はじめに
イヤホンを外した瞬間、耳の穴がじんわり痛む。
そんな経験に、心当たりはありませんか。
カナル型のイヤホンで音楽に集中していたら、宅配便のインターホンに気づかず不在票が入っていた。
在宅勤務が当たり前になってから、こうした小さな失敗を何度も繰り返してきた人は少なくないはずです。
だからこそ、耳をふさがない「オープンイヤー型」が一気に広がりました。
2026年に入ってからは、ソニーやファーウェイもイヤーカフ型に新モデルを投入し、売り場の一角は耳飾りのようなイヤホンで埋まりつつあります。
もともとイヤーカフは、ピアス穴を開けずに楽しめるアクセサリーとして日本でも定着してきた装身具です。
その形がオーディオ機器と結びついたのは、ある意味で自然な流れでした。
ただ、多くの人が心の中でこう思っています。
「でも、耳をふさがないなら低音はスカスカでしょう」と。
正直に言うと、筆者もそう考えていました。
その疑いに真正面から挑んだのが、骨伝導イヤホンの草分けとして知られるSHOKZのフラッグシップモデル「SHOKZイヤーカフ型オープンイヤーイヤホンOpenDots2」です。
本記事では、SHOKZという企業の成り立ちと信頼性を掘り下げたうえで、OpenDots2の実力を良い面も悪い面も包み隠さず解説します。


SHOKZとは
企業詳細
SHOKZ(ショックス)は、骨伝導とオープンイヤー型オーディオに特化したオーディオブランドです。
ブランドの母体は、2004年に深圳で設立されたShenzhenShokzCo.,Ltd.で、音響製品の研究開発から設計、製造、販売までを手がけています。
骨伝導ひと筋で積み上げた技術の土台
同社の転機は2007年です。
この年から骨伝導スピーカーに事業の焦点を絞り、自社で研究開発を重ねてきました。
骨伝導とは、耳の穴ではなく頬骨などの振動を通じて音を内耳に届ける仕組みのことです。
鼓膜を経由しない「音の近道」と言い換えると分かりやすいかもしれません。
ルーツをたどると、一般向けのイヤホンメーカーとして始まったわけではありません。
初期の事業は、軍や警察、スポーツ中継の現場向けの無線ヘッドセットで、片耳で指示を受けながらもう片方の耳で周囲の状況を把握する必要がある人のための機材でした。
「聞きながら、周りも聞こえる」という発想は、プロの現場での必要性から生まれたものだったのです。
米国ブランドとしてのスタートと、その理由
一般消費者向けブランドの誕生は2011年です。
ブランド名は「AfterShokz」で、立ち上げの地はニューヨーク州のシラキュースでした。当時はイヤホンの普及が限られていた地元市場よりも、世界最大規模の米国市場の方が成長を見込めたことが理由とされています。
前身の会社を立ち上げた3人の創業者は、同じ大学で学んだ同級生だったというエピソードも残っています。
その後、2015年にはスポーツ向けの骨伝導ヘッドホン「TrekzTitanium」をクラウドファンディングのIndiegogoで発表しました。
2020年には本社機能をシラキュースからテキサス州オースティンへ移し、同じ年に骨伝導のビジネス向けヘッドセット「OpenComm」も投入しています。
AfterShokzからSHOKZへ
現在のブランド名になったのは、ヘッドホン事業10周年にあたる2021年12月のことです。
名前が短く覚えやすくなったことで、海外展開を進めやすくする狙いがあったと考えられます。
成長の勢いも目を引きます。
世界知的所有権機関(WIPO)の記事では、AfterShokzがスポーツ用ヘッドホンを代表するブランドとなり、7年間で収益が80倍以上に伸びたと紹介されました。
スポーツ分野での評価も高く、英国の陸上競技団体EnglandAthleticsが公認するスポーツヘッドホンとされ、同団体のロードレースで使用が認められているとのことです。
骨伝導からオープンイヤーへ広がる戦略
SHOKZの面白いところは、骨伝導の専門家でありながら、骨伝導だけに固執していない点です。
耳に引っかける空気伝導タイプのオープンイヤーイヤホンを投入し、骨伝導と空気伝導を組み合わせたモデルで低音の弱さという弱点の解消にも取り組んできました。
共同創業者のケン・チェン氏も、骨伝導は素晴らしい技術だとしつつ、オープンイヤーはより幅広い人のニーズに応えられる可能性があると位置づけています。
