ご飯の味は炊飯器のスイッチを押す前に、もう決まっています
はじめに
新米が店頭に並ぶ季節になりました。
ここ数年、お米の値段がたびたびニュースになり、一粒のありがたみを改めて感じた方も多いはずです。
それなのに、毎日の米とぎはどうでしょう。
冷たい水に手を浸し、とぎ汁を流すたびに白い粒がいくつかシンクへ消えていく。
「あ、もったいない」と思いつつ、朝の忙しさに負けて見なかったことにする。
あの小さな後悔、覚えがある方は少なくないと思います。
今回取り上げるのは、奈良で90年以上プラスチック生活用品を作り続けるブランドlike-itの「like-itザルボウル6点セットLBK-10」です。
料理研究家と一緒に「研ぎ方」から設計し直したザルとボウルに、蓋にも器にもなるプレートを加えた6点が、使い終わると一つに重なります。
ボウルやザルが引き出しの中で散らかる悩みにも応えてくれる道具です。
この記事では、like-itがどんな会社なのか、商品のよい点と気になる点、他メーカー品との違いまで、遠慮なく書きました。
冒頭の一文の意味は、読み終えるころに腑に落ちるはずです。


like-itとは
企業詳細
ブランドを支える2つの会社
like-itは、奈良県に拠点を置く生活用品ブランドです。
ものづくりを担うのが株式会社吉川国工業所、販売を担うのがライクイット株式会社という役割分担になっています。
ライクイット株式会社は1986年12月の設立で、資本金は1,000万円、代表者は吉川和希氏、従業員は14人です。事業内容は吉川国工業所のプロダクツ事業で作られた製品の販売とされ、本社は奈良県葛城市、東京・神保町にもオフィスを構えています。
製造側の株式会社吉川国工業所は1959年4月の設立で、資本金は2,000万円、従業員数は100〜150人と公表されています。
つまり「like-it」は、製造と販売を別会社に分けながらも、同じ一族経営のグループが企画から出荷までを握るブランドです。
セルロイド加工から始まった90年超の歩み
創業は1932年1月で、初代の吉川国太郎氏が「吉川セルロイド工業所」として立ち上げ、歯ブラシケースやコンパクト、ピンポン球などを作っていました。
1943年には戦時下で軍需工場に転換され、終戦翌年の1946年から定期券入れや筆箱、裁縫箱、石けん入れといったセルロイド製品の製造を再開しています。
転機は1951年です。
プラスチックの射出成型機を導入して社名を「吉川国工業所」に改め、文具や浴用品、食卓用品などの家庭用品へと事業を広げ、1959年に株式会社となりました。
現会長のメッセージでは、工場火災や第二次世界大戦、第一次オイルショックといった苦境を乗り越えて創業90周年を迎えたことに触れ、その締めくくりとして第四工場を完成させたと述べています。
戦前の小さな加工所が、戦争と素材の転換期をくぐり抜けて今も同じ土地で工場を動かしている。
それだけで、この会社の粘り強さが伝わってきます。
デザイン賞の常連という顔
like-itを語るうえで外せないのが、デザイン面での評価の高さです。
1984年にラウンドバスケットでグッドデザイン賞を受けて以来、1998年まで15年連続で選定を受けており、1987年にはキャリーポットが日用品部門の金賞を獲得しています。
長く売れ続けた商品に贈られるロングライフデザイン賞も複数受けており、流行ではなく「使い続けられる形」を積み重ねてきた会社だとわかります。
今回の商品の原型にあたる「米とぎにも使えるザルとボウル」も、その系譜にあります。
2018年にグッドデザイン賞を受け、翌2019年にはRedDotDesignAward(レッド・ドット・デザイン賞)とiFDesignAward(iFデザイン賞)という、いずれもドイツのデザイン賞を受けています。同社の受賞歴一覧では、このザルとボウルがDFADesignforAsiaAwards(アジアのデザイン賞)、GermanDesignAward(ジャーマン・デザイン・アワード)、シカゴ・グッドデザイン賞も受賞したと記載されています。
商品説明にある「6つのデザイン賞」は、この一覧と数が一致します。
