その耳もとのアクセサリーは音楽を鳴らしながらアナタを街に繋ぎ止めている
はじめに
音楽を聴いていて、宅配便のインターホンに気づかなかったことはありませんか。
再配達の不在票を手にして、イヤホンを外しながら小さくため息をつく。
多くの方が一度は経験しているはずです。
耳の穴をしっかりふさぐイヤホンは、音に集中するにはとても優れた道具です。
ただ、家族の呼びかけ、駅のアナウンス、背後から近づく自転車のベルまで遠ざけてしまいます。
そこで広がってきたのが、耳をふさがずに音楽を楽しむ「ながら聴き」というスタイルです。
なかでもイヤーカフ型は、ピアスやイヤーカフのように耳のふちに挟むだけで使えるため、2026年は各社から新モデルが次々に登場しています。
今回取り上げるのは、イヤホンブランドのEarFunと、同社のイヤーカフ型モデル「EarFunイヤーカフイヤホンCW200」です。
1万円を切る価格帯で、ハイレゾ対応やワイヤレス充電まで詰め込んだ一台です。
安いのに本当に大丈夫なのか、と疑いたくなる気持ちもよく分かります。
そこで本記事では、まずEarFunという会社の素顔を掘り下げ、そのうえで商品の良いところも気になるところも包み隠さずお伝えします。
読み終えるころには、冒頭の一文の意味がきっと腑に落ちるはずです。


EarFunとは
企業詳細
創業の背景と理念
EarFunは2018年、経験豊富なインダストリアルデザイナー、音響エンジニア、音楽好きのメンバーが、次世代のワイヤレスオーディオ機器を生み出すという共通の目標のもとに立ち上げたブランドです。
掲げているスローガンは「BetterSound,BetterLife」(より良い音で、より良い暮らしを)で、テクノロジーが日々の暮らしに自然に溶け込むことを目指しています。
また公式サイトでは、上質な音は高価で手に入りにくいものである必要はなく、多くの人が聴けて、感じられて、手が届く価格で届けることを使命としていると説明しています。
「高音質を手の届く値段で」という考え方は、創業以来ぶれていない同社の軸と言えます。
本拠地と運営体制
本拠地については、資料によって記述に揺れがあります。
海外の企業データベースでは、2018年創業で、広東省深センに拠点を置く企業と紹介されています。
2025年にドイツで開かれた家電見本市IFAの出展者情報でも、深セン市南山区のテクノロジーパーク内の住所が記載されていました。
一方で、同社のアフィリエイトプログラムの案内ページには、2018年にカリフォルニアで創業したという記述もあります。
設計・開発の拠点と、販売や法人登記の拠点が分かれている可能性はありますが、どちらが登記上の本社なのかは公開情報だけでは断定できません。
日本向けの発表では、過去のプレスリリースの発行企業がEarfunTechnology(HK)Limitedとなっており、日本市場はこの香港法人を窓口に展開していると考えられます。
経営陣
2020年のプレスリリースでは、CEO兼創業者としてWhiteWong氏の名前が挙がっています。
さらに2025年の新製品発表では、最高技術責任者(CTO)のRockyDeng氏が、2つのドライバーの角度を11度に設定することで高音域の減衰を抑えられたと開発の裏側を語っています。
経営者や技術責任者が実名で発信している点は、顔の見えにくい新興ブランドが多いなかで評価できるポイントです。
受賞歴と評価の積み重ね
EarFunが短期間で知名度を上げた背景には、受賞歴があります。
2020年には完全ワイヤレスイヤホン「EarFunAir」がCES2020イノベーションアワードとiFデザイン賞の両方を受賞し、同社はこれを世界初のダブル受賞だとアピールしました。
日本国内でも、ノイズキャンセリング対応モデル「EarFunAirS」が、国内最大級のAV機器アワード「VGP2022SUMMER」で金賞を獲得しています。
さらに2025年には上位モデル「AirPro4+」がレッドドット・デザイン賞を受賞しました。
興味深いのは、他社との協業にも前向きな点です。
2020年に発売した同社初のノイズキャンセリングイヤホン「AirPro」では、音のチューニングをオーディオメーカーのEdifierが手がけたと発表しています。
自社だけで抱え込まず、得意な企業と組んで完成度を高める姿勢がうかがえます。
製品ラインナップと価格帯
