この水筒の大きさは一枚の紙から決まりました
はじめに
朝の満員電車で、リュックの中のノートパソコンに丸い水筒がゴツンと当たる。
あの鈍い音に、ひやりとした経験はありませんか。
私は何度もあります。
今年の夏も厳しい暑さが続き、こまめな水分補給は「心がけ」から「毎日の決まりごと」に変わりました。
マイボトルを持つ人は確実に増えています。
それなのに、バッグの中で場所を取る円柱形の水筒に、小さなストレスを抱えたままの人は少なくありません。
そこで紹介したいのが、ブランド「memobottle(メモボトル)」です。
彼らが作ったのは、ノートのように平べったい水筒。
今回はその定番モデル「memobottleウォーターボトルM002R」を取り上げます。
見た目は、まるで透明な下敷きに飲み口が付いたような姿です。
「水筒は丸いもの」という思い込みを、正面からひっくり返した一本と言えます。
ただ、平らであることには良い面も、割り切るべき面もあります。
この記事では、ブランドの成り立ちから実際の使い勝手、他メーカーとの比較まで、良いことも都合の悪いことも包み隠さずお伝えします。
冒頭の一文に込めた意味も、読み進めるうちにきっと分かります。


memobottleとは
企業詳細
創業者は、海辺の町で育った幼なじみの二人
memobottleの共同創業者であるJesseLeeworthy(ジェシー・リーワーシー)氏とJonathanByrt(ジョナサン・バート)氏は、メルボルン南部の小さな海沿いの町で一緒に育ちました。
リーワーシー氏は、地元の浜辺にペットボトルが打ち上げられていく光景を目にしていたと振り返っています。
ブランドの出発点は、おしゃれな雑貨を作りたいという発想ではなく、使い捨てボトルへの怒りに近い問題意識でした。
運営会社のmemobottlePtyLtd(メモボトル社)は、2014年にメルボルンで、プロダクトデザインエンジニアのリーワーシー氏と、金融コンサルタントのバート氏によって設立されました。
アイデアの源は、使い捨てボトルが環境に与える深刻な影響と、一般的な水筒がパソコン用のバッグに収まらない不便さという、二つの問題意識でした。
設計者は、製品デザインを学んだエンジニア
リーワーシー氏はスウィンバーン工科大学で製品デザイン工学を専攻し、優等学位を取得しています。
卒業後は製品デザインのコンサルティング会社で働き、数年たってから、改めてバート氏とともに水筒の問題に取り組み始めました。
リーワーシー氏が紙切れに描いたデザインを、ビデオ通話でバート氏に見せたことが始まりだったと公式ブログは紹介しています。
当時、二人は別々の国で暮らしていたものの、このボトルの可能性を確信し、製品化に向けて動き出しました。
名前の由来は「紙」
ここで、冒頭の一文の答え合わせをします。
memobottleは、国際的な用紙サイズを基準に設計されたボトルです。
今回の「M002R」の寸法は243×148×30mm。
この幅148mmは、A5用紙の短い辺の長さとぴったり一致します。
実際、海外の販売店では、この商品は「A5original」というモデル名で、SKU(在庫管理番号)MB-M002Rとして掲載されています。
メモ帳やノートと同じ感覚で持ち歩ける水筒だから「memo」bottle。
名前そのものが、設計思想を物語っています。
Kickstarterでの大成功と、その裏の苦労
2014年8月、二人はクラウドファンディングサイトのKickstarter(キックスターター)でmemobottleを公開しました。目標額1万5,000ドルに対し、45日間で6,118人の支援者から26万1,148ドルを集めています。
しかも、目標額は開始からわずか36時間で達成されました。
ただし、華やかな話だけではありません。
首の部分が中心からずれた独特の形は、一般的な円筒ボトルとは違う製法を必要とし、製造は非常に難航しました。
集めた資金の半分以上を開発に注ぎ込んでいたため、返金もできない状況に追い込まれ、出荷は半年遅れたと創業者自身が明かしています。
