削りカスから、世界が惚れる鍋が生まれた。
はじめに
「素材だけで、こんなに甘いの」
そんな驚きの声を、台所で何度も聞いてきたお鍋があります。
その名は、Vermicular(バーミキュラ)。
水を一滴も加えずに野菜のポタージュをつくると、口いっぱいに濃厚な甘みが広がる。
そんな「無水調理」という言葉を、料理好きのあいだに一気に広めた立役者です。
けれど、このブランドの始まりは、きらびやかな大企業の研究室ではありませんでした。
名古屋の運河沿いにある、小さな町工場。
繊維産業の衰退とともに、下請けの仕事で踏ん張ってきた鋳造メーカーが、そのスタートラインでした。
精密加工の現場で出た「削りカス」。
普通なら捨てられるその金属片に、ある兄弟が未来を見出したことから、すべてが動き始めます。
ここでひとつ、伏線を置かせてください。
「なぜ、捨てるはずの削りカスが、世界中のシェフを唸らせる鍋に化けたのか?」
その答えは、本文のなかで明かしていきます。
今回ご紹介するのは、そんなバーミキュラのなかでも、ひとり暮らしや二人暮らしに寄り添う一台、「Vermicular スープポット SP01-BK」です。
鋳物ホーローの実力と、それを生んだ企業の物語。
両方をじっくりとお届けします。


Vermicular(バーミキュラ)とは
企業詳細
Vermicular(バーミキュラ)を製造・販売しているのは、1936年創業の老舗鋳造メーカー、愛知ドビー株式会社です。
会社の歴史をさかのぼると、その出発点は鍋づくりとはまったく別の場所にありました。
1936年、現社長の祖父が鋳物工場「土方鋳造所」として創業したのが始まりです。
その後、繊維産業が盛んになるにつれて、織物の一種であるドビー織の織機を手がけるメーカーへと転身していきました。
社名にある「ドビー」は、この織機に由来します。
最盛期には70人近くの社員を抱えるまでに成長しましたが、繊維産業の衰退とともに事業の縮小を迫られ、やがて鋳物を精密加工して納品する小型部品の下請け工場になっていきました。
ここで重要なのが、同社が長年培ってきた二つの技術です。
ひとつは、鉄を溶かして形をつくる「鋳造」。
もうひとつは、その鋳物を精密に削る「精密加工」です。
この二刀流の技術力が、のちのバーミキュラ誕生の土台になります。
転機が訪れたのは2000年代でした。
海外への下請け流出が増え、国内の下請業者は苦しい状況に追い込まれます。安い海外の加工費に対抗するため、価格を従来の3分の1まで下げたこともあったといいます。
そんな苦境のなか、家業を立て直すために兄弟が会社に戻ってきます。
兄の土方邦裕氏は、大学卒業後に豊田通商の財務部門で為替ディーラーを務めていましたが、2001年に26歳で父親が経営する愛知ドビーに入社しました。
弟の智晴氏も2006年に入社し、兄弟そろって経営の立て直しに乗り出します。
兄は元商社の為替ディーラーで行動派、弟は元トヨタ自動車で採算企画などを担当していた熟慮型。キャリアも性格もまったく異なる二人が、町工場の変革に挑みました。
そして、ここでさきほどの伏線が回収されます。
「なぜ、捨てるはずの削りカスが、世界中のシェフを唸らせる鍋に化けたのか。」
その鍵は、鋳物の特殊な材質「コンパクテッド・バーミキュラ」との出会いにありました。
兄が新しい取引先から下請けの事業を受注したことがきっかけで、精密加工の過程で出た削りカスの中に、この特殊材質を見つけます。
「根拠はないけど、これだったらもしかして」とひらめいたという土方氏。強度が高く熱伝導に優れるこの材質をもとに再開発を進めたことで、薄い鍋にもホーロー加工ができるようになり、念願だった密閉性の高い鋳物ホーロー鍋が実現しました。
完成した鍋に付けられた名前が、そのまま材質の名にちなんだ「バーミキュラ」だったというわけです。
「偶然の受注がなかったら、実現は難しかったかもしれない」と土方氏自身が振り返っているほど、この出会いは運命的なものでした。
開発の道のりは、決して平坦ではありませんでした。