設計を手がけたのはデザイナーの小関隆一氏で、グッドデザイン賞の受賞企業はライクイット株式会社と記録されています。
早くから海外にも目を向けてきた
like-itは国内向けの雑貨メーカーという印象が強いかもしれません。
ところが実際には、20年以上前から海外の見本市に出展しています。
2003年にドイツの見本市テンデンスへ出展し、2007年にはシカゴの国際家庭用品見本市で出品商品が表彰を受けました。2008年には収納用品専門店のTheContainerStore(ザ・コンテナストア)との取引を始め、2014年にはニューヨークに現地法人Like-itInc.(ライクイット・インク)を設立しています。
使い方リーフレットの全文に英語表記が付いているのも、こうした流れを考えると自然な設計です。
素材と環境への取り組み
地味ながら注目したいのが、素材開発への投資です。
2017年にはセルロースナノファイバー(植物由来の極細繊維)とポリプロピレンを組み合わせた複合材を製品化し、2018年には経済産業省近畿経済産業局から「地域未来牽引企業」に認定されました。
工場内廃棄物のリサイクル設備や太陽光パネルの導入に加え、2019年には海洋プラスチック問題に取り組む業界団体CLOMA(クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス)に参画しています。
海洋プラスチックなど使用済み素材を再利用した製品開発の実績があることや、国内工場で二酸化炭素排出量の算定まで一貫して行えることも打ち出しています。
プラスチックは「使い捨て」の象徴として見られがちな素材です。
その素材を扱う会社が、経営の柱として資源の循環を掲げている点は、評価してよい部分だと感じます。
気になる点も正直に
一方で、財務の中身は外からほとんど見えません。
両社とも非上場で、資本金や従業員数は公開されているものの、売上高や利益といった決算情報は今回の調査では確認できませんでした。
また、like-itの商品数は非常に多く、どの商品がどの工場で作られているかまで一般の購入者が確かめるのは難しいのが実情です。
今回の商品については、提供情報で奈良の自社工場での日本製と明記されている点が、判断材料になります。
★当ブログのオリジナル企業信頼度評価(5つ星評価)
運営体制の明確さ ★★★★☆(4.5)
製造会社と販売会社の役割、所在地、代表者、資本金が公式に公開されています。
二社体制の分担もはっきり説明されており、問い合わせ先に迷うことはありません。
市場での評価実績 ★★★★★(5.0)
グッドデザイン賞の15年連続選定をはじめ、国内外で数多くの賞を受けています。
今回の商品の原型も6つのデザイン賞を受けており、評価の厚みは申し分ありません。
商品開発の専門性 ★★★★☆(4.5)。
射出成型の技術を自社で磨き、金型の管理まで工場内で行う体制が整っています。
料理研究家や外部デザイナーと組んだ開発からも、使う場面まで踏み込んだ設計力がうかがえます。
社会的・文化的な取り組み ★★★★(4.0)
再生材の活用や業界団体への参画など、素材を扱う企業としての責任に向き合っています。
リーフレットの英語併記など、日本の米文化を海外へ伝える姿勢も評価しました。
財務情報の開示度 ★★★(3.0)
資本金や従業員数は公開されていますが、売上や利益などの決算情報は確認できませんでした。
非上場企業としては一般的な水準で、大きな減点材料とは考えていません。
総合評価 ★★★★☆(4.2)
90年以上同じ土地でものづくりを続け、デザインでも素材でも実績を積んできた信頼できるメーカーです。
決算が見えにくい点を差し引いても、安心して商品を選べる企業だと判断しました。
商品紹介「like-itザルボウル6点セットLBK-10」



商品詳細
- 色:ブラック
- スタイル:6点セット
- セット内容:浅型ザル・深型ザル、浅型ボウル・深型ボウル、トレー2枚
- 商品の寸法:23.6長さ×23.6幅×12.4高さcm
- サイズ(セット時):(約)直径23.6×H12.4cm
- セット重量:(約)871g
- 材質:プラスチック
- 材質(ザル):熱可塑性エラストマー
