動画のクオリティは音で決まる!RODEのこだわりとは?映像制作を支える「ワイヤレスマイクシステムWirelessPRO」の実力を徹底紹介

画は撮り直せても、その日の声は二度と録れない

はじめに

動画を開いて、3秒で閉じた経験はありませんか。
映像はきれいなのに、声がこもっていたり、エアコンの音にかき消されていたりする。
あのガッカリ感は、画質の粗さよりもずっと早く、私たちの指を「戻る」ボタンへ向かわせます。
スマホで4K撮影ができるいま、画の差はどんどん縮まりました。
ショート動画、ウェビナー、推し活のライブ配信。
画面の向こうの人を最後まで引き留めているのは、実は「聞き取りやすさ」です。
料理にたとえるなら、器がどれほど立派でも、出汁が薄ければ箸は止まります。
映像にとっての出汁が、音です。
その出汁づくりに半世紀以上こだわってきたのが、シドニー生まれのオーディオブランドRODE(ロード)です。
今回紹介する「ワイヤレスマイクシステムWirelessPRO」は、音割れや電波切れといった録り直しのきかない失敗を減らすために、同社の技術を手のひらサイズに詰め込んだ一台です。
この記事では、RODEという企業の歩みから、WirelessPROの実力、そして他社製品と比べたときの本音までまとめました。
正直に言うと、感心した部分もあれば、首をかしげた部分もありました。

RODEとは

企業詳細

小さな音響店から始まった物語

RODEのルーツは1967年までさかのぼります。
出発点は、ロンドン生まれの音響技術者ヘンリー・フリードマンとスウェーデン生まれの妻アストリッドが興したFreedmanElectronics(フリードマン・エレクトロニクス)です。
夫妻はスウェーデンから移り住んだあとシドニーで店を構え、スピーカーやアンプ、特注の電子機器を扱う専門家として地元の音響業界で頭角を現しました。
1968年には、若き日のトム・ジョーンズがオーストラリアを回った公演で、ヘンリー自身がミキシング卓に座ったという逸話も残っています。
街の音響店が、世界的な歌手の声を客席に届けていた。
RODEの「声を届ける」という原点は、ここにあります。

どん底からの逆転劇

ただし、道のりは平坦ではありませんでした。
1980年代にヘンリーが亡くなり、80年代後半の不況も重なって会社は倒産寸前に追い込まれ、息子のピーターは多額の借金を抱えることになります。
窮地のピーターが思い出したのは、1981年に上海の見本市で目にしたマイクでした。まず20本を取り寄せ、手を加えて売り出すと、シドニーで一気に売れ始めます。
その勢いは現地の俗な言い回しで「排水管を駆け上がるネズミ」にたとえられ、非公式に「Rodent-1(ロデント・ワン=ネズミ1号)」と呼ばれたことが、のちの「NT1」の名につながりました。
1990年、ピーターは事業を立て直してマイクの自社製造へ舵を切り、NT1を送り出します。
資料によっては発売を1991年としており、手頃な価格でスタジオ品質を実現し、ノイズの少なさと頑丈さで評判を集めたと紹介されています。
ブランド名の由来が、ちょっと笑える裏話だというのも人間くさくて好感が持てます。

「自分たちで作る」という執念

RODEを語るうえで欠かせないのが、ものづくりの内製化です。
1998年以降、同社はシドニーの製造拠点を大きく広げ、コンピューター制御の切削加工、基板の製造、樹脂の射出成形までを社内に取り込んでいきました。
現在は合計28万平方フィート(約2万6000平方メートル)を超える5棟の施設に、5億ドル以上の精密機械をそろえ、800人を超えるスタッフが電子設計から品質管理、財務、マーケティングまでを担っています。
部品を外部に頼らなければ、品質のばらつきを抑えられ、改良のスピードも上がります。
その一方で、巨額の設備投資を自ら背負うことにもなります。
「安く作るなら外に出せばいい」という業界の常識に逆らい続けてきたところに、この会社の頑固さと覚悟が表れています。

