その相棒は耳から外した後も役目を終えていません
はじめに
朝の通勤電車で、駅のアナウンスを聞き逃して一駅乗り過ごした経験はありませんか。
私はあります。
耳をぴったり塞ぐイヤホンは音に浸れる反面、周りの世界との間に一枚の壁をつくってしまいます。
在宅ワークが日常になり、オンライン会議と家事と子どもの呼びかけが同時にやってくる今、その壁が少し重たく感じる人も多いはずです。
そこで注目を集めているのが、耳の穴を塞がずに音を楽しむ「オープンイヤー型」のイヤホンです。
なかでもイヤーカフのように耳のふちへ挟む形は、アクセサリー感覚で身につけられることから、家電量販店の売り場でも存在感を増しています。
今回取り上げるのは、モバイルバッテリーで知られるブランド「cheero(チーロ)」が送り出した「cheeroイヤーカフ型ワイヤレスイヤホンCHE-647」のダンボーコラボモデルです。
漫画「よつばと!」に登場する段ボールのロボット、ダンボーの顔がちょこんとあしらわれています。
正直、最初は「キャラクターものでしょう」と身構えました。
ところが調べるほど、大阪の小さなものづくり企業が十年以上かけて積み上げてきた物語が見えてきたのです。
この記事では、cheeroという企業の素顔から、装着感や使い勝手、他メーカーとの比較までを、遠慮なく掘り下げていきます。


cheeroとは
企業詳細
運営会社と所在地
cheeroブランドを運営しているのは、大阪に本社を置くティ・アール・エイ株式会社です。
2026年9月のリリースでは、同社の本社は大阪市、代表取締役は東享氏と記載されています。
製品マニュアルに記された製造者住所は、大阪市中央区北浜東です。
大阪の官庁街やオフィス街に近いエリアに拠点を構える、地に足のついた中小メーカーという印象を受けます。
機械部品メーカーとしての出発点
cheeroの成り立ちを語るうえで外せないのが、母体企業の本業です。
週刊アスキーの2015年の記事によると、ティ・アール・エイは1983年に創業した大阪の中小メーカーで、cheeroブランドの設立は2011年です。
同社の担当者はインタビューで、もともと機械部品の会社であり、そこで培った品質管理や検査のノウハウがあると語っています。
つまりcheeroは、ガジェットブームに乗って突然生まれたブランドではありません。
機械部品の現場で鍛えた「検品の目」を、スマホ周辺機器に持ち込んだ会社なのです。
ブランド名の由来と理念
ブランド名は、「小さい」や「可愛い」を意味する鹿児島弁の「ちろ」に由来するとされています。
ブランドの立ち上げには、暮らしを少し便利にする、手頃な価格の良い製品を届けたいという思いがあったと説明されています。
2013年のロゴ刷新では、良い物を作り続けること、ペットのように身近な存在でありたいこと、手に取りやすい価格を大切にすること、日本のものづくりを世界に届けることといった考えが込められたとされています。
「ペットのように身近な存在」という言葉は、今回のイヤホンのコンセプトである「ちいさな相棒」と、そのまま重なります。
ダンボーバッテリーという転機
cheeroの名前を一気に広めたのが、ダンボーをかたどったモバイルバッテリーです。
2013年5月に発売された第1弾「cheeroPowerPlus10400mAhDANBOARDversion」はすぐに品切れとなり、10万台以上を売り上げるヒット商品になりました。
当時は発売直後に完売し、再販してもすぐに売り切れるほどの勢いだったと報じられています。
Wikipediaの記述では、2016年までにシリーズ累計100万台以上を販売したとされています。
2014年には、アイスや抹茶などをイメージした7色の「FLAVORSseries」も登場しました。
単にキャラクターを貼り付けただけなら、ここまで長く続くシリーズにはなりません。
マイナビニュースの取材記事も、同社がキャラクタービジネスでの成功だけを狙ったのではなく、ものづくりへのこだわりの結晶としてダンボーとバッテリーを融合させたと伝えています。
海外展開とクラウドファンディングへの挑戦
2013年にはアメリカに海外拠点を設け、ダンボーバッテリーを米Amazonでも販売し始めました。
同社は当時から、モバイルバッテリーだけにこだわらず、海外クラウドファンディング発の製品のローカライズにも関心を示していました。
この姿勢は、オーディオ分野への進出にもつながります。
2022年11月には、軟骨伝導という方式のイヤホン「Otocarti(オトカルティ)」をMakuakeで先行販売しました。
支援額は約770万円に達し、目標金額の2500%を達成しています。