二人は台湾の工場に乗り込み、品質を詰めていったと紹介されています。
失敗を隠さず語っている点は、むしろ信頼できる材料だと感じます。
アカデミー賞のギフトにも選出
2016年2月には、A5サイズとA6サイズのmemobottleが、第88回アカデミー賞のギフトバッグに採用されました。
小さなスタートアップの水筒が、世界的な授賞式の舞台に並んだことになります。
社会的な取り組み
memobottleは、BCorporation(Bコーポレーション:社会や環境への配慮について一定の基準を満たした企業に与えられる国際認証)を取得しています。
また、安全な水と衛生環境の普及に取り組む国際NPOのWater.org(ウォーター・ドット・オーグ)を支援しており、ボトル1本の販売につき、誰かが5か月間安全な水を利用できる仕組みをうたっています。
販売網については、70か国以上に発送し、国際的なデザイン賞も複数受賞していると説明しています。
新しい製品への広がり
2024年には、紙サイズの発想を弁当箱に広げた「memobento(メモベント)」をKickstarterで公開し、わずか数分で目標額に到達したと発表しています。
水筒単品のブランドから、「平らに持ち運ぶ道具」のブランドへと広がりつつあるようです。
日本との関わり
日本では2017年10月2日から、memobottlePtyLtd自身がAmazonを通じた販売を開始したとプレスリリースで発表しています。
さらに2026年には、Anzleaf合同会社がステンレスモデルの国内先行販売をクラウドファンディングサイトのCAMPFIRE(キャンプファイヤー)で実施し、期間は6月25日から7月31日まででした。
このリリースでは、世界累計100万本以上の販売実績や、海外クラウドファンディングで合計約111万ドルの支援を集めたことが記されています。
ただし、これらは販売側の発表による数字で、第三者による検証は確認できていません。
分からなかったこと
一方で、正直に書いておくべき点もあります。
非上場企業のため、売上高や利益などの財務情報は公開されていません。
日本国内での正式な総代理店や、アフターサービス窓口の体制についても、今回のリサーチでははっきりした情報を確認できませんでした。
保証やサポートを重視する方は、購入先の販売元をよく確認しておくのがおすすめです。
★当ブログのオリジナル企業信頼度評価(5つ星評価)
運営体制の明確さ ★★★★(4.0)
創業者の名前や経歴、本拠地、会社の形態まで、複数の情報源ではっきり確認できます。
日本国内のサポート窓口が見えにくい点だけ、少し割り引きました。
市場での評価実績 ★★★★☆(4.5)。
Kickstarterでの大型調達やアカデミー賞ギフトへの採用など、外部からの評価が具体的に残っています。
発売から10年以上たっても新製品を出し続けている点も、評価を後押ししました。
商品開発の専門性 ★★★★☆(4.5)
製品デザイン工学を学んだエンジニアが設計し、紙のサイズという明快なルールで製品群をそろえています。
製造で苦戦した過去を自ら公開している点にも、ものづくりへの誠実さを感じます。
社会的・文化的な取り組み ★★★★☆(4.5)
BCorporation認証の取得や、Water.orgへの継続的な支援が確認できます。
創業の動機そのものが環境問題なので、取り組みに一貫性があります。
財務情報の開示度 ★★☆(2.5)
非上場企業のため、売上や利益などの数字は確認できませんでした。
販売本数などは自社発表にとどまるため、この項目は控えめな評価です。
総合評価 ★★★★(4.0)
創業の理由から製品の形、社会的な取り組みまで、筋の通ったブランドだと言えます。
財務の見えにくさと国内サポートの分かりにくさを差し引いても、安心して検討できる企業です。
商品紹介「memobottleウォーターボトルM002R」



商品詳細
- 材質:プラスチック
- ボトルタイプ:再利用可能
- 色:ホワイト
- 容量:750ml
