耳をふさがないイヤホンの一番の敵は、騒音ではありません。「どうせ音はスカスカだろう」という思い込みです。
はじめに
駅のホームでカナル型イヤホンを外したとき、耳の奥にじんわり痛みが残った経験はありませんか。
在宅中に宅配便のインターホンを聞き逃して、不在票だけがポストに残っていたこともあるはずです。
耳をふさがない「ながら聴き」イヤホンが支持を集めている理由は、こうした小さな不便にあります。
2026年2月にはソニーが初めてのイヤーカフ型を発売し、Ankerはポケモンとのコラボモデルまで出しました。
耳にはさむイヤホンは、ガジェットであると同時に、ピアスやイヤリングに近いアクセサリーとしても受け入れられています。
一方で、ずっと言われてきた弱点もあります。
低音が軽い。
音量が足りない。
電車の中では何を聴いているのか分からなくなる。
この壁に、税込7,000円台という手に取りやすい価格で挑んだのが、SoundPEATSの「SoundPEATSUU2イヤーカフイヤホンPOPClip2」です。
正直に言うと、私も最初は半信半疑でした。
本記事では、まずSoundPEATSというブランドの素顔を掘り下げます。
そのうえで商品の実力と弱点、他メーカーとの比較までを包み隠さずお伝えします。


SoundPEATSとは
企業詳細
Amazonでイヤホンを探していると、SoundPEATSの名前を何度も見かけます。
ただ、どんな会社なのかまで知っている人は多くありません。
ここでは、確認できた情報と確認しきれなかった情報を分けて整理します。
公式サイトによると、SoundPEATSは2010年にスタートしたオーディオブランドで、テクノロジーと製造工程の工夫によって原音に近い再生を追求してきたと説明しています。
拠点は広東省深圳市です。
UU2の発売を告知したプレスリリースでも、本社所在地は深圳と記載されています。
深圳は、スマートフォンやイヤホンの部品メーカーが集まる電子機器の一大産地です。
試作から量産までの距離が近いことが、この価格帯で新製品を次々に出せる土台になっていると考えられます。
ブランドの軸については、第三者の企業レビューサイトが「SoundforUrbanSports」をコンセプトに掲げ、およそ15年にわたりコストパフォーマンス重視の製品開発を続けてきたと紹介しています。
直訳すると「都会のスポーツのためのサウンド」です。
通勤やジョギングなど、街なかで体を動かしながら音楽を聴く人を想定したブランドだと読み取れます。
海外展開の歩みも公式サイトで確認できます。
2013年にアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアへ事業を広げ、その後はオーストラリアや中東にも進出したとしています。
日本への本格参入時期について、公式の明確な記載は見つかりませんでした。
海外のオーディオ情報サイトでは、2015年に日本へ進出し、Amazonのベストセラーになったと紹介されています。
ただし二次情報のため、本記事では「2015年頃」と幅を持たせて受け止めるのが妥当です。
実績を示すエピソードもいくつかあります。
クラウドファンディングのKickstarterで初めて出品したTrueEngine2は、1万2,000人以上の支援を集め、100万ドル超の資金を調達したとしています。
ネックバンド型のQ30は数百万台を売り上げ、Amazonのベストセラー家電賞を受けたとも記されています。
国内の評価としては、MiniやSonicなど4製品が「VGP2021SUMMER」を受賞したことが公式に掲載されています。
VGPは国内の販売店やオーディオ評論家が審査する、日本の代表的なAV機器アワードです。
技術面では、価格を抑えながらも新しい仕様を早めに取り入れる姿勢が目立ちます。
上位モデルのAir5Pro+については、xMEMS(半導体製造技術で作る極小スピーカー)とダイナミックドライバーを組み合わせた構成を採用していると紹介されています。
今回のUU2も、日本オーディオ協会のハイレゾオーディオワイヤレス認証を取得済みです。
イヤーカフ型のラインナップは、ここ1〜2年で一気に厚みを増しました。