- 材質(ボウル・プレート):ポリプロピレン
- 耐熱温度:140℃
- 耐冷温度:-40℃
- 電子レンジ:〇
- 食洗機対応:〇
- 生産国:日本
- 開発:料理研究家・松田美智子さんと共同開発
- 着想:伝統工芸品「マタタビのザル」の弾力性と水切れの良さを受け継ぎ、より丈夫で扱いやすく設計
- こだわり①:柔らかく弾力のある独自素材で、お米を傷つけずやさしく研げる
- こだわり①補足:両端をたわませれば、鍋やおひつへこぼさず移し替えが可能
- こだわり②:研いだ水を吸い込む前に瞬時に排出できる「つなぎ目のない縦スリット構造」
- こだわり②補足:隙間から米粒が落ちにくく、余分な水分だけを素早く切れる
- こだわり③:日本人の手の動きに合わせた「23cm」サイズ
- こだわり③補足:4合を一度に研ぐことができ、ボウルの中で手がスムーズに回るゆとりあるサイズ感
- 製造:1932年(昭和7年)創業、奈良の自社工場で素材選びから仕上げまで製造
- デザイン:デザイナー小関隆一氏が設計
- 受賞:ドイツなど世界中の様々なデザイン賞を6つ受賞
- 深型ザルボウル:しなやかにたわむザルで、お米とぎや野菜をたっぷり洗うときに活躍
- 浅型ザルボウル:切った食材の安定した一時置きに
- プレート:冷蔵保存やレンジ調理で「ラップ代わり」、ザルの下に敷けばそうめんなどの水受けとしてそのまま食卓へ
- プレート補足:ザルにかぶせて振れば水切りが可能、蓋・受け皿・器として使える
- 収納:使い終われば一つに重なりコンパクト
- 付属品:使い方リーフレット(お米の研ぎ方、土鍋ご飯の炊き方、下ごしらえから保存までの使い方を掲載)
- リーフレット補足:すべての文章に英語表記付き
- 電子レンジ使用時の注意:プレートをフタ代わりにして加熱する際は必ず隙間を空ける
- 注意補足:密閉した状態で加熱すると内部が真空状態となり、プレートが変形するおそれあり
良い口コミ
「炊飯釜に移すとき、ザルの両端をきゅっと寄せるだけでお米がこぼれなくなりました。朝のシンクに白い粒が散らばらないだけで、気分がまるで違います」
「縦長のスリットにお米が挟まらないので、使ったあとに洗うのがとにかく楽です」
「金属のパンチングボウルのガチャガチャした音から解放されました。早朝でも家族を起こす心配がありません」
「浅型はパスタの湯切りや、下味をつけた食材の置き場所にちょうどいいサイズでした。プレートを蓋にすればラップの出番も減っています」
「6点を全部重ねても一つ分の場所しか取らないので、ごちゃごちゃだった引き出しがすっきりしました」
気になる口コミ
「素材が柔らかいので、力を込めてしっかり研ぎたい人には少し物足りなく感じるかもしれません」
「普通のプラスチックのザルと比べると値段は高めで、買うまでにかなり迷いました」
「しなるのは深型のザルだけで、浅型のザルは同じ感覚では使えませんでした」
「炊飯釜で直接研いでいた頃と比べると、ザルからお米を移すひと手間が増えます」
「重ねると高さが12cmほどになるので、収納場所は先に測っておいた方が安心です」
「like-itザルボウル6点セットLBK-10」のポジティブな特色
一番の特色は、米とぎという毎日の作業を「道具の側から」変えてくれる点です。
ここで冒頭の一文に戻ります。
ご飯の味が炊く前に決まる理由は、研ぐ工程にあります。
ヌカが残れば炊き上がりに臭みが出て、力を入れすぎて米粒が割れれば余分に水を吸い、べたつきの原因になると言われます。
このザルは、伝統的なマタタビのザルのような弾力で米粒を受け止めるので、力加減に自信がない人でもやさしく研げます。
縦スリットがとぎ汁をすばやく逃がすため、濁った水をお米に吸わせる時間も短くなります。
つまり、上手な人の研ぎ方を、道具が肩代わりしてくれるわけです。
2つ目は、お米がこぼれない移し替えです。
両端をたわませると注ぎ口のような形になり、土鍋やおひつにもするりと移せます。
地味に聞こえますが、毎日続く作業のストレスが一つ消える価値は小さくありません。
3つ目は、6点の役割分担の上手さです。
深型で米や野菜を洗い、浅型に切った食材を待機させ、プレートで蓋をして冷蔵庫へ入れる。