取り扱い製品は、完全ワイヤレスイヤホン、ワイヤレスヘッドホン、ポータブルBluetoothスピーカー、オープンイヤー型、イヤーカフ型と幅広く、平均価格は60〜160米ドル程度とされています。
オーストラリアの販売店は、大手ブランドの完全ワイヤレスイヤホンが500ドルを超えることもあるなか、EarFunの製品はその4分の1以下の価格で、多くのモデルにノイズキャンセリングまで載っていると紹介しています。
「価格に対して機能が多い」ことが、同社の最大の武器です。
イヤーカフ型への挑戦とEarFunClip2
イヤーカフ型は、EarFunにとってまだ新しいジャンルです。
ブランド初のイヤーカフ型「EarFunClip」は2025年に発売され、その後継が今回の「EarFunClip2」です。
国内では2026年4月23日に発売され、カラーはブラックとホワイトの2色、価格は税込9,990円です。
なお、同社の海外公式サイトの製品ページでは、EarFunClip2の紹介とあわせて「CW200」という表記が確認できます。
海外メディアの反応も上々です。
公式サイトに掲載された引用によると、CNNUnderscoredは1日中着けていられる快適さを評価し、英ガーディアン紙も価格帯のなかで最上位クラスの快適さと使いやすさだと紹介しています。
ただし、手放しの絶賛ばかりではありません。
海外のレビューサイトSoundGuysは、機能の豊富さを認めつつ、初期状態の音のバランスはイコライザーでの調整が必要だと指摘しています。
こうした辛口の評価まで自社サイトに載せている点は、むしろ誠実さとして受け取れます。
見えにくい部分
一方で、気になる点もあります。
同社は株式を公開していないため、売上高や従業員数といった財務情報は公表されていません。
本拠地の記述が資料ごとに異なる点も含め、会社の「中身」を外から確かめる手段は限られています。
製品の評価は積み上がっている一方で、企業としての透明性にはまだ伸びしろがある、というのが率直な評価です。
★当ブログのオリジナル企業信頼度評価(5つ星評価)
運営体制の明確さ ★★★(3.0)
CEOやCTOが実名で発信しており、日本向けの発表元となる法人名も確認できます。
ただし本拠地の記述が資料ごとに異なり、全体像がつかみにくい点で減点としました。
市場での評価実績 ★★★★☆(4.5)
CES、iFデザイン賞、VGP金賞、レッドドット・デザイン賞と、国内外の受賞歴が豊富です。
海外大手メディアでの掲載も多く、新興ブランドとしては申し分ない実績です。
商品開発の専門性 ★★★★(4.0)
ドライバー配置の角度まで検証する開発姿勢や、他社と組んだ音づくりの実績があります。
一方で、初期チューニングに調整が必要という指摘もあり、満点は見送りました。
社会的・文化的な取り組み ★★★(3.0)
「手が届く価格で良い音を」という理念は、多くの人に音楽体験を広げる意味で価値があります。
ただ、環境配慮や社会貢献に関する具体的な発信は、今回のリサーチでは確認できませんでした。
財務情報の開示度 ★★(2.0)
非上場企業のため、売上や従業員数などの数字は公開されていません。
今後の情報公開に期待を込めた評価です。
総合評価 ★★★☆(3.3)
製品の評価と受賞歴は大手に引けを取らない水準です。
企業としての透明性が高まれば、さらに安心して選べるブランドになるはずです。
商品紹介「EarFunイヤーカフイヤホンCW200」



商品詳細
- 色:ブラック
- 耳の位置:オープンイヤー
- ヘッドホン型式:オープンイヤー
- ノイズコントロール:環境ノイズキャンセリング
- ドライバー:12mm径チタンコーティング振動板とデュアル磁気回路で構成される新開発ダイナミックドライバー
- 音質技術:Hi-Resオーディオ対応
- 対応コーデック:LDAC
- 空間オーディオ:新開発の空間オーディオアルゴリズム「SpatialStage」による3Dサウンド
- 低音強化技術:BassSurge(アプリのプリセットイコライザーで「迫力ある重低音」を選択)
- 装着方式:1万人以上の耳型データを基に改良した「C型ブリッジ」
- C型ブリッジの調整:適度な伸縮・ねじり調整が可能
- C型ブリッジの素材:硬度40度以上の軟質シリコンと0.5mm厚のニッケルチタン形状記憶合金
- 耐久性:20,000回の開閉耐久テストをクリア
- 重量:片耳5.5g
- マイク:4つのマイクとAIENC(通話ノイズキャンセリング)
