はじめに
「もっと広い画面で作業ができれば、仕事が早く終わるのに」。テレワークが定着した2025年の現在、自宅の小さなデスクでノートパソコンの画面を睨みながら、そうため息をついたことはありませんか。
まるで書類が山積みになった狭い机のように、ウィンドウを何度も切り替える作業は思考のノイズになります。そんな中、AmazonなどのECサイトでふと目にする「Alichome」というブランド。聞き馴染みのない名前ですが、驚くほど手頃な価格と、そこそこのスペック表記に指が止まった方も多いはずです。
「安かろう悪かろう」という言葉が過去のものになりつつある今、無名ブランドの中には、広告費を削って品質に還元する「掘り出し物」が確かに存在します。もしこのモニターが、あなたの書斎を快適なコックピットに変える鍵だとしたらどうでしょう。一方で、正体不明のメーカーに大切なお金を投じるのは、暗闇に飛び込むような不安もつきまといます。
本記事では、謎多きブランド「Alichome」の正体に迫りつつ、人気モデル『Alichome-D1』があなたのデスクワークを救う救世主になり得るのか、徹底的に検証します。


Alichomeブランドの国籍と背景
Alichome(アリホーム)は、主にAmazonや楽天、Qoo10などのECモールを中心に展開している、新興の家電・ガジェットブランドです。
リサーチの結果、Alichomeは主に中国の深セン市または周辺都市に拠点を置く製造メーカーのプライベートブランド、あるいは越境EC専門のブランドである可能性が極めて高いことが判明しました。取り扱い製品はモバイルモニターにとどまらず、小型衣類乾燥機(Y6モデルなど)やプロジェクターなど、「個人の生活空間」を豊かにする小型家電に特化しています。
ブランド名の由来は公式に語られていませんが、「Alibaba(アリババ)」などの中国系巨大商圏と「Home(家庭)」を掛け合わせた造語であると推測され、世界中の家庭にリーズナブルなテクノロジーを届けることを理念としている様子がうかがえます。日本国内に大規模な支社ビルを持つわけではなく、代理店やAmazonのFBA倉庫を活用して流通コストを極限まで下げているのが特徴です。
★当ブログのオリジナル企業総合評価(5つ星評価)
- コストパフォーマンス:★★★★★
圧倒的な価格競争力があります。同スペックの大手メーカー製と比較しても、3割〜5割ほど安価に設定されており、予算を抑えたいユーザーにとっては星5つの価値があります。 - 製品品質:★★★★☆
初期不良の報告も散見されますが、正常品に関しては価格以上の動作安定性を示しています。特に画質面ではIPSパネルを採用するなど、トレンドを押さえた設計です。 - サポート体制:★★★☆☆
日本語対応は可能ですが、メールやチャットの翻訳調が目立つ場合があります。しかし、Amazon等の返品保証期間内であればスムーズに対応されるため、プラットフォームの保護を含めて星3つとしました。 - 情報開示度:★★☆☆☆
公式サイトの詳細や創業者の顔が見えにくい点は否めません。しかし、製品自体はPSEマーク(電気用品安全法)などの認証を取得しているケースが多く、実用上の安全性は担保されています。
総合評価:★★★★☆(星4.0)
商品紹介:Alichome-D1の商品スペック紹介



商品スペック
- 製品サイズ41 x 67 x 9.2 cm; 4.54 kg
- 商品モデル番号Alichome-D1
- カラーブラック
- 商品の寸法 幅 × 高さ41 x 67 x 9.2 cm
- スタンディングスクリーンディスプレイサイズ23.8 インチ
- 解像度1920 x 1080 ピクセル
- 商品の重量4.54 Kilograms
- 画面サイズ23.8 インチ
- 縦横比16:9
- 画面表面の説明霧面
良い口コミ
ユーザーの声を分析し、代表的な高評価ポイントをまとめました。
「23.8インチというサイズは、モバイルモニターの枠を超えています。これ一台あれば、リビングのテーブルが一瞬で本格的なオフィスに早変わりします」
「表面が霧面(ノングレア)加工されているおかげで、長時間の作業でも蛍光灯の映り込みが気になりません。目が疲れにくいのは地味ですが最高のメリットです」
「なんと言ってもこの解像度でこの価格は破格です。サブモニターとして導入しましたが、メインモニターとしても十分に使える広さがあります」
「ブラックの筐体がシンプルで、無駄なロゴ主張もなくインテリアを邪魔しません。安っぽさを感じさせないマットな質感が気に入っています」
「FHD(1920×1080)の画質は、テキスト作業やYouTube視聴には十分すぎるほど鮮明です。ドット抜けもなく、当たり個体で満足しています」
気になる口コミ
購入前にチェックしておきたい、ユーザーからの懸念点です。
「モバイルモニターという名称ですが、4.54kgはずっしりと重いです。毎日カフェに持ち歩くのは現実的ではなく、あくまで『家の中で移動できるモニター』と考えたほうがいいです」
「9.2cmの厚み(梱包またはスタンド込み)があるため、薄型のカバンには入りません。収納場所をあらかじめ確保しておく必要があります」
「製品サイズがかなり大きいです。小さなカフェテーブルだと圧迫感があり、設置スペースには余裕が必要です」
「付属のスタンドやケースの作りが少し甘い気がします。重量がある分、不安定な場所での設置は少し気を遣います」
「説明書の日本語が少し怪しい部分がありましたが、接続自体はケーブルを挿すだけなので問題ありませんでした」
「Alichome-D1」のポジティブな特色
このモニターの最大の魅力は、「モバイルモニター」というカテゴリにありながら、デスクトップ並みの「23.8インチ」という圧倒的な視認性を確保している点です。
一般的なモバイルモニターは13〜15インチが主流ですが、Alichome-D1はその約1.5倍以上の表示面積を誇ります。これは、Excelで多くの行を表示したり、Web会議と資料を同時に並べたりする際に、作業効率を劇的に向上させます。
また、画面表面の「霧面(ノングレア)」仕様は、照明環境を選べないフリーアドレスや自宅のリビングにおいて強力な武器となります。光の反射を抑えることで、時間帯や場所を問わず一定の視認性を維持できるため、プロフェッショナルな集中環境をどこでも構築可能です。重量があるということは、裏を返せば「設置時の安定感」にも繋がります。ペラペラの軽量モデルとは異なり、一度設置すればどっしりと構えてくれる安心感があります。
「Alichome-D1」のネガティブな特色
最大の弱点は、やはりその「重量とサイズ」です。4.54kgという重さは、一般的な15インチノートPC(約1.5kg)の3台分に相当します。「モバイル」という名前がついているものの、頻繁に外出先に持ち出す用途には全く向いていません。
また、製品寸法の幅や高さも大きいため、バックパックに入れて気軽に持ち運ぶスタイルは不可能です。この製品は、「部屋から部屋への移動」や「車での移動」を前提とした設計であると割り切る必要があります。持ち運びの手軽さを最優先するユーザーにとっては、選択肢から外れる可能性が高いでしょう。


