はじめに：その一杯を特別なものに
慌ただしい朝、仕事の合間のひと息。あなたが毎日飲むその一杯は、心の底から「ああ、美味しい」とため息が漏れるような、特別な一杯になっていますか？
カフェで飲むような、香り高く雑味のないクリアな味わい。その感動を自宅で再現する分かれ道は、実は「豆を挽く瞬間」にあります。まるで砂時計の砂のように、サラサラと均一な粉。この粒度の揃いこそが、コーヒー豆本来の豊かな香りと繊細な風味を引き出す魔法の鍵なのです。
最近、こだわり派のコーヒー好きたちの間で、まるで秘密の合言葉のように囁かれるブランドがあります。それが「TIMEMORE」。洗練されたデザインと、プロも唸るほどの性能を兼ね備え、彗星のごとく現れた実力派です。「一体どこの国のブランドなの？」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そのTIMEMOREの正体と、数ある製品の中でも特に注目を集める電動コーヒーミル「Bricks 01S」の魅力に徹底的に迫ります。2024年のグッドデザイン賞ベスト100にも輝いたその美しい佇まいの奥に隠された、驚くべき性能とは。ライバル製品と比べて何が優れているのか。そして、実際に使っている人たちの本音の評価は？
あなたのコーヒーライフを劇的に変えるかもしれない一台について、そのすべてを解き明かしていきます。
TIMEMOREとは：隠れた実力派ブランドの正体
TIMEMORE（タイムモア）は、2012年に中国・上海で設立された、コーヒー器具専門のデザイン・製造ブランドです。正式名称は「SHANGHAI TIMEMORE COFFEE EQUIPMENT CO., LTD.」。上海に研究開発（R&D）チームを、広東省に自社の製造センターと完全な生産サプライチェーンを構え、製品の企画から製造までを一貫して行っています。
彼らが掲げるコンセプトは「プロフェッショナリズム＋美学」。単に機能的なだけでなく、所有する喜びや使う楽しみを感じさせる美しいデザインを追求しています。その哲学は世界的に高く評価されており、ドイツの「レッド・ドット・デザイン賞」や日本の「グッドデザイン賞」など、数々の権威あるデザイン賞を受賞しています。
TIMEMOREの信頼性を裏付ける特筆すべき実績として、スターバックスとのパートナーシップが挙げられます。2017年、世界最大の旗艦店「スターバックス リザーブ ロースタリー上海」において、中国本土のスペシャルティコーヒー機器ブランドとして唯一採用されました。これは、製品の品質から供給体制に至るまで、スターバックスの極めて厳格な基準をクリアしたことの証と言えるでしょう。その他にも、MONTBLANCやASTON MARTINといった異業種の高級ブランドともコラボレーション実績があり、そのデザイン性と品質が幅広い分野で認められていることがうかがえます。
現在では日本、アメリカ、ドイツなど世界70カ国以上で製品が展開されており、コーヒー愛好家からプロのバリスタまで、世界中のユーザーに支持されるグローバルブランドへと成長しています。
★当ブログのオリジナル企業信頼度評価(5つ星評価)
- 実績・ブランド力：★★★★☆ (4.5)
スターバックスという世界的な基準をクリアした実績は絶大です。グッドデザイン賞などの受賞歴もブランド価値を裏付けており、新興ながら非常に高い評価に値します。 - 製品品質・技術力：★★★★★ (5.0)
特許技術を搭載した刃や、ユーザーの悩みを解決する独自機能の開発に積極的です。自社で研究開発から製造まで一貫して行う体制は、高い品質管理能力の証です。 - 情報透明性：★★★★☆ (4.0)
公式サイトやSNSで積極的に情報発信を行っていますが、一部の越境ECサイトでは情報が錯綜し、非正規品のリスクも報告されています。日本の正規代理店からの購入が推奨されます。 - サポート体制：★★★☆☆ (3.5)
