白い鉄板は汚れが目立つ。それなのに、この一台は10年以上も選ばれ続けています。
はじめに
ホットプレートを出すのが、少し面倒だと感じたことはありませんか。
重い箱を押し入れから引っ張り出し、焼いて、食べて、油まみれの鉄板をシンクで格闘する。
あの一連の作業を思い出すだけで、「今日はやめておこうか」となる。
その”出すのが億劫”という感覚を、真正面からひっくり返そうとしたのが、オランダの家電ブランドPrincess(プリンセス)です。
同ブランドの代表作「Princess ホットプレートセラミックTableGrillPure」は、そもそも収納することを前提にしていません。
天然竹の台座に、真っ白なセラミックのプレート。
テーブルに置きっぱなしにしても、生活感ではなく景色になる。
この発想の転換が、日本でも支持を集めてきた理由です。
物価の上昇が続き、外食のハードルが上がった今、家で焼肉やパーティ料理を楽しむ「家飲み・家パーティ」の需要は落ち着くどころか定着しました。
その流れの中で、「調理器具」ではなく「食卓の家具」として設計された製品が注目されるのは、自然な流れだと考えます。
ただし、美しさには代償もあります。
真っ白ということは、焦げ跡が最も目立つ色だということでもあります。
この記事では、Princessというブランドの正体を可能な限り深く掘り下げたうえで、TableGrillPureの魅力と弱点を、忖度なしで整理していきます。


Princessとは
企業詳細
Princessは、オランダを拠点とする調理家電・生活家電ブランドです。
日本の正規流通元が公表している情報によれば、Aad Ouborg氏によって1994年にオランダで設立され、高い機能性と独特のデザイン性を特徴とする家電製品メーカーとしてスタートしました。
創業直後からプロダクトデザインの独自性が評価され、新規参入メーカーとしては異例の立ち上がりを見せたとされています。
その後、2012年にブランドデザインを大幅に刷新し、よりデザイン性の高い製品づくりへと軸足を移しました。
ここで一点、正直に触れておきます。
創業年については情報源による揺れがあります。
英語圏のブランド紹介ページでは、1989年にブレダで創業したとする記述や、2013年にオランダ・ティルブルフに本社を置くSmartwares Groupの一員になったとする記述も見られます。
日本語の公式情報とは数字が一致しないため、当ブログとしては「1994年設立という公式表記を軸に、それ以前から続く前史がある可能性も否定できない」という整理に留めます。
断定できない部分を断定しないことも、ブランドを正しく伝えるうえでは必要だと考えます。
現在のPrincessは、独立系メーカーではなく、Smartwares Groupという家電グループの中核ブランドの一つという位置づけです。
本社はオランダのティルブルフに置かれ、ベルギー、ドイツ、フランス、スペイン、イタリアのほか、ラテンアメリカのコスタリカ、中東のレバノンなどに拠点を展開しています。
製品は63カ国以上で販売され、20カテゴリーにわたる家電を幅広く手がけています。
取り扱いアイテム数は180点以上に及び、電気ケトルやエアフライヤーといったキッチン家電から、パーソナルケア機器までを含む構成になっています。
グループとしてのブランド戦略も、かなり明確です。
Smartwares Groupの資料では、「デザイナーズブランドのような高級感を、手の届く価格で」という方向性が示されており、同グループCEOのErik Raphael氏は、世界的なトレンドを製品に翻訳し続けること、そして竹素材の筐体を用いたラクレット製品のように国際特許を取得したユニークな製品を生み出していることに言及しています。
また、著名デザイナーのJan des Bouvrie氏が一部製品のデザインに関与してきた点も、ブランドの美意識を支える要素として挙げられています。
ブランドが掲げるタグラインは「For moments that matter」(大切な瞬間のために)。
家電を性能表で語らず、食卓で起きる出来事の側から語る。
この姿勢が、TableGrillPureの造形にもそのまま表れています。
日本市場での歩みも押さえておきます。
日本国内では、CORED(コレド)株式会社がPrincessブランドの総販売代理店として輸入販売を担ってきました。
同社のリリースによれば、2014年に輸入販売をスタートし、2019年時点で国内15万人以上のユーザーにPrincess製品が届けられてきたとされています。
そして、日本市場での評価を決定づけたのが、デザイン賞の受賞です。
「PRINCESS Table Grill」シリーズは、2016年度のJIDAデザインミュージアムセレクション ゴールドセレクションを受賞しています。