1/100mmの精度を追求したものづくりに挑み、1万個以上の試作を重ねた末に、バーミキュラはようやく完成します。
2007年に開発へ着手し、構想から3年を経た2010年に、ついに販売が始まりました。
その後の躍進は、まさに町工場の逆転劇でした。
2010年の発売以来、累計38万台以上を売り上げ、ミシュランで星を獲得しているシェフにも愛用されるブランドへと成長しました。
製造の現場には、職人の手仕事が息づいています。
熟練した職人が、ひとつ一つに約1時間もの手間をかけ、0.01ミリ単位の精度で微調整を繰り返しながら、丁寧に手仕事で仕上げています。
バーミキュラをつくる工程は、大きく「鋳造」「精密加工」「ホーロー加工」の三つに分かれます。職人のほとんどは未経験採用で、ホーロー加工を担う職人の中には、料理人や美容師の経験者もいるといいます。
近年の取り組みとして見逃せないのが、ブランドの世界観を体験できる施設です。
2019年12月には、創業地である名古屋市の中川運河沿いに、体験型複合施設「バーミキュラ ビレッジ」をオープンしました。
会社の基本情報も整理しておきます。
社名は愛知ドビー株式会社、創業は昭和11年(1936年)11月、設立は昭和22年(1947年)5月。本社は愛知県名古屋市中川区にあり、代表取締役社長は土方邦裕氏です。
事業概要は、鋳物ホーロー鍋「バーミキュラ」やフライパン、高級調理家電「バーミキュラ ライスポット」の製造販売および周辺製品の販売です。従業員数は251名(2024年11月期)、売上高は36億円(2024年11月期)となっています。
品質管理の面でも裏付けがあります。
2008年にはISO 9001認証を取得しています。
さらに、地域での評価も高い企業です。
愛知県が県内の優れたものづくり企業に与える「愛知ブランド企業」に、令和2年度に選ばれています。
ブランドの根底に流れる思想も、一貫しています。
「手料理と、生きよう。」をブランドスローガンに掲げ、素材本来の味を楽しむライフスタイルを通じて、世界中に手料理のある暮らしの素晴らしさを届けることを使命としています。
つぶれる寸前だった町工場が、一台の鍋で生まれ変わる。
その物語そのものが、バーミキュラというブランドの最大の財産だといえます。
★当ブログのオリジナル企業信頼度評価(5つ星評価)
運営体制の明確さ ★★★★★(5.0)
社名・所在地・代表者・資本金・設立年が公式に開示され、兄弟経営による役割分担も明確です。情報の透明性という点で、不安要素はほとんど見当たりません。
市場での評価実績 ★★★★★(5.0)
累計38万台以上の販売実績に加え、ミシュランの星付きシェフにも愛用されている点は、確かな実力の証といえます。無水調理というトレンドを広めた牽引役としての存在感も大きいです。
商品開発の専門性 ★★★★★(5.0)
1万個以上の試作と0.01ミリ単位の加工精度に象徴される技術力は、下請け時代に培った鋳造・精密加工のノウハウに裏打ちされています。専門性の高さは、業界でも突出した水準です。
社会的・文化的な取り組み ★★★★☆(4.0)
体験型施設「バーミキュラ ビレッジ」の開設や愛知ブランド企業への選出など、地域とものづくり文化への貢献が見られます。
一方で、グローバル展開の取り組みなどは、さらなる情報の充実に期待したいところです。
財務情報の開示度 ★★★★☆(4.0)
売上高36億円や従業員数251名といった指標は確認できます。非上場企業のため詳細な財務諸表までは公開されていませんが、規模感をつかむ情報は十分に得られます。
総合評価 ★★★★★(4.6)
町工場から世界的ブランドへと駆け上がった実績と、開示情報の充実度を踏まえると、信頼度はきわめて高い企業だと評価できます。
商品紹介「Vermicular スープポット SP01-BK」



商品詳細
- 材質:鋳鉄ホーロー
- 色:マットブラック
- ブランド:バーミキュラ(Vermicular)
- 容量:1.9リットル
- 商品の寸法:奥行き22.7cm × 幅22.7cm × 高さ15.8cm
