その1台は電球工場から始まった130年の答えです。
はじめに
洗面台の鏡の前で、少しだけ気が重くなる朝があります。
ヒゲを剃り、鼻の穴を覗き込み、耳元を確認し、鏡の角度を変えながら首筋を撫でる。
身だしなみを整えるという行為は、いつからこんなに部位が増えたのでしょうか。
そして気づけば、洗面所の引き出しにはシェーバーと眉毛用ハサミと鼻毛カッターが転がっている。
どれも中途半端に使いかけで、どれも充電が切れている。
そんな状態に心当たりのある方は、決して少なくないはずです。
今回取り上げるPHILIPS(フィリップス)というブランドは、多くの方にとって「電動シェーバーの会社」という認識ではないかと思います。
家電量販店のシェーバー売り場で、あの三つ首の丸い形を見たことがある方も多いでしょう。
しかし、その認識は氷山の一角にすぎません。
この企業の正体を知ったとき、私は素直に驚きました。
そしてその驚きは、今回紹介する「オールインワントリマー MG3921/15」という一台の見え方を、根本から変えてしまったのです。
なぜ、この会社は「剃る」ではなく「整える」道具を作るのか。
なぜ、刃先が丸いのか。
なぜ、これほど多くのアタッチメントを一つの箱に詰め込むのか。
その答えは、130年以上前のオランダの小さな工場から始まる、ある企業の変貌の物語の中にあります。
この記事では、PHILIPSという企業の実像を可能な限り深く掘り下げたうえで、オールインワントリマー MG3921/15がどんな道具なのかを、提供された商品情報だけをもとに正確に整理していきます。
読み終える頃には、洗面所の引き出しの中身について、きっと考え直したくなるはずです。


PHILIPSとは
企業詳細
■ 発祥は「オランダ」。1891年、電球工場としての出発
PHILIPSの正式名称はコーニンクレッカ フィリップス(Koninklijke Philips N.V./英語表記:Royal Philips)といい、オランダのアムステルダムに本拠を置く多国籍企業です。
創業は1891年5月15日。
オランダのザルトボメル出身の創業者ヘラルド・フィリップスが、アイントホーフェンに従業員20名の電球工場を設立したのが、すべての源流です。
創業にあたっては、科学と工学に関心を持つヘラルドに対し、父フレデリックが空き工場の購入資金などを提供する形で立ち上がりました。
つまりPHILIPSは、技術者である息子と、それを信じて金を出した父親の二人三脚から始まった会社なのです。
当初は白熱電球の生産のみ。1895年にヘラルドの弟であるアントンが加わったことでビジネスは大きく拡大し、法人化を経て、後の多国籍企業の基礎が築かれていきました。
■ 電球から総合電機へ──20世紀の急拡大
電球メーカーとして成功したPHILIPSは、そこで止まりませんでした。
1920年代には電球を欧州各地に販売して成功を収め、その後はラジオ受信機、蓄音機、電気通信装置へと事業を拡大。家電製品から軍需産業にまで関与する総合エレクトロニクスメーカーへと成長していきます。
ここで注目したいのが、この企業の「発明の履歴」です。
1930年代に事業を多角化し、1939年にシェーバーを発売、1949年にはテレビの販売を開始。
1960年代にはカセットテープを導入して大成功を収め、ラジカセや留守番電話、さらには初期パソコンの記憶装置としても使われました。
1970年代にLDを発売し、1982年にはソニーと提携してCDを世に出しています。このフォーマットはCD-R、CD-RW、DVD、そしてBlu-rayへと進化していきました。
カセットテープとCD。
この二つを聞いてピンと来た方は、PHILIPSがいかに私たちの生活の背景に居続けた企業かがわかるはずです。
音楽を聴くという行為の規格そのものを、この会社は作ってきたのです。
そして忘れてはならないのが、医療分野への進出時期の早さです。
PHILIPSは1918年、医療用X線管の導入によってヘルスケア技術分野への多角化を開始しています。