これは公益社団法人日本インダストリアルデザイナー協会によるセレクションで、Vol.18のゴールドセレクション賞にあたります。
海外ブランドの調理家電が、日本のインダストリアルデザイン団体から選定を受けた事実は、単なる輸入雑貨としての人気とは意味合いが異なります。
「見た目が可愛い家電」ではなく、「設計思想が評価された製品」という位置づけになるからです。
一方で、企業としての透明性という観点では、物足りない部分もあります。
Princess単体としての売上高や従業員数といった財務・組織情報は、日本語で体系的に開示されている状態とは言えません。
グループ全体の年次報告に相当する情報も、一般の消費者が容易に辿れる形にはなっていません。
また、日本語の公式サイトやブランド紹介ページには、公開年から時間が経過したまま更新されていない記述も見受けられます。
ブランドの熱量が高かった2018年から2019年頃の情報が、現在も主要な一次情報源として機能している状況です。
購入判断に直結する情報ではないものの、「今のPrincessが何を目指しているのか」を日本語で追いかけにくい点は、率直に弱点だと考えます。
とはいえ、ブランドの本質は揺らいでいません。
キッチンの奥ではなく、ダイニングの中央に置かれる家電をつくる。
その一貫性は、30年近く保たれてきました。
★当ブログのオリジナル企業信頼度評価(5つ星評価)
運営体制の明確さ ★★★★(4.0)
本社所在地、グループ親会社、欧州・中南米・中東の拠点構成まで公表されており、実体の追跡は十分に可能です。
日本国内も総代理店が明示されているため、購入後の窓口が不明という状態にはなりません。
市場での評価実績 ★★★★☆(4.2)
63カ国以上での販売実績に加え、日本ではJIDAデザインミュージアムセレクションのゴールドセレクション受賞という第三者評価を得ています。
一方で、日本国内の口コミ母数は大手メーカー製品と比べると小さく、統計的な安心感という点では一歩譲ります。
商品開発の専門性 ★★★★☆(4.3)
セラミックコーティングと遠赤外線を組み合わせた加熱設計、竹を用いた筐体構成など、素材選択に明確な狙いがあります。
国際特許を取得した製品群を持つ点も、単なるOEM調達型のブランドとは一線を画す材料になります。
デザイン性とブランド発信力 ★★★★☆(4.8)
2012年のブランドリニューアル以降、「魅せる家電」という立ち位置を崩さずに製品を積み上げてきました。
日本市場で「白いホットプレート」という言葉がブランドの代名詞として定着した事実が、発信力の強さを裏づけています。
情報開示度 ★★★(3.0)
財務情報や組織規模に関する一次情報が乏しく、日本語での情報更新頻度にも課題が残ります。
製品情報は充実している一方、企業情報の鮮度という点では改善余地があると判断しました。
総合評価 ★★★★☆(4.1)
ブランドとしての実体・実績・設計思想は十分に確認でき、信頼して選べる水準にあります。
減点要素は製品品質ではなく、企業情報の見えにくさに集中しており、「良い製品をつくる会社だが、会社そのものの現在地は追いにくい」というのが結論です。
商品紹介「Princess ホットプレートセラミック TableGrillPure」



商品詳細
・材質:竹、セラミック
・色:ピュア
・商品の重量:4460グラム
・商品の寸法:56長さ x 56幅 x 25.5厚み cm
・美味しさ(遠赤外線効果):遠赤外線効果で食材の旨味を引き出し、外はこんがり、中はジューシーに焼き上げる
・遠赤外線効果の狙い:鶏肉など火が通りにくかった食材も、外は焦げすぎ・中は生焼けではなく、外はこんがり・中はジューシーを実現
・高い熱伝導性:短時間でプレート全体が適温に至り、素材を素早く焼き上げる
・高い蓄熱性:アルミを一旦溶かし、固まる過程で表面は早く固まり緻密な結晶、内部はゆっくり固まり粗い結晶ができる構造
・蓄熱性の効果:内部の粗い結晶が熱の保有力を高め、蓄熱性がアップし冷めにくくなる
・ヘルシー(油要らず):ノンスティック加工で油を使う必要がない
・油の使用について:油を使用してはいけないわけではなく、オリーブオイルやココナッツオイルなどで調理すると違った味わいを楽しめる
・不要な油を落とせる:プレート全体が中央に向かって緩やかに傾斜し、中央の穴に油が落ちるよう設計
・簡単操作(温度は無段階調節):ダイヤルを回すだけの簡単操作
・温度調節範囲:最大250度までの無段階調節で、保温から最大250度まで様々な調理に対応
・安全:サーモスタットが設定温度より高温になると停止し、低温になると運転再開して設定温度を保つよう自動調整、温度の上がりすぎを防止