- 本体底部外径:16.0cm
- 本体上部内径:11.8cm
- 深さ:12.3cm
- 重量:1.59kg
- 対応熱源:ガス・IH・ハロゲン・ラジエント・シーズ
- 耐熱温度:本体部分300℃、ウッドハンドル部分60℃
- 付属品:VERMICULAR OVEN POT 2 SOUP POT Recipe Book(レシピ26品)
- 特徴:バーミキュラ鍋の最大の特徴「究極の無水調理性能」はそのままに、高さと注ぎ口のあるケトルのような形が特長の片手鍋です
- 1台7役:「無水調理」「煮る」「茹でる」「沸かす」「炊く」「焼きつけ」「揚げる」とマルチに活躍し、1~2人分の調理におすすめです
- パスタもリゾットもこれひとつで対応でき、ワンポットで手軽においしく健康的な食事が作れます
- 無水調理でつくる野菜のポタージュは、素材本来の濃厚な甘みや旨みを存分に引き出します
- 鋳物ホーローとウッドが組み合わさったスタイリッシュな佇まいで、どんなキッチンにも馴染みます
- 洗剤使用OK、丸洗い可能で、ハンドル付きのためお手入れも簡単です
- ホーローのお直しやサイズ変更もでき、一生使える鍋です(お直しやサイズ変更はバーミキュラ公式オンラインショップで申込み可能)
- 無料レシピアプリ「MY VERMICULAR」で毎日のレシピをサポートします
良い口コミ
「無水でつくった野菜スープが、調味料なしでも甘くて感動しました。」
「1~2人分にちょうどいいサイズで、ひとり暮らしの私にぴったりでした。」
「注ぎ口があるので、スープを器に移すときにこぼれにくくて便利です。」
「丸洗いできて洗剤も使えるので、お手入れがとにかくラクでした。」
「鋳物とウッドの組み合わせがおしゃれで、出しっぱなしでも様になります。」
気になる口コミ
「鋳物なので、思っていたより重さを感じました。」
「ウッドハンドルの耐熱温度が60℃までなので、扱いに少し気をつかいます。」
「容量が1.9リットルなので、大家族には少し物足りないかもしれません。」
「無水調理のコツをつかむまで、少し練習が必要だと感じました。」
「価格帯がそれなりにするので、購入には少し勇気がいりました。」
「Vermicular スープポット SP01-BK」のポジティブな特色
最大の魅力は、なんといっても「究極の無水調理性能」を片手鍋サイズで味わえる点です。
水を加えずに食材の水分だけで調理できるため、野菜のポタージュなどは素材本来の濃厚な甘みと旨みがそのまま引き出されます。
「素材だけでこんなに味が出るのか」という驚きを、毎日の食卓で体験できます。
次に注目したいのが、1台で7役をこなすマルチさです。
「無水調理」「煮る」「茹でる」「沸かす」「炊く」「焼きつけ」「揚げる」までこなせるため、これひとつでパスタもリゾットもスープも完結します。
調理器具をいくつも揃える必要がなく、キッチンがすっきりするのも嬉しい利点です。
ケトルのような注ぎ口と高さのある形状も、実用性を高めています。
スープや煮込み料理を器に移すときに、汁だれしにくく、注ぎやすい設計です。
1~2リットルクラスの片手鍋として、1~2人分の調理に過不足なく対応します。
デザイン性も見逃せません。
鋳物ホーローのマットブラックとウッドハンドルの組み合わせは、どんなキッチンにもなじむ落ち着いた佇まいです。
そして何より、「一生使える鍋」という安心感があります。
ホーローのお直しやサイズ変更にも対応しており、長く付き合える道具として設計されています。
無料レシピアプリ「MY VERMICULAR」がレシピ面をサポートしてくれる点も、料理初心者にとって心強い味方になります。
「Vermicular スープポット SP01-BK」のネガティブな特色
まず気になるのが、鋳鉄ホーローならではの重量です。
本体は1.59kgあり、軽量な片手鍋に慣れている方は、持ち運びや片手での扱いに少し負担を感じる場面があるかもしれません。
次に、ウッドハンドルの取り扱いには注意が必要です。
本体は300℃まで耐えられますが、ウッドハンドル部分の耐熱温度は60℃までとされています。