日本の正規代理店「ブランディングコーヒー」などを通じたサポートが期待できますが、グローバル企業であるため、国内メーカーのような手厚い直接サポートと比較すると、やや未知数な面も考慮しました。
総合評価：★★★★☆ (4.2)
総じて、非常に信頼性の高い企業と評価できます。特に製品の品質とデザイン性にかける情熱は本物であり、今後ますます存在感を増していくことが期待されるブランドです。
商品紹介：TIMEMORE 電動コーヒーミル bricks 01Sの真価
商品スペック
- 色: ホワイト
- スタイル: シンプル、ハイエンド
- 商品の寸法: 15長さ x 10幅 x 28.6高さ cm
- 容量: 40 グラム
- 材質: アクリロニトリルブタジエンスチレン（ABS）, アルミニウム, ステンレススチール
- ワット数: 150 W
- 主な機能: 150段階の超精密調整、特許取得S2C040挽き刃、回転振動クリーンシステム、磁気整列容器、安全ロック機構
- 受賞歴: 2024年グッドデザイン賞ベスト100
良い口コミ
「精度が高く、クリーンで、コスパも優秀なグラインダー。挽き目の均一性が高く、粉の残留もほとんどありません。」
「粒度が安定してる。味わいが変わった気がします。趣味としては最高のツールです。」
「音は想像以上に静かです。エスプレッソの豆を挽くために購入しましたが、QOL爆上がりです。楽ちん。」
「家庭でエスプレッソなどを楽しむための電動コーヒーミルとしては、最高峰に近い一品。性能的には、ほぼ文句の付けようがないです。」
「噴出口に備わったハンドルを手で回すことでグラインダー内に残ったコーヒー粉末が落とせるのでお手入れも瞬時に終わり毎朝便利に使わせてもらっております。」
気になる口コミ
「コスパは良いが、こだわり派は×。粒度の均一差の観点からやや不満な点があったので星一つ減らしてます。」
「粉の排出口の掃除がとても困難、日常的に使えない。挽いた粉の排出口(横向き)が目詰まりしていて、付属の掃除セットでは掃除できない。」
「目盛1.2で挽いたら投入量の半分も出てこない。衝撃を与えるとポロポロ粉が落ちてくるがキレイにならない。」
「ハンドドリップでは最大でも中粗挽き程度が限界なので、46メソッドのようなレシピには工夫が必要かも。」
「掃除しにくいのがネックです。。」
「TIMEMORE 電動コーヒーミル bricks 01S」のポジティブな特色
多くのユーザーが絶賛するように、Bricks 01Sの魅力は単なる「多機能」という言葉では片付けられません。
まず、「150段階の超精密調整」と「特許取得S2C040挽き刃」。この二つの組み合わせが、口コミにある「クリーンな味わい」「粒度が安定」の源泉です。ただ細かく設定できるだけでなく、それを正確に再現する高精度な刃があるからこそ、エスプレッソの微妙な調整からハンドドリップまで、豆のポテンシャルを最大限に引き出すことが可能になります。これは、ただ豆を砕くだけの安価なミルでは決して到達できない領域です。
次に、デザインと実用性の見事な融合です。「グッドデザイン賞受賞」は伊達ではなく、アルミ削り出しの高級感あるボディと省スペース設計は、キッチンを洗練された空間に変えてくれます。さらに、「磁気整列容器」は秀逸なアイデア。カチッと小気味よく定位置に収まる感覚は、毎日のコーヒー準備を少しだけ特別な時間にしてくれます。
そして、多くの電動ミルユーザーが直面する「掃除の面倒さ」という課題に対する画期的な答えが、「回転振動クリーンシステム」です。口コミでは賛否が分かれている点ですが、正しく使えば「お手入れも瞬時に終わる」という評価の通り、日々のメンテナンスのハードルを劇的に下げてくれます。これは、忙しい毎日の中でも本格的なコーヒーを楽しみたいと願うユーザーの心に、深く寄り添った設計思想と言えるでしょう。
「TIMEMORE 電動コーヒーミル bricks 01S」のネガティブな特色