今回のOpenDots2が属するイヤーカフ型「OpenDots」シリーズは、まさにその戦略の最前線にあたります。
2026年には新しい動きもありました。
これまで公開してこなかった開発・製造の現場を、深圳の拠点に各国メディアを招いて初めて公開するツアーを実施しています。
情報発信に慎重だった企業が姿勢を変えつつあることは、信頼性の面で前向きに受け止めてよい材料です。
デザインと受賞歴
製品デザインの評価も安定しています。
国際的なデザイン賞であるiFデザインアワードでは、OpenFit2+やOpenMeet、OpenRunPro2など、複数の製品が受賞作品として掲載されています。
日本での展開
日本では、ShokzJapanが新製品の発表を行い、正規代理店として株式会社フォーカルポイントが販売を担う体制です。
フォーカルポイントは東京都港区に本社を置き、Shokzの日本正規代理店として家電量販店などでの販売を行っています。
ShokzJapanは、介護現場でのコミュニケーション支援やオンライン会議向けの骨伝導ヘッドセットといった法人向け製品も展開しています。
スポーツだけでなく、仕事の現場にも根を張ろうとしている点は見逃せません。
率直に指摘しておきたい点
一方で、気になる点もあります。
保有特許の数は、「1000件以上」とする情報もあれば、「4,000件を超える骨伝導関連の特許資産」とする情報もあり、出典によって幅があります。
特許件数と「特許資産」は数え方が異なる可能性もあるため、数字だけを見て過大評価するのは避けるべきです。
また、同社は株式を公開している企業ではないため、売上高や利益といった詳細な財務情報は外部から確認しにくい状況です。
「世界No.1」といった表現も、調査の条件や範囲を確認しないまま受け取るのは危険です。
★当ブログのオリジナル企業信頼度評価(5つ星評価)
運営体制の明確さ ★★★★(4.0)
母体企業、米国での創業経緯、日本の販売体制まで公開情報で追うことができます。
2026年に初めて開発拠点をメディアに公開した点も、透明性の向上として評価しました。
市場での評価実績 ★★★★☆(4.5)
骨伝導イヤホンの代名詞的な存在として長く支持されており、陸上競技団体との関係やデザイン賞の受賞も確認できます。
スポーツ分野での実績は、同ジャンルの中でも頭一つ抜けています。
商品開発の専門性 ★★★★☆(4.5)
2007年から骨伝導に絞り込んで研究を続け、空気伝導やイヤーカフ型へと技術の幅を広げてきました。
特許件数に幅はあるものの、技術の蓄積が厚いことは疑いようがありません。
社会的・文化的な取り組み ★★★☆(3.5)
周囲の音を聞きながら使えるという安全性の考え方は、ランナーや働く人の暮らしに直結しています。
介護現場向けの製品展開など、スポーツ以外への広がりも評価できます。
財務情報の開示度 ★★☆(2.5)
非上場企業のため、売上や利益の詳細は外部から確認できません。
過去の成長率は報じられていますが、最新の経営状況は判断材料が不足しています。
総合評価 ★★★☆(3.8)
技術力と市場での実績は申し分なく、オープンイヤー分野を引っ張る存在と言える企業です。
財務面の見えにくさはあるものの、製品選びで安心して候補に入れてよいブランドと判断しました。
商品紹介「SHOKZイヤーカフ型オープンイヤーイヤホンOpenDots2」



商品詳細
- 色:ブラック
- 耳の位置:オープンイヤー
- ヘッドホン型式:オープンイヤー(イヤーカフ型)
- モデル名:OpenDots2
- ドライバー:カスタム設計の11.8mmデュアルドライバー
- 音響技術:Bassphere2.0テクノロジー、アップグレードされたDolbyAudio
- 振動板構造:再設計により歪みを70%低減
- 音量:3dB向上
- 音の届け方:MirrorPitchテクノロジー(音を耳の奥へ正確に届ける)
- 音漏れ対策:DirectPitchテクノロジー
- イコライザー:4つのプリセットEQ、EQカスタマイズ
- 想定シーン:ワークアウト、仕事、通勤、日常のリスニング
- フィット構造:柔軟性に優れたJointArc
- 重量:片耳6.4g
- 素材:ソフトなシリコーン素材