高温になる調理やオーブン使用の際には、ハンドル部分の扱いに気をつける必要があります。
容量の面でも、用途を選びます。
1.9リットルという容量は1~2人分の調理に向いている一方、大人数の家庭やまとめ調理にはやや小さく感じられる可能性があります。
また、無水調理という特性上、その持ち味を最大限に引き出すには、火加減や調理時間にある程度の慣れが求められます。
最初は付属のレシピブックやアプリを活用しながら、少しずつコツをつかんでいくのが安心です。


他メーカーの商品との比較
鋳物ホーロー鍋というジャンルには、世界的に名の知れた競合ブランドが複数存在します。
ここでは、バーミキュラ スープポット SP01-BKの立ち位置を、製品特性の観点から整理します。
海外の老舗ブランドとの違い
鋳物ホーロー鍋といえば、フランスを発祥とする老舗ブランドが広く知られています。
代表的なものに、ル・クルーゼ(Le Creuset)やストウブ(Staub)があります。
これらは長い歴史とカラーバリエーションの豊富さで人気を集めており、ぽってりとした丸型のデザインが特徴です。
一方、バーミキュラの強みは「究極の無水調理性能」を支える密閉性にあります。
0.01ミリ単位の精密加工によって鍋本体とフタの隙間を極限まで減らした設計が、無水調理という独自の調理体験を可能にしています。
海外ブランドが「煮込みの王道」だとすれば、バーミキュラは「素材の味を引き出す精密さ」に振り切ったブランドだと整理できます。
形状とサイズ感の違い
今回のスープポット SP01-BKは、注ぎ口と高さのあるケトルのような片手鍋という、やや珍しい形状です。
一般的な鋳物ホーロー鍋は両手鍋の円形が主流のため、スープや汁物を注ぎやすい点では、SP01-BKに分があります。
容量1.9リットルという1~2人分向けのサイズ感も、ひとり暮らしや二人暮らしの世帯にとっては扱いやすい設計です。
大容量の両手鍋が多い競合製品と比べると、少人数の食卓に寄り添った商品だといえます。
メンテナンスとアフターサポートの違い
長く使う道具という観点では、バーミキュラのアフターサポートが際立ちます。
ホーローのお直しやサイズ変更に公式に対応しており、「一生使える鍋」として設計されている点は、大きな安心材料です。
剥がれてしまったホーローを修理して使い続けられる仕組みは、買い替え前提ではない道具選びを重視する方にとって魅力的です。
加えて、無料レシピアプリ「MY VERMICULAR」によるレシピ支援も、調理を継続的にサポートしてくれます。
どちらを選ぶべきか
ここまでの比較を踏まえると、選び方の軸は明確になります。
豊富なカラーや煮込み料理の王道を楽しみたいなら、海外の老舗ブランドが候補になります。
一方、無水調理で素材本来の味を引き出したい方や、少人数向けで注ぎやすい片手鍋を探している方、そして修理しながら長く使える道具を求める方には、バーミキュラ スープポット SP01-BKが有力な選択肢になります。
なお、各競合製品の具体的な価格や仕様については、ここでは確認した情報の範囲を超えるため断定を避けます。
購入前には、各ブランドの公式情報をあわせて確認することをおすすめします。
まとめ
「捨てるはずだった削りカスが、世界が惚れる鍋になった」
このバーミキュラの物語は、ものづくりの面白さそのものです。
つぶれかけた名古屋の町工場が、鋳造と精密加工という二つの技術を武器に、無水調理という新しい食文化を切り開いてきました。
その結晶のひとつが、今回ご紹介した「Vermicular スープポット SP01-BK」です。
水を使わずに野菜の甘みを引き出す感動。
注ぎ口のある片手鍋という使いやすさ。
そして、修理しながら一生付き合える安心感。
少人数の食卓に、ちょうどいい一台です。
重さや耐熱の注意点はありますが、それを補って余りある実力を備えています。
毎日の料理を、少しだけ豊かにしてくれる道具を探している方は、ぜひ候補に加えてみてください。
きっと、あなたの台所の頼れる相棒になります。




