その一本の刃には160年前に越後で始まった鋸鍛冶の記憶が刻まれている
はじめに
庭木の枝を切るたびに、腕がパンパンになっていませんか。
手のこぎりで太い角材を切り始めて、半分も進まないうちに「もう限界」と手を止めてしまう。
DIYを経験した人なら、一度は味わうあの悔しさです。
秋は庭木の手入れが増え、年末の大掃除を前に、壊れた棚やすのこを片付けたくなる季節でもあります。
ところが、粗大ごみを出そうとすると、自治体によっては手数料や収集日の予約が必要です。
「小さく切れば普通ごみで出せるのに」とため息をついた方も多いはずです。
そんな場面で頼りになるのが、引金を引くだけで刃が前後に動き、素材を切ってくれる電気のこぎりです。
今回取り上げるのは、新潟県三条市の老舗、TAKAGI(髙儀)が展開するDIYブランド「EARTHMAN」の「TAKAGI電気のこぎりEARTHMANDN-100」です。
木材だけでなく、塩ビパイプや細い鉄パイプまで1台で切れる手軽さが特長です。
ただし、手軽な道具には得意な作業と苦手な作業がはっきりあります。
この記事では、TAKAGIがどんな会社なのかを掘り下げたうえで、DN-100の実力を他メーカーの製品と比べながら、良い点も気になる点も包み隠さずお伝えします。
読み終えるころには、DN-100があなたの作業に合うかどうかを判断できるはずです。


TAKAGI(髙儀)とは
企業詳細
「TAKAGI」の正体は、新潟県三条市の株式会社髙儀
Amazonなどで「TAKAGI」「高儀」と表記されている工具ブランドを運営しているのは、株式会社髙儀です。
本社は新潟県三条市塚野目2341-1にあり、代表取締役社長は高橋竜也氏で、創業は慶応2年(1866年)、法人としての創立は昭和15年(1940年)6月とされています。
事業内容は、建築用工具、家庭用工具、電動工具、DIY用品、園芸用品などの企画・製造・販売です。
ちなみに、社名は「高」ではなく、はしごだかの「髙」を使う「髙儀」が正式な表記です。
名前が似ている「タカギ」とは別の会社
検索するときに混乱しやすいのが、ホースリールや蛇口一体型浄水器で知られる株式会社タカギ(福岡県北九州市)です。
読みは同じですが、今回取り上げる工具の髙儀とは別の会社です。
電動工具の「EARTHMAN」を探しているなら、新潟県三条市の髙儀と覚えておくと迷いません。
鋸鍛冶から始まった160年の歴史
髙儀の歩みは、のこぎりづくりから始まりました。
1866年、高橋儀平が越後・三条村で鋸鍛冶を始めたのが原点です。
冒頭のキャッチコピーで触れた「160年前の鋸鍛冶」とは、この創業のことを指しています。
つまり、電気のこぎりDN-100は、のこぎりづくりから始まった会社が、現代のDIY向けに送り出している「のこぎり」でもあるわけです。
その後の展開は、職人の工房にとどまりませんでした。
1897年には東北地方と東京市に金物屋として業務を広げ、1910年には販路拡大のため、三条町として初めて海外との取引を始めています。
明治の終わりに海外へ目を向けていた点は、金物の町・三条の商人らしい進取の気性を感じさせます。
1940年には販売部門の株式会社高儀商店と製造部門の株式会社高儀工業所を設立し、1969年に両社が合併して株式会社高儀となりました。
「つくる」と「売る」を別々に育て、のちに一つにまとめたこの流れが、現在の「メーカー兼商社」という形の土台になっています。
EARTHMANの誕生とホームセンター市場の拡大
1984年にはカッターソー事業部(現在のネオカット事業部)を新設し、アメリカに現地法人「タカギツール」を設立しています。
そして、1990年にEARTHMANを発売し、同じ年に三条市の本社新社屋が完成して、売上100億円を突破したと紹介されています。
国内のDIY文化がまだ根付いていない時期から自社ブランド「EARTHMAN®」の電動工具を開発し、ホームセンター市場に導入することで、使う人の裾野を広げてきたとされています。
日本の家庭に電動ドリルが当たり前のように置かれるようになった背景には、こうした手頃な価格帯のブランドの存在がありました。
EARTHMANが大切にしている考え方
EARTHMANの方向性は、ブランドの説明に端的に表れています。
余計な機能を足しすぎず、必要な機能は削らず、暮らしの営みに寄り添える商品をつくるという姿勢です。
