草刈りが嫌いになる原因は草ではありません
はじめに
日曜の朝7時、エンジン式の刈払機のスターターロープを何度引いてもエンジンがかからない。
ようやく動いたと思ったら、今度は「この音、お隣さんに迷惑かな」と気になってしまう。
そんな経験がある方は少なくないはずです。
猛暑日が珍しくなくなった今の夏は、草刈りに使える時間がとても限られます。
涼しい早朝か夕方しか作業できないのに、その時間帯ほど音が気になります。
燃料の混合、保管時のにおい、肩に食い込む重さも加わり、庭の手入れはいつの間にか「我慢の作業」になりがちです。
その悩みに、電動工具の老舗であるHiKOKI(ハイコーキ)が出した答えのひとつが「HiKOKI充電式刈払機CG18DA-JC」です。
バッテリーを差し込んでスイッチを入れれば、すぐに刈り始められます。
ガソリンもスターターロープも必要ありません。
ただ、充電式なら何でも良いわけではありません。
バッテリーが持つ時間、本体の重さ、刃の大きさなどは、メーカーごとに意外なほど違います。
この記事では、まずHiKOKIという会社の成り立ちを掘り下げ、そのうえでCG18DA-JCの実力を仕様から読み解きます。
最後にマキタや工進といった他メーカーとも、遠慮なく比べます。
冒頭の一行の意味は、読み終える頃に分かるはずです。


HiKOKIとは
企業詳細
「日立工機」から「HiKOKI」へ
HiKOKIは、工機ホールディングス株式会社が展開する電動工具ブランドです。
運営会社は1948年に設立された電動工具メーカーで、旧社名は日立工機株式会社です。
つまり、ホームセンターの工具売り場で長年見かけた「日立」ロゴの電動工具を作っていた会社そのものです。
大きな転機は2017年でした。
日立製作所の子会社として運営されてきた同社は、2017年3月に投資会社KKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)傘下のHKホールディングスの傘下に入り、新体制へ移行しました。
この流れで日立グループを離れたため、社名とブランド名から「日立」の文字が外れます。
社名は2018年6月1日に「工機ホールディングス株式会社」へ変更され、電動工具のメインブランドは同年10月1日から「HiKOKI(ハイコーキ)」へ切り替えられました。
新社名には、旧商号とのつながりを残しつつ、複数ブランドを持つ現状とM&A(企業の合併・買収)で事業を広げる将来像を表す意図が込められていると発表されています。
ブランド名には、少し面白い仕掛けもあります。
英語圏向けの発表では、「HiKOKI」の「i」と「K」の間に数字の「1」が隠されていると説明されています。
「Hi(1)KOKI」、つまり「日立工機」の音を残しながら、世界で一番を目指すという思いが読み取れます。
一つのブランドだけではない企業グループ
工機ホールディングスはHiKOKIだけの会社ではありません。
2017年の発表時点では、グループが持つ「metabo」「SANKYO」「CARAT」「HIT-MIN」「himac」といったブランド名は変更しないとされていました。
このうちmetabo(メタボ)は、欧州で知られた電動工具ブランドです。
同じ発表では、欧州事業を統括する会社を2017年11月に設立したことにも触れています。
当時の社長は、2020年度に売上高3,000億円を目指す目標を掲げていました。
ただし、この目標が実際に達成されたかどうかは、今回のリサーチでは確認できませんでした。
世界で売れている日系メーカー
採用情報から、会社の現在の姿も見えてきます。
同社はインパクトドライバ、ドリル、グラインダなどの電動工具に加え、エア工具や園芸工具も展開し、独自のリチウムイオン電池技術とコードレス化を進めながら、95カ国以上に販売網を広げています。
また、海外売上が70%を超える日系のグローバルメーカーであることも示されています。
日本では「職人さんの工具」というイメージが強いかもしれません。
実際には、売上の大半を海外で稼ぐ会社です。
組織面では、2020年から日本、米州、欧州、アジアの各地域にSBU(戦略的ビジネスユニット)を置き、それぞれが収益管理の責任を持つ体制をとっています。
国内の販売チャネルはホームセンター、ネット通販、工具店や金物屋などの個人店、卸、販売代理店の5つで、なかでもホームセンターとネット通販を成長分野として強化しているとのことです。
Amazonで「HiKOKI充電式刈払機CG18DA-JC」を見かけやすくなった背景には、この販売戦略があると考えられます。
マルチボルトという「電池の共通化」
HiKOKIを語るうえで欠かせないのが、マルチボルト蓄電池です。
2017年に登場したこの仕組みは、ひとつのバッテリーで18V機と36V機の両方に対応し、接続した機器に合わせて出力を自動で切り替えると紹介されています。
例えるなら、ひとつの鍵で家の玄関にも車にも使えるようなものです。
CG18DA-JCも、マルチボルト蓄電池と18Vバッテリーの両方が使えるモデルです。
リサーチで分かったこと・分からなかったこと