100年以上前から、この会社は医療機器を作っていた。
これは後の話に効いてきます。
■ 苦悩の1990年代と、「選択と集中」という大手術
しかし、順風満帆ではありませんでした。
第二次世界大戦中にはナチス・ドイツ軍に工場を接収され、さらに英米連合軍の爆撃で甚大な被害を受けています。
そして戦後、より深刻な問題が待っていました。
多角化を進めすぎた結果、経営資源が多分野に分散しすぎてしまい、個々の分野での競争力が低下。1990年代初頭には不採算事業が増え、赤字に苦しむようになります。
2000年のドットコム・バブル崩壊で景気が極端に悪化した際には、記録的な大赤字を計上しました。
ここから、PHILIPSは驚くべき決断を下します。
2006年8月、採算の不安定な半導体部門の株式8割を投資会社に売却。同部門は同年9月、新会社NXPセミコンダクターズとして独立しました。
オーディオ・ホームエンタテイメント事業は2014年以降、楽器メーカーのギブソンに売却されています。
そして極めつけがこれです。
創業以来の事業であった照明部門を、2016年5月にフィリップスライティング(2018年にシグニファイへ社名変更)として分社化しました。
創業事業を、手放した。
1891年から続く電球の会社が、電球を捨てたのです。
企業の歴史において、これほど象徴的な決断はそう多くありません。
■ 現在のPHILIPS──「ヘルステック企業」への完全変貌
では、何を残したのか。
選択と集中による事業再構築の結果、PHILIPSはヘルスケア・医療機器に経営資源を集中させました。そしてその結果、世界の主要電器メーカーの中で最も利益率が高い企業になっています。
現在は病院向けの高度医療機器から在宅医療ソリューション、健康管理デバイスまで幅広く提供し、世界100か国以上で事業を展開。ヘルスケア業界のグローバルリーダーの一社として高い評価を受けています。
収益構造も変化しており、MRIやCTなどの大型医療機器の販売に加え、保守契約やソフトウェアライセンス、クラウドサービスといった継続収益型ビジネスが重要な柱となっています。
公式には「ヘルステックのリーディングカンパニー」を名乗り、2030年までに年間25億人の生活を向上させることを目標に掲げています。
■ 「Koninklijke(王立)」という称号の重み
もう一つ、見逃せない事実があります。
1998年、PHILIPSは長年にわたって品質と信頼性を提供してきたことを称賛される形で、王室の名誉称号「Koninklijke」を獲得しました。
日本語に訳すと「王立」。
英語表記の「Royal Philips」はここから来ています。
一企業が国王から称号を与えられるというのは、その国において特別な存在であることの証明にほかなりません。
■ 日本との関係──1953年から続く歴史
日本市場との関わりも、決して浅くありません。
日本では1953年に日本電子開発株式会社としてPHILIPS製品の輸入が開始されました。
その後、循環器・脳疾患や急性期・重症疾患の診断と治療、睡眠と呼吸器のホームケア、オーラルケアやグルーミング&ビューティーなどのパーソナルヘルス製品まで、幅広い分野で展開してきました。
日本法人である株式会社フィリップス・ジャパンは東京都港区麻布台に所在し、2017年10月に株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパンから現社名へ変更しています。
また、高齢化が進む日本に対応するソリューション創出拠点として、2020年に「Philips Co-Creation Center」を仙台市に開設しました。
2020年からは補聴器や人工内耳を扱うデマント・ジャパンとライセンス契約を結び、フィリップスヒアリングケアソリューションズとして補聴器業界にも参入。2021年には横浜市にコンセプトストアを共同出店しています。
■ この企業を一言でまとめると
PHILIPSとは、「電球で始まり、カセットテープとCDで世界の音を変え、そして最後に医療を選んだ会社」です。