プロ向けの高性能機と真っ向から競うのではなく、「ふだんの暮らしで困らない性能を、手の届く価格で」という立ち位置だと読み取れます。
DN-100が、木工用・塩ビ用・鉄工用の3種類のブレードを最初から同梱しているのも、この考え方に沿った設計といえます。
ビジョンとデザインへの評価
髙儀は「道具で世界に笑顔を。」をビジョンに掲げ、製品の機能性や安全性、使いやすさを追求したデザインにも力を入れており、グッドデザイン賞やiFデザインアワードなどを多数受賞していると紹介されています。
低価格帯のブランドは「安かろう悪かろう」と見られがちです。
その中で、外部のデザイン賞を受賞しているという事実は、見た目だけでなく使い勝手まで考えて製品をつくっている一つの証拠になります。
卸売業としての強さと地域での評価
髙儀のもう一つの顔は、工具の卸売業です。
大工道具やDIY工具の卸売りとして業界シェアトップクラスであり、地域未来牽引企業にも選ばれていると、新潟県の就職情報サイトで紹介されています。
シェアの数字そのものは会社側の紹介に基づくもので、第三者による集計は確認できませんでした。
一方で、平均勤続年数が17.3年という数字は、社員が長く働き続けられる会社であることをうかがわせます。
会社の規模と情報開示
企業データベースでは、資本金4,700万円、設立1940年6月とされています。
髙儀は上場企業ではないため、有価証券報告書のような詳しい決算資料は公開されていません。
売上高についても、外部データベースの推計値は見つかるものの、会社が公式に発表した最新の数字は確認できませんでした。
歴史や所在地、事業内容といった基本情報はしっかり公開されている一方で、お金まわりの情報は外から見えにくい会社だといえます。
★当ブログのオリジナル企業信頼度評価(5つ星評価)
運営体制の明確さ ★★★★★(5.0)
本社所在地、代表者、創業年、事業内容がすべて公式に公開されており、運営の実体ははっきりしています。
社名の表記や沿革も複数の情報源で一致しており、迷う要素はほとんどありません。
市場での評価実績 ★★★★☆(4.5)
1990年のEARTHMAN発売以来、ホームセンターを中心に長く販売が続いている実績があります。
プロ向けの大手電動工具メーカーと比べると知名度では一歩譲りますが、DIY層からの支持は厚いと判断しました。
商品開発の専門性 ★★★★(4.0)
鋸鍛冶から始まった歴史と、デザイン賞の受賞歴は、ものづくりへの本気度を示しています。
ただし、電動工具の中核技術をどこまで自社で開発しているのかは公開情報からは読み取れず、満点は控えました。
社会的・文化的な取り組み ★★★★☆(4.5)
地域未来牽引企業に選ばれ、金物の町・三条の産業を支える存在として評価されています。
160年にわたり地場産業とともに歩んできた点は、それ自体が大きな文化的価値です。
財務情報の開示度 ★★★(3.0)
非上場企業のため、詳しい決算情報は公開されていません。
資本金や設立年といった基本情報は確認できるため、最低限の透明性は保たれていると判断しました。
総合評価 ★★★★☆(4.2)
歴史、運営の実体、市場での実績のいずれも安心感があり、DIY用工具を買う相手として十分に信頼できる会社です。
財務情報の見えにくさを差し引いても、「顔の見えるメーカー」として高く評価できます。
商品紹介「TAKAGI電気のこぎりEARTHMANDN-100」



商品詳細
- ブレードの材質:ステンレス鋼
- 推奨使用場所:ウッド
- 電源:電源コード式
- 特徴:無段変速
- 付属コンポーネント:無し
- 商品の寸法:65長さx30幅x20.5高さcm
- 電圧:100ボルト
- 商品の重量:1.6キログラム
- 切断能力:木材/55mm、塩ビパイプ/60mm、軟鉄パイプ/32mm、軟鉄材/2.5mm厚
- 電源コード長:約2m
- 製造国:中国
- セット内容:電気のこぎり本体×1、木工用ブレード×1、塩ビ・PC用ブレード×1、鉄工用ブレード×1、六角棒レンチ×1
- 用途:木材・プラスチック・竹・一般金属の切断に
- 無段変速:引金を引く強さで、ブレードのストロークスピードを調整
良い口コミ
「庭の竹を片付けたくて購入しました。手のこぎりだと30分かかっていた作業が、あっという間に終わって驚きました。」