- 操作方式:物理ボタン(手袋着用時も操作可能、アプリでボタン設定のカスタマイズ可能)
- 再生時間(イヤホン単体):最大11時間(LDACオン時は最大6時間)
- 再生時間(充電ケース併用):最大40時間
- 再生時間の測定条件:EarFun社実験室にてiPhone(音量50%/低消費電力モード)で測定
- 急速充電:10分の充電で2.5時間使用可能
- ワイヤレス充電:対応(EarFun初のワイヤレス充電搭載イヤーカフ型イヤホン)
- Bluetooth:Bluetooth6.0
- マルチポイント接続:2台のデバイスと同時接続可能
- その他の接続機能:GoogleFastPair、FindHub対応
- マナーモード:搭載(音量を素早く下げられる)
- 防塵・防水:IP55(イヤホン本体のみ、充電ケースを除く)
- ゲームモード:搭載
- 専用アプリ:EarFunAudio(登録不要、イコライザー、耳の健康、キーのカスタマイズなど)
- 注意事項:マルチポイント接続とLDACは同時に使用不可
- 装着時の注意:スピーカーが耳の穴に向くよう装着、ゆるい場合はCブリッジを軽くねじって間隔を狭めて調整
良い口コミ
購入を検討している方が気になりやすいポイントをもとに、想定される声をまとめました。
「片耳5.5gと聞いていたけれど、本当に着けているのを忘れるくらい軽いです。夕方になっても耳が痛くなりません」
「耳をふさがないので、イヤホンをしたまま家族と会話ができます。在宅勤務中でもインターホンを聞き逃さなくなりました」
「物理ボタンなので、髪に触れただけで曲が止まるような誤操作がありません。手袋をしていても操作できるのは冬場に助かります」
「スマホとタブレットの2台に同時につながるので、動画から通話への切り替えが一瞬です。いちいち設定画面を開かなくて済みます」
「置くだけのワイヤレス充電に対応しているのがうれしいです。ケーブルを抜き差しする手間がなくなりました」
気になる口コミ
「オープンイヤーなので仕方ないのですが、電車の中では音が周りの騒音にかき消されがちです」
「最初は装着位置が定まらず、何度か付け直しました。ブリッジの調整に慣れるまで少し時間がかかります」
「LDACで聴くとイヤホン単体の再生時間が最大6時間に縮むので、長時間使う日は設定を切り替えています」
「LDACとマルチポイントを同時に使えないのが惜しいです。音質と利便性のどちらを優先するか、毎回選ぶ必要があります」
「充電ケースは防水の対象外なので、雨の日の持ち運びには気を使います」
「EarFunイヤーカフイヤホンCW200」のポジティブな特色
一番の魅力は、「耳をふさがない快適さ」と「音の厚み」を両立しようとしている点です。
オープンイヤー型は、構造上どうしても低音が逃げやすく、スカスカした音になりがちです。
EarFunイヤーカフイヤホンCW200は、12mmの大きめの振動板と、振動板を動かす磁石を二重にしたデュアル磁気回路で、この弱点に正面から挑んでいます。
さらにBassSurgeという低音強化の仕組みと、アプリの「迫力ある重低音」プリセットを組み合わせれば、低音の物足りなさをかなり補えます。
装着感への配慮も細やかです。
1万人以上の耳型データをもとに改良したC型ブリッジは、柔らかいシリコンと形状記憶合金でできています。
形状記憶合金とは、曲げても元の形に戻ろうとする性質を持つ金属のことです。
耳たぶを洗濯ばさみで強く挟まれるような痛さではなく、そっと寄り添うようなフィット感を目指しているわけです。
20,000回の開閉テストをクリアしているので、毎日の着け外しにも安心感があります。
日常で効いてくるのが、細かな便利機能の多さです。
4つのマイクとAIENCで、カフェや駅のざわつきの中でも声を拾いやすくしています。
音量をすばやく下げられるマナーモードは、図書館や職場で急に話しかけられたときに重宝します。
IP55の防塵・防水性能があるので、汗や小雨程度なら気にせず使えます。
登録不要の専用アプリでイコライザーやボタン配置を自分好みに変えられるのも、長く使ううえで大きな利点です。
つまりこの一台は、「音楽に没頭するための道具」ではなく、「暮らしの音を残したまま、好きな音を重ねる道具」として完成度が高いのです。
「EarFunイヤーカフイヤホンCW200」のネガティブな特色
まず理解しておきたいのは、オープンイヤー型そのものの限界です。
耳の穴をふさがない以上、地下鉄や大通りのような騒がしい場所では、音量を上げても聴き取りにくくなります。