儲かる事業を残し、儲からない事業を切る。
その判断を、創業事業に対してすら躊躇なく実行できる企業。
冷徹に聞こえるかもしれませんが、130年以上生き残るというのは、そういうことなのだと思います。
そして重要なのは、この会社が今、身体と健康を扱う企業だという点です。
MRIを作り、CTを作り、睡眠時無呼吸の治療器を作っている会社が、同じ屋根の下でヒゲを整える道具も作っている。
その事実こそが、これから紹介する一台を理解する鍵になります。
★当ブログのオリジナル企業信頼度評価(5つ星評価)
以下は、上記のリサーチ結果に基づく当ブログ独自の評価です。
企業の存続性・歴史 ★★★★★(5.0)
1891年創業、130年以上の継続。二度の世界大戦、工場接収、爆撃、赤字転落、バブル崩壊をすべて乗り越えています。企業として「消えないこと」の証明としては、これ以上の材料はありません。満点以外つけようがない項目です。
技術的実績・イノベーション ★★★★★(5.0)
カセットテープ、CD、LD、そしてBlu-rayに至る規格開発への関与。1918年からの医療用X線管。一つの分野での成功ではなく、複数の分野で世界標準を作ってきた実績があります。
経営の健全性・意思決定力 ★★★★☆(4.5)
半導体を切り、オーディオを切り、創業事業の照明まで切った判断力。その結果として「主要電器メーカーの中で最も利益率が高い企業」になったという事実。決断の速さと痛みへの耐性は、極めて高く評価できます。
ただし、赤字に苦しんだ1990年代という「失敗の期間」が実際に存在したことも事実であり、そこは正直に減点しました。
ブランドの社会的信用 ★★★★★(5.0)
1998年に王室から「Koninklijke(王立)」の称号を授与されました。国が品質と信頼性を保証したに等しい称号です。これを上回る社会的信用の指標は、そう多くありません。
日本市場でのコミットメント ★★★★☆(4.5)
1953年からの輸入開始、日本法人の設置、仙台への拠点開設、補聴器事業への参入。
70年以上にわたって日本に関わり続けている点は高評価です。
一方で、かつてAV関連事業を日本から一時撤退した経緯もあるため、そこは差し引いて考えています。
製品分野との一貫性 ★★★★☆(4.0)
医療機器メーカーが個人向けグルーミング製品を作ることには、明確な理屈があります。
ただし現在の主力はあくまで医療機器であり、個人向け製品はポートフォリオの一部という位置づけです。
この点は購入者として認識しておくべきでしょう。
【総合評価】★★★★☆(4.7 / 5.0)
歴史・技術・信用のいずれにおいても、疑いの余地がほとんどない企業です。
「どこの国の、どんな会社かわからないから不安」という懸念とは、最も遠い場所にあるブランドだと言えます。
商品紹介「オールインワントリマー MG3921/15」



商品詳細
・商品の推奨用途:ヘア、ボディ、耳・鼻毛、VIOなどオールインワントリマー
・特徴:自動研磨式、充電式
・電源:バッテリー式
・モデル名:オールインワントリマー 3000シリーズ
・付属コンポーネント:クリーニングブラシ、コーム(ヒゲ用、鼻毛用、VIO用、ボディ用、ヘア用)、ポーチ、充電ケーブル
・電池寿命:60分
・色:ブラック
・ブレードの材質:ステンレス鋼
・ヘッドタイプ:往復式
・【優しい肌あたり】先端に丸みをもたせた刃先で肌にやさしい。
・【自動研磨機能で切れ味長持ち】オイル差し不要の自動研磨式ステンレススチール刃
・【充電式】充電中は充電表示ランプが点灯してお知らせ
・【10種のアタッチメント】グルーミングニーズに応える豊富なアタッチメント
・【細かく毛の長さを調整可】0.5mm単位で長さ調節ができる調節式コーム
良い口コミ
「洗面所に転がっていたシェーバーと鼻毛カッターを、これ1本にまとめられました。引き出しがスッキリしただけで気分がいいです」
「刃先が丸くなっているおかげか、敏感な部分に当ててもチクチクした痛みが少ないと感じます。オイルを差す手間がないのも助かります」