一方で、完璧に見えるBricks 01Sにも、購入前に理解しておくべき「個性」が存在します。
最も注意すべきは、「排出口の掃除がとても困難」「目詰まりする」という声です。これは、製品が謳う「回転振動クリーンシステム」と矛盾するように聞こえます。この問題の背景には、エスプレッソ用の極細挽きへの最適化が考えられます。極細のパウダー状の粉は、静電気や豆の油分で固着しやすく、特に排出口のような狭い部分に詰まりやすい性質があります。ノッカー機能だけでは落としきれない微粉が蓄積し、やがて大きな詰まりに繋がる可能性があります。これは製品の欠陥というよりは、極細挽きが可能な高性能グラインダー特有の課題であり、「定期的な分解清掃は必須」と捉えるべきでしょう。
また、「ハンドドリップでは中粗挽きが限界」という指摘も重要です。これは、Bricks 01Sがエスプレッソ～中挽き領域の粒度調整の精密性を最優先に設計されていることを示唆しています。フレンチプレスで使うような粗挽きや、特定のドリップメソッドで求められる極端な粗挽きをメインで使いたいユーザーにとっては、このグラインダーの長所を活かせず、むしろ不満を感じるかもしれません。
総じて、Bricks 01Sは「万人向けの完璧なミル」ではなく、「エスプレッソや、味わいの再現性を重視するドリップコーヒーを追求する人のための、非常に優れた専門ツール」と理解するのが最も的確です。自分の求めるコーヒーのスタイルと、この製品の持つ「個性」がマッチするかどうかを慎重に見極めることが、購入後の満足度を大きく左右する鍵となります。
人気電動ミル頂上決戦：あなたのための最適な一台は？
TIMEMORE Bricks 01Sは非常に魅力的な電動コーヒーミルですが、市場には他にも優れた競合製品が存在します。ここでは、特に比較対象となりやすい3つの人気モデルを取り上げ、それぞれの個性とBricks 01Sとの違いを深掘りしていきましょう。あなたのコーヒーライフに本当に合う一台を見つけるための参考にしてください。
現代的なオールラウンダー：Fellow Opus
アメリカ・サンフランシスコ発のブランドFellowが手掛ける「Opus」は、Bricks 01Sとしばしば比較される、現代的なデザインと高い機能性を両立したモデルです。Opusの最大の強みは、その驚異的な「守備範囲の広さ」にあります。41段階の挽き目調整機能を持ち、極細挽きのエスプレッソから粗挽きの水出しコーヒーまで、これ一台でほぼ全ての抽出方法に対応可能です。
Bricks 01Sがエスプレッソ領域の超精密調整に特化しているのに対し、Opusは幅広いレンジで安定した品質を提供するオールラウンダーと言えるでしょう。また、静電気対策が非常に優秀で、粉の飛び散りが少ない点も高く評価されています。
デザインはミニマルで現代的ですが、Bricks 01Sのアルミ削り出しボディが持つ重厚な高級感とは少し方向性が異なります。価格帯はBricks 01Sよりもやや手頃な場合が多く、「一台で色々な淹れ方を試したい」「初めて本格的な電動ミルを買う」という方にとっては、Opusがよりバランスの取れた選択肢になるかもしれません。
エスプレッソ特化の好敵手：Varia VS3
香港発のブランドVariaが送る「VS3」は、Bricks 01Sと真っ向から競合する、エスプレッソ特化型のコンパクトグラインダーです。特筆すべきはその「無段階調整」機能。Bricks 01Sの150段階調整も非常に細かいですが、VS3はクリック感のないダイヤルで、理論上は無限の調整が可能です。これにより、エスプレッソの抽出をミリ単位で追い込みたいという、マニアックな要求に応えることができます。
デザインもミニマルで美しく、幅9cmという驚異的なコンパクトさは、キッチンのスペースが限られているユーザーにとって大きな魅力です。動作音も静かだと評判です。