- マイク構成:専用の骨伝導マイク+空気伝導マイク2基
- 通話ノイズ対策:アダプティブビームフォーミング、AIノイズリダクション
- バッテリー:最大40時間
- 急速充電:5分間の充電で最大2時間再生
- 充電方式:ワイヤレス充電対応
- 左右識別:ダイナミックイヤーディテクション(左右の区別なし)
- 装着検知:外すと自動で一時停止、再装着で再生再開
- 操作方式:感圧センサー採用のつまみコントロール
- Bluetooth:Bluetooth6.1
- マルチポイント:2台のデバイスへ同時接続可能
- 防塵・防水:IP57
- 紛失対策:イヤホンから音を鳴らす「イヤホンを探す」機能
- 位置確認:GoogleのFindHub(デバイスを探す)アプリで最後に接続された場所を確認可能(Android11以降を搭載したデバイスに対応)
良い口コミ
「耳をふさいでいないのに、ベースの音がちゃんと胸に響く感じがして驚きました」
「片耳6.4gと軽いので、朝つけて夕方まで外し忘れるくらい存在を感じません」
「左右を気にせずケースから取り出してすぐつけられるのが、地味ですが毎日うれしいです」
「パソコンで動画を見ていても、スマホに電話がかかってくるとそのまま出られるので仕事がはかどります」
「5分充電すれば2時間使えるので、出かける直前に充電切れに気づいても慌てなくなりました」
気になる口コミ
「電車の中で音量を上げすぎると、隣の人に聞こえていないか少し不安になります」
「工事現場の近くや駅のホームでは、さすがに音が周りの騒音に埋もれてしまいます」
「つまむ操作に慣れるまで、何度か曲を止めたいのに止まらないことがありました」
「イヤーカフ型は初めてで、自分の耳の形にしっくりくる位置を見つけるまで少し時間がかかりました」
「iPhoneを使っているので、Googleのデバイスを探すアプリで場所を確認する機能は使えませんでした」
「SHOKZイヤーカフ型オープンイヤーイヤホンOpenDots2」のポジティブな特色
最大の魅力は、「耳をふさがない」と「音の厚み」を両立させようとしている点です。
11.8mmのドライバーを2つ組み合わせたデュアル構成に、低音を支えるBassphere2.0とDolbyAudioが加わります。
映画の爆発音やライブ音源のバスドラムのように、オープンイヤー型が苦手としてきた低い音にしっかり手を伸ばした設計です。
歪みを70%減らし、音量を3dB引き上げたという改良も見逃せません。
歪みとは、音が濁ったりビリついたりする現象のことです。
音量を上げても音が崩れにくいということは、屋外で少し音を大きくしたい場面でも聴き疲れしにくいことを意味します。
音漏れへの配慮も、日常使いでは安心材料になります。
MirrorPitchが音を耳の奥へ導き、DirectPitchが外へ漏れる音を抑えるという二段構えです。
カフェで作業しながら音楽を流しても、隣の席を気にする場面が減るはずです。
装着感の設計も丁寧です。
柔軟なJointArcが耳の形に合わせてしなり、片耳6.4gの軽さとやわらかなシリコーン素材が圧迫感を和らげます。
カナル型で耳が痛くなった経験がある人ほど、この違いは大きく感じられるでしょう。
通話性能は、仕事で使う人にとって強力な武器です。
骨伝導マイクは、話している本人の声を骨の振動から拾うため、周囲の雑音に左右されにくいのが特長です。
そこに空気伝導マイク2基とAIノイズリダクションが組み合わさり、にぎやかな場所でも声をクリアに届けます。
細かな使い勝手も磨かれています。
左右の区別がないので、ケースから取り出して迷わず耳につけられます。
外せば一時停止、つければ再開という装着検知は、レジで店員さんに話しかけられたときなどに便利です。
さらに、Bluetooth6.1とマルチポイント接続で、パソコンとスマートフォンを行き来する働き方にも自然に溶け込みます。
IP57の防塵・防水性能と、最大40時間のバッテリーも頼もしい要素です。
汗をかくワークアウトや突然の雨でも気をつかいすぎずに済み、ワイヤレス充電にも対応しています。
万が一どこかに置き忘れても、イヤホンから音を鳴らして探せる機能まで備えています。
「SHOKZイヤーカフ型オープンイヤーイヤホンOpenDots2」のネガティブな特色