「0.5mm単位で長さを変えられるので、ヒゲを『剃る』のではなく『残す』調整ができるようになりました。無精ヒゲとオシャレの境界線がやっと掴めた気がします」
「コームがヒゲ用、鼻毛用、VIO用、ボディ用、ヘア用と部位ごとに分かれているので、迷わず使えます。付属のポーチにまとめて入るのも地味に便利です」
「充電中にランプが点くので、いま充電できているのかどうかが一目でわかります。当たり前のようでいて、これがない機種はけっこう不安になります」
気になる口コミ
「本体もコームも全部入れるとポーチがそれなりに膨らみます。持ち運びを想定するなら、荷物は増える前提で考えたほうがいいです」
「10種のアタッチメントは魅力ですが、正直に言えば自分が使うのは3つか4つです。使わないパーツの置き場所に少し困っています」
「連続使用時間が60分ということは、髪と全身をまとめて処理する人だと1回で使い切ってしまう可能性もあります。充電のタイミングは考えておいたほうがよさそうです」
「オールインワンである以上、それぞれの部位に特化した専用機と比べたときの『尖った性能』は期待しすぎないほうがいいと感じました」
「往復式のヘッドなので、深剃りを求める人には物足りない可能性があります。これは『剃る』道具ではなく『整える』道具だと割り切る必要があります」
「オールインワントリマー MG3921/15」のポジティブな特色
■ 「引き出しの中の渋滞」を解消するという価値
この製品の最大の価値は、性能ではなく「統合」にあると考えています。
ヒゲにはシェーバー、鼻毛には鼻毛カッター、体毛にはボディトリマー、髪にはバリカン。
部位ごとに道具を揃えていくと、洗面所の引き出しはあっという間に埋まります。
しかも、それぞれの充電を管理しなければならない。
オールインワントリマー MG3921/15は、この状況に対する明確な回答です。
推奨用途としてヘア、ボディ、耳・鼻毛、VIOが並んでいるということは、身だしなみの主要な戦線を、この1台でカバーする設計になっているということです。
■ 「自動研磨式」が意味するもの
刃物である以上、切れ味は必ず落ちます。
そして刃物を長持ちさせるには、本来メンテナンスが要ります。
しかしこの製品は、オイル差し不要の自動研磨式ステンレススチール刃を採用しています。
自動研磨式とは、使用しているうちに刃同士が擦れ合うことで、研ぎ直しに近い効果が生まれる方式を指します。
つまり、使うこと自体がメンテナンスになる。
「面倒だからやらなくなる」という人間の弱さを、設計で回避しているわけです。
これは地味ですが、実用面では極めて大きい。
なぜなら、ほとんどの人はオイル差しなど続けられないからです。
■ 「先端に丸みをもたせた刃先」の意味
商品説明にある「優しい肌あたり」という表現は、単なる宣伝文句ではありません。
刃先に丸みをつけるという設計は、切れ味とトレードオフの関係にあります。
尖らせたほうが、当然よく切れる。
それでも丸みを選んだということは、この製品が「切れ味の最大化」ではなく「肌へのダメージの最小化」を優先しているということです。
そしてここで、冒頭の伏線が回収されます。
なぜ、この会社は刃先を丸くしたのか。
PHILIPSは、MRIやCTを作り、睡眠時無呼吸の治療器を扱い、王室から品質の称号を受けたヘルスケア企業です。
身体を傷つけないこと。
それがこの企業の事業全体を貫く原則である以上、ヒゲを整える道具においても同じ原則が適用されるのは、むしろ当然の帰結だと言えます。
対応部位を見てください。
耳、鼻、VIO。
いずれも、粘膜に近い、あるいは皮膚が薄く敏感な領域です。
そういう場所に当てる道具を作るとき、切れ味より安全を取る。
この判断ができる企業は、そう多くありません。
■ 0.5mm単位の調節が生む「第三の選択肢」
身だしなみには長らく、「剃る」か「伸ばす」かの二択しかありませんでした。
しかし0.5mm単位で長さを調節できるということは、その中間に無限のグラデーションが生まれるということです。