・付属品:スパチュラ6本付き
・スパチュラの特徴:木目がオシャレで、プレートを傷つけずに食材を調理できる
・シンプルお手入れ(プレート):使用後はプレートを少し冷ましてから、お湯や水で湿らせたキッチンペーパーや布でサッと一拭きで簡単に落とせる
・水洗い時の注意:プレートが完全に冷えてから、プラグ差込口から水が入らないよう注意して洗う
・油受け皿:簡単に取り外せ、プラスチック製のため軽くて丈夫、洗浄も簡単
・持ち運び:女性でも軽々持ち運べる、大きめのお皿のような軽さ
良い口コミ
「出しっぱなしにしても様子にならず、むしろテーブルが締まって見えます」
「厚切りの鶏もも肉が、表面はカリッと、中はしっかり火が通った状態で焼けました」
「油を敷かずに焼いても、野菜がくっつかずに気持ちよく返せます」
「食後の片付けが、濡らしたキッチンペーパーで拭くだけで終わるのが本当にありがたいです」
「付属のスパチュラが6本もあるので、家族全員が同時に焼けて取り合いになりません」
気になる口コミ
「油分の少ない食材を高温で焼いたら、白いプレートに茶色い跡が残ってしまいました」
「サイズが想像以上に大きく、我が家のテーブルでは他の皿を置く余裕がありません」
「収納場所を考えていなかったので、結局出しっぱなしにするしかない状態です」
「たこ焼きプレートのような交換パーツがないため、料理の幅は思ったより広がりません」
「価格帯を考えると、蓋が付いていない点はもう少し検討してほしいと感じました」
「Princess ホットプレートセラミック TableGrillPure」のポジティブな特色
最大の価値は、「片付けなくていい家電」という一点に集約されます。
竹の台座と白いセラミックプレートという構成は、鉄と樹脂でできた一般的な調理家電とは、置いたときの印象がまるで違います。
木製ダイニングテーブルの上に置いたとき、道具ではなく器の側に見える。
この「しまわなくていい」という性質は、単なる見た目の話に留まりません。
出すのが面倒だから使わない、という使用頻度の低下を構造的に防いでくれます。
調理性能の設計も、狙いが明確です。
遠赤外線効果によって食材の内側まで熱を届けつつ、表面は焼き固める。
鶏肉のように「中まで火を通したいが、表面は焦がしたくない」という難しい食材で、この差は実感しやすくなります。
さらに、アルミを溶かして固める過程で内部に粗い結晶をつくり、蓄熱性を高めるという製法上の工夫があります。
蓄熱性が高いプレートは、冷えた食材を一度に載せても温度が落ちにくく、焼き上がりが安定します。
ホットプレートで最も不満が出やすいのは「肉を並べた瞬間に温度が下がって、水分が出て煮えたようになる」場面ですが、その弱点に対する回答が設計に組み込まれています。
健康面の設計も、後付けではありません。
ノンスティック加工により油を敷かずに調理でき、さらにプレート全体が中央へ緩やかに傾斜し、余分な油が中央の穴から油受け皿に落ちる構造になっています。
焼肉のあとにプレートが油の海になる、という状態を最初から避ける設計です。
しかも油を完全に禁じているわけではなく、オリーブオイルやココナッツオイルを使えば風味の変化も楽しめます。
操作系はダイヤル一つの無段階調節で、保温から最大250度までをカバーします。
段階式ではなく無段階であることは、低温でチーズを溶かす、中温で野菜をじっくり火入れする、高温で肉に焼き目を付ける、といった細かい使い分けを可能にします。
サーモスタットが設定温度を超えると停止し、下がれば再開する自動制御も備わっているため、温度の上がりすぎを気にせず会話に集中できます。
そして、冒頭の伏線に戻ります。
白い鉄板は、汚れが目立ちます。
それでもこの製品が選ばれ続けてきたのは、「汚れが残らない前提の設計」を積み上げているからです。
少し冷ましたプレートを、湿らせたキッチンペーパーで一拭き。
油受け皿は取り外して洗うだけ。
汚れが目立つ色を選んだうえで、汚れを残さない設計で応じる。
その筋の通し方が、このブランドの本質だと感じます。
「Princess ホットプレートセラミック TableGrillPure」のネガティブな特色
最も現実的な障害は、サイズです。
商品情報に記載された寸法は56長さ×56幅×25.5厚みcmとなっており、この数値どおりであれば、一般的な4人掛けダイニングテーブルの中央をほぼ占有します。
ただし、この寸法表記については注意が必要です。
長さと幅が同一で厚みが25.5cmという構成は、写真から受ける横長の印象とは一致しにくく、梱包サイズや表記順の違いが含まれている可能性を否定できません。
購入前に、販売ページで実寸を必ず確認することをおすすめします。