- 携帯性:省スペースで紙のようなデザイン、バッグにスリムに収まり本やラップトップなどと平らに並べられる
- 本体素材:トライタンプラスチック(BPAフリー、冷凍庫対応、軽量、クリアで透明)
- 蓋:ステンレススチール製
- 密閉性:防漏シリコンシール
- 対応温度:熱湯と冷水の両方に対応
- パッケージ:プレミアムでリサイクル可能なギフトボックス入り
- 保証:2年間の製造保証
- 重量:170g(0.37lb)
- 寸法:243×148×30mm(9.6×5.8×1.2インチ)
良い口コミ
「ノートパソコンと書類の間にすっと入るので、バッグがパンパンに膨らまなくなりました」
「750mlも入るのに軽くて、毎日持ち歩いても負担に感じません」
「透明なので残りの量がひと目で分かり、飲み忘れに気づけるようになりました」
「デスクに置いても見た目がすっきりしていて、仕事中に出しっぱなしでも気になりません」
「箱がきれいなので、プレゼントにしたらとても喜ばれました」
気になる口コミ
「保温も保冷もできないので、真夏の外出では水がすぐぬるくなります」
「角の部分が洗いにくく、普通のスポンジでは奥まで届きません」
「炭酸飲料を入れられないのは、最初に知っておきたかったです」
「車のドリンクホルダーやリュックの横ポケットには入れにくいです」
「プラスチックの水筒としては値段が高めに感じました」
「memobottleウォーターボトルM002R」のポジティブな特色
一番の魅力は、なんといってもバッグの中での収まりの良さです。
厚さはわずか30mm。
公式の説明では、memobottleはどのサイズも厚さ30mmで、ボトルの壁は約2.5mmの厚みを持たせ、落下やバッグの中での圧迫に耐えられるよう設計されています。
丸い水筒をバッグに入れると、その部分だけがこぶのように膨らみます。
memobottleなら、A5ノートを一冊足した程度の感覚で済みます。
使い方のコツはシンプルで、A5のノートや手帳が入るポケットなら、まず入ると考えて問題ありません。
次に、容量と重さのバランスです。
750mlを持ち運べて、本体は170g。
500mlのペットボトルより多く入り、空の状態ならスマートフォン1台分ほどの重さです。
職場や学校で一日を過ごすなら、朝に一度満たすだけで午前中を乗り切れる量があります。
本体が透明な点も、地味ながら効いてきます。
残りの量がひと目で分かるので、「まだ半分も飲んでいない」と気づくきっかけになります。
暑い時期の水分補給を習慣にしたい方にとって、これは意外と大きな助けです。
素材のトライタンは、熱や衝撃に強い樹脂です。
公式FAQでは、トライタン製のmemobottleは最高100℃から最低マイナス40℃まで耐えられると説明されています。
冷凍する場合は、凍った水が膨らむため、上に少し空間を残すよう案内されています。
前の晩に7割ほど入れて冷凍しておけば、翌日は保冷剤代わりにもなります。
そして、贈り物としての完成度の高さ。
リサイクル可能なギフトボックスに入っているので、包装に悩む必要がありません。
2年間の製造保証が付き、1本買うごとに安全な水の支援につながる仕組みもあります。
「使う人の毎日を少し楽にして、遠くの誰かの役にも立つ」。
そんな物語ごと手渡せる贈り物は、そう多くありません。
「memobottleウォーターボトルM002R」のネガティブな特色
最初に押さえておきたいのは、保温・保冷の機能がないことです。
公式も、断熱構造ではないため、熱いお湯を入れるとボトル自体が熱くなると注意を促しています。
熱湯に対応しているのは「熱で傷みにくい」という意味であり、「温かさが長持ちする」という意味ではありません。
真夏の屋外で冷たさを保ちたい方には、この商品は不向きです。
次に、炭酸飲料は入れられません。
独特の形のため、炭酸飲料を入れると形が元に戻らなくなる恐れがあると公式に明記されています。
お手入れにも少しコツが要ります。
平らで角のある形は、丸いボトルに比べて隅まで洗いにくい構造です。
公式も、サイズ別の専用クリーナーや、薄めた酢、洗浄タブレットの使用をすすめています。