時代の「声」を先回りしてきた製品史

2000年代初め、家庭用ビデオ撮影が広がるなかで、カメラに付けられる手頃で高品質なマイクの需要をいち早くつかみ、2004年にオンカメラマイク「VideoMic(ビデオマイク)」を発売しました。
2007年には、「ポッドキャスト」という言葉が生まれて間もない時期に、初の専用製品「Podcaster(ポッドキャスター)」を投入しています。
2018年には配信者向けの制作卓「RØDECasterPro(ロードキャスタープロ)」、2019年には小型ワイヤレスマイク「WirelessGO(ワイヤレスゴー)」が登場しました。
そして2023年、WirelessPROが正規代理店の銀一から6万8200円で国内発売されています。
こうして並べると、RODEは需要が生まれてから追いかけるのではなく、需要が生まれそうな場所に先回りする企業だとわかります。

買収で広がる音響グループ

1994年に米国での販売を担ったスピーカーメーカーEventElectronics(イベントエレクトロニクス)を、2006年に買収しました。
グループにはAphex(エーフェックス)やSoundField(サウンドフィールド)も加わっています。
2023年12月には、ミキサーで知られるMackie(マッキー)を抱えるLOUDAudio(ラウドオーディオ)を傘下に収めました。
さらに2025年5月、映画や放送、劇場向けのワイヤレス機器で50年以上の実績を持つLectrosonics(レクトロソニックス)の買収を発表しています。
同社は2017年に、独自のデジタル・ハイブリッド・ワイヤレス技術でアカデミー賞を受けた名門です。
買収の大きな狙いは米国内での製造拠点の確保で、関税の壁を避けて北米・南米向けの製品を供給する体制づくりとされています。
ワイヤレス音声の最高峰を手に入れたことは、今後のRODE製ワイヤレスマイクの進化を占ううえでも注目すべき動きです。

経営体制と評価

正式な社名はFreedmanElectronicsPtyLtdで、非上場の企業です。会長をピーター・フリードマン、CEOをダミアン・ウィルソンが務めています。
親会社のTheFreedmanGroup(フリードマン・グループ)は、ピーター氏が100%所有しています。
本人は3〜4年以内に株式上場を目指すと語っています。
製品は119の国と地域へ輸出され、シドニー本社のほか米国や英国などにも拠点があります。
レッドドット・デザイン賞などのデザイン賞を数多く受け、2013年には同国の製造輸出企業オブ・ザ・イヤーにも選ばれました。2017年には当時の首相が本社を訪れ、その功績を称えています。
オーナー企業ならではの決断の速さは強みです。
ただ、トップの判断に大きく左右される体制でもあり、決算も公開されていません。
この点は、応援したい気持ちとは別に冷静に見ておくべきところです。

国内での入手とサポート

国内正規販売店で扱うRODE製品は国内正規品で、国内のメーカー保証やサポートを受けられることが案内されています。
通販では並行輸入品が混ざることもあるため、購入前に販売元を確かめておくと安心です。

★当ブログのオリジナル企業信頼度評価(5つ星評価)

運営体制の明確さ ★★★★☆(4.5)
正式社名や本社の所在地、会長とCEOの名前がはっきり公表されています。
オーナーの意向が強く反映される非上場企業である点を考え、わずかに差し引きました。

市場での評価実績 ★★★★★(5.0)
119の国と地域に製品が届き、数々のデザイン賞も受けています。
映像制作や配信の現場で定番として名前が挙がる存在感は、評価に十分値します。

商品開発の専門性 ★★★★★(5.0)
切削加工から基板、成形まで自社で手がける体制は、マイクメーカーとして際立っています。
ポッドキャストや小型ワイヤレスマイクの市場を先回りして開拓してきた実績も見逃せません。

社会的・文化的な取り組み ★★★★(4.0)
地元シドニーで大規模なものづくりと雇用を続け、首相が視察に訪れるほどの評価を得ています。
一方で、環境面などの取り組みについては、今回のリサーチでは十分な情報を確認できませんでした。

財務情報の開示度 ★★☆(2.5)
非上場企業のため、売上や利益などの決算情報は公開されていません。
上場計画への言及はあるものの、現時点では外から経営の数字を確かめにくい状態です。

総合評価 ★★★★☆(4.2)
ものづくりへの執念と製品の実績は、文句なしのトップクラスです。
財務の透明性という宿題は残るものの、安心して製品を選べるブランドだと判断しました。