まず理解しておきたいのは、オープンイヤー型という構造そのものの限界です。
耳をふさがない以上、地下鉄の車内や交通量の多い交差点では、どうしても音が周囲の騒音に負けます。
提供された情報にはノイズキャンセリング機能の記載もないため、騒がしい場所で音楽に没頭したい人には向きません。
音漏れ対策の技術は搭載されていますが、音漏れがゼロになるわけではありません。
静かな図書館や会議室で音量を上げれば、近くの人に聞こえる可能性は残ります。
どの程度漏れるかは公式情報だけでは判断できないため、使う場所と音量には注意が必要です。
つまみコントロールは誤操作を減らす工夫ですが、タップ操作に慣れた人には最初は戸惑いがあるかもしれません。
また、イヤーカフ型は耳の軟骨に挟む形なので、耳の形や厚みによってはフィット感に個人差が出ます。
可能であれば店頭で試着してから購入する方が安心です。
最大40時間というバッテリー表記も、イヤホン単体の時間なのか、充電ケースを含めた時間なのかは提供情報からは読み取れません。
長時間の連続使用を想定している人は、購入前に確認しておくべきポイントです。
紛失時の位置確認機能は、Android11以降のデバイスが対象と明記されています。
iPhoneユーザーにとっては、この機能の恩恵は限定的と考えておいた方が無難です。


他メーカーの商品との比較
比較の前提
OpenDots2の公式価格は、29,880円です。
同じ価格帯のイヤーカフ型として、Bose、ソニー、ファーウェイの3製品と比べます。
価格はセールや時期で変わるため、参考値として見てください。
BoseUltraOpenEarbudsとの比較
定価は39,600円で、本体のみの再生時間はイマーシブオーディオ使用時で最長4時間30分、未使用時で7時間30分、防水はIPX4です。
音の傾向は、標準設定から低音が最も強く出る一方で、細かな音が埋もれる場面もあるという評価があります。
ブランド力と立体的な音響体験ではBoseに分があります。
ただ、定価、再生時間、防水性能のいずれもOpenDots2が上回っており、毎日使う道具としての実用性はOpenDots2が優勢です。
ソニーLinkBudsClipとの比較
ソニーストアでは発売から約2か月で29,700円から27,500円に値下げされました。
イヤホン単体で9時間、ケース込みで最大37時間の再生に対応しています。
「スタンダード」「ボイスブースト」「音漏れ低減」の3つのリスニングモードをタップで切り替えられる点は、音漏れを気にする人にとって分かりやすい強みです。
一方で防水はIPX4にとどまり、汗や雨への強さではIP57のOpenDots2が勝ります。
価格の安さと使い分けの分かりやすさならソニー、タフさとバッテリーならOpenDots2という構図です。
HUAWEIFreeClip2との比較
市場想定価格は27,280円前後で、今回の比較では最も手に取りやすい価格です。
イヤホン本体はIP57で、Bluetooth6.0とマルチポイント接続にも対応しており、基本性能はOpenDots2とかなり近い水準です。
重さは本体約5.1gで、軽さではFreeClip2が一歩リードしています。
再生時間は単体約9時間、ケース併用で約38時間と、OpenDots2の最大40時間にわずかに及びません。
ただし、ポップアップペアリングはファーウェイ製端末向けの機能であり、iPhoneや他社Androidではその便利さを受け取れない点は覚えておくべきです。
比較から見えたOpenDots2の立ち位置
正直に言えば、OpenDots2は最も安くも、最も軽くもありません。
それでも、IP57の防水、Bluetooth6.1、ワイヤレス充電、最大40時間のバッテリーをすべて備えている点で、弱点の少なさは際立っています。
「どれか一つに特化」ではなく「全部そこそこ以上」を求める人にとって、最もバランスの良い選択肢と言えます。
まとめ
OpenDots2は、騒音の中で音楽に没頭したい人向けではありません。
けれど、家族の呼ぶ声も、駅のアナウンスも聞き逃さずに、好きな音楽をしっかり楽しみたい人には、心強い相棒になります。
今日、まずは自分が一日に何時間イヤホンをつけているか、ざっくり数えてみてください。
その時間が長い人ほど、耳を解放する価値は大きくなります。