ただし、Bricks 01Sが備える「回転振動クリーンシステム」のような高度なメンテナンス機能は搭載されておらず、粉の残留や静電気対策として霧吹き（RDT）の使用が推奨されるなど、ユーザー側での工夫が求められる場面もあります。エスプレッソへの特化度合い、そして無段階調整というロマンに強く惹かれるのであれば、VS3はBricks 01Sの強力なライバルとなるでしょう。
日本の伝統的定番：カリタ ナイスカットG
日本の老舗コーヒー器具メーカー、カリタが製造する「ナイスカットG」は、長年にわたり多くの喫茶店やコーヒー愛好家に愛されてきた、信頼と実績のモデルです。Bricks 01Sとは設計思想が大きく異なります。ナイスカットGの心臓部である「フラットカッター刃」は、豆を切り刻むように粉砕するため、微粉が少なく、クリアでキレのある味わいのコーヒー（特にハンドドリップ）を淹れるのに適していると言われています。
その反面、エスプレッソ用の極細挽きは構造上あまり得意ではありません。また、デザインはレトロで業務用機器のような佇まいであり、静音性や省スペース性ではBricks 01Sに劣ります。しかし、「メイド・イン・ジャパン」の安心感と、長年の使用にも耐える堅牢な作りは、他にはない大きな魅力です。
ハンドドリップで最高の一杯を追求したい、流行り廃りのない確かな道具を長く使いたい、という価値観を持つ方にとっては、最新機能満載のBricks 01Sよりも、ナイスカットGの方がしっくりくる可能性があります。
総合比較とBricks 01Sの立ち位置
これらの比較から、TIMEMORE Bricks 01Sのユニークな立ち位置が明確になります。
- Fellow Opusは、幅広い抽出方法をカバーする「万能選手」。
- Varia VS3は、無段階調整を持つ「エスプレッソの求道者」。
- カリタ ナイスカットGは、ドリップコーヒーに強い「信頼の日本製クラシック」。
そしてTIMEMORE Bricks 01Sは、これらすべての要素を高いレベルで融合させようと試みた「美しきエスプレッソ・スペシャリスト」と言えるでしょう。エスプレッソに最適化された超精密な粒度調整能力を持ちながら、デザイン性、静音性、そして独自のメンテナンス機能まで備えています。価格以上の高級感と性能を両立させ、日々のコーヒー体験そのものを豊かにしてくれる一台です。あなたの求めるコーヒーが「再現性の高い、美しいエスプレッソやドリップ」であるならば、Bricks 01Sは最高のパートナーとなってくれるはずです。
まとめ：あなたの日常を、豊かに彩る選択
本記事を通して、TIMEMOREというブランドと、その象徴的な電動ミル「Bricks 01S」の姿が、より鮮明になったのではないでしょうか。
それはまるで、新進気鋭の若き建築家が手がけた、シャープで美しい美術館のようです。外観の美しさに見惚れていると、中には緻密に計算された空間が広がり、一つひとつの展示品（＝挽かれたコーヒー粉）が最高の状態で鑑賞できるよう、照明（＝粒度）や空調（＝静電気対策）まで完璧にコントロールされている。そんな印象を受けます。
確かに、どんなアートも受け手を選ぶように、このミルもすべての人にとっての「正解」ではないかもしれません。フレンチプレスで淹れるような、ワイルドな粗挽きコーヒーをこよなく愛する人にとっては、その繊細すぎる性能が少し窮屈に感じられることもあるでしょう。
しかし、もしあなたが「完璧な一杯」を追い求める探求者であり、エスプレッソのクレマの厚さや、ドリップの最後の一滴のクリアさに心を躍らせるタイプなのであれば。Bricks 01Sは、あなたのコーヒーライフを、単なる日常の習慣から、創造的で喜びに満ちた時間へと昇華させてくれる、最高のパートナーになる可能性を秘めています。
この一台が、あなたのキッチンで美しい音を奏で、毎日に豊かな香りを添えることを願ってやみません。