2025年1月のCESでは、イヤーカフ型の「POPClip」が発表され、当時は10.8mm径ドライバーを搭載していました。
これが国内では「UUイヤーカフ」として発売され、価格は6,180円で、風切り音低減技術「AeroVoice」を搭載していました。
海外レビューによると、上位には「Clip1」というフラッグシップがあり、POPClip2はその一段下の主力ラインに位置づけられています。
そして2026年4月20日に「UU2イヤーカフ(POPClip2)」が税込7,280円で発売され、色はブラック、ブルー、ベージュの3色です。
ここからは、気になる点も率直に書きます。
運営会社の名義が、情報源によってばらばらです。
企業レビューサイトは、親会社を深圳市音科资讯科技有限公司とし、年商40億円以上、日本法人として株式会社SOUNDPEATSを設立したと説明しています。
法人向け取引サイトでは、2011年12月設立のShenzhenGintoE-commerceが「SOUNDPEATS」ブランドを登録したとされています。
さらに海外レビューでは、POPClip2の製造元がShenzhenSonoCycleTechnologyと記載されています。
ブランド運営、販売、製造で会社を分けている可能性はあります。
ただ、公式サイトにその関係を説明したページは見当たりませんでした。
外部評価が手放しで高いわけでもありません。
先の企業レビューサイトは総合3.2点をつけたうえで、SOUNDPEATSを選ぶ合理的な理由は国内サポート体制への安心感だと、かなり辛口に評しています。
サポート窓口については、support@soundpeats.comで日本語対応が行われていると紹介されています。
まとめると、SoundPEATSは15年以上の販売実績と受賞歴を持つ、ワイヤレスイヤホン専業の実在ブランドです。
一方で、企業の透明性という点では、まだ伸びしろがあります。
★当ブログのオリジナル企業信頼度評価(5つ星評価)
運営体制の明確さ ★★★(3.0)
本社所在地と創業年は公式に示されており、ブランドの実体は確認できます。
一方で、親会社や製造元の名義が情報源ごとに異なり、関係性の説明が不足しています。
市場での評価実績 ★★★★(4.0)
VGP受賞やKickstarterでの資金調達など、具体的な実績が公開されています。
Amazonでの長年の販売実績もあり、利用者の母数は十分です。
商品開発の専門性 ★★★★(4.0)
ワイヤレスイヤホンに特化し、LDAC対応やハイレゾ認証の取得など技術面の積み上げがあります。
AeroVoiceのような独自技術を、低価格帯の製品にも展開しています。
社会的・文化的な取り組み ★★(2.0)
環境配慮や社会貢献に関する発信は、確認できる範囲では多くありません。
今後の情報公開に期待したい項目です。
財務情報の開示度 ★★(2.0)
非上場企業のため、決算情報の公開は確認できませんでした。
売上規模は第三者サイトの記載のみで、公式の数値は見当たりません。
総合評価 ★★★(3.0)
製品づくりと販売の実績は確かで、価格以上の内容を届けてきたブランドです。
企業情報の透明性が高まれば、さらに安心して選べる存在になります。
商品紹介「SoundPEATSUU2イヤーカフイヤホンPOPClip2」



商品詳細
- 色:ブラック
- 耳の位置:オープンイヤー
- ヘッドホン型式:オープンイヤー
- ノイズコントロール:遮音
- ドライバー:チタンコーティング大口径12mmデュアルマグネットドライバー
- 低音:独自開発の低音強化アルゴリズム搭載
- 対応コーデック:LDAC(ワイヤレスでハイレゾ相当の再生が可能)
- 専用アプリ:「SOUNDPEATS」対応
- 形状:耳掛け部分がU字型のイヤーカフ
- ワイヤー素材:A級ニッケルチタン合金ワイヤー
- 重量:片耳約5g
- 名称:UUイヤーカフの後継機POPClip2で、U字型のため「UU2」と呼称を統一
- 表記:Bluetooth名・外箱は「POPClip2」
- 最大音量:前モデルPOPClip比で最大2.57%(3.17dB)アップ(メーカー表記)
- 操作方式:物理ボタン