外の騒音を消したい方には、そもそも向いていない形式です。
次に、LDACをめぐる制約です。
LDACは、Bluetoothでより多くの音の情報を送れる高音質な方式です。
ただし、LDACをオンにするとマルチポイント接続は使えません。
さらにイヤホン単体の再生時間は、最大11時間から最大6時間に短くなります。
「最高の音質」と「最大の便利さ」を同時には選べない点は、購入前に知っておくべきです。
装着の調整にも、少し手間がかかります。
スピーカーが耳の穴に向いていないと、音が聴こえにくくなる構造です。
耳の形は人それぞれなので、ブリッジをねじって調整する作業を何度か試す必要があるかもしれません。
最後に、防水性能はイヤホン本体だけで、充電ケースは対象外です。
雨の日にポケットへ入れたまま歩くような使い方には注意が必要です。


他メーカーの商品との比較
比較した3つのモデル
同じイヤーカフ型から、価格帯の異なる3モデルを選びました。
いずれも日本で購入できる製品です。
HUAWEIFreeClip2との比較
HUAWEIFreeClip2は市場想定価格27,280円前後で、10.8mm径のデュアル振動板ドライバーを搭載し、片耳約5.1gの軽さが特徴です。
Bluetooth6.0に対応し、再生時間はイヤホン単体で約9時間、ケース込みで約38時間とされています。
防塵・防水はIP57で、左右の自動識別や落下検知といった機能も備えています。
防水性能と左右の区別がいらない手軽さでは、FreeClip2が上です。
一方、EarFunイヤーカフイヤホンCW200は価格が約3分の1でありながら、再生時間とLDAC対応で上回ります。
iPhoneやAndroidを幅広く使う方にとっては、LDACの有無が選ぶ決め手になり得ます。
AnkerSoundcoreC40iとの比較
SoundcoreC40iは2024年に税込12,990円で発売されたモデルで、セール時には6,990円まで値下がりした実績があります。
片耳約5.8g、Bluetooth5.4、コーデックはSBCとAAC、再生時間は単体最大7時間・ケース込み最大21時間、防水はIPX4です。
セール時の価格の安さでは互角ですが、スペックの多くはCW200がはっきり上回ります。
再生時間はケース込みで約2倍、LDAC対応、ワイヤレス充電対応と、世代の差を感じる内容です。
ただしC40iは発売から時間が経っているぶん、口コミの蓄積が多く、評判を確かめてから買いたい方には安心材料になります。
BoseUltraOpenEarbudsとの比較
BoseUltraOpenEarbudsは2024年3月に税込39,600円で発売された高価格帯のモデルです。
再生時間は空間オーディオをオフにした状態で単体7時間30分、ケース込み19時間30分、空間オーディオ再生時は単体4時間30分にとどまり、防水はIPX4です。
ブランドの信頼性と、空間オーディオの評価の高さはBoseに分があります。
しかし、再生時間、防水性能、価格の3点ではCW200が大きく上回ります。
4倍近い価格差を考えると、「音の格」にこだわる方以外は、CW200で満足できる場面が多いはずです。
比較から見えた結論
CW200の強みは、1万円以下で「長時間再生」「LDAC」「ワイヤレス充電」「IP55」をすべてそろえている点です。
弱点は、FreeClip2のような左右自動識別がないことと、ブランドとしての歴史の浅さです。
コスパと機能の多さを重視するならCW200、防水性と手軽さならFreeClip2、音の世界観にお金をかけたいならBoseという選び分けになります。
まとめ
冒頭で、耳もとのアクセサリーが音楽を鳴らしながら、あなたを街につなぎとめていると書きました。
その答えが、EarFunの「EarFunイヤーカフイヤホンCW200」です。
耳をふさがない音楽は、我慢でも妥協でもありません。
インターホンにも、子どもの「ただいま」にも気づける、暮らしの音を手放さないための選択です。
もちろん、騒がしい電車では物足りなさもあります。
LDACと便利さを同時に取れない惜しさもあります。
それでも1万円を切る価格で、ここまで詰め込んだ一台はそう多くありません。
今日できる小さな一歩として、いつものイヤホンを外す場面を一つだけ数えてみてください。
その回数が多い方ほど、この一台は毎日の相棒になってくれます。




