夜。
シーンによって求められるイヤホンの性格は、まるで別物といっても言い過ぎではありません。
そんな矛盾した要望にひとつの答えを出したのが、神奈川県川崎市に拠点を構えるオーディオブランド、finalです。
テレビ番組『マツコの知らない世界』で取り上げられて一気に知名度を上げたことを記憶している方もいらっしゃるでしょう。
数十万円のハイエンドヘッドホンから、学生でも手が届くエントリーモデルまで、価格帯を問わず音への姿勢を貫く姿勢が、オーディオファンの心をつかんで離しません。
その最新作が、本記事で深掘りするfinal ワイヤレスイヤホンFI-ZE03DPLTWです。
片側わずか4グラムという極小設計に、独自アルゴリズムのノイズキャンセリングを忍ばせ、寝ホンとしての快適さまで追求した一台。
「小さな筐体に、なぜここまで詰め込めるのか」という冒頭の疑問の答えは、ブランドの背景と製品の仕様を丁寧に紐解いていく中で、自然と浮かび上がってきます。
ブランドの正体から商品の細部、他社製品との立ち位置まで、順を追って見ていきましょう。


final とは
企業詳細
finalを展開するのは、神奈川県川崎市幸区中幸町4丁目44-1に本社を構える株式会社finalです。
代表者は細尾満氏で、設立日は2007年11月27日、資本金は1億円、事業内容はオーディオ機器の開発・製造・販売を主軸としています。
加盟団体として、一般社団法人 日本オーディオ協会に名を連ねており、業界における正規メーカーとしての立場を確立しています。
ただし、現在の姿に至るまでには、興味深い変遷をたどってきた歴史があります。
同社は元々、アメリカの電気・電子製品メーカーであるモレックスの子会社として2007年に設立されました。
当時の社名はS’NEXT株式会社で、立ち上げ当初はテレビなどに内蔵されるスピーカーのOEMおよびODMを主な事業としていました。
転機が訪れたのは2009年のことです。
フィリピンのイヤホン工場を買収したことを契機にイヤホン・ヘッドホンの製造事業へと踏み込み、自社ブランドとして「final audio design」を立ち上げ、製造販売を開始しました。
そして2014年の年末に現経営陣がMBO(マネジメント・バイアウト)によって独立し、事業構造も組織の仕組みも一新されました。
2015年1月には川崎市へ移転し、同社自身も「ここから新たに創業した企業である」と捉えています。
さらに2020年11月1日、SNEXT株式会社から株式会社finalへと社名を変更しました。
OEMおよびODMビジネスから自社ブランドビジネスへと事業の重心が移ったことを受け、メインブランドfinalのブランド認知をさらに広げる目的で、社名とブランド名を統一する決断が下されたのです。
技術面でも、同社の取り組みは独特です。
社内に音響の研究部門を設けており、2021年時点で社員約40名のうち、研究職が半数を占めるという特異な人員構成となっています。
大学との共同研究にも積極的で、九州大学大学院芸術工学研究院の河原一彦博士との共同研究の成果を基にした製品も発売してきました。
ブランド展開としては、社名と同じ「final」を冠したメインブランドのほか、ワイヤレス製品専門のブランドとして「ag」を展開しています。
agブランドについて同社は「『ちょうどいい』ワイヤレス製品を提案するオーディオブランド」と位置付けており、価格と性能のバランスを重視した製品づくりを行っています。
テレビ番組『マツコの知らない世界』(TBS)で何度か特集された影響もあり、近頃ではオーディオマニア以外の層からも注目を集めるブランドへと成長しました。
★当ブログのオリジナル企業信頼度評価(5つ星評価)
企業情報の透明性:★★★★★(5.0)
公式サイトに本社所在地・代表者・設立年・資本金・事業内容・加盟団体までを明示しており、社名変更の経緯まで公開しています。評価項目②:技術力と研究開発体制 社員の約半数を研究職が占め、大学との共同研究にも取り組むなど、規模に対して研究開発への投資比率が際立っています。
ブランド実績と市場での認知度 :★★★★☆(4.5)
テレビ番組での特集や日本オーディオ協会への加盟、ハイエンドからエントリーまで揃う製品ラインナップにより、業界内外で確かな存在感を築いています。
製品ラインナップの幅広さ :★★★★★(5.0)
平面磁界型ヘッドホンのような数十万円クラスのハイエンドから、学生でも購入できる価格帯まで広くカバーし、agというサブブランドも展開しています。
ものづくりへの姿勢と独自性:★★★★☆(4.5)
基礎研究から商品企画、デザイン、設計、製造、販売までを自社で一貫して行う体制を整えており、独自の技術哲学が製品全体に息づいています。
総合評価:★★★★★(4.8)
国産オーディオブランドとしての歴史的厚みと、独立後の積極的な研究開発投資、ブランドの透明性が高く評価できる企業です。