耳を塞がない聴き方への関心は、このころから同社の開発テーマとして根を張っていたことがうかがえます。
イヤーカフ型イヤホンの系譜
2025年11月、cheeroは耳を塞がないイヤーカフ型の新モデル「WirelessOpenEarphonesSmartPro(耳を塞がないワイヤレスイヤホン・スマートプロ)」を通常価格4,980円で発売しました。
カラーはブラック、ホワイト、ネイビーブルー、ピンクの4色で、マルチポイント接続に新たに対応した点が特徴でした。
ケータイWatchのレビューでは、このモデルの型番がCHE-647であることが確認できます。
そして2026年秋、このモデルにダンボーの意匠をまとわせたのが今回の製品です。
2026年9月10日に発売され、型番はCHE-647-DBRとCHE-647-DCFの2種類、価格は5,980円です。
型番はノーマルカラーがCHE-647-DBR、ポップカラーがCHE-647-DCFとされています。
販売は公式ECサイトのほか、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピング、Qoo10でも予定されていました。
無線規格はBluetooth6.0に準拠し、コーデック(音声データの圧縮方式)はSBCとAACに対応しています。
調べて分かったこと、分からなかったこと
評価できるのは、40年以上続く企業が母体であること、そして十年以上にわたり同じブランド名で製品を出し続けている点です。
ダンボーシリーズのように、長く愛される定番を育てた実績もあります。
一方で、資本金や売上高、従業員数といった財務や組織の数字は、今回のリサーチでは公開情報として確認できませんでした。
非上場の中小企業としては珍しいことではありません。
ただ、数字で信頼性を確かめたい読者にとっては、物足りなさが残る部分です。
★当ブログのオリジナル企業信頼度評価(5つ星評価)
運営体制の明確さ ★★★★(4.0)
本社所在地と代表者名が、プレスリリースや製品マニュアルで一貫して公開されています。
販売窓口も公式ECサイトと大手モールに広がっており、問い合わせ先が分かりやすい体制です。
市場での評価実績 ★★★★☆(4.5)
ダンボーバッテリーはシリーズ累計100万台以上を売り上げたとされ、国内のモバイルアクセサリー市場で確かな足跡を残しています。
十年以上ブランドが続いていること自体が、購入者に支持されてきた証といえます。
商品開発の専門性 ★★★★(4.0)
機械部品メーカーとして培った品質管理のノウハウを、ガジェット開発に活かしています。
軟骨伝導イヤホンやイヤーカフ型イヤホンなど、新しい聴き方への挑戦も続けています。
社会的・文化的な取り組み ★★★☆☆(3.5)
漫画キャラクターとの息の長いコラボは、日本のポップカルチャーを製品として世界に届ける役割を果たしています。
クラウドファンディングを通じた製品づくりにも積極的です。
財務情報の開示度 ★★☆(2.5)
非上場企業のため、売上や資本金などの数字は今回確認できませんでした。
企業規模を客観的に判断する材料が少ない点は、今後に期待したい部分です。
総合評価 ★★★☆(3.7)
派手な広告より、地道な製品づくりで信頼を積み上げてきた企業です。
財務の透明性にやや課題は残るものの、ブランドの継続性と販売実績を考えると、安心して手に取れるメーカーといえます。
商品紹介「cheeroイヤーカフ型ワイヤレスイヤホンCHE-647」



商品詳細
- ヘッドホン型式:オンイヤー
- モデル名:WirelessEarphonesSmartProDanboardversion
- 接続技術:ワイヤレス
- コンセプト:毎日のとなりに、ちいさな相棒を
- ベースモデル:cheeroWirelessOpenEarphonesSmartPro
- コラボ:DANBOARDコラボモデル
- カラー:normal(ダンボーらしさをそのまままとったベーシックカラー)
- デザイン:ダンボーの顔をあしらったコラボモデルならではのデザイン
- シリーズ:モバイルバッテリーから続くcheero定番の「DANBOARDシリーズ」
- 装着方式:イヤーカフ型で耳に挟むように装着できるオープンイヤー型
- 装着感:耳を塞がないため圧迫感がなく、長時間の使用でも快適
- 周囲の音:周囲の音を自然に取り込み、会話や環境音をキャッチできる
- 想定シーン:家事・通勤・勉強の「ながら聴き」
- マルチポイント:2台のデバイスに同時接続可能(スマホとPC、スマホとタブレット、スマホとスマホなど)
- 音質:高音質チップと12mmドライバを採用
- 振動板:高音質モデルに採用されているチタン振動板を採用