重量4460グラムという数値も、「大きめのお皿のような軽さ」という説明とは体感が離れる可能性があります。
こちらも付属品を含む総重量なのか、プレート単体なのかで印象が変わるため、鵜呑みにしない方が安全です。
拡張性の乏しさも、正直に指摘しておきます。
この製品は一枚のプレートで完結する設計であり、たこ焼きプレートや深鍋プレートへの交換という発想がありません。
焼く、炒める、温めるという用途には強い一方、粉もの文化圏の日本で期待されがちな「一台で何でも」という要求には応えきれません。
ノンスティック加工との付き合い方にも、多少の慣れが要ります。
油を使わずに調理できることは長所ですが、油分の少ない食材や糖分を含むタレを高温で扱えば、焦げ付きは起こり得ます。
そして白いプレートは、その痕跡が最も見えやすい色です。
コーティングを長持ちさせるには、金属ヘラを使わない、空焚きを避ける、余熱を取ってから拭き取る、といった基本動作の積み重ねが必要になります。
最後に、収納の問題があります。
「収納しない家電」というコンセプトは、裏を返せば「置き場所が常時必要な家電」ということです。
普段は片付けておきたい、という使い方を想定している家庭では、この製品の価値の大半が失われます。


他メーカーの商品との比較
デザイン系の代表格:BRUNO ホットプレート グランデサイズ
日本の食卓で最も強い競合は、BRUNOのグランデサイズです。
保温から250℃までの無段階調整に対応し、サーモスタット機能とマグネット式電源コードを備えています。
実測レビューではサイズ約W480×H155×D280mm、重量約3.2kg、税込18,700円という数値が報告されています。
決定的な差は拡張性です。
BRUNOは平面プレートやたこ焼きプレートに加え、深鍋やグリルプレートといった別売オプションが多数用意されています。
たこ焼き、鍋、お好み焼きまで一台で回したいなら、TableGrillPureは明確に不利です。
逆に、蓋と交換プレートを収納する場所が必要になる点、そして鋳物ホーロー鍋を模したレトロな意匠が和洋どちらのインテリアにも主張する点は、好みが分かれます。
「食卓に溶ける静けさ」を取るならPrincess、「用途の広さ」を取るならBRUNOという整理になります。
実用重視の大型モデル:アイリスオーヤマ 両面ホットプレート DPO-133
コストパフォーマンスで比較されやすいのが、アイリスオーヤマの両面タイプです。
2枚のプレートをそれぞれ80℃〜250℃で独立して温度調整でき、片面で加熱しながら片面を保温する、といった使い方ができます。
平面・ディンプル・たこ焼きの3種類のプレートが付属し、折りたたんで収納幅を圧縮できる設計も備わります。
機能密度では、TableGrillPureは完敗です。
同時に、この製品には「置きっぱなしにしたくなる佇まい」がありません。
使ったら畳んでしまう前提の道具であり、思想がそもそも逆方向を向いています。
煙対策特化型との違い
焼肉時の煙とにおいを最優先するなら、網焼き風・無煙タイプという選択肢があります。
焼肉プレートから余分な脂が水受皿に落ちる構造により、煙やにおいを抑えて焼肉を楽しめるモデルが各社から出ています。
TableGrillPureも中央の穴から油を落とす構造を持ちますが、水受け方式ほどの減煙効果を謳ってはいません。
賃貸集合住宅で煙を最小化したい場合は、専用設計のモデルの方が合理的です。
結論:何を優先するかで答えは変わる
一台で多用途をこなしたいならBRUNO、機能あたりの価格ならアイリスオーヤマ、煙対策なら無煙特化型。
TableGrillPureが唯一勝ち切るのは、「使っていない時間の見た目」という評価軸です。
年に数回しか使わない家庭には、この価値は届きません。
週に一度でも食卓に出す家庭には、他のどれも代わりにならない一台になります。
まとめ
家電を選ぶとき、私たちは性能表ばかり見てしまいます。
けれど実際の暮らしで効いてくるのは、「使う気になるかどうか」という、数字にならない部分です。
TableGrillPureは、そこに賭けた製品です。
真っ白なプレートは焦げ跡が目立ちます。
交換プレートもありません。
それでも、竹の台座に載った姿がテーブルに馴染むという一点で、出番の回数が変わってきます。
物価が上がり、外食が贅沢に戻りつつある今、家の食卓を少し上等にする投資は、決して的外れではないと考えます。
今日できる小さな一歩として、ダイニングテーブルにメジャーを当ててみてください。
幅60cm前後の長方形が、皿を置く余裕を残したまま確保できるか。
その一分の確認が、この一台を「置きっぱなしの名品」にするか「押し入れの後悔」にするかを分けます。