分かったのは、70年以上の歴史があり、社名変更の経緯が公式発表で追える、実体のはっきりした会社だということです。
一方で、現在の株主構成や最新の売上高・利益といった財務の数字は、公開情報からは確認しきれませんでした。
株式市場に上場している大手工具メーカーと比べると、経営数字の見えやすさには差があります。
★当ブログのオリジナル企業信頼度評価(5つ星評価)
運営体制の明確さ ★★★★★(5.0)
1948年設立の旧日立工機という出自がはっきりしており、社名とブランドの変更も公式リリースで経緯が追えます。
販売会社や地域ごとの事業体制まで公開されている点も安心材料です。
市場での評価実績 ★★★★☆(4.5)
海外売上が7割を超え、95カ国以上で販売されている実績は国際的な評価の裏付けと言えます。
国内でもホームセンターや工具店の定番ブランドとして定着しています。
商品開発の専門性 ★★★★☆(4.5)
マルチボルトのように、電池の仕組みそのものを自社で設計して共通化している点は電動工具専業ならではです。
刈払機でも回転数を3段階で切り替えるなど、作業者目線の作り込みが見られます。
社会的・文化的な取り組み ★★★(3.0)
今回のリサーチでは、社会貢献活動について具体的な情報を十分に確認できませんでした。
情報が見えなかった分を差し引きつつ、老舗としての実績を考慮して甘めに採点しています。
財務情報の開示度 ★★★(3.0)
売上目標などの発表はあるものの、現在の決算内容は公開情報から確認しきれませんでした。
上場している同業大手と比べると、外から見える数字は限られます。
総合評価 ★★★★ (4.0)
出自と事業の実体がはっきりした、信頼して選べるメーカーです。
財務の見えにくさは惜しいものの、製品選びの判断材料としては十分な安心感があります。
商品紹介「HiKOKI充電式刈払機CG18DA-JC」



商品詳細
- 電源:バッテリー式
- 色:アグレッシブグリーン
- 商品の重量:7.18キログラム
- 切削幅:230ミリメートル
- 操作ハンドル:両手ハンドル
- 刈刃:チップソー外径230mm×内径25.4mm×刃数36P(仕様欄の表記では刃数34)
- 1充電当たりの作業量:エコ約51分・標準約42分・パワー約33分(無負荷運転時、実作業は連続運転時間の約60%、数値は参考値で条件により異なる)
- 無負荷回転数:エコ4,300min⁻¹・標準4,900min⁻¹・パワー5,600min⁻¹
- 標準付属品:蓄電池(BSL1850C)×1個、急速充電器、チップソー、刈刃カバー、六角棒スパナ、ボックススパナ(17×19mm)、保護メガネ、肩掛けバンド、工具袋、電池カバー
- 本体寸法(全長×全高×全幅):1,800×620×403mm(蓄電池装着時)
- 操作ハンドル(シリーズ):CG18DA両手ハンドル/CG18DA(L)ループハンドル
- 刈刃回転方向:上から見て反時計方向
- 刈刃回転数:エコ4300min⁻¹/標準4900min⁻¹/パワー5600min⁻¹
- 工具本体寸法(全長×全高×全幅):CG18DA1800×403×620mm/CG18DA(L)1800×240×220mm
- 質量:CG18DA3.6kg/CG18DA(L)3.4kg
- 連続運転時間(BSL1850C使用・無負荷時):エコ51分/標準42分/パワー33分(実作業時間は連続運転時間の約60%、数値は参考値で条件により異なる)
- 使用可能蓄電池:マルチボルト蓄電池または18V(BSL18xxシリーズ)
- ランプ:電源ランプ赤色LED/表示ランプ緑色LED
良い口コミ
「スイッチを入れたらすぐ動くので、エンジン式のときのようにロープを何度も引く必要がなくなりました。」
「U字の両手ハンドルが握りやすく、肩掛けバンドを使えば思ったより疲れません。」
「エンジン式と比べると音がずっと静かで、早朝でも近所に気を使わずに作業できます。」
「バッテリーと充電器がセットなので、届いた日にそのまま庭の草刈りを始められました。」
「もともとHiKOKIのインパクトドライバを持っていたので、予備バッテリーを使い回せるのが助かります。」
気になる口コミ
「刃がむき出しに見えるので、最初は少し怖さを感じました。」
「硬い草に当てて負荷がかかると、モーター音は意外と大きくなります。」
「パワーモードで使い続けると、バッテリーの減りが早く感じます。」
「バッテリー1個だけでは、広い庭を一度に刈り切るのは難しいです。」
「柄の長さを調整できないので、背の高さによっては構えにくいと感じることがあります。」
「HiKOKI充電式刈払機CG18DA-JC」のポジティブな特色
一番の魅力は、「すぐ始められて、すぐ片付けられる」ことです。
ガソリンの混合も、エンジンの暖機もいりません。
バッテリーを差し込めば、思い立った5分後には刈り始められます。
二つ目は、回転数を3段階で切り替えられる点です。
柔らかい芝や伸び始めの草ならエコモード(4,300min⁻¹)で電池を節約できます。
