その「鉄板」は鉄でできていません。その事実こそがこの一枚を選ぶ最大の理由になります。
はじめに
キャンプから帰った夜、玄関に置いた重たい鉄板を見て、ため息をついた経験はないでしょうか。
冷えて白く固まった脂。
洗って、乾かして、油を塗って、サビないように新聞紙で包む。
あの手間が面倒で、気づけば鉄板は物置の奥で眠っている。
そんな方にこそ知ってほしいのが、JIKABIJAPAN(ジカビジャパン)の「JIKABIJAPANマルチグリドルJJMG331」です。
直径約33cmの丸いプレート一枚で、焼く、煮る、炒める、揚げるの4役をこなします。
重さは約1kg。
2リットルのペットボトル半分ほどの重さと聞けば、その軽さが伝わるはずです。
アウトドアブームのピークは過ぎたと言われます。
それでも、物価高で外食を控え、自宅のベランダや庭で「おうちキャンプ」を楽しむ人は少なくありません。
キャンプと家庭の台所、その両方で使える道具が求められている今、この一枚は気になる存在です。
ただし、良いことばかりを並べるつもりはありません。
冒頭の言葉の意味も含め、メーカーの実像から気になる点まで、正直に掘り下げていきます。


JIKABIJAPANとは
企業詳細
運営会社は北九州市の「株式会社BLESSEDWIN」
JIKABIJAPANを運営しているのは、株式会社BLESSEDWIN(ブリィーシィドウィン)です。
国の法人情報を確認すると、法人番号は6290801029550で、本店所在地は福岡県北九州市小倉北区木町として登録されています。
法人番号の指定日は2023年5月26日で、会社としての歴史はまだ浅い部類に入ります。
インボイスの登録番号も確認でき、区分は未上場です。
一方で、代表者名、資本金、従業員数といった情報は、公開データベース上では空欄のままでした。
今回の調査では、ブランド独自の公式サイトも見つけられていません。
実体のある日本の法人であることは確かですが、会社の顔が見えにくい点は事実として押さえておく必要があります。
ブランド名に込められた「直火」という発想
「JIKABI」は、日本語の「直火(じかび)」をローマ字にしたものと読み取れます。
商品説明でも、直火からIH(電磁誘導加熱)まで全熱源に対応することが真っ先に強調されています。
焚き火の上にも、家のIHコンロの上にも置ける。
ブランド名そのものが、商品の一番の売りを表しているわけです。
北九州市のふるさと納税返礼品に採用されている
信頼性を判断するうえで見逃せないのが、ふるさと納税の返礼品になっている点です。
北九州市の返礼品ページでは、サービス提供者および返礼品提供事業者として株式会社BLESSEDWINの名前が記載されています。
地場産品と認められた理由として、商標を取得した自社ブランドとして、市内の本社で形状設計や7層コーティングの仕様策定、ロゴデザイン、付属品の企画、取扱説明書の作成を自社スタッフが行っていることが挙げられています。
さらに、材質とコーティングの国内外での検査依頼も本社が担っているとのことです。
自治体の返礼品は、地場産品としての基準を満たす必要があります。
その審査の場で企画・設計の拠点が北九州にあると説明している点は、「日本企業が企画・開発・デザイン」という商品説明を裏付ける材料のひとつになります。
なお、返礼品ページに記載された事業者の住所は小倉北区大手町で、法人登記上の木町とは異なっていました。
事務所の移転や登記との使い分けなど理由はいくつか考えられますが、今回の調査では確定できていません。
製造は海外の工場、本体はアルミニウム合金
ここで冒頭の言葉を回収します。
同じ返礼品ページには、製造者として浙江省永康市のYYICO.LTDが記されています。
「製造のみを国外の厳選した工場で行う」という商品説明と一致する内容です。
そして注目すべきは原材料欄で、本体素材はアルミニウム合金、付属グリップは木製と明記されています。
商品説明やAmazonの商品名には「鉄板」という言葉が使われていますが、素材は鉄ではなくアルミ合金ということになります。
重さからも裏が取れます。
当ブログの試算では、直径33cm、厚さ4mmの円板を鉄で作ると約2.7kg、アルミで作ると約0.9kgになります。
商品重量の約1kgは、アルミ合金のほうにぴったり合う数字です。
「鉄板なのに軽い」のではなく、「アルミだから軽い」。
これがこの一枚の軽さの正体です。
とはいえ、これは欠点ではありません。
業界の元祖であるJHQの製品でも、19cmモデルの材質はアルミニウム合金と紹介されています。