- 再生時間:フル充電で最大10時間、充電ケース併用で最大42時間(音楽再生時、使用条件により異なる)
- 急速充電:10分の充電で最大2時間再生
- Bluetooth:Bluetooth6.0
- マルチポイント:最大2台のデバイスに同時接続
- 対応デバイス:iOS、Android、Windows
- アプリ機能:ダイナミックEQ、プライバシーモード、空間オーディオなど
- 左右の割り当て:充電ケースの格納位置と取り出し順で決定(左右を気にせず収納可能)
- 左右の再設定:蓋を閉じて約10秒経過後に取り出すと適切に再設定
- 通話:AI通話ノイズキャンセリング+デュアルマイク
- 風切り音対策:SOUNDPEATSAeroVoice(特許出願中)で一般的なイヤホン比25%低減(同社ラボ測定)
- 装着構造:エルゴノミック・コンフォートイヤービーン設計+高弾性A級形状記憶合金のC形ブリッジ
- 音響構造:偏心式音導構造と最適化された音波入射角度による指向性音響伝送システム
良い口コミ
「カナル型だと1時間で耳が痛くなっていたのに、これは在宅ワーク中ずっと着けていても平気でした」
「オープンイヤーは低音が出ないと思っていたので、ベースの音がちゃんと聞こえて驚きました」
「タッチ式は髪を触っただけで止まってイライラしていたので、物理ボタンなのが本当にありがたいです」
「ケースに左右を気にせず放り込めるのが地味に便利で、朝の出がけに助かっています」
「この価格でLDACとマルチポイントまで付いているので、パソコンとスマホの両方で使い倒しています」
気になる口コミ
「地下鉄の中だと、音量を上げてもさすがに聞き取りにくい場面がありました」
「静かなオフィスで音量を上げると、隣の人に聞こえていないか少し気になります」
「空間オーディオは、正直なところ効果があまり分かりませんでした」
「外箱にはPOPClip2と書いてあるのに、商品ページはUU2で、最初は別の商品が届いたのかと思いました」
「耳の形との相性があるようで、軟骨が薄めの私は少し浮く感じがしました」
「SoundPEATSUU2イヤーカフイヤホンPOPClip2」のポジティブな特色
一番の魅力は、「オープンイヤーだから音は我慢する」という前提を崩しにきている点です。
12mmのデュアルマグネットドライバーは、イヤーカフ型としては大きめのサイズです。
スピーカーは口径が大きいほど空気を大きく動かせるため、低音の土台を作りやすくなります。
ここに低音強化アルゴリズムが加わり、ドラムやベースの輪郭が薄くなりにくい設計になっています。
カフェでポッドキャストを聴くだけでなく、音楽をきちんと楽しみたい人にとっては大きな違いです。
装着感の工夫も手堅くまとまっています。
片耳約5gは、500円玉よりも軽い重さです。
ニッケルチタン合金のワイヤーは、曲げても元の形に戻ろうとする性質があります。
そのため、耳の形が人それぞれでも、やさしく挟み込むようにフィットします。
メガネのつるやマスクのゴムと干渉しにくい点も、イヤーカフ型ならではの長所です。
毎日使う道具としての気配りも光ります。
物理ボタンは、手袋をしたままでも、汗をかいた指でも確実に反応します。
最大42時間の再生は、1日2時間の通勤なら3週間近く充電を忘れていられる計算です。
朝に電池切れに気づいても、身支度の10分で2時間ぶんを取り戻せます。
左右を気にせずケースに戻せる仕組みは、地味ですが一度慣れると手放せなくなります。
通話や接続まわりも、テレワーク世代に向いた内容です。
仕事用パソコンと私用スマホを同時につないでおけば、会議中にかかってきた電話へ自然に切り替えられます。
デュアルマイクとAIによるノイズ低減で、生活音が入りやすい自宅からの通話にも対応します。
自転車や屋外で気になる風のゴーッという音を抑えるAeroVoiceも、屋外で通話する人には心強い機能です。
「SoundPEATSUU2イヤーカフイヤホンPOPClip2」のネガティブな特色
まず、構造上の限界は避けられません。
耳穴をふさがない以上、電車の走行音や街の騒音が大きい場所では、音楽が埋もれやすくなります。
ノイズキャンセリングで周囲の音を消すタイプとは、そもそも役割が違います。