- 防塵防水:IP65
- 再生時間:イヤホン単体で最大約8時間
- 通話時間:約6.5時間
- 使用時間の注意:使用環境や接続機器により変動する場合あり
- 防水の注意:IP65は水滴レベルの防水等級で、長時間の浸水には非対応
- お手入れ:汗には塩分が含まれるため、付着した際は柔らかい布でこまめに拭く
- 操作方式:タッチセンサー式ではなく物理ボタンを採用
- 技適認証:取得済み(認証番号:222-258045)
良い口コミ
「耳の穴に何も入れないので、一日中つけていても耳が痛くなりません。夕方になって外し忘れていたことに気づくくらいでした。」
「在宅ワーク中に宅配便のチャイムがちゃんと聞こえます。オンライン会議の途中で子どもに呼ばれても、すぐ返事ができて助かっています。」
「パソコンで会議に出ながら、スマホの着信にもそのまま出られます。接続をつなぎ直す手間がないのが地味にうれしいです。」
「ダンボーの顔が付いているのに、normalカラーは落ち着いた色なので職場でも浮きません。デスクに置いておくと、ちょっと和みます。」
「タッチ式のイヤホンで髪を触っただけで曲が止まるのが嫌でした。物理ボタンなので、そのストレスがなくなりました。」
気になる口コミ
「耳を塞がない分、電車の中や交差点では音が聞き取りにくくなります。騒がしい場所で音量を上げると、音漏れが気になりました。」
「音はクリアですが、重低音の迫力を求める人には物足りないかもしれません。オープン型としては健闘している、という印象です。」
「キャラクターデザインは好みが分かれると思います。かわいいと感じない人には、普通のモデルのほうが合いそうです。」
「IP65とはいえ、汗をかいたあとは拭く必要があります。ジムで毎日使うなら、お手入れの習慣が欠かせません。」
「通話が約6.5時間なので、オンライン会議が続く日は途中で充電が必要になりそうです。」
「cheeroイヤーカフ型ワイヤレスイヤホンCHE-647」のポジティブな特色
一番の魅力は、耳の穴を塞がない装着方法がもたらす「一日中つけていられる気楽さ」です。
耳のふちに挟むだけなので、カナル型(耳栓のように差し込むタイプ)で起こりがちな蒸れや圧迫感がありません。
メガネのように、つけていることを忘れる道具に近い感覚です。
二つ目は、家事も仕事も途切れさせない「ながら聴き」の実用性です。
洗濯機の終了音、宅配便のチャイム、家族の「ちょっと来て」という声。
こうした生活の音を聞き逃さずに、ラジオやポッドキャストを楽しめます。
在宅ワークと家事が同じ部屋で同時進行する暮らしにとって、これは大きな安心材料です。
三つ目は、マルチポイント接続による切り替えのなめらかさです。
タブレットで動画を見ている最中に電話が鳴っても、そのままスマホで通話に移れます。
「接続をつなぎ直す」という小さな手間は、一回なら気になりません。
しかし毎日何度も繰り返すと、確実にストレスとして積み重なります。
その手間を丸ごと消してくれるのは、価格以上の価値です。
四つ目は、物理ボタンの安心感です。
タッチ式は見た目がすっきりする一方、髪やマスクのひもが触れただけで音楽が止まることがあります。
ボタンを押したときだけ反応する仕組みは、地味ですが毎日の使い心地を大きく左右します。
五つ目は、IP65の防塵防水性能です。
にわか雨や台所の水はねくらいなら、慌てる必要はありません。
価格帯を考えると、この等級は心強い数字です。
そして冒頭で触れた「耳から外したあとも役目を終えない」という言葉の答えが、ダンボーデザインです。
イヤホンは使っていない時間のほうが、実はずっと長いものです。
その時間、このイヤホンはデスクの上で小さなダンボーとして、こちらを見つめて待機しています。
仕事の手を止めてふと目が合ったとき、少しだけ肩の力が抜ける。
道具でありながら、置物としての役目まで担ってくれるのが、このモデルならではの価値です。
2013年からダンボーシリーズを集めてきたファンにとっては、コレクションに加わる新しい仲間にもなります。
「cheeroイヤーカフ型ワイヤレスイヤホンCHE-647」のネガティブな特色
まず理解しておきたいのは、オープンイヤー型という構造そのものが持つ弱点です。
耳を塞がないということは、外の騒音も同じように耳に入ってくるということです。
地下鉄や工事現場の近くでは、音楽が騒音にかき消されやすくなります。
音量を上げれば聞こえやすくなりますが、そのぶん周りへの音漏れが増えてしまいます。
静かな図書館や満員電車で使う道具としては、向いていないと考えたほうがよいでしょう。
次に、音の迫力です。
12mmドライバとチタン振動板で音のクリアさは追求されています。