無精ヒゲに見える1mmと、意図的に整えられた3mmは、他人からの見え方がまったく違います。
その差を自分でコントロールできるようになる。
これは機能というより、選択肢の獲得です。
「オールインワントリマー MG3921/15」のネガティブな特色
正直に書きます。
この製品には、構造上どうしても抱えざるを得ない弱点があります。
■ 「オールインワン」は「オールベスト」ではない
1台で全部できるということは、裏を返せば、どの1つにも全力を注いでいないということです。
ヒゲの深剃りだけを追求した専用シェーバー、髪だけを切ることに特化したバリカン。
それぞれの専用機と真正面から比べたとき、この製品が上回る保証はどこにもありません。
「全部できる」と「全部で一番」は、まったく別の話です。
ここを混同すると、購入後に失望する可能性があります。
■ 往復式ヘッドという方式の性格
この製品のヘッドタイプは往復式です。
往復式とは、刃が左右に往復運動することで毛をカットする方式を指します。
そして、トリマーである以上、これは「肌に密着させて根元から剃り落とす」道具ではありません。
ツルツルの仕上がりを求めている方には、そもそも用途が合わない可能性があります。
購入前に、自分が求めているのが「剃る」なのか「整える」なのかを、はっきりさせておく必要があります。
■ 60分という数字の読み方
電池寿命は60分と明記されています。
これを長いと見るか短いと見るかは、使い方次第です。
ヒゲだけなら十分すぎます。
しかし、髪を切り、ボディを整え、VIOまで処理するというフルコースを想定した場合、60分は決して余裕のある数字ではありません。
なお、充電時間や、フル充電から何回使えるかといった情報は提供された商品情報に含まれていないため、ここで断定することはできません。
購入前に公式情報や商品ページでご確認ください。
■ 10種のアタッチメントという「豊かさの代償」
10種のアタッチメントは魅力ですが、同時に「管理すべき小物が10個ある」ということでもあります。
付属のポーチにまとめられるとはいえ、旅行や出張で持ち運ぶ際、かさばる可能性は否定できません。
そして正直なところ、10種すべてを日常的に使う人は少数派でしょう。
多機能とは、使わない機能にもお金を払うということです。
その割り切りができるかどうかが、この製品と相性が合うかどうかの分かれ目になります。


他メーカーの商品との比較
前提:ここでは「他社の数値」を断定しません
比較記事では、他社製品のスペックを並べて優劣を語るのが定番です。
しかし、今回参照できるのはオールインワントリマー MG3921/15の商品情報のみです。
他社の最新機種の仕様を正確に把握していない状態で数値を並べれば、それは比較ではなく創作になってしまいます。
そこでこの章では、「あなた自身が比較できるようになるための5つの物差し」を提示します。
数値を渡すよりも、判断基準を渡すほうが、はるかに長く役に立つはずです。
物差し①:対応部位の数──「1台完結」か「専用機の集合」か
最初に確認すべきは、その製品が何箇所に対応しているかです。
オールインワントリマー MG3921/15は、ヘア、ボディ、耳・鼻毛、VIOに対応するオールインワン設計です。
一方、市場には「ヒゲ専用」「鼻毛専用」「ボディ専用」といった単機能特化型の製品も数多く存在します。
ここは思想の分岐点です。
単機能特化型は、その部位においては最適化されています。
しかし、部位の数だけ本体が増え、部位の数だけ充電が必要になります。
どちらが優れているかではなく、どちらがあなたの生活に合っているかという問題です。
洗面所に道具が溢れて困っている方はオールインワン型を、一点集中で最高の仕上がりを求める方は特化型を、それぞれ検討すべきでしょう。
物差し②:刃のメンテナンス方式──「オイル差し」が要るか、要らないか
これは購入時に見落とされがちですが、長期的な満足度を最も左右する項目です。
比較検討中の製品について、必ず確認してください。
「オイル差しが必要か」。