他メーカーとの比較
モバイルモニター市場には多くの競合が存在します。ここでは、Alichome-D1を検討する際、比較対象となる主要なメーカーやモデルとの違いを明確にします。
ASUS(ZenScreenシリーズ)との比較
まず比較すべきは、モバイルモニター界の巨人であるASUSの「ZenScreen」シリーズです。ASUS製品の最大の特徴は、圧倒的な「軽量・薄型化技術」と「ブランドの信頼性」です。
ASUSの15.6インチモデルの多くは1kgを切る軽さで、カバンに入れても存在を忘れるほどです。対してAlichome-D1は4.54kgとヘビー級です。しかし、ここで注目すべきは「画面サイズ」と「価格」のバランスです。ASUSで20インチを超えるポータブルモデルを探すと、価格はAlichome-D1の数倍に跳ね上がります。
「毎日持ち歩くならASUS」、「自宅内で据え置きに近い形で使いつつ、たまに片付けたいならAlichome」という明確な住み分けができます。品質やサポートの安心感をお金で買うならASUSですが、限られた予算で少しでも大きな画面を手に入れたいという実利を取るなら、Alichomeに軍配が上がります。
LG(gram +view)との比較
LGの「gram +view」は、画面の美しさと16:10という縦長のアスペクト比で人気を博しています。クリエイターやデザイナーなど、色味の正確さを求める層にはLGが圧倒的に支持されています。
Alichome-D1は一般的な16:9のアスペクト比であり、解像度もフルHDに留まります。色再現性や視野角といった細かな画質スペックでは、LGのような大手パネルメーカー製には及びません。しかし、事務作業や動画視聴、ゲームといった一般的な用途においては、その差を感じる場面は少ないでしょう。
「作品を作るためのモニター」ならLG、「情報を処理するためのモニター」ならAlichome、という選び方が適切です。Alichomeはプロ仕様のスペックを削ぎ落とすことで、誰もが手に取りやすい価格を実現しています。
ARZOPA / Koorui などの格安ブランドとの比較
Alichomeと同じくAmazonなどでよく見かけるARZOPAやKooruiといった中国系ブランドとの比較はどうでしょうか。これらは価格帯やターゲット層が非常に似通っています。
これらのブランドの多くは、13.3インチから15.6インチの「標準的なモバイルサイズ」に注力しています。その中で、Alichome-D1のような「23.8インチ」という大型サイズを「モバイル(ポータブル)」としてラインナップしているブランドは実は少数派です。
他社の格安モニターが「ノートPCの画面拡張」を目指しているのに対し、Alichome-D1は「デスクトップ環境の簡易化」を目指していると言えます。競合他社製品は軽くて持ち運びやすいですが、画面の迫力ではAlichome-D1が圧倒します。「持ち運べる大画面」というニッチな需要に応えている点において、Alichomeは他の格安ブランドと一線を画す存在と言えるでしょう。
まとめ
Alichomeというブランドは、知名度こそ大手に及びませんが、ユーザーが本当に求めている「大画面」と「安さ」のバランスを突いた製品作りをしていることが分かりました。
特に今回紹介した『Alichome-D1』は、モバイルモニターと呼びながらも4.54kgという重量級のボディを持ち、一見すると矛盾した存在に思えます。しかし、それは「持ち運ぶこと」よりも「好きな場所でデスクトップ並みの作業領域を確保すること」に特化した結果だと言えます。
カフェで軽快に仕事をするスタイルではなく、自宅のダイニングや寝室、あるいは帰省先の実家で、腰を据えてガッツリ作業をしたい。そんな「定住型ノマドワーカー」とも言える現代の働き方にとって、このモニターは頼もしい相棒となるでしょう。ブランド名に惑わされず、自分の用途を見極めることができれば、これほどコストパフォーマンスの高い選択肢はありません。
この一台が、あなたのワークスペースに新たな可能性をもたらすことを願っています。