このジャンルでは、「鉄板」は形と用途を表す呼び名として使われているのが実情です。
ただ、購入前に素材を正しく知っておくことは大切なので、あえてはっきり書いておきます。
「マルチグリドル」という名前の背景
もうひとつ知っておきたい事実があります。
アウトドア誌BE-PALによると、「マルチグリドル」という名称はJHQの登録商標です。
そのため他社は「マルチグリドルパン」「ラウンドグリドルパン」など別の名前を使うことが多いのですが、JIKABIJAPANは商品名に「マルチグリドル」を掲げています。
商標の使用許諾の有無など詳しい事情は確認できなかったため、ここでは事実の指摘にとどめます。
販売チャネルと販売実績
Amazonでは、販売元が「JIKABIJAPAN(正規販売店)」、発送はAmazonが担う形になっています。
ラインナップは19cmのソロ用、33cmの基本タイプ、仕切りのあるセパレートタイプ、専用蓋付きの5点セットなどに広がっています。
提供された商品説明には、累計販売実績78,000個(2024年5月31日時点、株式会社BLESSEDWIN調べ)とあります。
ただし、2025年4月時点の楽天市場の紹介記事では累計販売数37,000枚突破と書かれており、時期が後なのに数字が小さいという食い違いがありました。
数え方の違い(全サイズ合計か、特定サイズのみかなど)による可能性もありますが、どちらも自社調べの数字である以上、参考値として受け止めるのが妥当です。
また、レビューの信頼性を分析するサイトでは、この商品について公式情報の少なさなどを理由に注意を促す判定が出ていました。
ふるさと納税への採用という実績がある一方で、情報発信の少なさが外部から不安視されているのも事実です。
企業としての透明性を高める余地は、まだ十分にあると言えます。
★当ブログのオリジナル企業信頼度評価(5つ星評価)
運営体制の明確さ ★★★(3.0)
法人番号、登記住所、インボイス登録が確認でき、実在する日本法人であることは間違いありません。
ただ、代表者名や公式サイトが見当たらず、顔の見える運営とまでは言えない状況です。
市場での評価実績 ★★★☆(3.5)
Amazonと楽天市場で複数のサイズ展開を続けており、楽天ランキング1位をうたう紹介も複数見られます。
販売実績の数字に食い違いがある点は、少し評価を差し引きました。
商品開発の専門性 ★★★(3.0)
7層コーティングの仕様策定や付属品の企画を自社で行っていると、自治体の返礼品ページで説明しています。
一方で製造は外部工場に委ねており、独自技術の詳細までは公開されていません。
社会的・文化的な取り組み ★★★(3.0)
北九州市のふるさと納税返礼品として採用され、地元での企画・設計を地場産品の根拠にしている点は評価できます。
地域との関わりを示す材料が、今後さらに増えることに期待します。
財務情報の開示度 ★★(2.0)
資本金や売上などの財務情報は、今回の調査では確認できませんでした。
設立から日の浅い未上場企業としては珍しくありませんが、評価は控えめにしています。
総合評価 ★★★(3.0)
実体のある日本企業が企画を担い、自治体の返礼品にも選ばれているという安心材料はしっかりあります。
情報公開がもう一歩進めば、評価はすぐに上がる伸びしろの大きいブランドです。
商品紹介「JIKABIJAPANマルチグリドルJJMG331」



商品詳細
- 色:ブラック
- 材質:7層高級コーティング(特殊フッ素樹脂を用いた7層構造)
- 商品の重量:約1kg(19cm=約350g)
- 商品の寸法:40長さ×33幅×0.4厚みcm
- 商品サイズ:約40cm(取手含む)×約33cm(19cm=約22cm(取手含む)×約19cm)
- 深さ:約2cm(19cm=約1cm)
- 厚み:約4mm
- 対応熱源:直火、ガス、IH調理器、炭火、ラジエントヒーター、セラミックヒーター、ハロゲンヒーター
- 対応調理:焼く/煮る/炒める/揚げる
- コーティングの耐久性:100万回の摩耗試験をクリア
- お手入れ:油を使わずに調理でき、使用後のお手入れが簡単
- 安全検査:材質及びコーティングの安全品質を国外で1機関、日本国内で2機関の3重検査
- PFOA(ペルフルオロオクタン酸):PFOAフリーであることを国内の第三者機関にて検査確認
- 企画・開発・デザイン:日本企業が担当
- 製造:国外の厳選した工場で、日本人スタッフの技術指導のもと実施