茎の太い雑草が混じる場所では、パワーモード(5,600min⁻¹)に切り替えて押し切れます。
自転車のギアを坂道で軽くするように、草の状態に合わせて使い分けられる仕組みです。
三つ目は、作業時間の目安が正直に書かれていることです。
メーカーは「実作業は連続運転時間の約60%」と明記しています。
これを当てはめると、エコで約30分、標準で約25分、パワーで約20分が現実的な目安です。
一般的な家庭の庭なら、標準モードで草が伸びきる前にこまめに刈る使い方がよく合います。
四つ目は、付属品の充実です。
保護メガネ、肩掛けバンド、刈刃カバー、工具袋まで揃っています。
初めて刈払機を買う人が「別に何を買えばいいのか」と迷わずに済みます。
五つ目は、HiKOKIのバッテリーをすでに持っている人にとっての経済性です。
マルチボルト蓄電池も18Vバッテリーも使えるため、2本目のバッテリーを買い足す負担が軽くなります。
電動ドライバーで使っているバッテリーを、休日だけ庭仕事に回す使い方もできます。
「HiKOKI充電式刈払機CG18DA-JC」のネガティブな特色
まず、バッテリー1個での作業量は限られます。
実作業の目安は標準モードで約25分です。
広い庭や空き地をまとめて刈りたい人は、予備バッテリーを前提に考える必要があります。
次に、重さです。
本体の質量は3.6kgで、充電式としては軽い部類ではありません。
肩掛けバンドがあるとはいえ、腕力に自信のない方は、ループハンドルのCG18DA(L)の3.4kgと比べる価値があります。
本体サイズも大きめです。
両手ハンドルを含めた幅が620mmあるため、物置や車のトランクに入れるときは場所をとります。
また、提供された仕様では、刃数や寸法、重量の表記に食い違いがあります。
購入前に販売ページの最新表記を確認しておくと安心です。
最後に、柄の長さやハンドルの角度を細かく調整する機能は仕様に記載がありません。
体格に合わせた微調整を重視する人は、調整機能を持つ他社モデルも候補に入れておくべきです。


他メーカーの商品との比較
比較の前提
比べたのは、同じ18Vクラスで刈刃径230mmのチップソーを使う家庭向けモデルです。
付属バッテリーの容量が機種ごとに違うため、運転時間の数字は単純に比べられない点に注意が必要です。
マキタ「MUR190SDWF」との比較
マキタのMUR190SDWFは18VのUハンドルモデルで、回転数は高速6,000・中速5,100・低速3,500、230mmのチップソーを使い、バッテリーを含む質量は約3,000g、3.0Ahバッテリーと充電器が付属します。
重さはCG18DA-JCより約600g軽く、最高回転数も上回ります。
さらに、キックバック(刃が硬い物に当たって跳ね返る現象)の際に刃が止まる機能や、草のからみを取る機能、防じん・防滴構造も備えています。
安全機能と軽さでは、マキタが明確に優勢です。
一方、CG18DA-JCに付属するBSL1850Cは5.0Ahのバッテリーです。
付属バッテリーの容量では、HiKOKIのほうが余裕があります。
マキタ「MUR195UDZ」との比較
MUR195UDZは、モーターを本体の後ろ側に置いた「後端モータ式」で、先端が軽く重心が体に近いため振りやすいと説明されています。
質量は約3.8kgで、マキタは23mLエンジン式と同等の使い心地をうたっています。
ただしバッテリーと充電器は別売りです。
本格的なパワーを求めるならマキタ、セット価格で始めやすいのはHiKOKIという住み分けになります。
工進「SBC-1825B」との比較
工進のSBC-1825Bは18VのUハンドルモデルで、質量3.7kg、回転数は3,000〜5,000回転/分、運転時間は低速約50分・高速約30分、2.5Ahバッテリーが付属します。
重さはほぼ同じですが、最高回転数はCG18DA-JCが600回転上回ります。
付属バッテリーの容量でもHiKOKIが有利です。
農機具メーカーらしい草刈り専用の作りが工進の持ち味ですが、他の電動工具とバッテリーを共有したい人にはHiKOKIのほうが向いています。
比較から見えた結論
軽さと安全機能を最優先するならマキタです。
5.0Ahバッテリー付きのセットで始めたい人や、すでにHiKOKIの工具を持っている人には、CG18DA-JCが合理的な選択です。
まとめ
草刈りが嫌いになる原因は、草ではありませんでした。
かからないエンジン、ご近所への音の気がね、ガソリンのにおい。
本当に人を疲れさせていたのは、道具の側にあった面倒くささです。
「HiKOKI充電式刈払機CG18DA-JC」は、その面倒をかなり減らしてくれる一台です。
旧日立工機から続くHiKOKIの技術と、5.0Ahバッテリー付きのセットは心強い味方になります。
ただ、軽さや安全機能ではマキタに分があり、広い庭には予備バッテリーが欠かせません。
長所と短所の両方を知ったうえで選べば、きっと後悔はしないはずです。
今日できる小さな一歩として、自分の庭を一周歩いて、だいたいの広さを測ってみてください。
それだけで、必要なバッテリーの数とモードがぐっと具体的に見えてきます。