騒がしい場所で音楽に没頭したい人には、カナル型を別に持っておくことをすすめます。
次に、音量に関するメーカー表記が分かりにくい点です。
商品説明では、最大音量が「2.57%(3.17dB)アップ」とされています。
一般的な換算では、3.17dBの増加は音の圧力でおよそ1.4倍に当たり、2.57%という数字とは結びつきません。
どちらかの数値の意味が説明不足なのか、記載の誤りなのかは判断できません。
購入前の判断材料としては、パーセントよりもdBの数字を参考にするほうが無難です。
名称の分かりにくさも、小さなつまずきになります。
商品ページは「UU2」、Bluetooth名と外箱は「POPClip2」です。
スマホの接続画面で「UU2」を探して見つからず、戸惑う人もいるはずです。
最後に、左右の自動割り当てには少しだけ手順があります。
蓋を閉じてから約10秒待って取り出す、というひと手間が必要です。
急いで出し入れすると、左右の割り当てが意図どおりにならない可能性があります。
便利な仕組みである反面、慣れるまでは説明書の確認が欠かせません。


他メーカーの商品との比較
比較対象と前提
比較するのは、国内で入手しやすいイヤーカフ型の4機種です。
ShokzのOpenDotsONE、HUAWEIのFreeClip2、AnkerのSoundcoreC50i、ソニーのLinkBudsClipを取り上げます。
価格は各社の公表価格や報道時点のもので、セールにより変動します。
価格と音質の土台
UU2は通常価格7,280円で、比較した中では群を抜いて安価です。
AnkerのC50iは12,990円で、同じ12mmドライバーを積んでいますが、対応コーデックはメーカー情報なしとされています。
HUAWEIのFreeClip2の対応コーデックはSBC、AAC、L2HCで、LDACには対応していません。
Androidスマホで高音質コーデックを使いたい人にとって、LDAC対応はUU2の明確な強みです。
バッテリーと防水性能
OpenDotsONEはイヤホン単体で最大10時間、ケース併用で最大40時間です。
LinkBudsClipは単体約9時間、ケース併用で最大約37時間です。
単体10時間、合計42時間のUU2は、この中で最も長く使えます。
一方で防水性能は見劣りします。
FreeClip2はイヤホン本体がIP57、C50iはIP55の防塵防水です。
UU2はIPX5で、水には強いものの防塵の等級は示されていません。
砂ぼこりの舞うグラウンドや、汗をかきやすい本格的なトレーニングには、上位機種のほうが安心です。
ブランド力と付加価値
価格差の理由は、音響技術とブランドの総合力にあります。
OpenDotsONEはDolbyAudio(映画館などで使われる立体音響技術)に対応し、充電ケースはワイヤレス充電に対応しています。
ソニーは圧縮で失われた高音域を補う独自技術「DSEE」を備えています。
さらにソニーストア購入時のメーカー保証は3年で、サポート面の安心感は大手が上回ります。
比較から見えた結論
音質の基本性能、電池持ち、コーデック対応を価格で割れば、UU2の費用対効果は突出しています。
ただし、防塵防水、細かな使い勝手、長期保証まで求めるなら、2万円台後半の大手モデルに分があります。
初めてのイヤーカフ型として試すならUU2、毎日のスポーツや長く使う相棒を探すなら大手モデル、という住み分けが現実的です。
まとめ
冒頭で、耳をふさがないイヤホンの一番の敵は「どうせ音はスカスカだろう」という思い込みだとお伝えしました。
SoundPEATSのUU2は、その思い込みに7,000円台で正面から挑んだ一台です。
低音の量感、42時間の電池持ち、物理ボタンの確かさは、価格を考えると驚くほど手堅い内容です。
もちろん、騒がしい電車の中では限界があり、防水性能やブランドの透明性では大手に一歩譲ります。
それでも、耳の痛みやインターホンの聞き逃しに悩んできた人には、試す価値が十分にあります。
まずは今日、鏡の前で自分の耳のふちの形を確かめてみてください。
イヤーカフ型との相性を想像するだけで、次の一台選びが少し楽しくなるはずです。