専用品を買い足す前提で考えておくと、後悔が減ります。
フタの互換性にも注意が必要です。
以前のモデルを取り上げた記事では、飲み口の口径が一般的なペットボトルと違うため、ペットボトルのフタで代用できないと紹介されています。
なくすと困るので、外出先では置き場所を決めておくと安心です。
形の都合で、丸いもの向けに作られた場所には入りにくい点も気になります。
車のドリンクホルダーや、リュックの側面にあるボトル用ポケットは、基本的に円柱形を想定しています。
最後に、提供情報そのものについても触れておきます。
色は「ホワイト」と記載されている一方で、本体は「クリアで透明」とも書かれています。
白い部分がフタなのか、別の部分なのかは文面だけでは判断できません。
また、初期のパッケージには「75度までの液体に使用可能」というアイコンが描かれていたと報じられています。
現在の公式情報は熱湯対応ですが、手元に届いた製品の表示を一度確認しておくと安心です。


他メーカーの商品との比較
比較の軸
比べるポイントは、形、容量、重さ、温度を保つ力、持ち運びやすさの五つです。
memobottleウォーターボトルM002Rは、750ml・170g・厚さ30mmの平らなハードボトルです。
ナルゲン「広口1.0LTritanRenew」との比較
ナルゲンの広口1.0Lは、満水容量1.1L、重さ約180gで、本体はマイナス20℃から100℃まで対応しています。
同じトライタン系の素材で、ほぼ同じ重さなのに、入る量はナルゲンのほうが多くなります。
口が広く、ボトルの中まで洗いやすい設計も強みです。
価格も税込2,860円と手頃です。
量と洗いやすさと価格では、ナルゲンの勝ちです。
一方、バッグへの収まりでは勝負になりません。
丸い1Lボトルは、ノートパソコンと並べると明らかに場所を取ります。
サーモス「真空断熱ケータイマグJOO-750」との比較
サーモスのJOO-750は容量0.75Lで、6時間後の保温効力は75℃以上、保冷効力は8℃以下です。本体は約8×8×24cm、重さ約0.3kgです。
容量は同じでも、温度を保つ力は比べものになりません。
夏の屋外で冷たい水を飲みたいなら、選ぶべきはこちらです。
ただし重さは約1.8倍。
直径約8cmの円柱は、厚さ3cmのmemobottleより、バッグの中でかなり存在感があります。
Vapur「Eclipse1L」との比較
Vapurは、空になると平らに畳める柔らかいボトルで、ポリエチレンとナイロンの素材でできています。
重さは数十グラムほどで、軽さでは圧倒的です。
ただ、使用者のレビューでは表面の加工が早めにすり減るという指摘もあります。
また、柔らかい素材のため、水を入れた状態で形を保つ力はハードボトルに及ばないと考えられます。
満タンでも平らなまま、という一点では、memobottleに分があります。
比較から見えること
memobottleは、量でも、温度を保つ力でも、軽さでも一番ではありません。
それでも「水を入れたまま、平らに持ち運べる」という一点では、今回比べた中で唯一の存在です。
通勤や通学で、書類やノートパソコンと一緒に持ち歩く人には、ほかに代わりがききません。
反対に、屋外で冷たさを保ちたい人や、たっぷり飲みたい人は、他メーカーを選んだほうが満足できます。
まとめ
水筒は丸いもの。
そんな当たり前を、一枚の紙のサイズから見直したのがmemobottleです。
「memobottleウォーターボトルM002R」は、A5ノートと同じ幅で、750mlの水を平らなまま運べます。
保温も保冷もできませんし、炭酸も入れられません。
それでも、バッグの中でパソコンと水筒がぶつかる、あのゴツンという音から解放される気持ちよさは、一度味わうと手放しにくいものです。
マイボトルを持つ人が増えた今だからこそ、「何を入れるか」だけでなく「どう持ち運ぶか」で選ぶ価値があります。
まずは今夜、いつものバッグにA5のノートを一冊差し込んでみてください。
すっと入ったなら、そこがmemobottleの指定席になります。