商品紹介「final ワイヤレスイヤホンFI-ZE03DPLTW」



商品詳細
- 色:ブラック
- 耳の位置:インイヤー
- ヘッドホン型式:インイヤー
- ノイズコントロール:遮音
- 片側4gの極小設計を採用し、ZE3000 SVとの比較で体積が約20%小さい
- agブランド「COTSUBUシリーズ」の極小筐体を踏襲し、内部機構を一新
- 小さな耳でもイヤホンが飛び出しにくく、寝ホンとしても適した設計
- 音質と遮音性を両立させた独自アルゴリズムのノイズキャンセリングを搭載
- 周囲の音を聞き取りやすくする「アンビエントモード」を搭載
- L側のワンタッチでモード切替が可能
- 「ノイズキャンセリングモード」「アンビエントモード」に加え、両機能をOFFにする3つのモード切替に対応
- 圧力を分散する「エアフローポート」を搭載し、耳道内の圧力を調整して鼓膜への負担を和らげる構造
- 寝転びながら使用しても壊れにくい耐久性を実現
- タッチ操作に対応し、音楽の再生/停止や通話/終話を本体で操作可能
- 5回連続タップで「タッチ操作無効機能」が起動し、誤動作とアナウンス音・LED点灯をOFFにできる
- 連続音楽再生時間:イヤホン本体約5.5時間/ケース込み約16.5時間
- 充電時間:イヤホン本体・ケース約1.5時間
- 防水性能:IPX4
- 同梱品:充電ケース、イヤーピース(SS/S/Mサイズ)
良い口コミ
「片側4gの軽さは想像以上で、装着していることを忘れてしまうほど自然です。」
「寝転がって使っても耳が痛くならず、ようやく快眠用イヤホンの正解にたどり着いた気がします。」
「電車の中でワンタッチでアンビエントモードに切り替えられるので、駅のアナウンスを聞き逃さずに済んで助かっています。」
「5回タップでタッチ操作を無効にできる機能のおかげで、寝返りで誤作動する心配がなくなりました。」
「IPX4の防水性能があるので、急な雨や汗ばむ運動中でも気にせず使えて頼もしいです。」
気になる口コミ
「ケースのサイズがコンパクトすぎて、イヤホンを戻すときに少しきつく感じることがあります。」
「ノイズキャンセリングは効いているのは分かりますが、高価格帯モデルほどの強力さは期待しないほうが無難です。」
「アンビエントモードの音がややこもって聞こえるため、長時間の外音取り込み用途には少し物足りませんでした。」
「専用アプリには対応していないので、イコライザーを細かく調整したい人にはやや不便です。」
「最低音量がもう少し下げられると、就寝時の使用がさらに快適になるのにと感じました。」
「final ワイヤレスイヤホンFI-ZE03DPLTW」のポジティブな特色
最大の魅力は、片側4gという極小設計と、サイズに似合わぬ高機能の両立にあります。
一般的なノイズキャンセリング搭載モデルは筐体が大きく重くなりがちですが、final ワイヤレスイヤホンFI-ZE03DPLTWは累計出荷台数50万台超のagブランド「COTSUBUシリーズ」で培われた極小筐体技術を継承し、ZE3000 SVとの比較で体積を約20%も削減することに成功しました。
そのため、耳の小さな方や女性ユーザーでも装着が安定しやすく、横になっても枕に押し付けられて痛くなりにくい構造となっています。
独自アルゴリズムのノイズキャンセリングとアンビエントモードは、L側のワンタッチで切り替えられる手軽さも秀逸です。
電車内で突然アナウンスが流れた瞬間、イヤホンを外さずに外音を取り込めるという利便性は、毎日の通勤・通学において想像以上のストレス軽減につながります。
エアフローポートの搭載も特筆すべきポイントです。
耳道内の圧力を逃がす構造によって鼓膜への負担を和らげるとともに、内部ドライバーへの負担も軽減するため、寝転んで使用したときの耐久性が高められています。
加えて、5回連続タップで起動する「タッチ操作無効機能」は、ナイトユース時の誤操作を確実に防いでくれる気の利いた仕様です。
アナウンス音やLEDの点灯までOFFにできるため、暗い寝室で光や音に邪魔されることなく、コンテンツや睡眠に集中できる環境が整います。
バッテリー性能はイヤホン本体約5.5時間、ケース込み約16.5時間と、日常使いには十分な持続力を確保しています。
IPX4の生活防水にも対応しているため、急な雨や汗ばむ場面でも安心して使い続けられる懐の深さを備えた一台です。
「final ワイヤレスイヤホンFI-ZE03DPLTW」のネガティブな特色
一方で、いくつか留意しておきたいポイントも存在します。
まず、対応コーデックや専用アプリの有無といった点で、上位機種と比べると機能が絞られている印象を受けるかもしれません。
イコライザーを自分好みに細かく調整したいヘビーユーザーや、最新コーデックでハイレゾ相当の音質を追い求めたい方にとっては、物足りなさを感じる可能性があります。