商品紹介「ワイヤレスマイクシステムWirelessPRO」

商品詳細

  • 製品の推奨用途:ゲーミング、ストリーミング、ビデオ会議、歌唱
  • モデル名:WirelessGO
  • 接続技術:2.4GHz
  • コネクタタイプ:3.5mm端子、USBType-C
  • 特徴:ミュート機能
  • 対応デバイス:スマートフォン、パソコン
  • 色:ブラック
  • 付属コンポーネント:送信機(TX)×2、受信機(RX)×1、チャージケースプロ×1、SC2(3.5mmTRS-TRSケーブル)×1、SC21(USB-C-Lightningケーブル)×1、SC22(USB-C-USB-Cケーブル)×1、USB-C-USB-Cスーパースピードケーブル×1、マグクリップゴー×2、ウインドシールド(ワイヤレスプロ用)×3、ラベリアII×2、ポップフィルター(ラベリアII用)×2、マイククリップ(ラベリアII用)×2、ミニファーウインドシールド(ラベリアII用)×2、アクセサリーケース×1
  • ポーラーパターン:全指向性
  • 伝送方式:シリーズIV2.4GHzデジタル伝送、128bit暗号化
  • 伝送距離:最大260m
  • 録音モード:マージモード/スプリットモード
  • 駆動時間:最大7時間
  • 内蔵メモリ:32GB
  • オンボード録音:32bitfloat
  • バックアップ録音:40時間以上
  • 録音補助機能:ゲインアシスト、セーフティチャンネル
  • タイムコード:搭載、3.5mmTRS端子とUSB-C端子から出力可能、5パターンの割り当てが可能、接続切れ時は送信機のタイムコードで自動同期
  • 直接接続:PC、スマートフォン
  • 専用アプリ:RØDECapture(ロードキャプチャー)、iOS端末で利用可能
  • 拡張入力:受信機にヘッドセットを接続すると3チャンネル目の入力音声が可能
  • 詳細設定:アプリで変更可能

良い口コミ

「インタビュー中に相手が急に大笑いしても音が割れておらず、編集で音量を整えるだけで済みました。」

「ピンマイクが2本入っているので、買い足さずにその日から対談の撮影を始められました。」

「タイムコードのおかげで、カメラ2台分の映像と音声を合わせる作業があっという間に終わります。」

「電波が一瞬途切れた場面でも、送信機のほうにしっかり音が残っていて本当に救われました。」

「スマホに直接つないでオンライン会議に出たら、『今日は声が聞き取りやすいね』と言われました。」

気になる口コミ

「機能が多すぎて、最初はアプリの設定画面でかなり迷いました。」

「付属品が多い分ケースもかさばるので、ちょっとした撮影に持ち出すのは気が引けます。」

「一日がかりの撮影だと7時間では心もとなく、ケースで充電するタイミングを考える必要があります。」

「人が多いイベント会場では、ときどき音が途切れることがありました。」

「値段がそれなりにするので、スマホで話すだけの用途には少し贅沢に感じます。」

「ワイヤレスマイクシステムWirelessPRO」のポジティブな特色

最大の魅力は、失敗を「なかったこと」にできる仕組みが何重にも用意されている点です。
32bitfloatのオンボード録音は、ざっくり言えば「大きな音も小さな音も、はみ出さずに丸ごと記録する方式」です。
録音中に声が大きすぎて音が割れても、あとから編集ソフトで音量を下げれば、きれいな音に戻せます。
撮影前に何度も「あー、あー」と音量を確かめる、あのそわそわした時間から解放されるのは大きな変化です。
さらに送信機それぞれが32GBのメモリを持ち、受信機へ音を飛ばしながら、手元でも同時に録音しています。
電波が途切れても、話し手の胸元に本物の音が残っている。
いわば、録音にかけた保険です。
ゲインアシストは、音量を自動で聞き取りやすい大きさに整えてくれる機能です。
セーフティチャンネルは、音量を下げた予備の音声を別に出してくれる機能で、突然の大声への備えになります。
タイムコード機能は、映像と音声に共通の「時刻の目印」を付ける機能です。
カメラを2台以上使う撮影では、編集時に音と映像を合わせる手間が大きく減ります。
接続が切れても送信機側のタイムコードで自動的に合わせ直してくれるので、長回しの収録でも焦らずに済みます。
2台の送信機の音をひとつにまとめるマージモードと、左右別々に録るスプリットモードを選べるのも実用的です。
対談なら、スプリットで録っておけば片方の咳払いだけを後から消すこともできます。
ラベリアII(ピンマイク)が2本付属しているため、送信機を見せたくないドラマ撮影や、服の下にマイクを隠したいインタビューにもすぐ対応できます。
PCやスマホに直接つなげるので、撮影だけでなく、ウェビナーやゲーム配信の声を一段引き上げる道具としても使えます。
受信機にヘッドセットをつなげば、3人目の声も入れられます。
撮影、配信、会議を一台でこなしたい人にとって、ここまでそろっていれば買い足しに悩む場面はほとんどありません。