- 再コーティング無料サービス:注文日から5年間有効な無料券が付属、1回に限り無料で再コーティング可能
- メーカー保証:30日間
- ブランドロゴ:本体裏面、付属の木製グリップ、オリジナルPVC(ポリ塩化ビニル)バッグに刻印・印字
- 木製グリップ:熱された鉄板をテーブルに移動する際に使用
- 収納バッグ:水や汚れに強い素材を採用
- セット内容:本体、木製グリップ、収納バッグ、再コーティング無料券(注文日から5年間有効)
- 専用蓋:マルチグリドルのためだけに開発された専用蓋が付属と記載
- 累計販売実績:78,000個(2024/05/31時点、(株)BLESSEDWIN調べ)
良い口コミ
「目玉焼きを油なしで焼いてみたら、フライ返しを入れなくてもスルッと滑りました。洗い物もキッチンペーパーで拭くだけで済んで感動です」
「家族4人のキャンプで使っています。焼きそばを作ったあと、そのままお皿としてテーブルに出せるので洗い物が一気に減りました」
「前に使っていた鉄のスキレットは重くて腕がつらかったのですが、これは片手でひょいと持てます。女性でも扱いやすい重さです」
「家のIHでも焚き火でも使えるので、出番が圧倒的に多いです。キャンプ専用の道具にならないところが気に入っています」
「コーティングがダメになっても一度は無料で直してもらえると知って、ほかのブランドではなくこちらを選びました。長く使える安心感があります」
気になる口コミ
「鉄板と書いてあったので鉄だと思っていました。アルミ素材と知って、少しだまされた気分になりました」
「専用蓋が付属と書かれていたのに、届いたセットには入っていませんでした。蓋付きは別のセットだったようで、選ぶときに分かりにくかったです」
「深さが2cmほどなので、揚げ物や汁気の多い料理は油やスープがあふれそうで少し怖いです。煮込み料理には向いていないと感じました」
「メーカー保証が30日間と短めです。再コーティング券があるとはいえ、本体の不具合への保証がもう少し長いと安心できます」
「木製グリップは見た目はおしゃれですが、熱々の鉄板を持つときにずれないか少し緊張します。慣れるまでは両手で慎重に扱っています」
「JIKABIJAPANマルチグリドルJJMG331」のポジティブな特色
一番の魅力は、「買ったあと」の安心まで設計されていることです。
フッ素コーティングのフライパンを1〜2年で買い替えた経験がある方は多いはずです。
最初は卵がスルスル滑ったのに、ある日を境に焦げ付き始める、あのがっかり感。
JIKABIJAPANマルチグリドルJJMG331には、注文日から5年間有効な再コーティング無料券が付いています。
1回限りという条件はありますが、コーティングが傷んだ段階で新品に近い状態へ戻せる道が用意されているわけです。
使い捨てになりがちなコーティング調理器具を、「直して使う道具」に変えてくれる仕組みと言えます。
次に、軽さが生む出番の多さです。
約1kgという重さは、キャンプ場の駐車場からサイトまで運ぶときも、家の棚から出し入れするときも負担になりません。
重い道具は、性能が良くても使わなくなります。
軽いからこそ、平日の夕食にも気軽に登場させられます。
3つ目は、調理器具とお皿を一枚にまとめられる点です。
焼いた肉や焼きそばを、そのままテーブルに出せば料理が冷めにくく、見た目も華やかになります。
洗い物は本体1枚で済むので、水場が遠いキャンプ場では特にありがたいはずです。
4つ目は、安全面への配慮が言葉で示されていることです。
PFAS(有機フッ素化合物)をめぐる報道を目にする機会が増え、フッ素加工の調理器具に不安を感じる方もいます。
この商品は、PFOAフリーであることを国内の第三者機関で確認し、国内外3機関での検査を行ったと明記しています。
食べ物に直接触れる道具だからこそ、こうした説明があるのは心強いポイントです。
そして最後に、価格とのバランスです。
後ほど比較するように、元祖ブランドの半額近い価格帯でありながら、再コーティング券という独自のサポートが付いてきます。
「まずは一枚試してみたい」という方にとって、手を出しやすい選択肢です。
「JIKABIJAPANマルチグリドルJJMG331」のネガティブな特色
まず、素材表記の分かりにくさです。
商品説明では「4mmの鉄板」と書かれていますが、北九州市のふるさと納税の返礼品ページでは本体素材がアルミニウム合金と明記されています。
鉄ならではの「蓄熱でじっくり焼き上げる」性能を期待すると、思っていたのと違うと感じるかもしれません。