「ブレードが3種類も付いているので、買ったその日に塩ビパイプも木材も切れました。替刃を探しにお店へ行かずに済んだのが助かります。」
「1.6kgと軽いので、女性の私でも片手で持ち上げられます。重い工具が苦手な人でも扱いやすいと思います。」
「引金を軽く引くとゆっくり動くので、切り始めの位置がずれにくいです。初めての電動工具でも怖さが少なく感じました。」
「壊れたすのこや古い棚を細かく切って、普通ごみで出せるようになりました。粗大ごみの予約を取る手間が減りました。」
気になる口コミ
「コードが約2mしかないので、庭の奥で使うには延長コードが必要でした。最初から一緒に買っておけばよかったです。」
「太めの角材を切ろうとしたら、55mmまでという制限に引っかかりました。厚い材料を切る予定がある人は要注意です。」
「刃が前後に動く仕組みなので、本体がそれなりに振動します。長く使うと手がしびれる感じがありました。」
「まっすぐきれいに切るのは難しいです。家具づくりのように仕上がりの精度が必要な作業には向かないと感じました。」
「金属を切るときは、刃の進みがかなりゆっくりです。鉄パイプを何本も切る作業には、もっとパワーのある機種が欲しくなりました。」
「TAKAGI電気のこぎりEARTHMANDN-100」のポジティブな特色
DN-100の最大の魅力は、「切りたいもの」がバラバラでも、箱を開けたその日に対応できる点です。
付属するブレードは、木工用、塩ビ・PC用、鉄工用の3種類です。
電気のこぎりは、切る素材に合わせて刃を交換して使う道具です。
本体だけ買っても、刃がなければ何も切れません。
DN-100なら、六角棒レンチも付属しているため、刃の付け替えに必要な道具までそろっています。
「本体を買ったのに、替刃を買い忘れて作業できない」という初心者にありがちな失敗を、最初から防げる構成です。
2つめの魅力は、引金の引き具合で刃の速さを変えられる「無段変速」です。
車のアクセルを思い浮かべるとわかりやすいかもしれません。
軽く踏めばゆっくり、深く踏めば速く走るのと同じように、引金を浅く引けば刃はゆっくり、深く引けば速く動きます。
切り始めは刃が素材の上で滑りやすいため、ゆっくり動かして溝をつくり、その後に速度を上げると安定して切り進められます。
塩ビパイプのように、速く切ると摩擦熱で溶けやすい素材でも、速度を落として丁寧に切れます。
3つめは、1.6kgという軽さです。
2リットルのペットボトル1本より軽い重さなので、腕を伸ばして枝を切るときも負担が少なく済みます。
重い工具は、疲れてくると刃先がぶれて危険です。
軽いことは、扱いやすさだけでなく安全面でもプラスに働きます。
4つめは、電源コード式であることです。
バッテリーの残量を気にせず、コンセントがある限り使い続けられます。
充電式の電動工具は、本体とは別にバッテリーと充電器をそろえる必要があり、合計金額が膨らみがちです。
「年に数回、庭の手入れや粗大ごみの解体に使えれば十分」という人にとって、コード式は余計な出費を抑える賢い選択になります。
最後に、用途の広さも見逃せません。
木材、プラスチック、竹、一般金属まで対応しているため、庭の竹や枝の処理、塩ビパイプを使った棚や園芸用支柱の自作、古い家具の解体まで、1台でこなせます。
道具を増やさずにDIYの幅を広げたい人にとって、DN-100は「最初の一台」としてちょうどよい立ち位置にあります。
「TAKAGI電気のこぎりEARTHMANDN-100」のネガティブな特色
まず押さえておきたいのは、切断能力の上限です。
木材は55mm、軟鉄材は2.5mm厚までとなっています。
ホームセンターでよく見かける角材のうち、厚みが55mmを超えるものは一度で切り落とせません。
太い丸太や庭木の太い幹を切りたい場合は、チェーンソーなど別の道具を検討したほうが安心です。
次に、電源コードの長さが約2mと短めな点です。
コンセントから2m以内でしか作業できないため、庭や駐車場で使うなら延長コードはほぼ必須と考えておくべきです。
延長コードを選ぶときは、屋外で使えるタイプかどうかも確認してください。
3つめは、仕上がりの精度です。
刃が前後に動いて切る仕組み上、まっすぐな切断面を出すのは得意ではありません。