ノイズキャンセリングの強度についても、価格帯相応という位置付けです。
飛行機内や工事現場のような騒音環境で、低周波を強力に消し去るタイプのANC性能を期待すると、肩透かしを食らう恐れがあります。
電車内や室内のエアコン音といった生活レベルのノイズを、自然に和らげる方向性のチューニングと理解しておくのが妥当です。
連続音楽再生時間は本体約5.5時間と、長時間移動には心許ない場面も考えられます。
ケース込みで約16.5時間まで延びるものの、終日外出する日にはケースでの充電を挟む運用が求められるでしょう。
加えて、極小設計のため、耳が大きめの方には逆にフィットしづらいケースも報告されています。
イヤーピースはSS/S/Mサイズが同梱されていますが、Lサイズが必要な方は別途検討が必要となる点も覚えておきたいところです。


他メーカーの商品との比較
価格帯と立ち位置の違い
5,000円台から6,000円台のワイヤレスイヤホン市場は、もっとも競合が密集する激戦区です。
この価格帯には、量販店ブランドからグローバル企業のエントリーモデル、新興メーカーの意欲作までが入り乱れています。
その中でfinal ワイヤレスイヤホンFI-ZE03DPLTWは、国産オーディオブランドが手がけるという立ち位置を強みとし、音質設計の経験値で勝負を挑むモデルとして際立っています。
単なる「安いノイキャンイヤホン」ではなく、ハイエンドモデルの開発で培われた音響ノウハウを下位機種にも還流させる姿勢が、競合との明確な差別化要因となっています。
サイズ・装着感における優位性
同価格帯の競合製品の多くは、ノイズキャンセリング機能を搭載するためにスティック型(うどん型)の比較的大きな筐体を採用する傾向があります。
一方で、final ワイヤレスイヤホンFI-ZE03DPLTWは片側4gという極小設計を維持しながらノイキャンを搭載した稀有な存在です。
代表的な競合カテゴリーである大手国産メーカーやグローバル系のエントリーモデルと比較した場合、装着時の存在感の薄さは際立っています。
特に「寝ホン」という用途に絞れば、横になったときの違和感の少なさで明確なアドバンテージを発揮します。
音質チューニングの方向性
5,000円台のワイヤレスイヤホンは、低音を強調したドンシャリ系のチューニングを採用する製品が多く見られます。
これは、コンパクトなドライバーでも迫力を演出するための定石ともいえるアプローチです。
これに対し、final ワイヤレスイヤホンFI-ZE03DPLTWは音楽から動画、ゲームコンテンツまでマルチに楽しめるバランス重視の設計を採用しています。
クセが少なく、ジャンルを選ばず長時間聴いても疲れにくい音作りは、オーディオブランドとしての矜持を感じさせる仕上がりです。
ノイズキャンセリング性能の比較
価格帯を引き上げて1万円台のグローバル人気モデルと比較した場合、ノイキャンの絶対的な強度では一歩譲る場面があります。
ただし、final ワイヤレスイヤホンFI-ZE03DPLTWは「音質を損なわない遮音性」を狙ったチューニングであり、強力に騒音を消すというより、自然に環境音を和らげる方向性です。
ノイキャン特有の圧迫感や耳閉感が苦手な方にとっては、むしろこの控えめな効き具合が長時間使用での快適さにつながります。
機能面とサポート体制の総合評価
同価格帯の競合製品では、専用アプリ対応やマルチポイント接続を売りにするモデルも増えてきました。
final ワイヤレスイヤホンFI-ZE03DPLTWは、そうした最新の付加機能こそ抑えていますが、エアフローポートやタッチ操作無効機能といった独自の使い勝手で対抗しています。
加えて、紛失時の片耳購入が可能なサポート体制は、長く使い続けたいユーザーにとって心強い保険となります。
「機能の多さで選ぶか、本質的な使い心地で選ぶか」という選択軸の中で、後者を重視する方には有力な候補となる一台です。
まとめ
final ワイヤレスイヤホンFI-ZE03DPLTWは、片側4グラムという軽さに、国産オーディオブランドfinalが20年近くかけて磨き上げてきた音響哲学が凝縮された製品です。
通勤電車での外音取り込み、就寝前の寝ホン、休日のリラックスタイムまで、ひとつのイヤホンで複数のシーンを横断できる柔軟さは、忙しい現代人にとって何物にも代えがたい価値となります。
冒頭で投げかけた「小さな筐体になぜここまで詰め込めるのか」という疑問の答えは、ブランドの歴史と研究開発体制、そしてエアフローポートやタッチ操作無効機能といった細やかな工夫の積み重ねにありました。
派手なスペックよりも、毎日身につける道具としての完成度を求める方にとって、final ワイヤレスイヤホンFI-ZE03DPLTWは長く付き合える相棒となるはずです。
本記事があなたのイヤホン選びの判断材料として役立てば、書き手としてこれに勝る喜びはありません。