下ごしらえから保存まで、同じシリーズだけで流れが完結します。
そうめんの季節ならザルの下にプレートを敷き、そのまま食卓に出せます。
4つ目は、片付けの気持ちよさです。
6点がぴたりと重なり、直径約23.6cm、高さ約12.4cmの中に収まります。
耐熱140℃・耐冷-40℃で、電子レンジと食洗機の両方に対応している点も、手間を増やさない理由になっています。
ブラックは米粒やヌカの白さがよく見えるので、研ぎ具合を目で確かめやすいのも見逃せない利点です。
「like-itザルボウル6点セットLBK-10」のネガティブな特色
まず、価格は一般的なプラスチック製ザルと比べて高めです。
同シリーズの6点セットは別カラーで4,730円(税込)の販売例があり、100円ショップのザルと同じ感覚で選ぶ商品ではありません。
次に、柔らかさは長所であると同時に短所にもなります。
しっかり力を入れて研ぐ習慣のある人は、手応えの軽さに戸惑う可能性があります。
また、炊飯釜で直接研いでいた人にとっては、ザルから移す手順が一つ増えます。
6点を重ねたときの高さ約12.4cmは、浅い引き出しには入らない場合もあるので、収納場所の確認は必須です。
電子レンジでプレートを蓋代わりにするときは、必ず隙間を空けないとプレートが変形するおそれがあります。
過去の販売ページのレビューには耐熱100℃という表記に触れた声もあり、今回の提供情報の140℃とは異なるため、購入時は販売ページの表記を必ず確認してください。
最後に、4合までという容量は、一度に5合以上炊く家庭には足りません。


他メーカーの商品との比較
比較①下村企販「米磨ぎボウル6合24522」
燕三条の下村企販が作る、樹脂製の米とぎ専用ボウルです。
内径約215mm×高さ約180mm、重量約300g、材質はポリプロピレンで日本製と表記されています。
耐熱温度は120度です。
Amazonでは800円で販売されており、1,000件を超える評価が集まっています。
優れている点は、価格の手頃さと6合という容量です。
米とぎだけが目的なら、コスト面ではこちらが明らかに有利です。
劣る点は、ボウル単体の商品なので、下ごしらえや保存まで一つのシリーズで回すことはできない点です。
耐熱温度もlike-itの140℃より低く、ザルがしなって注ぎやすくなるような仕掛けもありません。
比較②柳宗理「ステンレスボール23cm」+「パンチングストレーナー23cm」
デザインの名作として知られるステンレス製の組み合わせです。
ボールは直径231×高さ119mmで容量3.4L、パンチングストレーナーは直径238×高さ86mmで、いずれも3,850円です。
材質は18-8ステンレスで燕市の日本洋食器株式会社が製造し、食洗機は使えますが電子レンジや直火、IHには使えません。
優れている点は、金属ならではの丈夫さと熱への強さで、熱湯を扱う場面では安心感があります。
劣る点は、2点で7,700円とlike-itの6点セットより高くなることと、電子レンジに入れられないことです。
金属ボウル特有の、ぶつかったときの音が気になる人もいるはずです。
比較から見えること
米とぎ専用で安く済ませたいなら下村企販、熱に強く一生ものの道具を求めるなら柳宗理が向いています。
like-itは、米とぎのしやすさと、下ごしらえから保存までの使い回しを一つにまとめたい人に合う選択肢です。
「全部そろえると結局一番すっきりする」という点が、この商品の本当の強みだと考えます。
まとめ
ご飯の味は、炊飯器のスイッチを押す前に決まる。
その答えは、研ぐという数分の作業にありました。
「like-itザルボウル6点セットLBK-10」は、奈良で90年以上ものづくりを続けるlike-itが、その数分を丁寧に作り直した道具です。
値段は安くありません。
それでも、とぎ汁と一緒に消えていた米粒と、散らかった引き出しのイライラが減るなら、十分に元は取れると感じました。
お米一粒の重みを知った今だからこそ、選ぶ意味があります。
まずは今夜、お米を研ぐときに、とぎ汁と一緒に何粒流れていくか数えてみてください。
その数が、道具を見直すかどうかのいちばん正直な判断材料になります。