「ワイヤレスマイクシステムWirelessPRO」のネガティブな特色

まず、機能の多さがそのまま難しさにもつながります。
スマホで自分が話すだけの動画なら、タイムコードやスプリット録音を使う場面はほぼありません。
使わない機能にお金を払うことになるので、用途がはっきりしていない人には割高に映ります。
付属品が充実しているぶん、管理の手間も増えます。
小さなポップフィルターやウインドシールドは、気づけば一つ足りない、ということが起こりがちです。
接続技術は2.4GHz帯で、Wi-Fiや他のワイヤレス機器と同じ帯域を使います。
最大260mという数字は理想的な条件での値であり、人や電波が密集する会場では届く距離が短くなることを想定しておくべきです。
駆動時間は最大7時間です。
一日がかりのイベント収録では、チャージケースでの充電を挟む段取りが欠かせません。
専用アプリ「RØDECapture」については、商品説明ではiOS端末での利用に触れられています。
Android端末で使う予定の人は、購入前に対応状況を確認しておくと安心です。
また、販売ページの仕様欄ではモデル名が「WirelessGO」と表記されている一方、商品説明は「ワイヤレスプロ」の内容になっています。
同じRODEには「WirelessGO」という別製品もあるため、購入時は商品名と付属品の構成をよく見比べることをおすすめします。

他メーカーの商品との比較

比較の前提

比べたのは、同じく送信機2台と受信機1台の構成で内部録音に対応するDJIMic3(ディージェイアイマイク3)と、SennheiserProfileWireless(ゼンハイザープロファイルワイヤレス)です。
価格は時期や販売店で大きく変わるため、ここでは機能を中心に比べます。

DJIMic3:距離と手軽さで一歩リード

DJIMic3は2.4GHzと5GHzを自動で切り替えるデュアルバンド伝送で、通常モードなら最大400mまで届きます。
32bitfloatの内部録音とタイムコードに加え、自動ゲイン調整、3種類の声質プリセット、2段階のノイズキャンセリングを備え、駆動時間は送信機8時間、受信機10時間です。
伝送距離、駆動時間、音作りの自動化では、WirelessPROの負けと言わざるを得ません。
ただし、使える周波数は国や地域によって異なります。
また、DJIMic3の送信機には前モデルにあった3.5mmの外部マイク入力がありません。
ピンマイクを2本同梱し、外付けマイクにも対応するWirelessPROは、マイクを見せたくない撮影で明確に優位です。

SennheiserProfileWireless:老舗らしい柔軟さ

各送信機が16GBのメモリで最大30時間の内部録音に対応し、ファームウェア4.1.0以降で32bitfloatも使えます。
充電バーがハンドマイクや卓上マイクを兼ねるのが独自の強みで、送信機にはロック式の3.5mm入力もあります。
一方で、ピンマイクは付属しません。
駆動時間は最大7時間で、WirelessPROと同じです。
今回確認した資料の範囲では、タイムコード機能の記載は見当たりませんでした。
複数カメラでの同期や、40時間以上という内部録音の長さでは、WirelessPROが上回ります。

選び分けの目安

伝送距離と駆動時間、手軽な音作りを重視するならDJIMic3。
ハンドマイクとしても使いたいならSennheiserProfileWireless。
ピンマイク運用とタイムコードまで含めて「失敗しにくい収録体制」を一式でそろえたいなら、WirelessPROが最も手堅い選択肢です。

まとめ

冒頭で「その日の声は二度と録れない」と書きました。
WirelessPROは、その一度きりの声を守るための道具です。
音割れしても戻せる録音、電波が切れても胸元に残る音声、カメラ同士をつなぐ時刻の目印。
どれも、倒産寸前から「自分たちで作る」ことにこだわってきたRODEらしい、地味で頼れる仕組みです。
正直、話すだけの動画には贅沢すぎます。
けれど、取材や対談、大切な記録を任せる相棒としては、これほど心強い存在はなかなかありません。
まずは今日、スマホで30秒だけ自分の声を録って、聞き返してみてください。
「思っていた声と違う」と感じたら、それが音にこだわり始める合図です。

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