アルミは温まりやすく冷めやすい素材なので、分厚いステーキを焼くときは火加減をこまめに調整する必要があります。
次に、付属品の表記の揺れです。
商品説明の後半には「専用蓋が付属」とありますが、セット内容の一覧には蓋が含まれていません。
蓋付きのセットは別に販売されているため、蓋が欲しい方は購入ページのセット名をよく確認してください。
3つ目は、深さの限界です。
深さ約2cmは、焼く・炒めるには十分ですが、揚げ物や汁物には余裕がありません。
油はね、吹きこぼれには注意が必要です。
4つ目は、保証期間の短さです。
メーカー保証は30日間で、再コーティング券もあくまで1回限りです。
5年間何度でも直せるわけではない点は、誤解のないように覚えておきましょう。
5つ目は、フッ素コーティングならではの扱いの制約です。
金属製のヘラでこすったり、空のまま強火にかけたりすると、コーティングの寿命を縮めます。
焚き火で使う場合も、炎が強すぎる場所は避けたほうが長持ちします。
最後に、企業情報の少なさです。
実在する日本法人であることは確認できますが、公式サイトや代表者の情報が見当たらず、問い合わせ窓口は主に販売ページ経由になります。
再コーティング券を使うときに備え、購入時の注文情報はしっかり保管しておくことをおすすめします。


他メーカーの商品との比較
比較の軸
ここでは、同じ33cmクラスの丸型グリドルを、価格、重さ、深さ、付属品とサポートの4つの軸で比べます。
価格は時期やショップで変わるため、目安として見てください。
元祖「JHQ鉄板マルチグリドル33cm」との比較
比較の基準になるのが、ジャンルの火付け役であるJHQです。
サイズは長さ39.6×幅33×厚み4.7cm、重さは約1kgで、JIKABIJAPANとほぼ同じ寸法と重さです。
33cmサイズの深さは2cmで、水が1L入る点も共通しています。
大きく違うのは価格です。
JHQは33cmが9,130円(税込み)で販売されている一方、JIKABIJAPANはAmazonで5,000円前後の価格帯です。
専用蓋についても、JHQは2024年8月に公式の蓋を発売し、価格は4,180円と別売りです。
ブランドの知名度、雑誌やSNSでの実績、イノーブルコーティングという名の通った技術ではJHQが上回ります。
一方、価格と再コーティング券という長期サポートでは、JIKABIJAPANに分があります。
低価格の「FIELDOORラウンドグリドルパン33cm」との比較
とにかく安く始めたい方の定番が、FIELDOORです。
重さは約650gでアルミニウム合金製、シリコンハンドル2つと収納バッグが付属します。
重さはJIKABIJAPANより約350gも軽く、持ち運びのしやすさでは明確に勝っています。
本体の高さも約4.2cmと表記されています。
価格は3,000円台が中心で、JIKABIJAPANよりさらに手頃です。
ただし、食洗機には対応していないことが明記されており、再コーティング券のようなサポートもありません。
「安く始めて、傷んだら買い替える」という考え方なら、FIELDOORが合理的です。
比較から見えた、JJMG331が向いている人・向いていない人
JIKABIJAPANは、元祖の半額近い価格で、元祖とほぼ同じサイズと重さを手に入れられる一枚です。
そこに再コーティング券という保険が付く点が、ほかにない個性になっています。
「一枚を長く使いたい、でも元祖は少し高い」という方には、最もバランスの良い選択肢です。
反対に、ブランドの信頼性や情報量を最優先する方はJHQ、軽さと価格を最優先する方はFIELDOORを選んだほうが満足しやすいはずです。
まとめ
その「鉄板」は、鉄ではありませんでした。
けれど、アルミ合金だからこそ約1kgという軽さが生まれ、キャンプ場でも家の台所でも気軽に使える一枚になっています。
JIKABIJAPANマルチグリドルJJMG331は、完璧な道具ではありません。
深さには限りがあり、保証は短く、企業の情報ももう少し欲しいところです。
それでも、5年間有効の再コーティング券は、使い捨てが当たり前だったコーティング調理器具に「直して使う」という選択肢を持ち込みました。
物価が上がり、ものを長く大切に使う価値が見直されている今、この仕組みは素直にうれしいものです。
今日からできる小さな一歩として、手元のフライパンをいつ買ったか思い出してみてください。
焦げ付きが気になり始めているなら、それが次の一枚を考えるちょうど良いタイミングです。