本棚の板を寸法どおりに切りたい、家具の部材をきれいに仕上げたいといった作業には、丸のこやジグソーのほうが向いています。
DN-100は「とにかく切り分ける」作業が得意な道具だと割り切るのが正解です。
4つめは、振動と音です。
電動で刃を往復させる以上、手には細かな振動が伝わり、作動音も出ます。
集合住宅のベランダや早朝の作業では、周囲への配慮が欠かせません。
作業時は手袋と保護メガネを着用し、時間帯にも気を配ってください。
最後に、仕様表記の一部にわかりにくさがあります。
商品詳細では「付属コンポーネント:無し」と表記されている一方で、セット内容には3種類のブレードと六角棒レンチが記載されています。
また、商品の寸法として記載されている65長さx30幅x20.5高さcmが、本体のサイズなのか梱包のサイズなのかは、提供情報からは判断できません。
購入前に販売ページでセット内容を確認しておくと安心です。


他メーカーの商品との比較
比較の前提
DN-100のような刃が前後に動くタイプの電気のこぎりは、一般に「レシプロソー」と呼ばれます。
価格比較サイトでは、DN-100の最大ストローク数は毎分2200回、最安価格は税込7,850円(掲載時点)とされています。
価格は変動するため、購入時に改めて確認してください。
京セラASK-1001との比較
AC100Vの家庭向けレシプロソーとして定番なのが、京セラ(旧リョービ)のASK-1001です。
最大ストローク数は毎分4500回、メーカー希望小売価格は17,600円です。
切断能力は庭木が径45mm、木材が厚さ40mm、軟鋼板が厚さ3.5mm、塩ビパイプが径120mmで、ECサイトでの販売価格は1万円前後とされています。
刃の往復速度は、カタログ上ではASK-1001がDN-100の約2倍です。
太い塩ビパイプや厚めの鋼板を切る機会が多いなら、ASK-1001が有利です。
一方で、木材の厚さはDN-100が55mm、ASK-1001が40mmと、DN-100のほうが厚い材料に対応しています。
価格の安さと木材の切断能力ではDN-100、速さと金属・太い塩ビ管への強さではASK-1001が優れています。
マキタJR1000FTとの比較
プロ向けメーカーの小型機では、マキタのJR1000FTが比較対象になります。
質量1.5kgの軽量ボディで、パイプ25.4mmや木材55mmまで切断でき、毎分0〜4000回の範囲で速度調整が可能で、LEDライトも備えています。
木材55mmという切断能力はDN-100と同じです。
ただし、ストローク数とLEDライトの有無では、JR1000FTが明らかに上です。
鉄パイプの切断能力はDN-100の32mmが上回っています。
価格はマキタのほうが高くなる傾向があるため、仕事でも使う人はJR1000FT、年に数回のDIYならDN-100という選び分けが現実的です。
充電式との比較
コードの取り回しが気になる人には、充電式という選択肢もあります。
アイリスオーヤマの18V充電式レシプロソーJRS20は、バッテリーと充電器付きで参考価格7,133円と紹介されています。
髙儀自身も、充電式のEARTHMANS-Link14.4VDN-144LiAを展開しています。
充電式はコンセントのない場所で使える反面、バッテリーの劣化や残量切れという弱点があります。
長時間の連続作業や、たまにしか使わない人にはコード式のDN-100が向いています。
結論
価格を抑えつつ、木材と細い鉄パイプを1台で切りたい人にはDN-100が最適です。
切断スピードや金属への強さを求めるなら京セラ、作業の頻度が高く耐久性を重視するならマキタを選ぶべきです。
まとめ
DN-100は、160年前に三条でのこぎりを打っていた鋸鍛冶の系譜を受け継ぐ、暮らしのための電気のこぎりです。
速さでは京セラに、プロ向けの完成度ではマキタに一歩譲ります。
それでも、3種類の刃が最初からそろい、1.6kgの軽さで、木材から鉄パイプまで切り分けられる手軽さは、ほかの機種にはない強みです。
手のこぎりで腕を痛めながら竹を切っていた日々が、引金ひとつで終わる。
その変化は、使ってみると想像以上に大きく感じられるはずです。
まずは今日、家の中で「切りたいもの」を一つ選び、その太さを定規で測ってみてください。
55mm以内なら、DN-100はきっとあなたの作業を軽くしてくれます。