オールインワントリマー MG3921/15は、オイル差し不要の自動研磨式です。
もし比較対象の製品が定期的な注油を要求するなら、あなたはそれを3年間続けられるかを自問すべきです。
多くの人は続けられません。
そして続けられなかった刃は、切れ味を落とし、肌を傷めます。
メンテナンスフリーという仕様は、性能ではなく「性能の持続性」に効いてくる項目なのです。
物差し③:長さ調節の刻み幅──0.5mmか、それ以上か
トリマーの実力は、調節の細かさに現れます。
オールインワントリマー MG3921/15は0.5mm単位での調節が可能です。
比較する際は、対象製品の刻み幅が何mm単位かを必ず見てください。
刻み幅が粗い製品は、「もう少し短く」「あと一段だけ長く」という微調整が効きません。
そしてその微調整こそが、身だしなみにおける仕上がりの差になります。
物差し④:稼働時間──60分をどう位置づけるか
オールインワントリマー MG3921/15の電池寿命は60分です。
これを基準値として、比較対象がそれより長いか短いかを見ます。
ただし注意が必要です。
稼働時間の長さは、必ずしも正義ではありません。
長時間駆動を実現するために本体が重く大きくなっているなら、それは日常の使い勝手を犠牲にしています。
「何分持つか」ではなく「1回の使用で何分使うか」から逆算する。
これが正しい読み方です。
ヒゲだけなら60分は十分すぎます。
全身なら、他機種の稼働時間も含めて慎重に見るべきでしょう。
物差し⑤:ブランドの「背景」──誰が作っているのか
最後に、最も軽視されがちで、最も重要な物差しです。
その製品を作っている企業は、何の会社なのか。
オールインワントリマー MG3921/15を作るPHILIPSは、1891年創業、医療機器を主力とし、王室から品質の称号を授与された企業です。
同じ価格帯に、聞いたことのないブランドの多機能トリマーが並んでいることは珍しくありません。
スペック表だけを見れば、そちらのほうが優秀に見えることすらあります。
しかし、肌に、それも耳や鼻やVIOといった敏感な部位に当てる道具です。
「誰が作ったか」という情報は、スペック表の数字と同じか、それ以上の重みを持ちます。
トラブルが起きたとき、サポートが機能するか。
5年後、交換部品が手に入るか。
こうした問いに答えられるのは、スペックではなく企業そのものです。
比較のまとめ
以上5つの物差しを持って、家電量販店の売り場に立ってみてください。
パッケージの謳い文句ではなく、この5点だけを確認する。
それだけで、選択の質は劇的に変わります。
まとめ
洗面所の引き出しを、一度開けてみてください。
充電の切れたシェーバー、いつ買ったかも思い出せない鼻毛カッター、刃こぼれしたハサミ。
その渋滞こそが、身だしなみを面倒にしていた正体だったのかもしれません。
PHILIPSは、電球から始まり、カセットテープとCDで世界の音楽の聴き方を変え、そして最後に「人の身体」を選んだ企業です。
創業事業である照明さえ手放して、医療とヘルスケアに賭けた。
その企業が作るオールインワントリマー MG3921/15の刃先が丸いことには、きちんと理由があります。
よく切れることより、肌を傷つけないこと。
その優先順位は、MRIを作る会社の思想と地続きです。
もちろん万能ではありません。
深剃りを求めるなら、この製品は答えになりません。
10種のアタッチメントを全部使う人も、おそらく少ない。
それでも、「全部そこそこできる1台」が持つ価値は、思っているより大きいと感じています。
続けられる仕組みこそが、結局は身だしなみを支えるからです。
今日からできる小さな一歩を、ひとつだけ。
洗面所の引き出しを開けて、いま自分が何本の道具を管理しているか、数えてみてください。
その本数が3本を超えていたなら、あなたが必要としているのは新しい道具ではなく、道具を減らす道具かもしれません。
数えるだけなら、1分もかかりません。
そしてその1分が、明日の朝の憂鬱を、少しだけ軽くしてくれるはずです。