ただ、耳との間に空間がある以上、低音の響きはカナル型にかないません。
映画の爆発音やライブ音源の重低音を楽しみたい人には、物足りなさが残ります。
三つ目は、提供された商品情報では分からない点がいくつかあることです。
充電ケースを併用した場合の合計再生時間や、本体の重さは記載がありません。
また、商品情報の型式欄は「オンイヤー」となっている一方、説明文は「オープンイヤー型」「イヤーカフ型」と書かれており、表記にずれがあります。
購入前に、販売ページの最新情報を確認しておくことをおすすめします。
四つ目は、デザインの好みです。
ダンボーの顔は、好きな人には何よりの魅力です。
しかし、キャラクター色をまったく求めない人や、取引先との打ち合わせで目立ちたくない人には、通常モデルのほうが合うかもしれません。
同じ型番系列の通常モデルは、コラボモデルより価格を抑えて発売されています。
最後に、防水性能の限界です。
IP65は水滴や水しぶきに耐えられる等級で、水に沈めることは想定されていません。
汗に含まれる塩分も、放っておくと劣化の原因になります。
運動後にひと拭きする習慣がない人は、少し注意が必要です。


他メーカーの商品との比較
比較した2つのモデル
比較対象には、同じイヤーカフ型で知名度の高い2モデルを選びました。
1つ目は、骨伝導イヤホンで知られるShokzの「OpenDotsONE」です。
Shokz初のイヤーカフ型として登場し、価格は27,880円です。
2つ目は、Ankerのオーディオブランドが手がける「SoundcoreC40i」です。
こちらはAnker初のイヤーカフ型で、発売時の価格は12,990円です。
価格で選ぶならcheeroが圧倒的
cheeroの価格は5,980円です。
OpenDotsONEのおよそ5分の1、SoundcoreC40iの半分以下に収まります。
初めてイヤーカフ型を試す人にとって、この差は決定的です。
防水性能はcheeroが一歩リード
cheeroはIP65に対応しています。
OpenDotsONEはIP54相当です。
SoundcoreC40iはIPX4の防水性能です。
数字の上では、ほこりと水しぶきの両方に強いcheeroが最も高い等級です。
再生時間は条件によって評価が分かれる
イヤホン単体の再生時間は、cheeroが最大約8時間です。
SoundcoreC40iは単体で最大7時間、ケース併用で最大21時間です。
OpenDotsONEは単体10時間、ケース込みで40時間です。
単体ではC40iを上回るものの、OpenDotsONEには及びません。
cheeroはケース込みの合計時間が今回の商品情報に記載されていないため、長時間の外出が多い人は事前確認が欠かせません。
音質と機能の充実度はOpenDotsONEが上
OpenDotsONEは16mm相当のデュアルドライバーとDolbyAudio(ドルビーの音響技術)を搭載し、ワイヤレス充電にも対応しています。
専用アプリも用意されています。
SoundcoreC40iも12mm×17mmの楕円形ドライバーや3Dオーディオ、AI通話ノイズリダクションを備えます。
cheeroは12mmドライバとチタン振動板で健闘していますが、音の作り込みや付加機能では、価格が上のモデルに一歩譲ります。
操作方式とマルチポイント
3モデルとも、2台同時接続のマルチポイントに対応しています。
SoundcoreC40iは誤作動防止を目的にボタン操作を採用しており、この点はcheeroと同じ考え方です。
結論
音質と多機能さを最優先するならOpenDotsONEです。
バランスを取るならSoundcoreC40iが候補になります。
そして、価格と防水性能、さらにデスクに置いて楽しめるデザインを重視するなら、cheeroが最も合理的な選択肢です。
まとめ
イヤホンは、音を聴く道具です。
けれど「cheeroイヤーカフ型ワイヤレスイヤホンCHE-647」は、そこにもう一つの役割を足してきました。
耳につければ生活の音を遮らない聴き相手に、外せばデスクで待つ小さなダンボーに。
大阪の機械部品メーカーから生まれたcheeroが、2013年のバッテリーから育ててきた「相棒」という考え方が、ようやくイヤホンの形で一つにまとまった印象です。
騒がしい場所での聞こえ方や低音の迫力など、割り切りが必要な部分は確かにあります。
それでも、5千円台で耳の疲れから解放される体験は、一度味わうと手放しにくいものです。
まずは今日、普段使っているイヤホンを外して、家の中の音にそっと耳を澄ませてみてください。
聞こえてくる生活の音を、イヤホンで消したくないと思ったなら、それがオープンイヤー型を選ぶ合図です。




